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●《本来、問題にすべきは…安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為》

2023年04月01日 00時00分07秒 | Weblog

[『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著、ちくまプリマ―新書257)↑]

[※以前のブログ『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》』の通り、12年ぶりに、今週は「再びの〝年男〟の今年3月末、再び入院」していました。デザリングのし過ぎか、携帯がインターネットに接続できず、一昨日は、〝つぶやく〟ことも出来ず、養生に専念せざるを得ませんでした。本日あたりから、通常運転に戻ります。]


// (2023年03月18日[土])
この問題、しつこく。適菜収さん《要するに政府にとって都合の悪いテレビ番組を潰すために悪党が動いたわけだ》。(リテラ)《もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう》。

 モリカケ桜事件以前、官僚らの〝忖度〟の始まり。テレビメディアの萎縮の始まり。斎藤美奈子さん《メディアの役目は「中立公正、不偏不党な報道」ではなく権力の監視なんです。それ、常識。》
 (リテラ)《安倍晋三という人物がそもそも報道の自由の重要性についてまったく理解しておらず、平然と放送に介入・圧力をかけてきた》、適菜収さん《安倍政権がやったことは、自由と法に対する挑戦だった》。アベ様直伝の息吐くようなウソ吐き…「礒崎さんという名前は今年3月になって初めて聞いた」!? 「202333日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」。「報道の自由」「知る権利」「権力の監視」を委縮させた問題についての高市早苗元総務相のタンカ…。(琉球新報)《しかも高市氏に対する質疑内容について官邸は「こちらの方で質問立てしたい」との意向を総務省に伝えていた。まさに自作自演》だった。青木理さん《礒崎氏が自身のコントロール可能な議員にヤラセ質問をさせ、官邸の意向に沿う答弁を総務大臣にさせることで、放送法の解釈を変えてしまおうという構図であり、論外です》。この問題、有耶無耶でいいのか?

   『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と
     「報道現場の声」: 「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」
   『●「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」…さて、高市早苗氏の
     「タンカ」も、アベ様同様、有耶無耶になってしまうのだろうか、それとも…
   『●「2023年3月3日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」…《「捏造文書
     でなければ大臣も議員も辞職するか」と問われて「結構ですよ」と答弁》
   『●《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は「中立
     公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。それ、常識。》
   『●青木理さん《関口宏さんが番組で言っていましたが、『われわれはこの
     番組の姿勢を淡々と貫いていかないといけない』ということに尽きる》
   『●《憤死》した西山太吉さん:《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、
        今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》
   『●「停波」恫喝…《大切なことは当時の官邸が放送法の解釈について介入して
     高市はそれを許容した側なのか、阻止に回ったのかという立場の問題だ》

 リテラの記事【総務省文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…】(https://lite-ra.com/2023/03/post-6266.html)によると、《もはやこれは国家の危機と呼ぶほかない。官僚が作成した行政文書を大臣が「捏造」だと言い張ることは、この国の行政文書の信用・信頼性を当の大臣が根底から毀損しているからだ。そもそも文書が「捏造」なのだというのであれば、文書捏造の責任を負うのは当時の総務大臣で責任者である高市大臣にほかならないだろう。しかし、いま大きな問題にしなければならないのは、高市大臣の悪あがきではない。もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう》。
 日刊ゲンダイのコラム【適菜収「それでもバカとは戦え」/一連の“高市騒動”の前提 安倍晋三による言論弾圧は疑惑ではなく客観的事実だ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/319888)によると、《要するに政府にとって都合の悪いテレビ番組を潰すために悪党が動いたわけだ。内部文書には「現在の放送番組には明らかにおかしいものもあり、こうした現状は正すべき」という安倍の発言や「けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要がある」という礒崎の発言も記載されている》。

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https://lite-ra.com/2023/03/post-6266.html

総務省文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…
2023.03.10 07:00

     (首相官邸HPより)

 ついに総務省が「行政文書」だと認めた、放送法の解釈変更をめぐる官邸側と総務省側のやりとりなどを記した内部文書問題。ところが、当時総務相だった高市早苗・経済安保担当相はこの期に及んでも「捏造だ」という主張を繰り返している。

 もはやこれは国家の危機と呼ぶほかない。官僚が作成した行政文書を大臣が「捏造」だと言い張ることは、この国の行政文書の信用・信頼性を当の大臣が根底から毀損しているからだ。そもそも文書が「捏造」なのだというのであれば、文書捏造の責任を負うのは当時の総務大臣で責任者である高市大臣にほかならないだろう。

 しかし、いま大きな問題にしなければならないのは、高市大臣の悪あがきではない。もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう。

 しかも重要なのは、この放送法の解釈変更へといたる過程と軌を一にして安倍政権による報道圧力は苛烈さを増し、さらに2015年の法解釈の変更と2016年の高市総務相による「停波」発言によって、安倍政権によるテレビメディア支配は行き着くところまで行ってしまったことだ。

 内部文書がつくられた前後にあたる2014年から2016年にかけて、安倍政権がいかに放送への介入や報道圧力を強め、テレビによる報道を歪めさせていったのか。この重要な事実をあらためて振り返っていこう。

 まず、大前提として触れておかなくてはならないのは、報道圧力は第二次安倍政権からはじまったものではなく、安倍晋三という人物がそもそも報道の自由の重要性についてまったく理解しておらず、平然と放送に介入・圧力をかけてきたということだ。

 それを象徴するのが、2001年に起こったNHK番組改変問題だろう。これは日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷を取り上げたETV特集問われる戦時性暴力』に対し、内閣官房副長官だった安倍氏と自民党の中川昭一衆院議員(故人)のふたりが放送直前に政治的な圧力をかけ、その結果、番組が改変されたという事件だが、このとき安倍氏は「勘ぐれ、お前」という直接的ではない脅し文句で圧力をかけてきたことを、当時面会したNHK放送総局長が証言している。

 当然、自身が首相となった第一次政権では、虚偽報道などを理由とした放送法に基づく番組内容への「行政指導を乱発。メディア論が専門の砂川浩慶・立教大学教授の『安倍官邸とテレビ』(集英社新書)によると、1985年から2015年までの30年間で行政指導がおこなわれた件数は36件だったが、そのうち7件は第一次安倍政権(2006年9月〜2007年9月)のたった約1年のあいだにおこなわれたものだった(ちなみに民主党政権下では一件も行政指導はおこなわれていない)。7件の行政指導がおこなわれた際の総務相は、菅義偉だ

