細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

伝える力

2014-12-03 07:35:29 | 教育のこと

5泊6日の東北出張が昨日、無事に終わりました。昨日は、仙台から早朝に横浜に移動し、講義を3つ行いました。

午前の「維持管理計画学」では、私が担当の6回分の最終回で、外部からの4人のスーパーゲスト講師の講義も終わった後の、私の最終回でした。受講生全員にレポートを提出してもらいますが、昨日は、一人一人、感じたこと、考えたことを前に出て話してもらいました。それに対して私がコメントしたり、解説したり、しました。素晴らしい時間になったと思います。この大衆化社会でどのように生きていくべきか、また、生きる意義とは何なのか、についても私の考え方を伝えました。

午後の「土木史と技術者倫理」では、帝国道路のネットワーク、が題材で、いよいよ古代ローマ帝国の話を始めました。前回、パリから帰国そのままの講義だったので、さすがの私も疲れていたようで、「もっと元気な先生を見たい」という声もレポートにありました。というわけで、私の持てる最強のポジティブパワーで講義を行いました。笑いも極めて多く、すでに採点を始めましたが300枚程度のレポートの質も極めて高かったです。 

彼らのレポートにもありますが、私の伝える力、感化する力に感じてくれる学生が非常に多いです。そして、学生が自分も周囲に伝えたい状況にあるのに、そうできない自分を歯がゆく思う、状況によっては自責の念に駆られる人も少なくないことに、私は心を痛めました。文系の学生で、私がシェークスピアに似ている、言葉の一つ一つがあまりにも重い、とまで言ってくれた学生もいます。

「横浜村塾」を開くことにしました。大学とは、やるべきこと、やりたいことをやる場です。志の高い、誠実な学生たちに対して、私が寺子屋的に、昨日の維持管理計画学のように指導してあげることがとても良いように感じます。現在、学部3年生の男子6名を対象に、「人間学とリーダーシップについて考える」という少人数ゼミをやっている最中ですが、そのゼミでは「7つの習慣」を皆で読んで、誠実な、楽しい議論を重ねています。それも、横浜村塾に統合します。

塾生は私から声をかけて、少人数で始めてみます。私の講義の受講生等が対象になるでしょうか。

昨日の4限の講義では、実験室でコンクリートを練混ぜる授業でした。土木史の講義を受講した土木の2年生がそのまま実験室に移動して、受講しました。私も東北出張から帰ってすぐの実践講義なので、準備が懸念されましたが、研究室の学部4年生が全員で連携し、東北出張にフル参加した中川さんがリーダーになって、準備をしてくれました。修士1年の皆さんも強力にバックアップしてくれ、とても良い講義ができたと思います。心から感謝します、ありがとう。土木史の講義も受けて意欲が高まっているので、非常に活気に溢れた楽しい時間になったと思います。

東北の出張では、復興道路の南三陸国道事務所の管内の構造物の品質を集中的に調査しました。11/28-29の二日間でかなりタフなスケジュールでしたが、調査も無事に行えました。特に29日は天候も悪く、それでもSWATの計測も無事に行えて、連携、段取りしていただいた現場の皆様、国交省の皆様に心から感謝いたします。

そして、12/1の仙台での大勉強会で、調査結果も発表しました。私の調査チームの小松さん、中川さんは前夜の3時半までかかってデータ整理をしてくれました。「実弾」のバズーカでぶち込みましたので、これでまた世の中が大きく動いていくでしょう。

勉強会は素晴らしい内容でした。復興道路の現場で施工者の皆様が素晴らしい品質確保の取組みを実践され始めており、阿波先生の寒中コンクリートの品質確保のプレゼンの後、5件の施工者さんからの発表すべてが感激するほどの内容でした。

山口県の二宮さんも来られ、山口県の品質確保の最新動向を発表していただきました。さすがの二宮さんで、勉強会がさらに引き締まりました。

勉強会の最後に私のバズーカ砲がさく裂したわけですが、発表された施工者さんの現場の構造物の品質がいかに素晴らしいかを、定量的なデータ(目視評価、SWAT、透気試験)で示しました。盛り上がらないわけがありません。

勉強会後の懇親会も素晴らしかった。

すべて、誠実に実践し、誠実に、魅力的に伝えること、です。

日本はこれから相当な苦境に立たされると思いますが、やるべきことを実践する以外に道はありません。