いつか英国日記

英国を中心とした靴、鞄、時計、その他ファッションに関するブログ

ブラックウォッチ計画 完了 完結編

2012-02-26 05:48:25 | スーツ
さて、遂にブラックウォッチ計画も完結です。
今回はスポーツコート
所謂ジャケットですね。

まず、特徴的なのは
冒頭の写真や、下の写真でもわかるように
ハーフムーンのポケットになっていることです。



とても古式のディティールです。
しかしブラックウォッチの生地と
相まって、良い雰囲気を醸し出しています。

今、こんなポケットを作っている
あるいはこういった仕様を知っている
ビスポークテーラーは数少ないと思います。
このテーラーの奥深さがわかるひとつです。

ボタンはアンティークの物にしました。
黒のバルカナイト(硬質ゴム)のボタンが
とてもマッチしています。

そして裏地です。
ウエストコートでも紹介しましたが
シルク&レイヨンの紫の小紋の裏地。
やや厚みがあり、しっかりした物です。
ブラックウォッチにマッチした色だと思います。




内側には特に頼んだ訳ではないのですが
チケットポケットが付けられていました。



そして背中周りです。



これは賛否両論あるかと思いますが
肩に斜めに入ったダーツ。



スーツの時には、あまりしない仕様ですが
スポーツコートの場合は
時々行われる仕様です。



このダーツを入れる事により
肩や背を丸く包み込むような
フィティングを実現しています。

全体的な印象としては
とても柔かなラインを描いていると思います。

ボリューム感のある胸回り
そしてなだらかな優しい肩のライン。



クラシックトラウザーズへ繋がるラインは
貴族的な優雅さが漂う
昔日の時間を偲ばせる装いだと思います。

これほど個性的なパーソナルテーラーは
他には恐らくないと思います。

正に人生を愉しむ為の装いを提案してくれる
テーラーですね。




ブラックウォッチ計画 完了 その3

2012-02-25 06:24:39 | スーツ
さて、長らくお待たせしました。
ビスポークブラックウォッチの続きです。

今回のブラックウォッチ
生地はヴィンテージの英国テーラー&ロッジの物。
この生地でウェストコート(ベスト)と
スポーツコート(ジャケット)を
誂えました。

まずはウェストコートですが
以前ご紹介したように
ボタンは英国のアンティークの物。
ひとつひとつ集めた物ですので
すべてが違います。
これを色や形のバランスを取りながら
取り付けの順番を決めて行きます。



見事に違和感なく
並んでいますね~。
流石、総帥です。

そして、ポケット。
4つあるタイプですが
下二つがフラップ付き
上二つがフラップなしです。



ここらへんの仕様は
もう完璧なおまかせ状態ですが
やや、斜めに切られており
しかもややアールを描いています。
これが着用した時
なかなか奇麗なバランスになります。

特に特徴的なのは、かなり下部につけらた
フラップ付きのポケットですね。
これが古のデザインで
美しいとの事。
確かに他にはないデザインです。

そして、これが最大の特徴と思われる
大きな一枚仕立ての古代襟。
冒頭の写真を見ると
30年代を思わせる様な大きな襟です。
しかも切り返しがなく
取り付けも変わっています。



襟の上半分は縫い込まれていて
裏地が上から、かぶさっています。
こういった仕様、私は初めてです。

そして裏地です。
これもお任せ状態ですが
素材はヴィンテージのシルク&レーヨン
色は紫の小紋柄の生地になりました。

この生地、ちょっと厚みもあり、中々の質感と色なので
同じ生地で、ポケットスクエアも作ってもらいました。



勿論、ポケットのフラップの裏も
同じ生地です。



そして、ここに切り込みが、、、
う~ん、これは体型の補整の為でしょうか。



初めて見た仕様が沢山あり
こちらのパーソナルテーラーは
かなり拘ったスタイルを持った
テーラーだと言えると思います。

しかし、何よりも実際に着てみると
何とも言えない
エレガンスがあります。
例えば今回は
ウェストコートからトラウザースへの
美しい繋がり方など。
とても奇麗なバランスだと思います。



さて、明日は完結編の
スポーツコートです。
お愉しみに。



懐中時計用のチェーン

2012-02-19 06:04:34 | 時計
今回も予定を変更して、お伝えしています。
ビスポーク続編はお伝えしたい事が沢山あるので
来週2日間に分けて掲載したいと思います。

