ランニングおやじの野望!

50歳を目前に突然走り始めた鈍足おやじランナーのトレーニング雑記です。

がんばっぺ フラガール!

2011-11-06 18:00:02 | 本・漫画・映画など

しばらくぶりで映画館へ。ドキュメンタリー「がんばっぺ フラガール! ~フクシマに生きる。彼女たちのいま~」、涙とともにエンパワメントされた。

石炭から石油へエネルギー政策転換の狭間から再生への希望を託されて生まれた「常磐ハワイアンセンター」(現 スパリゾートハワイアンズ) フラガール。その創設をめぐるドラマとして感動を呼んだ映画「フラガール」から5年、今度は東日本大震災の直撃を受ける。
活動の場を失ったフラガールたちは46年ぶりに全国ツアーに出る。
その様子と、原発から30km圏内に実家があるサブリーダーの帰宅と日常、センター営業再開までを中心に追ったドキュメンタリー映画である。

フラガールの舞台でファイアーナイフダンスを披露する男たち3人も活躍の場を失った。ツアーの裏方役を務めつつ、いつとは知れぬ再舞台に備えダンスの稽古や腕立て伏せ、ランニングに黙々と励む。その姿に胸がいっぱいになり泣けてくる。ワシも腕立て頑張ろ。

ここ1ヵ月余り、ネットで話題になっている「福島・バス差別事件」が脳裡に浮かび、いっそうフラガールたちとスタッフの方々の懸命な取組みに心打たれる。
失われた日常を取り戻すことがどれほど大変で大切なことか改めて思い知った。
じかにその舞台を見たくなった。

 ⇒予告編

土曜は刀水練習会に参加。メイン練習は1km×10本。6分毎スタート組と7分毎組とに分かれて一斉スタート。ワシは2日前のハーフレースで脚重い状態ながらダメージは全然残っていない(それだけ不完全燃焼だった)ので6分組で。4分15秒で走ると1分45秒のインターバル。
4'16"ー4'15"ー4'17"ー4'15"ー4'17"ー4'14"ー4'14"ー4'04"ー3'59"ー4'05"

7本目までは前半500mを2分10秒、後半2分5秒を目標に。ラスト3本は4分目標で目一杯の走りだったができたのは1本だけ。まだまだスピード不足だった。
10本目を終えた後、続けてkm5分ペースで1.1kmコースをビルドアップ気味に3周し、プールでほぐす。

本日は足柄峠走の予定が雨予報のうえ午後から来客のため取りやめ。
AM、全日本大学駅伝をTV観戦しながらステップ昇降2時間でたっぷり汗をしぼる。
何年ぶりかで瞬間的とはいえ体重55kgを切り(身長170cm) ちょっとうれしいオヤジであった。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (111)
   来年の新・仙台国際ハーフマラソンは目標の1万人には達しないようだ。ワシも参加見送りの方向だったけれど、そうなると応援したくなる。仙台の学生時代、下宿の隣部屋のギター男がこの歌をよく弾き語りしていたのを不意に思い出した。

 ♪ 明日に向って走れ (吉田拓郎/1976)

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復刻版 『UTOPIA』

2011-08-28 22:00:41 | 本・漫画・映画など

漫画のページをどきどきしながらめくるのは久々。
半世紀以上も前に刊行された藤子不二雄唯一の書き下ろし単行本。昭和28年8月10日発行の初版本をそのまま復元した復刻版(小学館クリエイティブ発行)で、作者名は足塚不二雄。
その足元くらいには及びたい思いが込められたペンネームからも手塚治虫の圧倒的影響がにじみ出る。画風もストーリーも。

最終兵器・氷素爆弾により凍りついた地球。わずかに生き残った人間たちはロボットに依存した文明を生みだしたが、ロボットによる反乱が起こり、ついに人類は滅亡の危機に瀕した……。

