衆議院が解散して、日本の国全体が総選挙を向けて動きだした。街角の国民の声を聞くと、経営者やサラリーマンを中心に「景気回復」を求める人は多い。次に雇用の向上を望む声も強いが、これは景気と大きく関わっている。テレビで70歳を過ぎた小売りのおじいさんさえも「景気が良くなって欲しい」と切実に訴えていたのが印象に残った。
多くの主婦、高齢者が望む福祉の充実も、国家の歳入が確保されなければ果たせない。つまり、日本は経済が立ち行かねば物事は進まない。国債を発行したり、増税をして公共投資でば無理矢理やったところで一時しのぎに終わってしまう。要は経済を強くして、国富を増やす以外に方法はない。
そしてその経済を強くすることは何よりも活気を取り戻すことだろう。一口に活気といっても範囲が広く多様である。もちろん経済的な側面は第一に重要だが、景気が「気」である通り、精神的な活気がどうしても必要だ。
そのためには為政者が力強い日本としての指標をはっきり打ちさすことだろう。ただこれは一部政治家がいくら頑張ってもたかがしれている。最終的には国民全体が動かなければ意味がない。「元気になるのべきは国民の全てだ」と率直に訴えて皆が納得出来る器量の大きい人物が求められる。
思うに、今日の日本ほど、国民がばらばらで本当にまとまった民意があるのか疑問に思う。価値観が多様化してしまったことは、時代の流れで仕方ない感じもするが、それでも国民の声が結集するものが欲しい。それを後押しするのが今の政治家の第一の責務だと思う。それがとりもなおさず「日本の活気」になっていくのだから。
今回の選挙ではそんな活気をとり戻そうという気概のある政党を選びたい。もちろんそれが単なるはしゃぎと煽動だけでは意味がないし危険だ。そこは各政党の実態を国民が充分精査する義務がある。
これから年末に掛けて、ベートーヴェンの第九が盛んに演奏合唱される。合唱の中に有名なフレーズがある。
時流が強く切り離したものを、汝が魔力は再び結び合わせる。すべての人々は兄弟となる
長年の経済不況や震災と原発事故など、今世紀に入って日本人の心は切り離され続けてきた。今こそ、それを再び結びつける魔力が欲しい。その魔力こそ活力に他ならないと思う。