杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ターミネーター ニュー・フェイト

2021年10月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2019年11月8日公開 アメリカ 129分 PG12

人類滅亡の日である「審判の日」は回避されたが、まだ危機は去っていなかった。メキシコシティで父と弟とごく普通の生活を送っていた21歳の女性ダニー(ナタリア・レイエス)のもとに、未来から最新型ターミネーター「REV-9」が現れ、彼女の命を狙う。一方、同じく未来からやってきたという女性戦士グレース(マッケンジー・デイビス)が、ダニーを守るためにREV-9と壮絶な戦いを繰り広げる。何度倒しても立ち上がってくるREV-9にダニーとグレースは追いつめられるが、そこへ、かつて人類を滅亡の未来から救ったサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)が現れる。(映画.comより)

 

「ターミネーター」シリーズ6作目で、「ターミネーター2」の正当な続編の位置づけだそう。ジェームス・キャメロンがプロデューサーとなり、監督はティム・ミラーです。

シリーズは最初の二作くらいしか観てないかも。

冒頭で、サラの息子のジョンがT-800に殺されるシーンが登場。え?それじゃ話が始まらないじゃん!

これはジョンのいない、異なる時間軸の世界のお話で、敵は「スカイネット」ではなく「リージョン」という機械軍団なのです。

場面は変わり、父と弟と暮らすダニー登場。そこへ新型ターミネーターREV-9がダニー抹殺に現れ、同時に彼女を守るためにグレースがやってきます。

倒しても倒しても復活するREV-9(合体と分離を繰り返す液体金属型兵器)の前に窮地に立たされた二人を救ったのはサラですが、グレースは彼女を信用せず、彼女の車を奪いダニーを連れて逃走します。でも途中で意識を失ってしまうの。グレースはターミネーターを倒すために志願して肉体を強化していますが、激しい新陳代謝を伴い体力を消耗するという欠点があったのね。薬局で必要な薬を入手しようとする二人の前に再びサラが現れ助けます。

隠れ家でサラは二人にジョンが殺された後、謎の人物から送られてくる座標を元にターミネーターを破壊してきたことを話します。三人はその人物の居場所を突き止め向かいますが、現れたのはT-800:カール(アーノルド・シュワルツェネッガー)でした。

今作ではサラはT-800への復讐心に燃えていますが、彼の方はカールと名乗り家族もいて、自分のしたことを後悔しています。だからこそ陰ながらサラに協力していたということらしい。

グレースは、未来でダニーに助けられたことも明かされます。彼女を送り込んだ「リーダー」こそがダニーなんですね。

REV-9を倒す唯一の武器は電磁パルス(EMP)で、サラは旧知のディーン少佐に頼んで入手しますが、追ってきたREV-9との戦いの中で被弾し使えなくなります。終わりがないかのような激しい戦いの末、戦闘不能になったグレースが自らの体内に埋め込まれた動力源を使ってREV-9を倒すようダニーを説得、瀕死のカールが自らを道連れにREV-9を破壊溶鉱炉跡へ落下し両者とも絶命します。

数日後、公園で遊ぶ幼いグレイスを眺めながら、「二度とあなたを殺さない」と誓って、サラと共に去っていくダニーなのでした。

制作時はトランプ政権下にあり、物語がメキシコから始まているのは、移民抑制を推進する政権への批判の意味もあるようです。人間対殺戮マシーンの構図も、人類が人種を超えて手を結んで戦う必要性を強く意識していて、幼いグレースを無法者から助ける際にダニーが「私たちを争わせて滅ぼす事が奴らの目的だ」と言って団結を呼びかけるシーンが象徴的でした。