もう30年ほど昔になるだろうか、当時中野にあった某有名マンガ古書店のガラスケースに鎮座するこの原本を文字通り垂涎のまなざしで眺めたのであった。当時30万円ほどの価格がつけられていたと記憶する。現存するのは10冊程度といわれ、TVの鑑定番組では300万円と査定されたりもした。その後、2回にわたり復刻はされたのだが、原本そのままではなかった、らしい。
今回、付録としてつけられた解説冊子を読む前に漫画本体を読んだのだが、いくつか「あれっ?」と違和感を覚えた点があり、解説を読むとまさにそこが原本の問題個所だった。
肝心のラストシーンは出版社側が勝手に描き加えたものだそう。作者の一人・藤子不二雄A氏(Aを〇で囲むのが正しいのだが出せないのでご容赦を)によると、最後のコマの下は奥付用にスペースをあけておいたのに、そこへ無断で加筆してあったと。
また、UTOPIAは96ページで完結している作品なのだが、単行本にはその後ろにほぼ同じ長さの「覆面団」なる1編が収録されている。これが誰の作品かもわからないもの。おそらく本の厚みを出すためか。
到底考えられないようなひどい仕打ちだが、A氏は「まあそういうものかな」とさして気にしなかったそうだったのに対し、この作品にプロ漫画家として全身全霊を傾けていたF氏のほうはそうではなかったようだ。その手元にあった単行本には、改竄されたラストシーンに大きくバッテンが書き込まれているそうで、無念の思いが伝わってくる。

月刊『少年』に連載されていた「シルバー・クロス」以来の藤子ファンでA氏の名作「まんが道」を愛読してからずっと手にとって見たかった幻の『UTOPIA』。
実際に手にすると、初恋の人に50年ぶりで再会したようでいささか幻滅も正直あるけれど、しかしそこに込められた燃えるような情熱はたしかに伝わってきてオヤジの胸を打つのであった。


先週の「部活」連続練習でやや疲れ気味のため今週の平日は走ったのが2日だけ。
土曜は夜来の雨の中、通算21回目の足柄峠。このところ3回続けて峠から金時山へ遊びに行っていたので、久しぶりに峠越え往復ロング走、47km5時間47分。
峠道は霧の中、路面がぬれていることもありこわごわの下りとなり、タイムはまるでダメだが、往路復路とも登りを歩かず走りきれたのは自分の中ではうれしい達成感であった。

きょう日曜は息子の出場する囲碁大会が浦安市内で開催されるというので付き添いに。対局が始まってしまえば閉会までワシはヒマなので、近くの葛西臨海公園で超スロージョグ2時間で10kmほど。速めのウォーキングの人には抜かれるくらいのペースで普通ならガマンできず上げてしまうところ、海辺の景色と起伏に富むコースをたのしみながらピッチだけは落とさぬよう心がけて楽しく走ることができた。
最近出た写真ガイド『高橋尚子 ジョギングコースガイド』(幻冬舎刊)の中でQちゃんが絶賛しているとおり、すばらしいコースであった。
午後は浦安市民プールへ移動してクールダウン。全国各地で公共プールのお世話になっているオヤジだが、ここの市民プールは実にリッチである。滝を模した落水に打たせ湯みたいなスポットもあり、滝行の練習にもなりそう。

午後3時すぎ、会場に戻るとちょうど閉会式が始まるところ。関東1都6県に山梨を加え8チーム各10人の小中学生による団体戦。東京は決勝で埼玉チームに敗れ準優勝。主将を務めた息子も埼玉の主将に敗れ通算3勝1敗で悔しそうであった。それぞれの思いとともに帰路につく。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (103)
  渚を走っているとこの歌が流れてくる。

  ♪ 渚のシンドバッド (ピンク・レディー/1977)

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セラティ

2011-08-14 22:19:12 | 本・漫画・映画など

久々にその名と出会った。パーシー・セラティ。

日本女子短距離界のエースとなった福島千里選手をはじめ女子スプリントのトップ選手を育てた「北海道ハイテクAC」中村宏之監督の本『日本人が五輪100mの決勝に立つ日』(日文新書/日本文芸社)。
いかにして速く脚を動かすかとの明確な目標達成のため、「フレキシブルハードル」「レッドコード」など独自の練習法を編み出してきたその発想の原点はセラティの著書にあると。


強くなろうと一途に思い込み、「自分に合ったトレーニング法とは何だろう」と必死に模索していた大学時代。私は『陸上競技 チャンピオンへの道』という本を手にした。
著者はオーストラリアのコーチであるパーシー・セラティ氏。彼は独自のトレーニング方法を考え出し、(略)1960年のローマ五輪1500mで金メダルを獲得したハーブ・エリオット選手を育てた名コーチだ。
その本に掲載された写真のセラティ氏は白髪で穏やかな表情をしていた。70歳をすぎてまで指導者であったその姿を見て私は「いい年のとり方をしているな。自分も将来、こんな指導者になれたらいいな」と、漠然と考えていた。