 日本テレビのディレクターとしてメディアの最前線に身を置いていた水島宏明・上智大学教授は、第一次安倍政権下の2007年ごろ、ある民放キー局の経営者から「やつらは本当にやばい」「一線を越えて手を突っ込んでくる」と聞かされたという(「Journalism」2015年10月号/朝日新聞出版)。この「やつら」とは無論、安倍氏と菅氏のことだ。「やばいやつら」が政権に返り咲き、首相と官房長官としてタッグを組んだのが、第二次安倍政権だったのである。


フジ・日枝、テレ朝・早河、日テレ・大久保らテレビ幹部と会食を繰り返した安倍首相

 しかし、ここで指摘しておきたいのは、第二次安倍政権においておこなわれたメディア対策は、報道に目を光らせて圧力を強めただけではなかった、ということだ。

 たとえば、安倍首相は総理就任後から、フジテレビの日枝久会長やテレビ朝日の早河洋社長、日本テレビの大久保好男社長(肩書はすべて当時)といったテレビ局幹部との会食に繰り出すようになったが、その一方で目立ちはじめたのが、情報バラエティ番組への露出だった。

 実際、2013年1月には「安倍晋三総理誕生SP」と題した『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)に出演。同年4月には『スッキリ!!』(日本テレビ)に約40分間も生出演し、このとき安倍首相は自分から同番組に出演したいと希望したことを明かしたり、海外ドラマの『24』を全部観たと明かすなど、番組は終始なごやかムード。同番組は翌日にも「安倍首相本当にスタジオに来てくれちゃいましたSP」と題し、VTRで安倍首相特集を組んだほどだった。また、同月には『情報7daysニュースキャスター』(TBS)の独占インタビューも放送されたが、そのコーナータイトルも「安倍政権100日 好調のウラに極秘手帳」というものだった。

 くだんの内部文書でも、当時安倍官邸で広報担当の首相秘書官を務めていた山田真貴子氏が、ひとつの番組でも政治的公平かどうかを判断することを可能にしようとする礒崎陽輔首相補佐官の動きに反発する際、「総理はよくテレビに取り上げてもらっており、せっかく上手くいっているものを民主党の岡田代表の時間が足りない等言い出したら困る」と発言していたことが記されている。この発言からもわかるように、安倍首相を好意的に扱う番組にどんどん露出するというのが安倍官邸のメディア対策でもあったのだ。

 逆に、安倍政権に批判をおこなう番組は邪魔なものであり、圧力をかける対象となった。安倍政権が最初に表立って報道圧力のターゲットにしたのは、『NEWS23』(TBS)だ。

 礒崎首相補佐官が『サンデーモーニング』を目の敵にして総務省に放送法の解釈変更を要求しはじめるのと同じ2014年11月、自民党は安倍首相が街頭インタビューVTRに逆ギレした『NEWS23』生出演後、自民党筆頭副幹事長だった萩生田光一・現政調会長らが差出人となって在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した“報道圧力文書”を送りつけている。だが、じつはこの前年の2013年にも、萩生田氏が中心となって『NEWS23』に圧力をかける事件が起こっている。


『NEWS23』に安倍首相が激怒 取材拒否、恫喝文書で手下の萩生田光一が圧力を

 問題となったのは、第二次安倍政権にとって最初の国会が最終日を迎えた2013年6月26日放送回。この日の『NEWS23』では、安倍首相に対する問責決議のために電気事業法改正案など重要法案が廃案になったことを伝えたのだが、このとき番組では、民間団体「自然エネルギー財団」ディレクターの大林ミカ氏による「政争の道具にされていますよね。(与党は)もしかしたら法案を通す気がなかった」という談話を放送。番組終盤では、岸井成格キャスターが「十分な議論がないまま、最後に問責(決議)で不信任でやっていいですかと一番言いたい」と批判した(毎日新聞2013年7月29日付)。

 ご覧のとおり、キャスターの岸井氏は与野党ともに批判していたわけだが、自民党は大林氏のコメントを標的にし、翌27日、「番組内容の構成は著しく公正を欠いている」としてTBSに抗議。毎日新聞の取材に応えた萩生田氏は「参院選を前に、(党内で)マイナスのイメージを受けることにはきちんと物を申そうと決めていた」と語り、〈番組の放送翌日からプロデューサーや報道部長らと連日会って「ハードなネゴ(交渉)」を続けた〉。しかし、6月末の番組内での訂正放送をおこなうことを要求するもTBSが拒否したため、参院選公示日だった7月4日、安倍首相や石破茂幹事長など党幹部の取材を拒否すると発表したのだ。

「自民党は法案を通す気がなかったのでは」というだけのコメントに対し、「番組で訂正しなければ選挙取材をさせないぞ」と恫喝する──。もはや常軌を逸しているとしか思えないが、このとき自民党が恫喝に動いた理由は、もちろん安倍首相にある。TBS幹部は「安倍さんはよほど怒っていたようだ」と語り、萩生田氏も「決着がつかないなら、TBSに出なくてもいい」と安倍首相が述べ、党の判断を支持したと明かしている。

 安倍首相が『NEWS23』を目の敵にしていたのは、キャスターの岸井氏が父・晋太郎の番記者を務めていた過去があり、父とも関係も深い「保守派」の人物だと認識していたにもかかわらず政権批判を厭わない岸井氏の姿勢に激怒していたとも言われているが、この恫喝の結果、7月5日にTBSの西野智彦報道局長が自民党を訪れ、「指摘を重く受け止める」とする文書を提出。その日の夜、安倍首相は生出演した『プライムニュース』(BSフジ)で「事実上の謝罪をしてもらったので問題は決着した」と発言し、取材拒否の解除となったのだ(TBSは「訂正・謝罪はしていない」とコメント)。

 この2013年に起こった一件を見ても、安倍首相が『NEWS23』を敵視していたこと、実働部隊として萩生田氏が現場への圧力に動いていたことがわかる。そして2014年11月20日、『NEWS23』での街頭インタビューVTRに生出演中の安倍首相が逆ギレし、萩生田氏が在京テレビキー局に恫喝文書を叩きつけた。かたや、安倍首相の片腕だった礒崎首相補佐官は11月26日、総務省に「ひとつの番組だけで政治的公平かどうかを判断できる」ように放送法の解釈変更を迫りはじめたのである

 しかも、礒崎氏が動きはじめたのと同じ11月26日、自民党は『報道ステーション』(テレビ朝日)のアベノミクスにかんする放送に対しても注意文書を送付している。つまり、安倍自民党および安倍政権が、とりわけTBSの『NEWS23』と『サンデーモーニング』、テレ朝の『報道ステーション』という個別の番組を狙い撃ちして、圧力を強めようとしていたことがわかるだろう。