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泣く子はいねぇが

2021年10月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年11月20日公開 108分 G

秋田県・男鹿半島で暮らす、たすく(仲野太賀)に娘が誕生した。たすくが喜ぶ中、妻のことね(吉岡里帆)は子どもじみていて父になる覚悟が定まらない夫に苛立ちを募らせていた。大晦日の夜、たすくは妻に「酒を飲まずに早く帰る」と約束し、地元の伝統行事「ナマハゲ」に例年通り参加する。しかし、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ日頃の鬱憤を晴らすかのように「ナマハゲ」の面を付けたまま全裸で街へと走り出し、その姿がテレビで全国に放送されてしまう。ことねに愛想を尽かされ、地元にもいられなくなったたすくは逃げるように東京へと向かう。それから2年、東京にも居場所を見いだせないたすくは、くすぶった生活を送っていた。そんなある日、親友の志波(寛一郎)からことねの近況を聞き、ことねと娘に会いたいという思いが強くなり、ようやく自らの愚行と向き合い、地元に戻る決意をする。だが、現実はそう容易いものではなかった…。

 

佐藤快磨監督の長編劇場デビュー作で、是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」が企画協力しています。親になることから逃げた青年が不器用ながらも成長する姿が描かれ、舞台となった秋田は監督の地元だそうで、男鹿の「ナマハゲ」が物語の核にもなっていました。余貴美子や柳葉敏郎など脇を固める俳優陣も良い味出してますギバちゃんは秋田出身だけど角館で男鹿じゃないけどね

娘の誕生を喜びながらも、父親としての自覚の足りないたすくをことねは前々から危惧していたことが伝わる冒頭部。全裸事件で夫婦の亀裂は決定的なものになります。彼の仕出かしたことへの影響は大きく地元にいられなくなるのもわかりますが、ことねから三行半を突きつけられ、結局は責任を取ることもせず一人で逃げ出したわけですね。

そんな男が東京で上手くいくはずもなく、鬱々とした毎日を過ごし、郷里のことは忘れようとしていたところに、志波からことねの近況を聞くと、ふらふらと戻ってきてしまいます。実家に転がり込んできた息子を、母(余貴美子)は泰然と受け入れ、仕事を手伝わせます ババヘラアイスは秋田の人なら誰でも知っていますが、これを販売するのは中高年の女性たちで、たすくは彼女たちを道路際に落としていく移動車の運転をさせられるの  

志波から、ことねが川反(秋田市内の繁華街です)で働いている=水商売をしていると聞いたたすくは会いにいきますが、「再婚するから」と拒否されます。キャバ嬢役で古川琴音も出てました ことねにとって、たすくはもう過去の人であり、助けを必要としていなかったのですが、彼は勝手に自分が何とかしなきゃと思い込んでしまいます。

事件のせいで「ナマハゲ存続の会」の活動自体が危機に陥っている会長の夏井(柳葉敏郎)の怒りは大きく、鬼の面を作ったたすくの父親の気持ちを考えたことがあるかと問いますが、何も答えられません。ナマハゲ行事は、今や観光面ばかりがクローズアップされていますが、子供の成長を願う親の気持ちが根底にあるのですね。

志波はサザエやウニの密漁をしているようで、ことねとよりを戻すためにお金を稼ぎたいたすくも手伝います。志波は所謂悪友だけど、根は良い奴に見えます。フットサルのシーンが登場しますが、志波がソックスを履きながらたすくと会話するシーンがなんか、良いかったです。

結局ことねの意志は変わらず、娘の凪が通う保育園の発表会をこっそり見に行っても、どれが我が子かわかるはずもない情けないたすくが唯一出来ること、それは父親の形見のナマハゲの面を被って、大晦日に凪に会いに行くことでした。凪を抱くことねの再婚相手の前で、「なぐ子はいねが~!」と叫び続けるたすくの思いをこの時ことねは受け止め彼を家に入れます。が・・・迫力あり過ぎだよ~!!あれではトラウマになってしまいそうな迫力で、ちょっと引いてしまいました。一方で父としてではなく、元妻の再婚相手に娘を託すための一種の儀式にも見えてきます。

現実は甘くない!覆水盆に返らずですが、それでも父として娘に初めて贈った彼なりの親心が伝わってくるラストでした。 同時に逃げ続けた過去と向き合い新たな一歩を踏み出そうとするかのような姿に彼の成長を感じることもできるかな


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