粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

シルバー産業の落とし穴

2012-11-05 13:05:22 | 事件・事故・時事

中国の万里の長城付近で日本人観光客が遭難した事故、遭難した4人の年齢を見るとやはりまた高齢者ばかりだった。死亡=女性68歳、女性62歳、行方不明男性76歳、救出女性59歳。最近頻発する登山事故でも遭難する人は高齢者が圧倒的に多い。

いまや日本は65歳以上の高齢者が3000万人を超え、今後こうしたシルバー購買層をいかに取り込むかが課題になっている。報道によると今度の遭難者は3年前大雪山系で遭難事故を起こした旅行会社が企画したツアーの参加者だったようだ。大雪山の事故では8人が死亡したが、これもほぼ60代の高齢者ばかりであった。

旅行業界も競争激化で中小の会社はどこも経営は厳しいようだ。そうした中、経済的に余裕があるシルバー層は絶好のお客さんといえる。勢いそうした年齢層が喜びそうな企画が立てられる。自分もそうだが、年をとると世間の喧噪から離れて本物の自然に触れたくなる。それもありきたりの観光コースではなく、「冒険色」の強いものを求めたがる。そして「俺はまだ若いんだ」だという見栄も誇示したい。これがシルバー冒険ツアーの盛況につながっている。

またこうした高齢者が多くは経済的なかなり余裕のある人が多い。普段の買い物は1円の違いにもしビアーな人が数千万円の貯金があったりする。それが最近の「振込詐欺」の被害増加に表れているのだが、こうしたツアー参加にも結びついている。

今後も気持ちは若いと勘違い?している高齢者の冒険ツアーは増えていくだろう。萎んでいく日本経済では残された数少ない有望市場であるからだ。もちろん企画会社の責任は大きいが、今度の事故はそうした風潮の落とし穴といえる。中国では厳しい捜索に装甲車まで出動しているという。犠牲になった人にはお気の毒だが、日中関係がぎくしゃくしている中、こんな光景は見たくない。