いつか英国日記

英国を中心とした靴、鞄、時計、その他ファッションに関するブログ

benson & cleggのカフリンクス その2

2016-10-30 07:31:42 | カフリンクス


benson & cleggのカフリンクス、実はあまりに面白くて翌日もカフリンクスを見に行ってしまいました。お店の方も私を覚えていたようで「また来たね」みたいなことを言われました。さて、前回ご紹介したカフリンクスが比較的コンサバなものとすれば、今回はちょっと遊びごころのあるカフリンクスです。



まずは一つ目。クルマ好き、特にポルシェ好きの私はこのカフリンクスに反応してしまいました。ポルシェ911のカフリンクスです。ポルシェのディーラー、ポルシェセンターでもこの手のカフリンクスはありますが、心なしかこの英国版の方がより精緻に出来ているような気がしました。



装着するとこんなイメージです。ビジネスではこのカフリンクスをつけるチャンスはなさそうですので、ポルシェのイベントやディーラーに行く時にこれを付けていこうと思います。ちょっと洒落がきいてしかも可愛いですね。



そしてもうひとつがこちら。ユニオンジャックのカフリンクス。いかにもという感じですが、このカフリンクス作りが非常に丁寧ですので、意外にスーツにも使えます。



装着イメージはこちらです。実はとても気に入っています。カフリンクスは見せびらかすものでもないので、スーツの袖の下にこれを身につけ密かに楽しむのも良いと思います。

カフリンクスは本来、男の装いで唯一許された装飾品と考えれば、クラシックで非常に高価なものから、比較的手頃な価格でファッショナブルなものまで、幅広く自分なりに楽しむのがいいですね。

出来ることならいつかはファベルジェを手に入れたいと思います。



benson & cleggのカフリンクス

2016-10-23 06:52:57 | カフリンクス
さて、話をロンドンに戻します。

ジャーミンストリートに面したピカデリーアーケード、既にご紹介したビスポークシャツメーカーのBuddやNew Lingwood、Swaine Adeney & Briggなど名店がひしめくアーケードです。そのアーケードにひときわカフリンクスのディスプレイが目立つbenson & cleggがあります。創業は1937年、Harry BensonとThomas Cleggがロンドンに創業したビスポークテーラーです。クラシックな紳士の用品を扱うハバダッシャーがなくなってしまった今、テーラーにはその機能が残っている店舗もあります。benson & cleggは正にそんなテーラーです。1944年には英国王室の公式なテーラーとしてロイヤルワラントを付与されています。現在では英国式のボタンやタイ、エンブレムがロイヤルワラントの対象となっています。

ショーウィンドーには沢山のカフリンクスが綺麗に並べられ、ついいくつかを入手してしまいました。



まずはこちら。ノットタイプのファンシーなカフリンクスです。ゴールドとシルバーのコンビネーションになっています。



ドレスシャツに装着してみるとこんな感じです。ちょっとモダンな感じですね。



そしてこちらはクラシックな円形のカフリンクス。表面の仕上げはエナメル加工となっています。



アンティークな雰囲気があり、クラシックなスーツに合うと思います。

カフリンクス、集め出すとキリがありませんが、英国では比較的リーズナブルな価格のものからアンティークの逸品まで色々な種類のものが入手でき、とても楽しいですね〜。もちろん極めたい方は車を購入するくらいのつもりで行けばファベルジェなども入手できる可能性があります。正にダイバーシティです。

さて、カフリンクスまだ続きます。



フランコプリンツィバリ オーダー会 2016 FW

2016-10-16 07:14:54 | スーツ


今年も又、この季節がやってきました。フランコプリンツィバリのオーダー会の季節です。本当に月日が経つのが早いですね。今年もあっという間に終わりそうです。既にフランコさんとのおつきあいも10年、毎夏、毎冬欠かさずオーダーしたので20着以上はフランコプリンツィバリのスーツがある勘定になります。床屋とテーラーは一生の付き合いとフランコさんがおっしゃいますが正にその通りですね。



場所は伊勢丹メンズ館8階、チャーリーバイスとはまた違う隠し部屋にてオーダー会は一人一人行われます。いつも通り近況報告から。今回も通訳はクララさん。17年前からフランコさんの通訳をずっとされているので言いたい事もすぐに伝わり安心してお話ができます。落合正勝氏が初めてフランコさんに会ってスーツをフィッティングした時にその着やすさ、特にアームホール回りの動きやすさなどに感動した様子などをリアルに再現してくれてとても盛り上がります。






まずは、今回私が事前に選んだ生地をチェックしてもらいます。KYNOCH(カイノック)社の青みががったヘリンボーンの生地です。目付は400g近くあるかなりヘヴィーウェイトの生地。杢糸(もくいと)に2色の撚り合わせた糸を使っているのでとても複雑な深みのある色合いの生地になります。三陽商会でもこういった生地を扱っているのは意外でした。カイノック社はスコットランドLANGHOLMのミルでその歴史は175年と言われていますが、1970年代になくなってしまったミルです。しかし近年復活したようですね。フランコさんは時々、全く商売を考えず、「この生地はダメ」と言って、日本人スタッフを慌てさせたりしますが、今回チョイスした生地はとても良いとのお墨付きを頂きました。



前回オーダーしたソラーロのスーツのフィッティングのチェックです。既に私の型紙は完成しているので何も修正するところありません。でも念のためチェック。結果はやはりいじらないほうが良いとの事になりました。





最後にスーツに合わせて裏地とボタンを選びます。以前は裏地に奇抜な色を選んだりしましたが、クラシックなスーツにはやはりオーソドックスな組み合わせがいいですね。フランコさんと色々話しながら同色系の落ち着いた裏地とボタンをセレクトしました。

