いつか英国日記

英国を中心とした靴、鞄、時計、その他ファッションに関するブログ

私の愛するモノ、こだわるモノ。

2011-08-19 05:29:06 | その他
毎年8月になると、落合先生の命日が
今年もきたな
年月は随分早く移ろうものだと思います。
2006年8月7日から既に5年。
私にフランコプリンツィバリさんを
巡り会わせてくれた先生
そして、服飾の面白さを教えてくれたのが
落合先生です。

さて、夏の図書シリーズ最後は
やはり落合先生の本
「私の愛するモノ、こだわるモノ」(世界文化社)です。

サブタイトルに
「What is Elegance?」とあります。
落合先生がいつもこだわっていた「Elegance」。
イタリアでは日本に比べ
装いに対するチェックが厳しく
一瞥して相手の服装が
「Elegance」か否かを判断され
それなりの対応をされてしまうとのこと。
常に「Elegance」に気を配っていた
落合先生のスタイルが窺い知れます。

さて、この書は既に先生の没後のもので
Men's Exの「エレガンスへのこだわり」と
LEONの「落合正勝の箪笥の中身」を
取りまとめたものです。

非常に上手く編集されていて
単なる寄せ集めではなく
1冊の本として
読み応えのある内容となっています。

特に序章の
「ブランドの思想とスタイル」の中で
熱心な読者に銀座で声をかけられ
「ブランドが多すぎて、
 何を基準にすればよいかわからない」という
質問に対して落合先生は明快な回答をしていて
一気にこの本に引き込まれます。
(特に落合先生好きには)

又、



「ブランドの選択は基本的には自分で試みるべき作業なのだ」



という一文に服飾評論家でありながら
商業ベースだけにとらわれない
落合先生のスタイルも垣間見えます。

落合先生の書斎の写真が掲載されていたり
愛用品の数々
そして自宅玄関の特製の靴棚など(圧巻です!)
貴重な写真も掲載されています。

「ピンク・ゴールドのロレックス」や
「ルイ・ヴィトンのアタシェ」では
その入手の逸話から
そのモノだけが持つ特質などに触れていて
その素晴らしさに
嗚呼、と思わず唸ってしまいます。

筆記具から時計、鞄、靴
スーツ、ドレスシャツから
果ては、ぐい飲みまで。

落合先生が正に愛したモノ
こだわるモノについて
その一品、一品に対しての愛情と
そのモノ作りに対する
落合先生の尊敬の念も感じ取れ
正に落合イズム溢れる
興味深い一冊だと思います。

さて、既に新書は望むべく無いのですが
下のような本も出版されています。
帯とタイトルが少しミーハーなのが
気になりますが、内容は正に
落合先生の作品そのものですので
初めての方や、既に落合先生の本は
全て読んでしまった
熱心なファンの方には良いと思います。




私に色々教えて下さり
又、フランコ氏との
出会いを導いてくれた落合先生に
感謝すると共に
落合先生のご冥福を
心よりお祈り申し上げます。