中村監督は北海道から続々とトップアスリートが輩出する背景として、「北海道には元々開拓者精神というか、あまり常識や伝統などにはこだわらない」風土があったこと、そのうえで「走るだけが陸上の練習ではない」とする独自の練習法が成果に結びついたのではないかと述べている。

セラティの著書にはワシも深く感銘し、4年前2007年夏にはついにメルボルン郊外のポートシーという海辺の町にある旧居跡を訪ねたのであった。「セラティオーバル」とごく小さなプレートが置かれたトラックの跡地は小公園になっており、雨上がりの草むらを裸足で走った。(ブログのプロフィールに置いてある写真はその時の後ろ姿)
選手らとともに駆け上がったという砂浜の急峻な坂道は猛烈な傾斜で足は砂に埋まってしまうし、なるほどここで写真のように美しくダッシュできたら相当の走力がつくのは間違いないと納得した。


猛暑で練習意欲もいささか減退ぎみではあるが、やはりそれなりに工夫していこうと思いつつ、土曜は定番化しつつある足柄峠走、通算19回目。今回も峠頂上から金時山へ。山頂は残念ながら雲にまかれ富士山や箱根の山々は見えず。山道を下って夕日の滝まで降りる。

前回初めてこの滝に行った翌日、たまたま見たNHKTVの昼番組でアナウンサーが決死の形相で滝壺に入り滝水に打たれている中継を見ていたからワシもチャレンジ。ゴーグル着用、足はサンダル。
高さ23mから落ちてくる奔流はさすがにすごい衝撃。脳天がビリビリバリバリと水鉄砲の機関銃で連打されるよう。10も数えていられない。下から見上げると、まさに天上から水流が襲ってくるような迫力である。
すっかり冷えてきた頃、にわかに雷鳴とどろき雨降り出す。先週の奥武蔵の豪雨が脳裡をよぎり、急いでラン装備に戻り山北駅まで約1時間速めのジョグ。雨は適度なお湿り程度で済んだ。トータル7時間の小さな旅は無事終わった。いつものさくら湯小プールでほぐす。

本日朝はしばらくぶりでロードバイクに乗り駒沢公園サイクリングコース2.1kmを20周、約2時間。フルマラソンの距離をほぼマラソン世界記録と同じペースでラクに走れるのは楽しい感覚。それにしても、生身であのペースで走るとは信じがたいことでもある。

夕方、これも久々に400mトラックで5000m×4。総勢100人くらいの参加者がそれぞれ自分の走りたいペースメーカーにつき35分毎スタート。km3分45秒~6分半まで6~7組で。
5分組に入ってみたものの、5分ってこんなに速かったっけ?と焦る。いっぱいいっぱい状態でやっと1本目25分3秒。2本目は5分50秒組で29分。3本目は再度5分組でラスト1kmだけ4分半に上げて24分33秒。4本目はダウンジョグのつもりで6分半組に入ったが徐々に上げてしまい27分40秒で終了。ここからだんだん秋に向けて上げていこうと思うオヤジであった。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (101)
 夏の懐メロ定番「思い出のメロディー」。今回最も心にしみたのはこの歌。河島英五の娘と息子+加藤登紀子の弾き語りがすばらしかった。

 ♪ 生きてりゃいいさ (河島英五/1979)

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有川浩さんの本

2011-07-31 19:27:41 | 本・漫画・映画など

未読のまま積んであった『三匹のおっさん』『阪急電車』『県庁おもてなし課』をいっぺんに読んだ。どれも面白い。同じ作者とは思えないほど雰囲気が違っているが。そこがまたスゴイ。

きっかけは『図書館戦争』シリーズ文庫版の巻末対談を読んだから。
5月に他界された児玉清さんが、いつも新作を激賞されていた作家のお一人が有川浩(ありかわ ひろ)さん。
文庫版4冊に4回に分けて連載された対談の最後に、作者から児玉さんへとっておきのプレゼントが。

有川 実は、お伝えしなければならないことがありまして。
児玉 なんでしょう、ちょっと怖いな(笑)。
有川 私は、小説のキャラクターにモデルを立てることってあまりないんですよ。ただ、稲嶺司令だけは明確なモデルがございまして……実は、児玉さんなんです。
児玉 え?  え!?   そんなこと、つゆとも考えなかったですよ。舞い上がっちゃいますよ(笑)。 だって稲嶺司令という人に僕、特別に感情移入して読んだんですよ。この人の存在が、この物語のひとつの重しになっている。しかもこういう人が上にいたら、下にいる人達は幸せだなあと思わせる、実に魅力的なリーダーですよ。これ以上ない指導力があり、決断力もあり、人情もあり、自分を捨てることで組織全体を救おうという判断を下せる、すごい人ですよ。そんな人が……。
有川 実は『図書館戦争』は漫画にもなっているんですね。コミカライズを手掛けた弓きいろさんに、「漫画を描く時は、稲嶺だけは児玉清さんのイメージで」と指定して描いてもらったんです。
児玉 ありがたいことだなぁ。じゃあ改めて、これが俺だ、と思いつつ、読ませていただきます(笑)。
有川 児玉さんの書評を読んで受けていたフェアな感覚っていうのは、稲嶺というキャラクターの中にかなり入り込んでいると思います!
児玉 いやいやいや!  ……あのぉ、僕はね、深みのない人間ですから。だから批評やら作家論みたいなことは書けないんだけれども、小説からいただいたものに対する、熱いものみたいなものをね、語ることはできるかなと。それだけでやって来たんですよ。ただ、そんな人間であるという前提でひとつ言えるのは、僕が熱いものを受け取らせていただける方達の作品に共通するのは、真っ当感なんですね。どんな破天荒な小説であっても、その底にあるものは、社会に対する人間に対する真っ当な心、真っ当な思いやり、僕はそこに惹かれるんです。今日お話しを伺って確信しましたが、有川さんの本も、まさにそうなんですよね。
有川 人間が本来持っている優しさとか、善意とか、そういうものを信じたいなという、祈りのようなものなんです。私にとって小説を書くことって。
児玉 あぁ、だから僕らは読んでいて、こんなにも惹かれるんでしょうね。

この記念対談は今年3月に収録されたそうなので、児玉さんはすでに体調も悪化していただろうが、読書家として最高に嬉しい贈り物だったに違いない。本を守るために武力闘争が必要となってしまった検閲社会を描く近未来小説の重要な登場人物=図書防衛隊基地司令 だけにいっそう。


戻り梅雨のような曇天の下、本日は「第425回 月例川崎マラソン」に参加。
この時季にしては走りやすい条件にもかかわらず、ペース上がらないオヤジであった。

 [1km]5分25秒 [3km]13分21秒 [5km]21分55秒 [10km]46分18秒

会場までチャリで往復、32km。帰路、プールに寄ってクールダウン。
今月の走距離は308kmで今年1月以来となる月間300km超。月間走行距離にこだわりすぎるとロクなことがないので、あまり気にしないようにしているけれど、いちおう元気に走れている証しには相違あるまい。
ともあれ故障なく練習を積み重ねていくことを第一に。


★オヤジの心を癒す昭和の歌 (98)
  最近、歌手活動を再開されたらしく新曲も出た懐かしいこの方。かつて結婚式の定番ソングでもあった。

 ♪ 世界は二人のために (佐良直美/1967) 

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『負けるのは美しく』

2011-05-18 22:20:57 | 本・漫画・映画など

亡くなられた児玉清さんの自伝エッセーを再読している。書名は上記。(2005年 集英社刊)
見返しページのサインの文字からも誠実なお人柄がにじみ出るようだ。(もちろん個人的な面識はないが)

書名の由来を本文でこう述べておられる。
「そこで心に期したことは、負けるのは美しくということであった。所詮、僕のスタイルを押し通そうとすれば、最後はすべて喧嘩になり、暴発して限りがない。
ここで思い出されるのが、性格は運命だというヘラクレイトスの言葉だ。なれば、どうせ負けるのなら、美しく負けよう。(略) すべては負け方にあり、負け方にこそ人間の心は現れる、と、しきりに思うことで、心が静まったのだ。(略) 心の中にあったもやもやと苦渋の塊は決して霧散はしないが、何よりもの俳優として生きる心の励みと戒めになったのだ。
爾来、『負けるのは、美しく』は僕のモットーとなった。」

10年に及ぶ下積み時代、その後も波乱万丈、紆余曲折を経ながらも一見、淡々と飄々と俳優人生を過ごしてこられたように見えたのは、この美学ゆえだったのかも。

訃報を伝えるニュースの中に、氏が病院ぎらいだったため胃がんの発見が遅れた、といった趣旨の報道が見られた。が、それはおそらく的外れであろう。美学ゆえ、でもなく、娘さんの早逝に関わる医者不信が根底にあったのは間違いあるまい。

