いつか英国日記

英国を中心とした靴、鞄、時計、その他ファッションに関するブログ

やってしまいました。そしてOMASのボールペン

2017-11-19 10:16:49 | 万年筆 ステーショナリー
やってしまいました。大切にしていたモンブランのボールペンを無くしてしまいました。筆記具は通常ペンケースに入れているのですが、どこを探しても見当たりません。何十年ぶりかに大切なものを紛失しました。しかしこれも運命、早速、その日うちに銀座のITOYAに代替品を探しに行きました。本館にはいろいろありますね。いくつか気になるモデルを試し書きさせていただき、その中で気になったボールペンが今回ご紹介するOMASです。



ランボルギーニの本社があることでも有名なイタリアのボローニャ、1925年この地にアルマンド・シモーニが開いた工房がOMASです。植物性樹脂のコットンレジンをボディに使った12面体のアルテイタリアーナが象徴的なモデルとして有名です。万年筆を始め木製ボディを持つものなど多彩なラインナップを持っていましたが、じつは2016年2月に会社が解散してしまいました。この美しい筆記用具が今ある在庫のみで今後手に入らないと思うと、とても欲しくなり購入に至った次第です。



ケースにはこんな文字も。ITOYAさんにもいくつかのモデルがありましたが、どうしても自分の欲しくなる色がありません。そしてネットで見つけたのが今回のグレイ色のボローニャというモデルです。



2005年にオマス誕生80周年を記念して発売された限定モデル。2013年に生産終了となった後、近年日本限定モデルとして復刻したものです。イタリアらしいとても美しいボディです。



ちょっと見ずらいですがペン先にはボローニャの街のシンボル、ポルティコ(柱廊)が繊細なタッチで彫刻されています。 このマーブル調の色合いもとても良いですね。また、ビスコンティのようにクリップにこれ見よがしにブランド名などが入っていないところも気に入りました。



円形ですので手になじむ持ち味、そして万年筆のような非常になめらかな書き味です。モンブランを紛失しなければ、OMASと出会うこともなかったので、これこそ災い転じて福となす、というところでしょうか。

残念ながら今後はリフィールの生産はなく、在庫もないので互換性のある日本のリフィールを使うことになります。場合によってはオリジナルのリフィールを温存させておいて、普段は日本製のものを使おうかとも思っています。歴史のあるOMASがなくなってしまったのは非常に残念ですがそれゆえ、現在のモデルの希少性が高まったともいえます。毎日、大切に使おうと思います。


スウェイン・アドニー・ブリッグのダレスバッグ 黒

2017-11-12 07:28:56 | 
スウェイン・アドニー・ブリッグのダレスバッグです。先日ヴァルカナイズロンドンのセールで購入しました。スウェイン・アドニー・ブリッグは1750年創業の英国王室御用達の鞄・傘メーカーです。元々馬具、革製品のメーカーだったスウェイン・アドニー社が傘メーカーのブリッグ社を買収して現在に至ります。



黒のダレスバッグ、日本では米国のダレス長官にちなんだ名前として一般的ですが本来の名前はトップフレーム。この鞄は両肩が水平の最も一般的なタイプです。素材はブライドルレザー。作りもウェイン・アドニーのクラフトマンシップが感じられるしっかりしたものです。



マチはトップフレームとして実用的な充分の幅が取られています。上部からモノの出し入れができ、ガバッと開いてしまうこともないのでこの形状の鞄は非常に使いやすいです。



この鞄、なんと中は赤なんです。通常このメーカーの内側の作りは緑色ですので特注仕様でしょうか。





黒に赤はとても好きなコンビネーションです。

以前、伊勢丹で購入したチェスナット色のものと比較してみました。



厚みはほぼ同じ。ハンドルや鞄本体の作りは全く同じです。並べて比較してみます。



鞄の両肩がなだらかに落ちているか、水平かだけの違いにみえます。でも実際に手に取ってみると黒の方が軽快な感じがするので、重さを計ってみました。チェスナットが2.4kgに対して黒は2.0kg。わずか400gかもしれませんが、手に持った時の印象は大きく異なります。素材は鞄製造時の革の入荷状況などで違ってくるのだと思います。素材感や作りは特に差異は感じられませんでした。

そして付属品。収納用の袋と鍵、ネームプレートは付属していませんでした。



袋の色も赤系統、これは内装と合わせているのでしょうか?内側が緑色のチェスナットの方は袋も緑色です。



ところで全く同じに見える、この鞄の鍵ですが、黒の鞄の鍵はチェスナットの鞄では使えませんでした。一応考慮されているのですね。

さて、このところデイリーユースはずっとグローブトロッターでしたが、鞄は本来革で包まれたものという原点に帰り、又、革の鞄を使い始めようと思っています。黒の靴には黒の鞄、茶色の靴には茶系の鞄、クラシックなスーツにはやはり革の鞄が合います。また、その鞄がいい具合にエイジングされているとその人となりを連想させ益々良いですね〜。この黒の鞄もエイジングを楽しもうと思います。


フランコロストからの脱出

2017-11-05 06:48:35 | スーツ
久しぶりの更新です。敬愛するミラノのテーラー フランコプリンツィバリ氏のブランドがなくなり、実質的に約1年。一時は違う体制での復活も期待しましたがそれも難しいようなので、フランコ以外でスーツをオーダーするのを再開しました。フランコロストからの復活第一弾、フランコと同等の完成度を求めたいので、テーラーは安心安定のバタクハウスカットにしました。トラウザーズやドレスシャツはオーダーしていましたが、スーツをオーダーするのは久しぶり。最近型紙が変わったとのことで、そちらも気になるところです。

今回は12月6日に行うイベント「好事家の集い」で着用するスーツを仕立てることにしました。まずは生地選びから。



バタクは巻物の状態で生地が選べるのがいいところです。テーラーはやはりこうでなくてはと思います。バンチではやなりなかなかイメージがつかめません。ビジネスで着用するのではないので濃紺やグレー系は対象外、ツイードも今回のイベントの主催者として着用するのにはラフすぎるかなと思い、選んだ生地はこちら。



英国カイノックの生地。大昔服飾業界に身を置いていた時にいい生地だな〜と思ったことがありましたが、このところ全く見かけることがありませんでした。それがいつの間にかまた復活していたのですね。ミミに入ったmade in Britainの表記が素敵です。スコットランド製なのでmade in England ではなくmade in Britainとなります。柄はグレンチェックでブルーのオーバーブレイドが入ったもの。こういったクラシックな感じの生地に惹かれます。カシミアが5%入ったとても柔らかい生地ですが、390grmsの重さがあるので仕立て栄えしそうです。

スーツは勿論スリーピース。シングルで仕立てますが、ウェストコートはダブルにしました。イメージはこちらスーツです。



型紙が変わったので、改めて採寸を行います。まずはゲージモデルをいくつか着用しました。



バタクハウスカットの型紙は全て代表の中寺氏がパターンをひいていますが、今回の型紙の完成度は以前にも増してさらに高くなっているのを実感しました。特に肩周りのフィッティングが感動的なほど素晴らしいです。日本人の体型を知り尽くした型紙だと思います。仕立てる前にすでに高い完成度が約束されている気がします。



一通り採寸が終わって、シートに真剣な表情で記入する店長の川部さん。2時間で採寸を完了する予定でしたが、今回もいろいろな話をしているうちに結局4時間近く滞在してしまいました。

スーツの完成は今月末、出来上がりが楽しみです。