『報道ステーション』『クローズアップ現代』幹部を呼び出し“停波”をちらつかせ恫喝

 そして、このあと安倍政権による個別番組を狙い撃ちした圧力は、どんどん強まっていく。

 翌2015年1月、『報道ステーション』の不定期コメンテーターだった古賀茂明氏が、「イスラム国」による邦人人質事件について、安倍首相の外交姿勢を毅然と批判。「I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要がある」と発言した。

 これに官邸が大激怒し、当時、菅官房長官の秘書官を務めていた中村格・前警察庁長官が番組放送中から番組編集長に電話をかけまくり、出なかったため、今度はショートメールで猛抗議。その内容は「古賀は万死に値する」というものだったという。この一件により古賀氏の3月末での番組降板、さらに安倍政権に限らず歴代与党からの圧力にも臆することなく『報ステ』のジャーナリズム路線を支えてきた番組統括の女性チーフプロデューサーの更迭、キャスターの古舘伊知郎と絶妙なコンビネーションワークで視聴者に人気のあったコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の降板が決まった。

 だが、直接的な官邸の番組介入に古賀氏は黙らなかった。最後の出演回となった2015年3月27日の放送で、古賀氏は「菅官房長官をはじめとして官邸のみなさんからものすごいバッシングを受けてきた」と発言したのだ。

 この発言が火に油を注ぎ、菅官房長官は「事実無根」「放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない」と批判。さらに自民党を使って実力行使に出る。同年4月17日、自民党の「情報通信戦略調査会」がNHKとテレビ朝日の経営幹部を呼びつけて事情聴取を実施。NHKは『クローズアップ現代』が放送した「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」でやらせ疑惑が発覚した問題、テレ朝は『報ステ』における古賀発言を問題にしたかたちで事情聴取はおこなわれたのだが、聴取のあと、川崎二郎・同調査会会長は「政府は停波の権限まである」と発言したのだ。

 政権党が個別番組に介入し、幹部を呼びつけた挙げ句、停波までちらつかせる──。安保法制の国会提出を控え、安倍政権が放送局に対して睨みをきかせるべく、本格的に暴走をはじめた時期ともいえるだろう。

 しかも、その手口は個別番組に介入するだけではなかった。

 たとえば、前述した2014年11月に自民党の萩生田氏らが差出人となり在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに送りつけた“報道圧力文書”だが、このとき自民党はNHKと在京テレビキー局の官邸記者クラブのキャップを党本部に呼びつけたうえで恫喝文書を示したという。また、2013年の『NEWS23』への抗議の際も、他局の報道内容をチェックして〈TBS以外の局にも口頭で抗議〉していたという(前出・毎日新聞)。

 こうした直接、政治部記者を呼びつけたり、どやしつけることの効果は絶大なものだったと想像に難くない。目を付けられることでネタをもらえず、自社だけが“特オチ”するのではないかという不安に駆られた政治部の記者たちが、社内の報道に横やりを入れるという「忖度」の構造は、こうして蔓延していったのだ。


高市“放送法解釈変更”答弁から数カ月で『クロ現』国谷、『報ステ』古舘、『NEWS23』岸井が一斉に降板

 そして、安倍官邸によるメディア圧力の総仕上げとして飛び出したのが、今回問題となっている放送法の解釈変更だった。安倍首相によるお墨付きを得たかたちで2015年5月12日、高市総務相によって「一つの番組のみでも極端な場合は一般論として政治的に公平であることを確保していると認められない」という放送法の解釈を変更する答弁がおこなわれたのだ。

 このあとの報道の自由の崩壊、ジャーナリズムの弱体化は、まさにあっという間だった

 まず、安保法制の国会審議がスタートして以降、安倍首相のメディア対応は露骨さを極めた。集団的自衛権を火事にたとえ、煙が生肉にしか見えない模型で自ら解説した『みんなのニュース』(フジテレビ)や、国会開会中に大阪入りしてまで出演した『情報ライブ ミヤネ屋』『そこまで言って委員会NP』(ともに読売テレビ)など、安倍首相のテレビ出演はフジテレビ系や日本テレビ系、NHKに集中。TBSとテレ朝、テレビ東京の番組に出演することはなかった。つまり、厳しい指摘や批判が予想される番組には出ず自分の主張を垂れ流してくれる番組を選別し、出演したのだ。

 一方、『報ステ』や『NEWS23』は安保法制の報道で気概を見せたが、当然、安倍政権はそれを見逃さなかった。同年9月には自民党の「放送法の改正に関する小委員会」の佐藤勉委員長が、テレビの安保法制の報道をやり玉にあげて「公平・公正・中立は壊れた。放送法も改正したほうがいい」と恫喝発言。

 さらに、同年11月には、小川榮太郎氏やすぎやまこういち氏、ケント・ギルバート氏らといった「安倍応援団」によって設立された「放送法遵守を求める視聴者の会」が、産経新聞と読売新聞に全面の意見広告を掲載。その内容は、放送法を曲解し、『NEWS23』とキャスターの岸井氏を攻撃するものだった。

 「視聴者の会」は初代事務局長の小川氏をはじめ、下野時代から安倍氏と密接な関係を持って応援してきた、極めて安倍首相に近いメンバーで構成されていた。同時に日本会議系人脈の多さや接点も指摘されていた。そんな団体が、特定の番組とキャスターを攻撃するために、数千万円はかかると見られる全面意見広告を出す──。その動きは、もはや安倍政権の別働隊といえるものだった。

 このとき、「視聴者の会」はTBSと岸井氏、さらには総務省にまで公開質問状を送りつけたといわれ、この「視聴者の会」の動きにTBS幹部は真っ青。その結果、同月中に一気に岸井氏の番組降板は決まったといわれている。

 しかも、翌12月には『報ステ』の古舘キャスターの降板が、年が明けて2016年1月には、2014年に菅官房長官に厳しく質問を浴びせたことで官邸を激怒させた『クロ現』の国谷裕子キャスターの降板が発表。岸井、古舘、国谷という安倍政権に睨まれつづけてきたキャスターが、3月末をもって一斉にそれぞれの番組から消えることが決定したのである。