自伝の最終第5章は「天国へ逝った娘」と題して、2002年に36歳で先立った愛娘への思いと末期胃がん闘病記が綴られている。
実は、以前この本を読んだ時には、あまりにつらすぎて最終章は読めなかった。ようやくきょう読み進むうちに涙と憤りがこみ上げて、もうグチャグチャになってしまったところを妻に目撃されてしまい、「心配と迷惑」をかけた。
これは、ひどい。あまりにもひどい無責任、反人道といわざるをえない。結局は医者の自己保身である。
これで「病院ぎらい」にならないほうがどうかしている。
「ここからは僕の推察」と前置きした上で、あくまでも静かに抑えた筆致で書いておられるのが、いっそう胸に沁みてくる。その心中の沸騰はいかばかりであったろうか。

ここで悲憤慷慨しても始まらないので、猛烈な読書人としても知られた氏が読書の喜びを熱く語っている一節を紹介して、追悼とさせていただく。

「母の突然の死によって偶然に俳優の道へと踏み込んでしまった僕の人生。様々なる葛藤をすべて吸収し、癒し、且つ活力をもたらしてくれたのは、実は本であった。読書の無限の楽しみと至福の喜びであったのだ。俳優という仕事のもたらす、どうにも口惜しくてたまらぬ自分の至らなさ、誰にぶつけようもない、臍(ほぞ)を嚙む思いを、嘆きを、吸収してくれたのは、そして心底癒してくれたのは、読書であった。
面白本に熱中すれば、たちどころに、浮世の嘆きや、うさや悩みを吹き飛ばしてくれるのだから、こんなに有難いものはない。しかも最高に嬉しいのは、世界には沢山の小説家がいて、目茶面白小説を一杯生み出してくれていることだ。つまり、世に、僕の憂いを払う玉箒は尽きることはないのだ。」


※TBSラジオ毎週水曜夕方の「勝ち抜き時事川柳」、今回の勝ち抜き作は。

   まだ耳に 「アタックチャンス!」 こだまする

選者が「品格ある川柳」と高く評価していた。同感。

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アンダンテ

2010-12-19 23:48:25 | 本・漫画・映画など

今夜は、心に残る良い映画を見ることができた。その前に、刀水練習会で1km×30本をビルドアップで走りきることができた。幸せな日曜日を過ごせたオヤジであった。

映画「アンダンテ ~稲の旋律~」は、引きこもりを続ける主人公・薮崎千華が新たな出会いを糧に再生していく物語。原作は、著者・旭爪(ひのつめ)あかねさんがみずからの体験をベースに心の叫びを描いた書簡体小説『稲の旋律』(新日本出版社)。
原作を先に読んでいたので、映画化に際しての巧みなアレンジもいっそう興味深かった。

どんな内容かは、こちらの予告編を。

エンディングでヒロイン役の新妻聖子さんが心をこめて歌い上げる主題歌もすばらしく、歌詞が胸にしみて。しばらく立ち上がれなかったオヤジである。

   ♪アンダンテ

前日は、またまた足柄峠走。上り1時間22分ー折返し点で給水休憩4分ー下り1時間
26km2時間26分で、今回も標準タイム2時間20分には届かなかった。次こそは。
いったん帰宅して午後、羽田までロードバイク往復。約60km3時間20分。

大腿四頭筋(前モモ)の筋肉痛はすでに当日から始まっていたものの、峠走初回は4日間にわたり階段をまともに降りられなかったことを思えば、今回はすぐ翌日に1km×30本をゆっくりながら完遂できたのは多少進歩したといえるかも。
※1本目km5分半から入って20本目までは5分15秒~5分を切らないペースで。ラスト10本は徐々に上げて最後は4分14秒で締めくくった。(ツナギはすべて1分、100mをジョグで)

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『100km!』

2010-10-07 20:48:38 | 本・漫画・映画など

今度の日曜の新潟フルを前に、いささか暗い方向に向いていた気持ちが、この本のおかげで少し前向きになってきたオヤジである。

『100km!(ヒャッキロ)』 (片川優子作/講談社)

作者は現在、獣医学部に属する現役学生。昨年、愛知の「三河100kmウォーク」に参加した体験をベースに、「弱い自分とどう闘うか」をストレートに描いた成長小説である。

「何でもいいから、とりあえずあきらめないで挑戦してみてほしい、という事を伝えたくて書きました。この本を通して、『あきらめない』ための考え方を、ちょっとでも感じてもらえたら嬉しいです。」 (作者より)

