粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

太鼓の達人

2012-11-14 12:17:49 | ガレキ広域処理問題

昨日13日、大阪市此花区の区民ホールで行われた震災がれき広域処理の住民説明会で、抗議グループ4人に逮捕者がでた。この日の説明会は、24日予定のがれきの試験焼却に関してのものだった。

説明会は夜7時からだが、すでに抗議グループは3時にはホールのロビーで大声で「がれき受け入れ反対」を叫び続けたという。しかし特に問題なのは、太鼓などの鳴り物をがなり立てていたことだ。ホールの業務を妨害するばかりか、ロビーにいた市民にとっては騒音の迷惑この上ない。施設側の退去要請に応じることもなかったので警察の出動は当然だろう。

このホールには図書館や老人ホームが隣接している。抗議のシュプレヒコールと太鼓の大音量がこれら施設にまで響いていたのは想像に難くない。橋下徹大阪市長も「ルールを守って欲しい」とツイッターでつぶやいているが、もっともすぎる話だ。

思えばこうしたがれき広域処理に反対する市民グループは抗議が単純すぎてパターン化している。「放射能の拡散を許すな」に続き、「子供の命を守れ」と彼ら特有のフレーズが出てくる。それを太鼓などの鳴り物で馬鹿の一つ覚えみたいに何度も繰り返すだけだ。

ちょうど一頃にぎやかだった「反原発官邸前デモ」と瓜二つだ。昨日説明会終了後9時過ぎにホールでは「不当逮捕」に抗議する市民グループがホール内で再び雄叫びを上げて「4人を返せ」の大合唱をしていた。その様子を動画で見たが、まるでその調子、リズムが官邸前デモにそっくりだった。反原発市民グループの典型的パターンといってよいだろう。

今回の抗議は活動家にとっては、震災がれきの広域処理反対運動の剣が峰とみているようだ。すでに昨年から東京で広域処理が実施され、今年に入り静岡や北九州など全国的に拡大している。そしてこの西日本の巨大商都大阪で行われれば広域処理問題の大勢は決したといえる。反対派にとって抵抗の「最後の砦」がこの大阪なのだ。しかし体を張った今回の抵抗も逮捕者を出すだけでなんら成果を上げられなかった。

後は24日の試験焼却があるのみだ。「大阪秋の陣」は最後の決戦を迎える。また、北九州市のような騒動が繰り広げられるのだろうか。搬入車の走行を妨害するために道路に寝そべったり、その車の下に隠れたりする。幼児を乗せたベビーカーを抗議の前面に出したりもする。そして例のけたたましい太鼓の音が鳴り響くのか。

もしかしたら、そこは大阪城でなく、北九州に近い壇ノ浦か。破れた平家は、落ちぶれて西に遁走する。落人伝説は今も伝わっている。しかし現在の落人は西に逃げても伝説になりそうもない。そういえば落合恵子女史は「今ここ(反原発集会)に来ている人が国民であり市民です」ということを叫んでいた。どこか「平家にあらざれば人にあらず」を想起させる。春の夜の夢のごとし?