さて、前回お伝えした「不思議なアクセサリー」のお店
店主の方の了解を頂きましたので
お店の名前をオープンにします。

銀座アンティークモールにある「OLD&NEW」という
アンティークショップです。
下の写真が店主の川上氏。



この方がとても面白い方です。
シャキシャキの江戸っ子というのは
こういう方を言うんでしょうね~。
品揃えも豊富で特にタイバー、懐中時計のチェーンは
恐らく日本一では、ないでしょうか?
川上氏は以前ラルフローレンにいらっしゃたとの事で
服飾業界にも顔の広い方です。
とにかくハマりました。

それではという事で
早速、バタクハウスカットのK部さんと画伯にも
ご紹介した次第です。



さて、今回ご紹介したいのは
こちらで購入した懐中時計用のチェーン。

これがなかなか素晴らしい逸品でした。
川上氏から「らみいさん、こんなのもあるよ」といいながら
次々10本以上見せていただき
その中から選んだチェーンです。

まずは鎖部分。
所謂、金張りですが
「捩り」のとても精緻な凝った作りになっています。
状態も非常に良く、剥がれ等一切ない
ミントコンデションです。



Fobという、チェーンに付ける飾りが
なんとも洒落てます。



一見ただの飾りのように見えますが
実はこれ、ペンダントになってます。



う~ん、誰の写真を入れよう、、、

さて、懐中時計のチェーンは
通常3Pのウェストコートに付けますが
付け方には大きくは2種類あります。

ウェストコートの一つだけの
ポケットに入れる場合。



アルバートと言われる
チャーチル首相が好んだ
両方のポケットに入れる場合。



そうなんです。
Fobが移動出来るようになっていて
どちらの使い方も出来るのですね。
これは便利です。



さて、チェーンを買うということは
当然、懐中時計を買ったという事ですが
そちらは又、改めて
ご報告したいと思います。

いや~、それにしても
「OLD&NEW」面白いな~、、、





緊急告知!祝 日比谷テーラー・batak開店

2012-02-18 07:35:42 | その他
今回はビスポークの続きをお伝えする予定でしたが
急遽予定を変更してbatakの日比谷店について
ご報告します。

去る、2月14日折しも巷ではバレンタインデーの日。
代官山のbatakが帝国ホテル近くの日比谷に移転しました。
早速お祝いを兼ねてお伺いしましたが
余りの素晴らしさに感動したので
急遽、その様子をお伝えしたいと思います。

場所は日比谷駅近く、又、銀座からも程近い
都心の一等地。
御幸通りに面した紫ビルの2Fになります。
このビル、1Fより2Fの方が高級感のあるビル。
階段のエントランスには
batakのブレート。



さて、やや緊張しながら
階段を上がって行くと重厚なガラスの扉があり
恐る恐るドアを開けると
いきなり美しい生地のストックが
目に飛び込んできます。



早速、新店長のK野さんがお出迎えしてくれました。

都心の一等地に
こんなに美しく生地がストックされているのを見て
ちょっと感動しました。

そして、左の部屋に入ると
両サイドに生地や完成品と思われるスーツ。
(ひょっとするとゲージサイズ)



3面鏡もついている豪華な棚が展開されています。



フィッティングスペースは別にありますが
混雑時はここも使えるように配慮されているのですね~。

そしてここがある意味
batakの最大の美点でもある
工房が一緒に設置されていること。

棚の隙間から奥の工房が
見えるようになっています。



ここでフィティングを確認しながら
実際の職人さんも入ってチェックが出来る
正に理想的なテーラーだと思います。

そしてエントランスには
これぞbatakという、英国的エレガンスのディスプレイ。
写真を見てもわかるように
とても明るい店内です。



そしてこちらが接客スペース。



ルイスポールセンの美しいアーティチョーク。
ヤコブセンのエッグチェア
とても豪華でありながら
リラックス出来る空間が演出されています。
そしてコーナーに備え付けられた3面鏡。