安倍政権で完成した政権による言論支配はいまも…総務省文書問題も他人事報道

 いま振り返ってみても異常事態としか言いようがなく、陰に陽に繰り広げられてきた安倍政権による報道圧力がいかに苛烈なものであったかは、2016年春に起こった各局を代表するキャスター一斉降板劇からも明らかだろう。そして、こうしたキャスターを降板に追いやることに成功し、図に乗っていた安倍政権から飛び出したのが、2016年2月の、高市総務相による「停波」発言だったのである。

 しかし、「停波」をちらつかせずとも、このときすでにテレビ局の“現場”はすっかり骨抜きになっていた。実際、同年2月29日に田原総一朗氏や岸井氏、金平茂紀氏、青木理氏などテレビ業界に身を置くジャーナリストらが「停波」発言に対する抗議声明を発表し記者会見をおこなったが、この会見で読み上げられたテレビ局関係者の声は、あまりに生々しいものだった。

「気付けば、街録で政権と同じ考えを話してくれる人を、何時間でもかけて探しまくって放送している。気付けば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている」
「私たちは今までどおり自由に企画を提案しても、通らないことが多くなったり、作ったものに対しても直しを求められることが増え、それがいつの間にか普通になり、気付けば自由な発想がなくなってきているような状況だ。以前のように政策をチェックし、批判すべき点を批判するということが明らかにできていない。おかしいことをおかしいとは言えない閉塞感が漂っている。若い新入社員などはそれをおかしいとは思わず、これを基準に育っている」

 第二次安倍政権発足時から繰り返されてきた、放送法を曲解・悪用した公権力による報道圧力は、こうして時を経るごとにますます具体化されていった。それはいまも変わらないどころか、さらにひどくなっている。政治にかんする報道はめっきり減り、報道・情報番組では政権の代弁者めいた評論家や御用ジャーナリストばかりが重宝され、批判的報道も必ず政権の言い分を同程度垂れ流すなど、完全に腰砕け。ワイドショーなどでは問題政策や政権不祥事がまともに報じられることなくスルーされることも多い。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという言論統制体制が完成してしまったのである。

 しかも、それは今回の内部文書問題でも露呈している。安倍首相の側近による要求によって、放送法の解釈が捻じ曲げられるというとんでもない過程が記された重大文書が出てきたというのに、当初、NHKの『ニュース7』『ニュースウオッチ9』がこの問題を無視。民放各局も、総務省が「行政文書」と認めるまで、詳しく触れようとしなかった。

 安倍政権下で失われてしまった「権力監視」という役割を、テレビは取り戻せるのか。いや、取り戻すためには、このように安倍政権下で繰り広げられた放送法の曲解・悪用や報道圧力を自ら検証し、政治介入を許さないという大原則を確認する必要がある。そのためにも、今回の内部文書問題を、テレビこそが徹底追及しなければならない

(編集部)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/319888

適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中

適菜収「それでもバカとは戦え」
一連の“高市騒動”の前提 安倍晋三による言論弾圧は疑惑ではなく客観的事実だ
公開日:2023/03/11 06:00 更新日:2023/03/11 06:00

     (啖呵を切ったのに、議員辞職を否定(高市早苗
      経済安保担当相)/(C)日刊ゲンダイ)

 今回の高市早苗を巡る一連の騒動。前提として確認しておきたいのは、安倍晋三という異常な人物が、言論統制・言論弾圧を行っていたのは疑惑ではなく、客観的事実であるということだ。アメリカ国務省が発表した人権状況に関する2016年版の年次報告書には、放送局が政治的な公平性に欠ける放送を繰り返した場合、高市が電波停止を命じる可能性に言及したことを挙げ、「安倍政権によるメディアへの圧力強化に懸念が強まった」と指摘した。

 16年、国境なき記者団は「国境なき記者団は日本のメディアの自由の低下を懸念する」という文書を発表。「安倍政権によるメディアの独立性への脅し」「主要な放送局内で自主規制が進んでいること」などを挙げた。

 3月2日、立憲民主党の小西洋之議員が安倍政権時代に作成された総務省の内部文書を公表。そこには礒崎陽輔首相補佐官(当時)が14年11月26日に、放送法の解釈や違反事例などの説明を総務省に問い合わせてから、翌15年5月に高市が従来の政府見解を事実上見直すまでのやりとりが時系列でまとめられている。

 要するに政府にとって都合の悪いテレビ番組を潰すために悪党が動いたわけだ。内部文書には「現在の放送番組には明らかにおかしいものもあり、こうした現状は正すべき」という安倍の発言や「けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要がある」という礒崎の発言も記載されている。

 当時、総務相だった高市は自身の言動に関する記述から「全くの捏造文書だ」と主張。捏造でなかった場合は閣僚や議員を辞職するかと問われると「結構だ」と答えた。その後、総務相の松本剛明が「すべて総務省の行政文書であることが確認できた」と述べ、礒崎が総務省に「問い合わせた」ことも認めた。内部文書によれば、礒崎は「この件は俺と総理が二人で決める話」「しかし、俺の顔をつぶすようなことになれば、ただじゃあ済まないぞ」と圧力をかけたという。

 結局、高市は議員辞職を否定、「私に関しての4枚については内容が不正確であると確信を持っている」とトーンダウン。アホくさ。ちなみに15年、礒崎は安保法案に関し「法的安定性は関係ない」と口を滑らせている。安倍政権がやったことは、自由と法に対する挑戦だった
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●《メディアコントロール》は続いている…《だからといって、政治》と統一協会の《関係について徹底追及がおこなわれているわけではない》

2022年08月03日 00時00分04秒 | Weblog

[※ 「自民党と旧統一教会の闇」(週刊金曜日 1386号、2022年07月22日) ↑]


(2022年07月24日)
リテラの記事【統一教会と自民党の関係をごまかす動きがいまだに…民放は有田芳生に発言自粛を要求、NHKでは政界への言及がタブーに】(https://lite-ra.com/2022/07/post-6214.html)。

 《ようやくメディアでも取り上げられはじめた、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政治の関係。当初は田崎史郎氏や橋下徹氏、東国原英夫氏、古市憲寿氏、三浦瑠麗氏といったおなじみの安倍応援団たちがあの手この手で政治の問題に波及することを阻止しようと必死だったが、自民党への選挙協力の実態が暴かれるなど積み上がっていく証拠を前に、それはかなわなかったらしい。しかし、だからといって、政治と統一教会の関係について徹底追及がおこなわれているわけではない。いまなおワイドショーでは、コメンテーターたちがトンデモな擁護発言を繰り返しているからだ》。

