昨日(11月3日)武田教授のブログから郡山市の日干しダイコンのセシウム濃度について話題にした。自分の調査不足でそのデータを正確に把握していなかった。実際は福島県農業総合センターでの実証的な検査結果(報告書の13番)だということがわかった。
そのデータをネットで見て自分がポイントと考えるのは以下の4点だ。
1、検査は平成24年2月15日から6日間で行われた。
2、室内で乾燥したダイコンはセシウム不検出だが、外部の日干しでは全てに検出された。
3、壁際の地表で日干ししたものに最高のキロ3421ベクレルという極端な数値が出た。
4、ダイコンの放射性物質濃度とその場所の放射線量とは無関係。
まず1の時期だが、なんと8ヶ月前のデータである。武田教授の「再拡散」を結論付ける資料にはなりえない。古い記事になるが、読売の報道によると、事故当時から今年4月までの大気中のセシウム濃度は、一時的な増加を繰り返すものの下がり続けている。最近のデータが見つからないが「再拡散」しているという話を聞いたことがない。現在はさらに低いと見た方が自然だ。
次に2についてだが、これはデータ結果からいって明らかに放射性物質検出はダイコンそのものでなく外部のチリ、ホコリが付着したことによるといえる。そしてチリ、ホコリにセシウムが含有しているのも確かだ。
そして3の壁際で地表部分が極端に高い濃度になっているのは、農業総合センターの指摘通り、風通しが悪く風が吹き留まる場所にチリなどが集まって日干しダイコンに付着した結果だといえる。逆にいえば、視界良好な風通しの良い空間ならば、チリやホコリの影響が少ないといえる。空気中全体がこうしたホコリまみれと見るのは誇張だと思う。
最後に4の線量との関係だが、キロ3421ベクレルの日干しダイコンがある場所の線量は毎時0.6マイクロシーベルトだ。これは220ベクレルを出した松の木の樹幹が1.8マイクロシーベルトであるのと比べるとはるかに低い。つまりチリやホコリがたとえ部分的に特定の場所に偏って集まっても、そこの線量に影響を及ぼすほどのものでないということだ。
考えてみれば日干しダイコンの重量は普通のダイコンの20分の1程度になる。軽くなったダイコンにホコリが付着すれば極端に放射性濃度が高くなることが考えられる。しかしセシウム濃度はともかく実量すなわち全体の放射線のエネルギーそのものは少ないといえるのではないか。周辺の線量にほとんど影響がでていないということはそのためだろう。はたして放射性物質を含んだチリの人体への直接的影響を問題にするほどのものなのか。
8ヶ月経った現在はどうなのか。依然空気中のチリ、ホコリに放射性セシウムは現存しているだろう。しかしこれが人の健康にどれだけ影響を与えるかはもっと冷静に検証する必要がある。少なくとも「再飛散」など実態とはほど遠い。武田教授の推奨する「マスク着用」が本当に妥当なことなのか。いたずらに危険を煽るのは問題だと思う。昨日の追記で書いたが、福島で1年間吸入するセシウムの被曝量は0.5マイクロシーベルトに過ぎないという試算もあるくらいだ。