ここでゆったり話をしながら
服作りをするのは正に夢ですね~。

オーナーでありモデリストでもある
中寺氏の美意識が感じられる
本当に素晴らしい空間だと思います。

アクセサリー類も充実しています。
ブレイシーズにかなりの数のタイ。
色々合わせながら
ネクタイ選びをするのも愉しいですね。



さて、オーダー内容も今回変更され
ファンには嬉しい内容となっています。

日比谷batakでオーダー出来るのは
・ビスポーク・スタイルド(旧ハウスオーダー)
日比谷の工房で手縫いで作られるスーツですね。

・マスター・オーダー(旧イージーオーダー)
これは従来のパターンオーダーより
手縫い部分の工程が増え
副素材などがより高級な物が使用される
ファクトリーメイドのスーツ

・ビスポーク・プライベート(旧ビスポーク)
中寺氏と話しながら、ゼロからスタイルを作り上げて行く
所謂、従来のビスポークですね。

batakファンにとっては
日比谷batakでビスポーク・スタイルドが作れるのは
嬉しい限りだと思います。

詳細はこちらでご確認下さい。

日比谷batak
お店の雰囲気からすると
1着100万円と言われても不思議でない空間ですが
スタッフの方々のホスピタリティは非常に高いので
リラックスしてオーダー出来ると思います。

私の知っている限りでは
工房を併設して、これだけの生地のストックがあり
都心で素晴らしい空間を持ったテーラーは
見た事がありません。

しかも職人さんも入りながら
レベルの高い服作りが出来るテーラー。

恐らく今回の新生日比谷batakは
間違いなく日本屈指のテーラーと
言えると思います。

服好きの方は
是非一度足を運んで頂きたいテーラーです。

中寺さん、そしてスタッフの皆さん
おめでとうございます!

私もいずれ、ここでオーダーしたいと思います。




ブラックウォッチ計画 完了 その2

2012-02-12 06:45:27 | スーツ
さて、昨日の続きです。

こちらのパーソナルテーラー
トラウザースの作りが
かなり個性的です。

他のテーラーでは
少なくとも見た事がない仕様です。

さて、一番特徴的なのは
裾の作りです。



かなり極端なモーニングカット。
すごい傾斜です。

そしてこちらのテーラーの意匠ともいうべき
前半分だけについたダブルの裾。
しかもこれは折り返してあるのではなく
わざわざ後付けで付けられたモノです。



タウン仕様が前半分で
カントリー仕様は後ろ半分を同様の仕様にするとのことです。

そしてもうひとつ特徴的なのがこちら。



トラウザースの側章がわり作られた
インバーテッドブリーツ。
これがとてもカッコいいです。

冒頭の写真のように座った時に
チラッと開いて見えるようになっています。
これは手がかかる仕様だと思います。

縫製は抜群の腕を持つY氏ですが
本当に大変だと思います。

そしてウエスト周り。
ハイバックのブレイシーズ仕様です。



切り返しは2カ所。



フロントは勿論ボタンフライです。



そして履き心地に大きく影響する
内側の作りですが
フルライニング仕様となっています。



私が座る時に膝の辺りをちょっと上に引っ張って
座ろうとしたところ
その必要はないとの事でした。

なるほど、確かにフルライニングだと
そんなことをしなくても
膝に生地がひっかるような感覚はありませんでした。

さて、このトラウザース
どんな履き心地かと言えば
ズボンを履くというよりは
袋状のモノを履いているような
全くストレスフリーのトラウザースです。

しかも、立ち姿が美しいと思います。



このトラウザース。
フォックス・ブラザーズに
わざわざ織機のセッティングまで変えさせ
かなり高密度に織った特別な
藍色&エクリュのハウンドトゥース。
ヘヴィーオンスなので
トラウザース単体ではかなりの重さがありますが
それをまったく感じさせない作りです。

歩いた時に
ちらっと見える側章部分の
インバーテッドプリーツと合わせ
エレガントな香りを持つ
クラシックトラウザースだと思います。

う~ん、、、
やはりホワイトトラウザースも
あった方が、良いかもしれませんね。

さて、次回は本丸の
ブラックウォッチについて
ご紹介したいと思います。



ブラックウォッチ計画 完了

2012-02-11 07:33:23 | スーツ
ブラックウォッチ計画
遂に完了です。

この記事から読まれた方は
何のことか分からないと思いますので
是非、お暇な時に
スーツカテゴリをご覧いただくと
製作の過程が分かると思います。

先日、クラブメンバーT氏の
明日館で行われた
古代ピアノによるコンサート。
これに合わせコンサート終了後に
クラブミーティングが行われました。



丁度ブラックウォッチのスポーツコート
そしてウェストコート
それに合わせたハウンドトゥースの
トラウザースが完成したので
早速着用し、ミーティングに臨みました。

先ずはトラウザースのご紹介からです。
こちらのパーソナルテーラー
門外不出で
ほとんど世に出る事がないので
興味深い方もいらっしゃると思います。

今回ビスポークしたトラウザース
かなり重めのしっかり生地です。
実はこの生地
フラノで有名なイギリスの名門
フォックス・ブラザーズ(Fox Brothers)に別注で織らせた
生地になります。

