陽だまりのねごと

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癌だましい   山内令南著

2011-12-24 06:59:32 | 
癌だましい
クリエーター情報なし
文藝春秋


「癌だましい」と「癌ふるい」の2作品が収録。

「癌だましい」は2011年 第112回 文學界新人賞を受賞。
受賞第1作「癌ふるい」を脱稿、5月19日に、食道癌のため逝去。

8月10日が初版発行日になっているから、
これが出版された時に著者はすでに鬼籍ということになる。
経歴に看護科卒とあることにも興味を覚えて、図書館から借りてきた。

「癌だましい」の主人公は施設介護職のステージⅣの食道癌の女性。
食べることが生きることすべての肥満体で、その言動から職場のみんなから
『職場の癌』と言われている。

癌患者としての実体験か、ものすごくリアル。
眠っている唾液の逆流やら食べたくて食べられない、食べただけ嘔吐してしまうシーンなど永遠と続く。
うっかりポテチにお茶など置いて読めない。

「癌ふるい」は
ステージⅣの食道癌で三大療法は受けず、民間療法で対処し身辺整理をする現状報告メールを100通出した
その返信に得点がつけて並べてある。
これは夫の死に際してのいろんな人の言葉に痛く傷ついたり、励まされたりしたので、
実によく分かった。
人は人の緊急事態に本性を垣間見せるものらしい。
プラス、マイナス100点内で評価されたそれは、著者の価値観でもある。
癌にてふるわれる数々。上手い題名の付け方だ。

最後の最後には向日葵に囲まれて、
すべての人への感謝のプラス20点を加算するところで終わっていた。


死までの猶予期間がいつとは分からないけれども用意されている末期癌。
最近、仕事でも
最後は自宅で迎えたいとの退院調整の話が持ち込まれるケースが増えている。

夫の末期がんに最後の日まで、ずっと寄り添った。
死が意識されるからより生きる意味が問われる短いけれど濃い時間があったと回想する。

著者の最後の時間がおそらく全部ここに吐き出されている、
もうこの著者の作品が増えることはないと思うと、
単なる一読者も背筋が伸びる。
亡夫が『癌』と書かれた本の背文字に目を止めさせたのだろうと思う。
癌という漢字の後に続く『だましい』とは?

  『騙し』なのか?『魂』なのか?


夫が末期である事に相当パニくって精神状態が普通ではなった私に
温かい支援助言を下さった看護師さんやソーシャルワーカーさんがあった。
また真逆の応対も受けた。
そんな事が胸の真ん中にあって、
今の仕事を選んだったと忘れていた初心も思い出させた小説だった。







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2 コメント

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おはようございます (dorucasu)
2011-12-24 07:29:01
スゴイ勢いで読み,書いておられますね。
いつかはブログ本になるのでは・・

 わたくしの妹も癌のために今とても大変です。<死が意識されるからより生きる意味が問われる>  妹もその時を過ごしています。我慢できないほど苦しくなると電話をしてきます。私は聞くしかできません・・・
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聞くだけで (みかん)
2011-12-25 07:27:43
聞いて下さる方があるって心強いと思いますよ。
活字中毒の上に読んだ端から忘れるので、ブログが記憶の一助になっています
返信する

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