ランニングおやじの野望!

50歳を目前に突然走り始めた鈍足おやじランナーのトレーニング雑記です。

ランニング小説

2006-12-26 23:39:09 | 本・漫画・映画など
今、大型書店に行くと「3大ランニング小説」として、
『風が強く吹いている』(三浦しをん著/新潮社刊)、
『Run! Run! Run!』(桂 望実著/文藝春秋刊)、それから、
『一瞬の風になれ』(全3巻・佐藤多佳子著/講談社刊)
の3点が並んでいる。

同時にこれだけ、ランニングを題材にした作が出るのも珍しいうえに、作者はいずれも女性、しかも3人とも運動オンチを自認する方々というのも面白い。

神保町の東京堂書店で買ってきた『Run! Run! Run!』を読了。
先に読んだ『風が強く吹いている』が荒唐無稽で痛快な青春の箱根駅伝小説だったのに対し、こちらは同じく箱根駅伝を舞台にしつつも全く異なる味わいの、痛切な重い作品である。
作者・桂望実さんは、映画化された『県庁の星』でブレイクした方。


箱根駅伝の2区を任されながら途中で意識を失った苦い経験を持つ父の夢を託された天才的ランナー・岡崎優の物語。
負けを知らないずば抜けた速さ。絶対の自信と高く明確な目標ゆえに大学陸上部でも孤高を貫く姿勢は部員たちの猛反発を受けるが、優は自分をサポートする「チーム岡崎」を結成させ、あくまでもわが道を行く。
しかしその速さには本人が知らない出生の秘密が隠されていた。

箱根駅伝で1年ながら2区に選出されたものの、DNA検査でその秘密が明らかにされそうになったとき、優は苦悩の末に辞退を申し出る……。

天才の孤独と苦悩という古典的なテーマに、これまた古典的な出生の秘密をからめた設定だが、そこに遺伝子操作を加えたところに現代小説らしさがある。
ラストで父との和解が示唆されるのも定石ながら、ホッとさせられる。

書店のPR誌『新刊展望』1月号(日販)に作者の自著解説が掲載されている。

「結末は、あえて決めなかった。書いているうちに、登場人物たちが勝手に動き回るのが常なので、彼らの判断に任せていた。自作でありながら、主人公の決断も、私に相談なしに下された感がある。彼の選択を、私は受け入れたが、読者はどうだろうか。
この作品を書いている間中、胸に圧迫感があった。心臓にも肺にも疾患はないので、主人公に感情移入したためだろう。彼の心の痛みに、私の胸が共振したせいだと思っている。
主人公の少年は生意気で自信家で、ちょっとその性格、どうよといった子だ。素直じゃないし、人をなめてるし、可愛くないので、応援する気持ちにはなれないタイプだ。そんな彼に、この小説を読み終えた読者が、声援を送るようになってくれたとしたら、とても嬉しい」

はい。なりましたよ。
それにしても、仲間とか共感とか、そういう青春っぽい絆を否定していた彼が、新たな人生を踏み出したとき、大学陸上部時代の人脈に助けられるのは皮肉でもあり、それが人生という気もする。


もう1冊の『一瞬の風になれ』は全3巻という長さでもあり、高校陸上部のスプリンターを主人公にしたバリバリの青春小説らしいので読むのを躊躇していた。
が、ちょうど高1息子が帰省中でもあり、読ませたらどんな感想をもつのか興味があるので買ってくることにした。

朝、風雨強く走れず。ステップ運動20分、心拍108。

夜、木刀素振りなど日課。
昨夜、剣道二段の高1息子から、木刀を強く握らずに小指に力を入れて持つ/腕と肩に力が入っていると振りのスピードが遅くなる/止める瞬間は雑巾をしぼるようにギュッと手首と腕を内旋させる との指導を受けたのでその点に留意して。
コメント (2)
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