この生地、実はブラック&ホワイトではなく
藍色とエクリュのハウンドトゥースを
非常に糸の良い「ラムウール」で織ったモノです。

織機のセッティングをわざわざ変えて
かなり高密度に織ったフラノです。

他のテーラーでは見られない
かなり拘ったディティールですので
詳細を明日、ゆっくりとご紹介したいと思います。





不思議なアクセサリー

2012-02-05 07:20:32 | タイ
冒頭の写真。
タイに矢印形のモノが刺さっています。



しかも小石丸のビスポークタイに。
左下から右上にかけて
しっかりタイを貫通しています。

「あ~タイが傷つく~。」
と思わずショックを受ける画像です。

これは銀座のとあるアンティークショップで購入したもの。
別の物を探しにいった際
店主の方より、これを見せられて
思わず買ってしまった次第です。

実はこの矢印形のもの。
タイピンで
1897創業のアメリカの老舗ブランド
SWANKのモノです。

種明かしをすると
このタイピン、下の写真のような構造となっています。



いや~洒落がきいていますね~。
流石アメリカ。
同様の物でスライド式になっていて
幅が変えられるモノもありました。

業界では有名なアンティークショップ
店主さんの許可が得られたら
改めてこちらのブログでご紹介しようと
思います。

さて、このタイピン。
話題作りに最近、よくしています。
勿論、初対面のお客様の時はしませんが
ある程度親しい方や
服飾関係の方にお会いする時は
このタイピンをしていって相手の方が
「おや?」って思う顔見るのが
結構好きになってきました。

バッチリ見せるのではなく
チラミセが良いと思います。

さて、このアンティークショップ
私はすっかりハマってしまったので
暫く通うかと思っています。

詳細は又、改めて。



ブラックウォッチの傘

2012-02-04 07:01:34 | 
今年に入ってからオフィスが八重洲になった関係で
銀座、日本橋、そして丸の内近辺が徒歩エリアになりました。

特に東京駅の大丸は東京駅から移動の際は
必ず通るのでポイントカードの来店チャージと
限定スイーツがないか覗いてみたりします。

そして帰宅時など時間の余裕がある時は
上の階に上がってボルサリーノを見たり
入店しているセレクトショップを覗いてみたりします。

そんなタイミングで偶然見つけた傘が
今回の傘です。

ブラックウォッチの傘です。



ブラックウォッチ。
この柄、良く見かけるようで
実は気に入ったモノは中々無いという
難しい柄だと思います。
特にそのブラックウォッチが傘になっているのは
珍しいな~と思い、今回購った次第です。

購入した店舗はTOMORROWLAND。
ロゴプレートがついていますが
これはなくても良いのでは?とも思います。



手持ち部分は黒の本革巻きで
非常にしっかり巻かれています。



革自体はシボが入ったタイプで
手にとても馴染みやすい作りになっています。
傘の生地はナイロンです。
日本の傘では当たり前ですが
一駒一駒カン縫いになっているので
雨漏りすることはありません。
ここら辺は英国の傘と違って安心して使う事が出来ます。

開いた時のラインです。



少し角張ったラインです。
これが現代の傘と昔の傘との違いを
大きく感じるところですね。
実用的ではありますが
やはり色気が足りないかと思います。

現代の傘でもFOXの傘は一日の長が
あると思います、
傘の骨の本数の違いもあり
一概にはいえませんが色気を感じます。

もっとも雨の日に
「きれいな傘のラインだな~」などと
観察している人は私くらいかと思いますが。

ちょっと珍しいブラックウォッチの傘。
マッキントッシュのコートの襟の裏地が
ブラックウォッチのものがありますので
それとコーディネイトして差そうかなと
考えています。

そう言えばブラックウォッチといえば、、、

ブラックウォッチ計画も遂に完了したので
近いうちにご報告しますね。