両親が離婚し、キャリアウーマンのママと弟と3人で暮らす高1の、みちる。ひょんなことから、一晩中かけて100km歩く大会に出る羽目に。ただ歩くだけ。100kmをただひたすら歩くだけ。関門ぎりぎりで通過するたびに、そこで、みちるが出会い、感じ、つかんだものは……。

「なんでこんなことしてるんだろう、私。」
この冒頭の1行で、心をわしづかみされてしまった。
そう、ワシも苦しいフルの終盤はいつもこの自問との闘いだから。

いちばんつらい82km関門を前に、みちるは思う。
「考えてみれば、こんなに自分の力を出しきったことなんて、限界の先に行ったことなんて、今までの人生で一度もなかった。私にはこれくらいしかできないと、自分で自分に壁を作っていたような気がする。だって私自身が、私の可能性を信じていなかったから。私はこれくらいの人間なんだから、この程度しかできないにきまってるって。最初から自分の可能性を否定してた。でも今私は、間違いなく限界の先にいる。もう体力なんてとっくに底をついてる。今私を歩かせているのは、気持ちだけだ。歩きたいという自分の気持ち、心からサポートしてくれる周りの人の気持ち。」

<中学生から>向きの大きめ活字、全140ページの短め長編よみものだが、100ページから先はもう、涙でぐちゃぐちゃのオヤジであった。精神年齢、中学生くらい?

ともあれ、元気が出てきてよかった。
今朝はフル前のラスト練習として21kmを2時間かけてジョグ。あとはもう当日まで走らず休養。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (54)
 古い歌だけど、この本を読み終えて脳裡に鳴り響いたのは、やっぱりこの名曲。

 ♪ 若者たち (ザ・ブロードサイド・フォー/1966)

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待望の続刊

2010-09-17 23:33:36 | 本・漫画・映画など

永遠に続くかと思われた猛暑の夏もついに終焉の気配。
待ちに待ったシリーズ新刊がようやく出て、むさぼり読んだ。

『今朝の春』みをつくし料理帖シリーズ第4巻(高田郁著/ハルキ文庫)

以前ラジオで、俳優で名うての読書家でもある児玉清さんが、シリーズ第1作『八朔の雪』を激賞されていrるのを聞き、早速読んで即ハマッてしまい、文庫書き下ろしのためおよそ半年間隔で発刊される続巻を待ちわび、第2巻『花散らしの雨』第3巻『想い雲』を読んでますます先の展開が気がかりでならぬ。

9/15の発売日に書店へ走り、高速で読み進めたいのをぐっとこらえて、じっくりじっくり味わって今しがた読み終えて、これからの展開がさらに気になっているところ。

物語の骨格は、江戸で女料理人として腕をふるう澪(みお)とその周囲の人々をめぐる人情話。そこに料理勝負や切ない恋、幼なじみの野江との思いがけない再会など波乱万丈の筋書きで思わず引き込まれ、泣かされる。かつて、かなりハマッた韓流ドラマ『チャングムの誓い』を思わせる展開だが、こちらはなじみ深い江戸情緒たっぷりの時代小説である。

次の巻はもう年明けだろうか。それまでは既刊を再読しながら待つことにしよう。

今週はやや体調すぐれず、室内でステップ昇降中心で屋外走行わずか5km。夜のプールにはほぼ連日通い、体重増加はなんとか防止できている。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (49) 
  9月に思い出すのは、さわやかな歌声の、この名曲。

  ♪ September (竹内まりや/1979)

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荒川市民マラソン、中止!

2010-03-21 08:29:45 | 本・漫画・映画など

本日9時スタート予定だった「第13回荒川市民マラソン」は強風波浪警報により中止となった。2006年も猛烈な風で電車がストップする中で実施されていたので、まさかの中止決定で驚いたが、安全面を考えればやむを得ない決断と思う。
ワシ自身はそもそもエントリーしておらず、きょうは13km地点の「足立区・虹の広場」で応援する予定だったのだが。

昨日、埼玉・越谷から都内の自宅まで約35km6時間かけてLSDで日光街道を南下した際、千住大橋から虹の広場で準備を進めている様子が見えた。午後2時頃、橋上すでに風強く吹き、明日のランナーの苦労が思いやられたのだった……。

思いがけない「休日」となって、時間ができた向きにはランニング本を読むのもよいかも。「ランニングブーム」で関連書も続々と発刊されている。女性ビギナー向けのビジュアルな編集を特色とするものが目につき、オヤジの関心を引く本はさほど多くはないものの、それでも最近読んだ本だけでもけっこうあった。
そのうちの10冊を、役に立った・感銘受けたなど印象強い順に勝手に並べてご参考までに紹介させていただく。

①『高橋尚子のランニング パーフェクトマスター』(高橋尚子著/新星出版社)
 待望のQちゃんランニング本。約75分のDVD付。写真モデルもほぼすべてご自身。

②『走る意味』(金哲彦著/講談社現代新書)
 2006年の大腸ガン手術から3年、2009つくばでサブ3復活するまでの苦闘の自伝。

③『マラソン100回の知恵』(原章二著/平凡社新書)
 走る哲学者による「ランニング素人が書いた素人向きの入門書」。おもしろい!!

