![]() | 猫泥棒と木曜日のキッチン橋本 紡メディアワークスこのアイテムの詳細を見る |
パステル調で甘めの題名、目次が横書き。
ケイタイ小説か?と書店の棚に戻す前に『猫』には惹かれてめくったはじめの行に
『お母さんが家出した。』
語り手は女子高生。
種違いの5歳のコウちゃんとそのまま暮らし続けたっと、話は予想外。
淡々とした筆致に甘めの内容でもいいやと、ついついお買い上げ。
お母さんに去られても
高校を自分が卒業するまでくらいのお金はギリギリありそうと踏んで
せっせと特売品を買って節約してコウちゃんの面倒も看て
悲観とか力みがなく、しっかり主婦をしていく。
道路で轢かれた猫を拾っては庭に何匹も埋葬しはじめる辺り、
何か無理がこんな形で現われている感じでさらっと異様な風景だけれど入り込んでくる。
そしてある日、
交差点で生まれたばかりらしい子猫の鳴き声を聞く。
あぁ~私も聞いてしまったんで、
今、小物体が私の膝をあっためている。
拾い上げたダンボール箱は地獄絵だった。
猫の模様も色も分からない子猫の轢死体だらけの中で瀕死の一匹が声を上げていたのだ。
急いで獣医へ。
いやだなぁ~
我が行動にえらく似ている。
血まみれではなかったけど下痢まみれ…
捨てられた子猫と母に家出された主人公とがクロスする。
生まれて兄弟全部轢死体となった中で、生き長らえてスポイドから貰うお乳を飲んで喉鳴らして
ほんの数日であってもこの子にとっては幸せな時だったと言う獣医。
子猫を捨てた犯人を突き止めたら7匹も飼っている猫屋敷。
そこは猫好きに多いが家猫、外猫と猫に格付けして家3匹、外4匹。
どっちにしても家から外へ出入り自由な状態で飼って避妊もしない。
生まれたらダンボール箱詰めで交差点に放置する。
こういうのを本当に猫好きというのかどうか?
膝もモコも一度くらいお産経験せさてやりたいとも思うけれど
生まれた子の先を思うと、発情前に避妊を予定している。
人間の勝手だけど、責任持てない命の誕生は困る。
日に日に大きくなる無邪気なモコも
家で15年生きて死んだふぃんふぃんも
確かに捨てた人物がどこか居る。
登場人物や行為の容認というか、
無理な理性でなく、すんなりと受容してしまう振り幅と
絶対に許せない事への線引きが
うんうんと頷けて心地よかった。価値観の一致というアレ。
橋本 紡をはじめて読んだ。
重たいことがふわ~と流れて良い感じ。見かけだけで書架に戻さなくてよかった。
なんだかハマってしまいそう。
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