 前川喜平さん《「暴力と言論」…言論の衰退と暴力の増長の悪循環を止めるには言論を立て直すしかない。だから今言論が委縮してはいけない》。

 アベ様の《メディアコントロール》という置き土産 … 《新聞・テレビはこの宗教団体の名前を報じていないが、ネット上では「統一教会」…》…「アベ様のNHK」を除けば、テレビでもようやく報じ始められた。《しかし、だからといって、政治と統一教会の関係について徹底追及がおこなわれているわけではない》。アベ様応援団は、何を恐れているのか? 《安倍氏と統一教会の関係》、自民党と統一協会の関係が追及されると、何か問題でも? 《安倍氏および自民党をはじめとする政治家と統一教会の関係を矮小化しようと必死》なのか? 《テレビ局自体が政治と統一教会の問題を深掘りすることに及び腰で、核心に迫る「政治の力」の問題にとどまらず、統一教会系メディアである世界日報や特定の政治家の名前を出すことさえNGにしている》。

   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●「統一協会、暴力団、日本会議に神道議員連盟…どうするの」と
     ヤジり返して、アベ様にそれらの真偽を確認してもらうべきだった
   『●あとの祭り…《故人の過大評価、美化・神格化…「安倍元首相の悲願は
        憲法改正」「憲法改正が安倍元首相の夢だった」》の垂れ流し…
   『●《二〇二一年時点で民主主義国は八十九で、権威主義国は九十。世界人口
       の七割の約五十四億人が権威主義下で暮ら》す…91国目に堕ちる?
   『●《私は意見を言いません、強いものの近くにいたいのです、という宣言
      に、音楽業界の偉い人がすり寄っているという光景は、あまりに…》
   『●前川喜平さん《「暴力と言論」…言論の衰退と暴力の増長の悪循環を
     止めるには言論を立て直すしかない。だから今言論が委縮してはいけない》
   『●《メディアコントロール》という置き土産 … 《新聞・テレビはこの
      宗教団体の名前を報じていないが、ネット上では「統一教会」…》
   『●《彼のしたこと、しようとしてきたことはただただカネ儲け、戦争が
     できる国への道づくりだった》…それを支持する「1/4」と「2/4」
   『●《「民主主義への挑戦・冒涜」という点で言えば、それこそ安倍政権の
       8年とは、まさに民主主義への挑戦と冒涜、否定の連続であった》
   『●《元首相の死によってすべての疑惑を闇に葬り去るどころか、安倍氏を
     神格化しようとしている》…「民主主義を断固として〝破壊〟する決意」
   『●「不気味な兆候」は既に現実になっている…《まさに言論の砦たる
        メディアとメディア人の役割が問われています》(青木理さん)
   『●《少数意見を尊重し、歩調を合わせようと努めて議論を重ね、成り
     立ってきた戦後民主主義ではないか。それを「聞かない」とは。…》

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https://lite-ra.com/2022/07/post-6214.html

統一教会と自民党の関係をごまかす動きがいまだに…民放は有田芳生に発言自粛を要求、NHKでは政界への言及がタブーに
2022.07.21 03:13

     (首相官邸HPより)

 ようやくメディアでも取り上げられはじめた、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政治の関係。当初は田崎史郎氏や橋下徹氏、東国原英夫氏、古市憲寿氏、三浦瑠麗氏といったおなじみの安倍応援団たちがあの手この手で政治の問題に波及することを阻止しようと必死だったが、自民党への選挙協力の実態が暴かれるなど積み上がっていく証拠を前に、それはかなわなかったらしい。

 しかし、だからといって、政治と統一教会の関係について徹底追及がおこなわれているわけではない。いまなおワイドショーでは、コメンテーターたちがトンデモな擁護発言を繰り返しているからだ。

 その筆頭が『ひるおび』(TBS)でおなじみの八代英輝弁護士だろう。八代弁護士は、同番組に13・14日に出演した若狭勝弁護士の“奈良県警が犯行動機を宗教に持って行こうとしている”“ネット上の安倍批判に影響されたのでは”などといった主張に同調するような態度を示していた。ところがその後、山上徹也容疑者のものとされるTwitter投稿が発見され、山上容疑者が安倍政権を擁護する自称「ネトウヨ」だったことが明るみに出ると、19日放送回では山上容疑者の人格を俎上に載せ、「母離れできてない人格。マザコン」「そういった部分が結局、攻撃性に転化してた」「非常に幼稚なんだな、精神構造が」などとコメントしたのだ。

 どう考えても「安倍氏と統一教会の関係」という問題から話題をそらすためとしか思えないが、この八代発言にはネット上でも〈兄も父も自死して自分も家族の献金の為に自殺未遂までして、家も財産も家族も人生全て奪われて、それでもまだ盲信する母親を見捨てずにいたことがマザコンの一言になるのか〉〈これは全国の「信仰二世」で苦しい思いをしている人に対しても相当な侮辱発言ではないか?〉などと批判が殺到した。

 だが、安倍氏および自民党をはじめとする政治家と統一教会の関係を矮小化しようと必死なのは、八代弁護士だけではない。

 たとえば、18日放送の『ひるおび』では、ふかわりょうが、この期に及んでも安倍氏と統一教会との関係を無視して「今回、ある種の思い込みによってターゲットを安倍元総理にした」と強調。さらには「(統一教会の)闇が暴かれているのだとしたら、それは安倍元総理の功績であって、あの命によってこういう隠れていた部分が出たんだなあと私は捉えたい」などと絶句するほかないコメントをした。

 さらに、19日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)では、生出演した有田芳生氏が国会議員会館における統一教会の活発なロビー活動の実態について触れると、安倍・維新応援団の野村修也弁護士が「(問題は)この団体が存在として望ましい団体なのかどうかの一点だけで、(政治家に)やっている活動自体はそれほど、普通の団体がやっていることと違わない」と語気を強めて主張。その主張がまかり通るなら暴力団などの反社会的団体がロビー活動をしても問題ないことになるが、挙げ句、野村弁護士はつづけてこんなことを言い出した。

「日弁連だってロビー運動やってますからね。だから当然のごとく議員会館に入って、みんな主義主張を述べていて、それを悪い行為だって言っている人は誰もいない」

 まさか、日弁連と、霊感商法や違法勧誘などで被害を生み出し「反社会的」と指摘されてきた統一教会を同列に並べてまで、政治家との関係を擁護するとは……。開いた口が塞がらないとはこのことだろう。


