月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

美しい野生のキツネをみたという話。

2019-10-02 22:17:04 | writer希望を胸に執筆日記




2019年10月2日(水曜日)



 ふと、2017年の覚え書きのようなメモ帖をみつけた。
文庫本サイズで、美しい紙の手触りに惹かれて買ったのを思い出し、ぺらぺらとめくってみる。冒頭のページは2017年の「良いこと」、右側には「よくないこと」というタイトルが書かれている。気付いたのは、「良いこと」はそれなりにうれしそうだが、短くて内容が薄い。
 対して、「よくないこと」は、ひそう感漂う文章なうえ、こと細かく、よくなさ加減が綴られており、文章を目で追ううちに、当時の腹立たしさや切なさがこみあげてきた。反省の意もこめてよく熟考している。


 例えば、1月16日には、「お風呂に浸かって、全身に蕁麻疹が出ていると発見した。翌日になっても全くひかない。皮膚科でステロイドを処方してもらうが、ステロイドはよくないということを取材で知っているため、使う気になれない。全身がかゆい。そこで「石垣の塩」で塩浴してみることにする。塩水をシュッシュッとスプレーし、体の内から殺菌作用をするため「塩水」も飲む。塩の湯にも浸かる…」
 と徹底的に試していて、1月20日には「完治」とある。


 ほか、交通違反で罰金をとられたり、Nに作家もののティーポットの持ち手を割られたり。新年会の席で日本酒をくいくい飲み、大先輩のデザイナーさんの家でぶっ倒れて1時間ばかり気を失ったことも綴られていた。最近こそ、平々凡々で、そんな大失敗はないのでは…と頭をかしげながら読んでいたが。とんでもなかった。


 そう昨日は、iPhoneのバージョンアップをする際に、ソフトが壊れて恐怖の「リンゴループ」(モノトーンの画面にグレーのアップルマークが出たまま進まない状態)からどうしても抜け出せず。地元の図書館で資料を調達にいき、戻ってきてもまだ「リンゴループ」状態。
アップルサポートセンターの方に9時半までお世話になってサポートしていただくも、全く恢復の余地なし。結果的に初期化をすることになってしまった。

 夫が遅いので食事もつくらず、食べもせず。結局。夜11時半。無事、初期化に成功してiPhoneは復活した。
が、ほんのさっきまでcloud上の写真が2017年で止まったままで1日半も戻らなくて、不安な状態で過ごしていた。…全て、恢復したときの喜びといったらない。安心の力をまざまざと知る。などと、ここまで書いて。やはり不安な状況については胸の中にしまって人には喋らないかわりに切々と綴る癖があるようだ。




 しかし、そのメモを見渡してみて、思ったことには手書きの手帖は面白いなーということ。字が汚いなぁーとか、寝ながら書いたんだろうなぁーとかパラパラとめくるだけで、色々面白いことに気づいた。
それで、気をよくし、この日は三省堂の国語辞書を本棚から取り出してきて、ことあるごとに、わからない漢字はスマートフォンではなく、辞書をくった。そして小さなことをメモしてみる。


 と、前置きばかりが長くなったが、きょうは面白いものをみてしまった。
郵便局に行く途中、野生のキツネが道路の脇の草陰からちょこんとこちらをみていた。








 最初は、犬かと思ったが顔が尖っているし、目がキラッと金色に光っていたのですぐにキツネ!とわかる。
へー!初めてかもしれない。動物園以外で野生のキツネに出会ったことは。じーっとみる私とばっちり目があったが、相手は逃げもせず目をそらさないので、遠慮がちにごそごそと鞄からスマートフォンをとりだしてすばやく撮影。動くと逃げると思ったが全く逃げる様子はなし。あまり見合っても仕方ないので、2歩、3本と歩き出したら、草陰の深みにすすっとーと隠れて。ふたたび
こちらをみていた。(誰だ、おまえと観察する感じで)





 金色の目と、尖った顔。美しい毛並みが印象的。ディズニー映画『ズートピア』のキツネの詐欺師ニックを思い出した。それから、ごんぎつねの絵本も。

(キツネって、やっぱ!カッコイイ)



 無事に郵便局での用事を終わらせて、ドキドキしながらそこを歩いていると、そのキツネ。
家のそばの車道(車の少ない道路)をうれしそうに、ぴょんぴょんと飛び跳ねていた。わーっ!跳んでる!私が止まると、キツネのほうでもピクンと止まり、そのままこちらにやってきて、目前で止まり、じっとこちらをみている。えっ?

  (あ!もしかして、食料を要求してはる…?)







 再びパチリと撮影。歩き出すと、草むらに入ってしまった。不思議なざわざわとした、むこうから物語が近づいてきた。高揚感、、。
 耳が三角型にピンとたち上がり、鼻から首まわり、しっぽの先だけが、ふっさふさの真っ白の毛。光る金色の目をした美しいキツネだった。





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