④『人生で大切なことはすべてマラソンで学んだ!』(東国原英夫著/晋遊舎)
  宮崎県知事による体験的マラソン論。ゴーストではなく、おそらくご自身が執筆。

⑤『マラソンは毎日走っても完走できない』(小出 義雄著/角川SS新書)
 走れる体づくりと脚づくり、その上で負荷をかけたトレーニングが必要と説く。

⑥『東京マラソンを走りたい』(喜国雅彦著/小学館101新書)
 50歳漫画家のマラソン挑戦。自己ベスト4時間47分、東京マラソン連続落選中。

⑦『猫まっしぐラン おもしろマラソンガイドブック』(猫ひろし著/TOKYO FM 出版)
  その東京マラソンであっぱれサブ3達成した芸人ランナーの、くだRUN大会案内。

⑧『ハッピーBESTランニング』(エリック・ワイナイナ著/講談社)
 五輪連続メダリストも股関節の重要性を強調。四股踏みと階段上りが不可欠と。

⑨『育てて活かして勝つ』(大八木弘明著/コスミック出版)
 箱根の常勝軍団・駒大監督が語る。「強くなるには自分で考える力を身につけよ」

⑩『ありそうでなかったマラソンの教科書』(前河洋一編/ランナーズ)
 「教科書」なので面白く読める本ではないが、走る基本から見直すのに役立つ。

それにしても、昨日の日経新聞朝刊7面下に『ランナーズ』5月号の広告が出ていたのには驚いた。ブームもピークに近づいているのだろうか。


★オヤジの心を癒す昭和の歌 (34)
 先週、ラジオから数十年ぶりに聴こえてきた懐かしく愛らしい歌声。アイドルは歌がうまくないのも必須条件?
 ♪ 白馬のルンナ (内藤洋子/1967)

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走れば人生見えてくる、かな?

2009-11-19 19:32:20 | 本・漫画・映画など

故障で思うように走れない日々が続くと (故障していなくても、そうそう思うようには走れないが)、「なぜ走るのか、走りたいのか」と自問することが多くなる。で、自分がろくに走れない分、走っているヒトの本を読みたくなる。

①『走れば人生見えてくる』(間庭典子著/講談社文庫)

②『走れ! 六花 -メタボなドクターはこうしてランナーになった。』(福田六花著/ランナーズ)

③『いつでも夢を -52日連続フルマラソン世界記録達成』
  (楠田昭徳著/角川書店)

④雑誌『ランニングの世界』(創文企画) No.8 特集・なぜ走るのか

①……走って人生が変わった14人(女性8名・男6名)のドキュメンタリー。取材・執筆した著者自身もフルベスト3時間17分、スパルタスロン完走も果たしている女性ランナー。自身のランニング体験を前後にはさんで、金哲彦氏ほか有名無名のランナーから聞き書きしている。とりわけ胸打たれたのは、双子姉妹ユニットan☆do(アンドゥ)の森下里美さんの秘話であった。

著者による総括。「ランニングが魔法を起こすとすれば、『自分自身の軸』を持てるようになることだろう。他人の速さや強さ、年齢と比較することなく、自分にとって大切なのは何かということを見極められることではないか。(中略) 強くなっても、速くなっても、人生は解決しない。しかし、走ることで自分自身に向き合えば、何が大切かが見えてくる。」

だからランナーは走り続ける、と著者は結んでいる。
うーむ……、そうか。そうなんだろうなぁ。

②……ドクター・ミュージシャン・ランナーとして知られる六花(りっか)さんのランニング自伝。1989年に外科医のタマゴとして医局に入り多忙をきわめる中、一時は体重93kgまで激増(身長174cm)。危機を感じプール通いを契機に1996年に諏訪湖ハーフでランニングに開眼する。
トライアスロンで顔を思いきり蹴られ網膜剥離で2度の手術を余儀なくされるなどアクシデントに見舞われながらも仲間の輪を大きく広げつつ、仕事も居住地もランニングも大きく転換させていく。羨んでもしかたがないけれど、実にウラヤマシイ。

