杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

アメイジング・グレイス

2012年02月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年3月5日公開 イギリス 118分

18世紀のイギリス。資産家に生まれたウィリアム・ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)は、多くの慈善事業を行う政治家に成長するが、聖職者になるか、世を変える政治家になるかで心が揺れていた。そんな時、イギリスの主たる収入源である奴隷貿易の実態を知り心を痛めた彼は、彼の師で、『アメイジング・グレイス』の作詞をしたジョン・ニュートン(アルバート・フィニー)にアドバイスを求め、背中を押される。英国最年少の首相ウィリアム・ピット(ベネディクト・カンバーバッチ)と共に、奴隷貿易廃止を訴え、トマス・クラークソン(ルーファス・シーウェル)、王族出身で元奴隷のオラウダ・エクィアノ(ユッスー・ンドゥール)、友人で下院議員のヘンリー・ソーントンらと活動を開始する。ウィルバーフォースたちは国中を回って演説し、1年足らずで世論に影響を与える。39万人もの世論の賛同を得、1791年、国会に奴隷貿易廃止案を提出するが、奴隷制度賛成派の妨害により、否決される。うちのめされ、病に倒れたウィルバーフォースをヘンリーは自宅に招き、バーバラ・スプーナー(ロモーラ・ガライ)と強制的に引きあわせる。バーバラは美しく聡明で、心が折れかけていたウィルバーフォースは彼女と恋に落ち、立ち直ることができた。ウィルバーフォースの苦難に満ちた活動は、名曲『アメイジング・グレイス』によって支えられ、奇跡の結末を迎える。


「奴隷貿易廃止法」成立200周年を記念して製作された映画です。
「アメイジング・グレイス」といえば、本田美奈子が歌っていたあの歌か~という程度しか知らなかったのですが・・・賛美歌だったのですね
作詞者のジョン・ニュートンは奴隷貿易船の船長をしていた時、冷酷に奴隷を扱い、航海中に2万人の奴隷が命を落としたといいます。ある時大嵐に遭い九死に一生を得たことでそれまでの自分の行いを悔い神の道を選び、神への感謝の気持ちを綴ったのがこの歌なんだとか。
そのジョン・ニュートンに師事していた政治家ウィリアム・ウィルバーフォースが、奴隷貿易廃止を掲げて戦う姿を描いたのが本作ということです。

映画ではウィルバーフォースの美声と、彼の結婚式のシーンでも出席者が歌うシーンが出てきます。

Amazing grace! how sweet the sound (すばらしき神の慈しみよ なんと美しき響きか)
That saved a wretch like me     (こんな悪人まで救って下さった)
I once was lost, but now am found(かつて道を外れていた私を 神が見つけて下さった)
Was blind, but now I see. (見えなかった目も今は開かれた)


初めは敵側だったチャールズ・フォックス卿(マイケル・ガンボン)が途中から仲間に加わるのですが、そのとぼけた狸じじいぶりがシリアスな場面に適度なユーモアを与えてくれます。

奴隷船の実態は言葉で語られ、拘束具が示されるだけなのですが、それだけでもかなり衝撃的でした。議員たちを船上パーティに誘い、奴隷船の傍につけてその独特の臭い(死臭や排泄物臭)で、奴隷たちがいかに酷い環境に曝されているかに気付かせるシーンもよかったです。

アメリカの南北戦争は比較的知られていますが、英国発の奴隷貿易廃止運動については習った記憶がないので、映画で知ることができたことに感謝

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする