昨夜のNHKテレビで福島県三春町から関東地方へ自主避難してきた家族のことを紹介していた。ただ夫は仕事の関係で福島に残り、月に1度妻と小2の娘が待つ避難地へ訪れる生活を続けている。家賃は全額補助されているが、夫が妻子と会うのに車の費用が2万円もかかるという。三春町は原発から40キロ圏内で避難対象区域ではないが、子供の健康不安から母親は福島に当面戻るつもりはないようだ。「いつ帰ってくるんだ」という夫とよく喧嘩になり、夫婦間で気持ちのずれも起きているという。その反面妻は「会うことが出来れば寂しさやストレスから少しでも解放される。(夫婦の気まずさも)乗り越えられるのでないか」と夫婦のふれあいの大切さを語る。
三春町という原発40キロ圏内の距離からして、母親が不安になる気持ちもわかるが、それでもテレビを見ていて自分自身いらだちを覚えてしもう。なぜ「帰るという選択肢」がこの母親にはないのか、と。
ちなみに最近の三春町での放射線量をネットを調べたら0.2マイクロシーベルト/時台が多く、福島市や郡山市より低い。おそらく年間では世界平均の2.5ミリシーベルト程度ではないか。しかも夫婦一緒ならストレスから乗り越えられるといっているのに。テレビでは妻の言葉だけで夫のコメントがないのが気にかかる。
また、福島三春でこの放送を見ている同世代の家族はどう思うだろうか。きっと複雑な気持ちになるに違いない。自分たちは、敢えて県内に留まっているのに、少しメディアの視点に偏りはあると思うのではないか。
NHKを始めとして、相変わらず放射能の健康不安を強調する方向性はあまり変わらない。自民党の片山さつき議員が池田信夫氏司会のシンポジウム(動画1:22付近)でいみじくも指摘していた。「(放射能不安は)いまは理性や科学ではなく社会心理学の問題になっている」、と。確かにこうした母親を見るとどうしてもその疑念をぬぐえない。
しかし必ずしもこの母親ばかりを責められない。池田氏(動画1:53以降)がこのシンポジウムで問題にしていたが、原発事故以来、政府としての確たる安全基準を示していないかためといえる。それを決めずに自治体に丸投げしているところに、混乱がある。そのためにも総選挙後の新政権はこれを責任をもって国民に示せる政党が担って欲しい。