スーツの仕様は3Pです。出来上がりはおおよそ一ヶ月半後くらいかと思います。楽しみですね。

服飾業界では再編やブランドの整理が行われていますが、稀にみる非常に完成度の高いフランコプリンツィバリのスーツ。フランコさんが元気なうちはこのブランドを継続してもらいたいと強く思った次第です。

さて、次回はまた英国編に戻っていきます。



英国スタイルAscot Changのドレスシャツ

2016-10-10 08:08:15 | ドレスシャツ
さて、前回の続きです。

わずか三日間で仕上がってきたAscot Changのドレスシャツ。ビスポークとはいえ、仮縫いもサンプルもなく一発勝負です。まずはマオカラーのドレスシャツ。マオカラーは毛沢東、英語名Mao Zedongに由来する立襟のシャツです。このカラーは中国そしてインドで良く見られます。マオカラーはシャツだけでなくスーツもありますが、日本ではあまり馴染みがないでしょうか。クラシックの指揮者の方などが時々着用しているのを見かけます。



風水を意識した訳ではありませんが、色は黄色、素材はコットンです。



見頃は細身ではなくクラシックなゆとりのあるサイズ感です。



袖はシングルカフスです。



そして初体験のマオカラー。



早速フィッティングしてみました。シャツ姿で失礼します。実は衝撃的と言ったのはどこでシャツを作ってもそうですが、最初の1着目はなにがしかの修正点があるものです。しかし今回出来上がってきたシャツは修正したいところが見当たりません。身頃や袖の長さ、着心地も完璧です。強いていうならネック周りはもう少しだけ細くても良いかなという位。ネック周りは俗に指2本が入る位が良いといいますが、私は指が1本入るか入らないか位が好みです。その点を伝えていなかったので一般的なフィッティングで出来上がってきたのだと思います。



ジャケットを着用した写真です。ノーネクタイでも程よいフォーマル感があり、正に夏のクールビズスタイル(この言葉はあまり好きではありませんが)にも良さそうです。



こちらはタブカラーのドレスシャツです。袖はダブルカフスです。タブカラーにダブルカフスの組み合わせはあまりないと思いますので、是非この仕様で作ってみたいと思っていました。



残り2枚はブルーの太めのストライプ、襟はタブカラーで袖はダブルカフス、もう1着は色は白、襟はセミワイドでダブルカフスです。



白い方は織り柄が入ったコットン生地です。



太めのブルーストライプのタブカラーはリネンの生地にしました。リネンというと夏の生地というイメージが強いですが、打ち込みの良いものでしたら通年着用が可能です。

Ascot Chang、初めからこのレベルで仕立て上がるのであれば、又、オーダーしてみたいと思いました。特にマオカラーはあと何着かあっても良さそうです。オーダーはわざわざ香港に行かなくても日本でオーダー会を時々やっているようです。同じ価格ならその時にオーダーするのも良いですね。

さて、次回のブログは、いつものあの方が来日です。


Ascot Changのビスポークドレスシャツ

2016-10-02 08:03:26 | ドレスシャツ
先日香港へ出張に行きました。飛行機で約4時間ほど。アメリカや英国に比べるととても気軽に行ける距離です。海に面した商業都市香港、景色も素晴らしいです。



何より素晴らしいのは料理が美味しい事。日本ではあまり食べる事の出来ない料理を堪能してきました。



ガチョウ料理です。表面が香ばしく中身は柔らかくジューシーです。



こちらは魚のハタです。煮魚スタイルですが醤油ベースの味付けが絶妙です。



最も衝撃的な美味しさだったのがこちら。何とこれシャコです。日本ではお寿司で食べるととても小さいのですが、香港のシャコは伊勢海老くらいの大きさがあります。油でカラッと揚げたシャコにニンニクのチップがふりかけてあります。これはサイコーに美味しかった。

あなたも香港に行かれることがあったら是非召し上がってください。

さて、本題です。

服飾関係の友人Tonyさんからお話を伺って、一度行ってみたいと思っていた香港のAscot Chang。遂に行ってきました。Ascot Changは英国スタイルの老舗ビスポークシャツメーカーです。創業者のAscot Chang氏は14才から上海で熟練のシャツ職人の下で修行、1949年、香港で訪問スタイルのシャツのビスポークを始めました。現在では上海に2店舗、中国国内に5店舗、ニューヨークとビバリーヒルズにも店舗を構えています。私が今回伺ったのは1963年に開店したペニンシュラホテルのアーケード内にある店舗です。



この店舗何と日本語でOKです。オシャレで有名なあの大臣もこちらの顧客とか。さて、早速友人の紹介でビスポークに来たことを告げて採寸を始めてもらいました。



採寸箇所はかなり多く、日本でビスポークするのと同じような要領で進みます。首回り、肩幅、袖丈、胸、ウエスト、お尻、前身頃長さ、後ろ身頃の長さなど丁寧に計測していきます。約20分ほどで採寸が完了すると、次はどのようなシャツを作るか相談していきます。



ビスポークは注文の最小単位が4着からになります。ここらへんは英国と同じですね。まずは何百種類もある生地サンプルから生地を選びます。今回はコットンとリネンの生地を選びました。



次にシャツのデザインを決めていきます。お店からは代表的な襟を何種類か薦められますが、いろいろ要望を話すと次から次と襟型のサンプルが出てきます。おそらく襟の形だけで50種類くらいはありそうです。



今回、折角Ascot Changに来たので普通のシャツメーカーでは作れないマオカラーのシャツを1着オーダーしました。



オーダーしたのが金曜日、何と日曜の夜には仕立てたシャツがホテルに届きます。シャツの詳細は次回ご紹介しますね。実はちょっと衝撃的な内容でした。