細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

部分と全体

2014-10-20 09:31:37 | 研究のこと

いわゆる主流派の経済学者の方々(超有名大学で、論文もたくさん書いていて、社会的知名度の高い方々)のおっしゃっていることが、現状では正しくないことを、多くの国民は知らないものと思います。現状では正しくない、とかなり遠慮がちに書きましたが、もしかすると全く、根本から正しくないのであろうと、信頼できる筋からの情報を元にすると、思えてきます。

彼らの言うことは、その限られた世界の中では正しいのでしょう。様々な、あり得ない前提条件を置いて、その中で理想的なモデルでシミュレーションすると、彼らの言うシナリオが出てくるのでしょう。あり得ない条件を一つ一つ述べることはしませんが、例えば大災害が生じることも全く考慮されていません。

そして、そのようなシミュレーションの結果は、当然ですが、全く現実社会と整合しません。

私は、経済学者ではありませんので、これ以上、経済のことについては述べません。

ですが、どの分野も似たり寄ったりでしょう。

私の専門のコンクリートの分野でも、実験や数値シミュレーションの結果と、実構造物の結果が整合しないことは往々にしてあります。

二つの種類のコンクリートがあるとして、コンクリートAと、コンクリートBで角柱試験体を作り、それぞれの性能を調べると考えましょう。

研究者はいろいろと工夫して、コンクリートBの性能を高めようと努力します。いろんな良い結果が出てくるでしょう。

でも、二つのコンクリートを使って、実際の構造物(トンネルや、橋梁など)を作ってみたら、あら何と、コンクリートAの方が結果が良い、ということが往々にして生じます。コンクリートBを使った方では、とんでもないひび割れが発生したり、時間が経つと目も当てられない劣化が生じたり、など。

部分最適化が、必ずしも全体最適化にならない。 

理由はいろいろあると思いますが、部分が最適になっても、それらが合成するとおかしくなる、合成の誤謬、もあるでしょう。また、部分で性能を検証しているときに、見落としている着眼点があることもあるでしょう。

経済も、コンクリートも同じ。

私は現在、復興道路の建設に深く関わっており、まさに、実構造物(すなわち全体)で結果を出すことに責任感を持って取り組んでいるつもりです。

私も、所詮は大学の研究者で、実験室、数値シミュレーション、という武器しかこれまでは持っていませんでした。今は、実構造物で結果が出てきますので、絶対に実構造物の結果が良くなるように、思考しています。そのためには、もちろん、部分も非常に重要です。

これがマネジメントであり、全員がマネジメントをできる必要はないと思いますが、経済においては全体を見渡せる人が絶対に主導すべきだし、建設という極めて影響の大きい産業においてもしかりです。

建設はまだ救いがあるのかもしれませんが、経済においてなぜ、部分しか見れない人たちがはびこるのか、それが真の原因であり、おそらく恐ろしい全体主義に国家が侵されていく真っ最中にあるのだと思います。

このブログの読者は心ある方々だと思いますが、真の情報に気付かれることを切に願います。情報の発信者が、本当に全体を見ている人か、また、怪しい理念を唱えているのではなく、現実の社会や構造物の結果をきちんと見ている人か、少しでも現実をよくしようとしている人か、結果に責任を取る人か、それだけを見ていれば、分かるはずです。 

いわゆる主流派の方々が、経済についてどれだけの虚言をばらまいているか、国家を間違った方向に進めようとしているか(破壊しつくそうとしている)は、この番組を見ていただければすぐに分かると思います。賛同できずに途中で見るのをやめてしまいたくなる方は、全体主義に侵されて、思考停止に陥っている方、と判断して間違いないと思います。