第1回から連続参加されている長野マラソンがメインレースで、その直前の春先には毎週のようにハーフに出走。今年3月、ワシがハーフの自己記録を更新した静岡駿府ハーフで終盤、安倍川に架かる橋上で長髪をなびかせながら鮮やかに抜き去って行った後ろ姿が今も目に浮かぶ。ついていければ、初の90分切りが達成できたのに。

※すばらしい内容の本だが、小見出しに「絶対絶命」なんて誤植はしないでね、担当さん。おせっかいながら、つい校正してしまうオヤジである。

③……今年初め、新聞・TVなどで埼玉在住のランナーがフルマラソンを毎日走り続けていることを知った。3月22日の東京マラソンで52日目を達成し、ギネス記録を更新。スゴイ!とは思ったものの、かつて箱根駅伝を4年連続で走り、フルも2時間半を切っているなど輝かしい経歴を知って、なんだ、やっぱりもともと別次元の方なんだ、65歳というから悠々自適の暮らしで暇つぶしみたいなものだろうと正直思った。
この本を手にし、大変無礼な思い違いをいていたと気づかされた。けっして、そんなお気楽な挑戦ではなかったのだ。申し訳なかった。読後、居ても立ってもいられず、51日間にわたり毎日フルを走られたという浦和の別所沼公園に駆けつけ、静かな沼畔を巡る正式計測923.2mの周回コースで謝罪ジョグをしてきたオヤジであった。

「私が52日間を達成したといって、これからバラ色の人生が急に開けてくるわけではない。ただ、私がこの52日間やり遂げたことを基礎に努力したら、自分の晩年は飛躍できるのではないか。そう期待するだけである。生きているかぎり希望がある。いつでも夢を。そう思っている。」 

④……山西哲郎先生が責任編集されているランニング文化誌第8号である。ますますのランニングブームに乗って、ランニング関連のビジュアルなムックや雑誌が続々発行される中、ほとんど(全スペースの8割強)活字だけで埋まっている異色の存在。いささか重そうだが読んでみると実におもしろい。上記③で紹介させていただいた楠田さんの手記も8ページにわたって掲載されている。
数ある興味深い記事の中でもとりわけワシの心に響いたのは、2人の女性の小さな記事であった。

ひとつは巻末の投稿欄、今春かすみがうらで初フルを完走された浜田びりさんの「まさか、こんなことになるなんて…」。
「子どものころから、ほとんどすべての運動が苦手で、特に『走る』なんて人前で優劣を明らかにされてしまう最も『無慈悲』な競技だと思っていました。ところが、始めてみると、ランニングは無慈悲どころか慈悲に満ちあふれた世界でした。(中略) どんなに遅くても、こうやって走れていることは奇跡のようですし、やはり何かに感謝せずにはおれません。標題の『まさか、こんなことになるなんて…』は、『なんと幸せなんだろう』と続きます。」
まさに、これはワシ自身のランニングの原点そのもの。原点を見失ってはいけない。

もうひとつは、走歴30年余、ランニング短歌を詠まれる浜中好美さんのコラム。
「なまぬるく生きている自分への嫌悪から、すべてに自信がなく生きているのがつらかった。その頃に短歌と出会った。最初の頃、詠むことは自分の弱さや嘆きを吐露する手段でしかなかったが、走るようになって私は変わった。(中略) 6年前の63歳の時、背骨の大手術を受けたが、おかげさまで何とか再起することができた。
  走り続けたいと願い続けるそれだけで
  元気になれる私がまだいる
以前のように目いっぱい走ることは許されない。しかし、それなりに楽しむことはできる。ゆっくり走れば、見えてくるものが多くなる。」

すばらしい。このような境涯に立てるようになりたい、まだまだ未熟なオヤジである。

数日後に迫った大田原フルを前に、正直なところ完走できるか不安に苛まれていたが、ともかく今の時点での最善を尽くそうと決めた。
今朝は芝生の公園で地下足袋クロカン走10kmをビルドアップ70分。あとは当日までゆっくりジョグとプールで調整の予定。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (16)
 日本版MyWayともいうべきスタンダードナンバーとなった壮大な叙情詩。熱い歌声に心励まされる。1980年。
 ♪昴 (谷村新司)




 

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