■“安倍氏・自民党と統一教会の関係”に切り込む有田芳生にテレビ局が「“政治の力”は言わないでくれ」

 このように、安倍氏・自民党をはじめとする政治家と統一教会の関係に踏み込むことを阻止するかのごとく、露骨なまでに安倍・統一教会擁護の発言を連発するコメンテーターたち。しかも、問題なのは、これがコメンテーターだけではないことだ。

 現在、必死に矮小化しようとするワイドショーのコメンテーターたちに囲まれながらも、この「安倍氏・自民党と統一教会の関係」に切り込んでいるのが有田芳生氏で、18日に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、過去に警察庁と警視庁の幹部が統一教会の摘発に意欲を示していたにもかかわらず実行されなかった理由について、「政治の力だった圧力」と語ったと証言。この発言にスタジオが凍りついたことがネット上で大きな話題を呼んだばかりだが、一方、有田氏は19日夜に出演したYouTubeチャンネル「Arc Times」の生配信で、こんな裏話を披露したのだ。

「きょう電話してきたあるテレビ局の人に、『有田さん、政治と統一教会の問題を語ってもらいたいんだけれども、“政治の力は言わないでくれ』って言われた」
「(ほかにも)『世界日報って言葉は言わないでください』とか、『ある特定の政治家の名前は言わないでください』とか(言われた)。一カ所の局だけじゃないですよ、複数の局ですけど」

 ようするに、コメンテーターだけではなく、テレビ局自体が政治と統一教会の問題を深掘りすることに及び腰で、核心に迫る「政治の力」の問題にとどまらず、統一教会系メディアである世界日報や特定の政治家の名前を出すことさえNGにしている、というのだ。

 それだけではない。安倍氏の事件以降、『モーニングショー』は連日、統一教会の話題を取り上げてきたというのに、有田氏から「政治の力」発言が飛び出した18日放送回以降、19日も20日もなぜか統一教会の話題を番組で取り扱わなかったのだ。

 いや、それでも有田氏を番組に出演させた局は、まだマシなのかもしれない。これよりもっと露骨で最悪なのが、公共放送・NHKだ。


■NHK『日曜討論』で「統一教会と政治の関係」に言及した江川紹子の発言を司会が完全スルー

 NHKといえば、11日に安倍氏の銃撃事件を『クローズアップ現代+』で特集し、そのなかで安倍氏が2021年に統一教会系NGO団体に贈ったビデオメッセージを流したものの、深掘りすることはなかった。しかも、問題はこのあと。翌12日の『ニュースウオッチ9』では、弁護士時代に統一教会の訴訟代理人を務めていた自民党の高村正彦・前副総裁を登場させて安倍氏の功績を語らせたかと思えば、15日放送の同番組では精神科医の片山珠美氏が登場。片山氏は以前からメディア上で小室圭さんを「無自覚型のナルシスト」「精神病質人格」などと分析、臨床心理学・犯罪心理学などが専門の原田隆之・筑波大学教授が「差別的な誹謗中傷」だと指摘していた人物なのだが、片山氏はこの日も “苦しい幼少期・少年時代を過ごした人は歪んだ特権意識を持ちがち”などと発言。これにネット上では批判が殺到した。

 極め付きが、17日放送の『日曜討論』だろう。この放送ではジャーナリストの江川紹子氏が「団体(統一教会)と政治家との関係を見直さなければならない」「今回の選挙でも統一教会の支援を受けている候補者がいる」と言及したにもかかわらず、司会者は討論の俎上に載せず見事にスルーしてみせたのだ。もちろん、NHKはこの姿勢をいまも崩しておらず、民放が政治と統一教会の関係について話題にするなかでも、いまだにその問題を追及することからあからさまに逃げ続けている

 安倍氏が亡くなってもなお、無くならない自民党への忖度・擁護。いや、これほどまでに衝撃的な事件が起こったというのに、その核心の部分にある重要な問題さえも見て見ぬふりをするとは、もはや報道機関としての機能が失われていると言っていいだろう。

(編集部)
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●内橋克人さん《今も進行中の格差の拡大、すなわち、豊かな者がより豊かになり、貧しい者がより貧しくなるような経済のあり方に警鐘》

2021年12月12日 00時00分55秒 | Weblog

[※ ↑ 闘う主張、現場の声支えに 経済評論家・内橋克人さんを悼む (金子勝さん) (朝日新聞 2021年09月08日(水))]


/  (20211001[])
『クローズアップ現代+』の記事【追悼 経済評論家 内橋克人 未来への遺言】(https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pPLoJBZn8D/)。

 《あらためて過去の番組での発言を見ますと、まさに今の時代を予見していたような鋭い洞察に驚かされます。内橋さんは、今も進行中の格差の拡大、すなわち、豊かな者がより豊かになり、貧しい者がより貧しくなるような経済のあり方に警鐘を鳴らし続けました。これを内橋さんは<市場原理至上主義>と呼び、一貫して批判し続けました。そして内橋さんが訴え続けたのは、人間の幸せを中心に据えたもう一つの経済は、可能だということです。それは、いったいどういう経済なのでしょうか。》

   『●内橋克人さん ―――《今は社会問題と正面から向き合う経済ジャーナ
     リストがどんどん減る中で、また優れた知性を一人失った》(金子勝さん)
   『●内橋克人さん《「新自由主義」に代えて…F(フーズ)、E(エネルギー)、
      C(ケア) を軸にして地域で雇用を創る新しい経済政策を打ち出した》

 《市場原理至上主義》ではない、《人間の幸せを中心に据えたもう一つの経済は、可能だ》。
 FEC自給圏、《原発は『プルトニウムをつくる装置』》…本当に尊敬できる経済評論家でした。(宇沢弘文さんが蛇蝎のごとく嫌った)トリクルダウン教祖・竹中平蔵氏などとは全く違う、真の意味での経済ジャーナリストだった内橋克人さん。まだまだお話を聞きたかった《優れた知性》でした。お亡くなりになったこと、とても残念です。

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https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pPLoJBZn8D/

追悼 経済評論家 内橋克人 未来への遺言
NHK 2021年9月22日 午後4:35 公開

 2021年9月1日、経済評論家で、ジャーナリストの内橋克人さんが亡くなりました。権力におもねらず、弱い人たちの側に立ち続けた、89年の生涯でした。

 内橋さんは「クローズアップ現代」に50回出演いただいており、ほかにも「NHKスペシャル」など、多くの番組にご登場いただきました。

 あらためて過去の番組での発言を見ますと、まさに今の時代を予見していたような鋭い洞察に驚かされます。内橋さんは、今も進行中の格差の拡大、すなわち、豊かな者がより豊かになり、貧しい者がより貧しくなるような経済のあり方に警鐘を鳴らし続けました。これを内橋さんは<市場原理至上主義>と呼び、一貫して批判し続けました

