![]() | たった一人の老い支度 実践篇 (新潮文庫)岡田 信子新潮社このアイテムの詳細を見る |
腹ばいでこの文庫本を読んでいたら
ちょこちょことモコがもぐってきて寝入ってしまった。
起こしそうで動けず最後まで読み切った。
この子を飼うにあたって、猫の寿命と自分の年齢を逆算した。
考えすぎだと友が言ったけど、
ひとり身の恐さを知っている著者が
そのくらい考えるもんだと言っくれている気がして意を強くした。
猫寿命はどんどん長くなっているから仮に20年とする。
75歳まで入院もせず、今と同じ状態で過ごす自信が100%ある人は少なかろう。
猫トイレやら餌やら、
我が身以外のたか猫の世話を誰かに頼まなくてはいけない状況がゼロで済む保障はない。
一人で身を処すといのはそう言うことなのだ。
実際に70代で逝ってしまって、
可愛がられていた猫が完全野良になってしまった利用者さんにも仕事で遭遇した。
ひとりとは誰にも助けが求められない状況を日々なんとかクリアしてきている。
ゆえに、たった一人の老い支度、身仕舞いも真剣になる。
著者はどうあがいても
すっぱり『悠々自適はない』と斬っている。
しっかりお金を貯めて安心を買ったつもりの高額有料老人ホームの破綻と生保倒産の例が載っていた。
しかし、老いに金は必要。
小けちと月10万で結構暮らせるとある。
この辺り、我が家では息子関係費、猫関連費を除けばなんとかなる。
ひとり身とは食事も洗濯も少量。
おもいっきりケチはさもしい気がするけれど、
使い方メリハリつけて小けちで済むところは小けちに徹すればいい。
ひとり身の気楽さもおもいっきり書いてあって小気味いい。
家事だ料理だに文句を言う人が居ないんだから好き放題。
実際のとこ私もきちんきちんと定時に食事ということがなくなった。
お腹が空いた時、食べたい時であれば時間に拘らなくなった。
誰彼に合わせる必要がない。
「ひとりで食べてはおいしくない」と良く言われるけれど
きっぱりそんなことはないと言い切ってあって元気が出る。
イヤな人と二人で食べる方がまだ孤独。
誰に遠慮もいらない食生活、慣れると結構気楽。
この辺り事細かに実践例が書いてある。
がん予防、ぼけ予防、ねたきり予防と食材もあげてある。
最後に健康については諸説変わると結んであってこれも合点。
食事については息子はいざ知らず、一応、元主婦。
栄養バランスは頭の片隅にある。
老い先の介護についても細かに書いてあるけれど、
介護保険始まり当初で多少、現状からズレてきている。
ここんとこは一応プロなんで、分かりすぎてか考えると憂鬱の種になる。
取りあえず小けちで小銭だけは持っておこう。
『より快適な老後のためー予定とアハハで』だそうな。
老いてひとり身となり、
親族御一同に迷惑かける誰かの手を借りないといけない軟弱老婆にだけはなれない。
中年から一人身は結構強くならざるを得ない。
発想の転換やら自分なりの工夫で
なにも一人身を憂うことなく、なぁ~んだ明るく生きていいんじゃないと言う気にさせてくれる。
足腰の弱り、気力のなさ、記憶のあぶなさ老い身の処し方を考えつつ
無心な子猫に責任があるから、健康にだけは気をつけるっきゃないってことか?