 そして内橋さんが訴え続けたのは、人間の幸せを中心に据えたもう一つの経済は、可能だということです。それは、いったいどういう経済なのでしょうか。

 今回は、内橋さんが時代とどう向き合い、どんなメッセージを発信されてきたのかをご紹介します。

(制作局 窪田栄一)


「人間のための経済」を求めて

 まず、内橋さんの生い立ちからみていきましょう。

・昭和7年(1932)、神戸市生まれ。

・昭和20年(1945)、13歳の時、神戸空襲を体験。

     (太平洋戦争末期の空襲)

・昭和32年(1957)、大学卒業後、神戸新聞に入社。

 のちに、フリージャーナリストに転身。

     (神戸新聞時代の内橋さん)

・昭和53年(1978) 「匠の時代」を発表。

 日本の製造業を担う技術者・技能者の骨身を削る姿を描く。

     (匠の時代)

 1980年代後半から、日本社会は「バブル経済」に踊り、「マネー資本主義」が台頭し始めました。

 そして、1990年代初頭、バブルが崩壊すると、長引く不況から脱出する手立てとして叫ばれ始めたのが「規制緩和」「民営化」「金融の自由化」などでした。

・平成6年(1994) スーパーの出店を容易にする、大規模小売店舗法の規制緩和

・平成8年(1996) 派遣労働者が働くことのできる業種を拡大する、労働規制の緩和

 こうした規制緩和の動きに、多くの論者が賛同する中、内橋さんは、時流に流されず、「その改革は本当に人を幸せにするのか?」という観点から、独自の論を展開します。こうした改革はマネーの動きを活発にさせるかもしれないが、働く一般の人びとの利益にはつながらないのではないか、と問題提起したのです。

 特に、内橋さんが気にかけたのは、若者たちの未来でした。当時、増えつつあったのが、携帯電話を使って仕事を探し、一日単位で契約して働く、新しい働き方でした。

     (携帯電話 画面up)

 外食産業や運送業など、さまざまな企業が、人材サービス会社と契約を結んで、必要な時に必要な数だけ一日契約で人を確保することで、コスト削減をはかっていました


 内橋さんは、若者の働き方について、警鐘を鳴らし続けました。

技能とか技術というのは、ある程度の期間ですね、その仕事に習熟していく。そして習熟をして、自分のものに完全にしてしまってから、そこに能力、あるいは独創力、創造力、そういうものを発揮していく余地が生まれてくるわけですよ。ただそれを細切れにしてしまってね。それだけの創造力、競争力が出てくるかという、そこが一番大きな問題ですね


Q:こうした働き方が増える中で何が問われているんでしょうか?

結局、厳しい経済状況の中で、働く側の権利、というものがね。どんどん譲歩させられていると思うんですよ。それはある程度、やむを得ないかもしれないけど、いったいどこで立ち止まるのか。その基準をね、社会全体で、考えるときが来てると思う。その基準は何かといえば、働くというのは、人間の尊厳を守る、ということなんですね。ですから、尊厳ある労働、ということは、国際的にも叫ばれているわけですけど、それを割り込まない、そこは、国民的な議論の場にやっぱり持ち出す必要がある、そういう時期に来ている、分かれ道に来ている、といってよろしいんじゃないかと思いますけどね。

 

クローズアップ現代「急増 一日契約で働く若者たち」 2002年1月21日放送より)

     (「クローズアップ現代」出演中の内橋さん)

 この頃、派遣やパートで働く非正規労働者が急増しました。内橋さんは、労働規制の緩和などによって、正社員が減り、非正規労働者が増えていくことが、未来に与える影響に危機感を抱いていました

     (グラフ:正規雇用と非正規雇用の推移)


Q:パートタイマーが増えてくることを大きく捉えてみますとどういうことになりますか。

これで行きますと所得が少なくなる、そうすると賃金が減るからマイホームを持てなくなるし、消費もなかなか回すことが出来ない。そうすると景気が悪くなってくる、ということになりますね。あるいは厚生年金一つ見ても、こういう風に所得が低いとですね、自ら負担するということはなかなかできませんねマクロで見れば日本経済全体として放置していいかと、こういう問題が出てくるんじゃないでしょうか

(クローズアップ現代「さらば正社員・主役はパート」 2001年10月24日放送より)


 2008年に起きたリーマンショック。このとき、内橋さんが心配した通り、日本企業は一斉に派遣切りに踏み切ります。年末の東京・日比谷公園に開かれた年越し派遣村には、仕事も住まいも失った人々が押し寄せました。

 内橋さんはこの頃、マネー資本主義が猛威をふるう中で、日本に新たな貧困が広がっていると指摘しました。働いても働いても貧困から抜け出すことの出来ない、「ワーキングプアの存在です。

結局、勤労、働くということにね、どう報いるかというのが、その国のね、本質を物語るわけです。このままいきますとね、やっぱり生活するのに必要な最低の収入さえ得ることのできない勤労者、働く人ですね、マジョリティになる、多数派になる貧困マジョリティ少数派ではない貧困者は多数派になりますよそんな国がどうして豊かな国だといえますか?

(NHKスペシャル「ワーキングプアⅡ 努力すれば抜け出せますか」2006年12月10日放送より)


 内橋さんは、人の幸せにつながる新しい「人間のための経済」を提唱していました。


未来への遺言 FEC自給圏とは?

     (「クローズアップ現代」出演中の内橋さん)

 内橋さんは、批判するだけでなく、「人間のための経済を実現するための、具体的な構想も提唱し続けていました。「FEC自給圏」という、未来の持続可能な社会のデザインです。それはいったいどういうものなのでしょうか? 本人への詳しいインタビューを下記のサイトで読むことができます。


地域づくりアーカイブス インタビュー・地域づくりへの提言  いまこそ人と人とが共生する経済への転換を

地域づくりアーカイブス インタビュー・地域づくりへの提言  グローバル資本主義を超える「もう一つの経済」とは


 内橋さんの「未来への遺言」は、コロナ後の世界のあり方や私達の生き方を考える上で、大切な指針になるのではないでしょうか。


内橋さんが出演したクローズアップ現代リスト

1993年 4月14日 査定導入で生き残れ 町工場の雇用改革
1993年 6月23日 新党結成・羽田代表の本音に迫る
1993年 7月29日 政権交代へ ~非自民7党党首に聞く~
1993年10月 5日 対論・どうする所得税減税
1994年 1月13日 零細経営者はなぜ死を選んだのか ~丹後ちりめんの里~
1994年 3月  1日 さらば東京 ~不況で増えるIターン志願~
1994年 3月  2日 ホワイトカラーの合理化が始まった ~組織改革の舞台裏~
1994年 3月  3日 “半値”で生き残れ ~これがスーパーの生き残り戦略だ~
1994年 5月11日 町工場に技あり ~格闘・ポテトフライ製造器開発~
1994年 6月16日 ロボットから人手へ ~トヨタ・主力工場の大変身~
1994年 7月11日 負債5000億円からの再建 ~追跡・戦後最大の倒産~
1994年 7月12日 戦後初!信用組合解散の内幕
1995年 2月  9日 焼け跡からの再建 ~地場産業壊滅の中で~
1995年 3月13日 職人技が消えていく ~国産技術が危ない~
1995年 5月10日 円高・それでも海外移転せず
1995年 8月31日 海外移転はしたけれど ~人件費高騰・増える工場撤退~
1995年10月24日 損失1100億円はこう隠された ~大和銀行事件の構図~
1995年12月 4日 急増する住宅ローン破産 ~賃金下落・返済計画の危機~
1996年 1月29日 給料は上がらないのか ~ベア・定昇廃止宣言の衝撃~
1996年 5月14日 継続か見直しか? ~臨海副都心開発・迫られる決断~
1996年 6月21日 負債136兆円 ~岐路に立つ自治体~
1996年12月 5日 負債は誰が背負うか ~急増・第3セクターの破たん~
1997年 2月26日 部品ひとつが自動車産業を止めた ~検証・ブレーキ部品工場火災~
1998年 1月13日 商店街が消えていく ~スーパー撤退の波紋~
1998年 4月  1日 3社長はなぜ自殺したのか
1998年 8月26日 逆流する自動車部品 ~アジア進出企業 生き残り戦略~
1998年12月 1日 「貸し渋り」解消になるか ~中小企業40兆円融資の行方~
1999年 1月21日 就職先が決まらない ~変革迫られる職業高校~
1999年 2月23日 厚生年金 相次ぐ企業の脱退
1999年 9月  8日 問われる二重価格 ~検証・安売り商品の値段~
2000年 1月12日 阪神大震災から5年 苦境に立つ中小企業
2000年 7月27日 中小企業を救えるか ~検証・民事再生法~
2001年 8月  2日 タクシー運転手が足りない
2001年10月24日 さらば正社員 主役はパート
2002年  1月21日 急増一日契約で働く若者たち
2002年  5月14日 会社の中で独立します ~広がる個人事業主~
2002年12月  4日 高速を走る“過労トラック”
2005年  6月23日 街中に人は呼び戻せるか ~高齢化時代の都市再生~
2005年12月15日 故郷が消えていく ~相次ぐ集落崩壊~
2006年  6月  6日 割りばしに異変あり
2006年11月21日 隠される“労災” ~製造業の現場で何が~
2007年  4月26日 作家・城山三郎がくれたメッセージ
2008年  3月12日 正社員化が加速する
2008年11月20日 急増する“荒廃”マンション
2009年  4月23日 シリーズ オバマの100日② 医療保険制度改革のゆくえ
2010年  1月27日 正社員の雇用が危ない
2011年  3月30日 連鎖する震災ダメージ どうする日本経済
2011年10月17日 “自給力” ~食とエネルギーを自給する暮らしの可能性~
2012年  3月  1日 震災データマップ 記録が語る新事実
2014年10月30日 人間のための経済学 宇沢弘文 ~格差・貧困社会への処方箋~


番組情報

「追悼 経済評論家 内橋克人 未来への遺言」
  放送  9月23日(木)NHK総合 10:05~10:30
(再放送) 9月30日(木)NHK総合 00:24~00:49 ※水曜の深夜
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   『●『もうひとつの日本は可能だ』読了
    「グローバリゼーション (「市場化」・「民営化」) のオルタナティブ
     として、FECの地域内自給自足権 (圏) の確立こそ重要であることが
     提唱…。FECとは、Foods (食糧)・Energy (エネルギー)・
     Care (人間関係=医療や教育等)

   『●『浪費なき成長』読了
   『●『不安社会を生きる』読了(1/2)
   『●『不安社会を生きる』読了(2/2)
   『●『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』読了(1/4)
   『●『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』読了(2/4)
   『●『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』読了(3/4)
   『●『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』読了(4/4)
   『●原発絶対断固反対!
   『●FECにつながる「地給率」
   『●SLAPPと祝島
   『●TPP批判: 内橋克人さん
   『●まさに、FEC自給圏を目指せ
   『●内橋克人さんインタビュー: 
      〝貧困マジョリティー〟の形成と『FEC自給圏』への志向
   『●衆院選の惨敗と参院選という正念場:
       FEC自給圏・「浪費なき成長」と「暗闇の思想」
   『●原子力ムラに対して、開き直ろう!: 
       こういう挑発や脅し、騙しに乗ってはならない
   『●居直ろう!: 〈毒食わば皿まで〉?  
       「一度認めた以上、どこまでも認めるという論理の一貫性」?
   『●電源構成(エネルギーミックス)案という貧相な「未来図」:
                     泥棒やその子分に縄をなわせる愚
    「ニッポンにとって、デンマークはとても参考になると思うのですが?
     内橋克人さんのFEC自給圏の確立を」

   『●「原子力の平和利用」という核発電への幻想…「原発は『プルトニウム
         をつくる装置』」(内橋克人さん)にこだわる周回遅れのニッポン
   『●「始まりの地、福島から日本を変える」:
     シェーナウ電力、会津電力、飯舘電力…内橋克人さんのFEC
   『● FEC自給圏(内橋克人さん)…《地域の中で隣人同士が見守り合い、
      支え合いながら、病気を予防し、重症化を防ぎ、健康寿命を延ばす》


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●《権力をほしいままにし、国家を私物化してきた安倍首相も官邸を出てしまえば“ただの人”…司直の手に落ちることになるのか》?

2020年09月10日 00時00分57秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



琉球新報の【<社説>首相辞任表明 民意尊ぶ政治の復権を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1181527.html)と、
コラム【<金口木舌>この国は「美しい」のか】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1181523.html)。
リテラの記事【「密室談合」による菅官房長官の次期総理就任を許していいのか! GoTo、沖縄いじめ、公文書改ざん、メディア圧力の最大の戦犯】(https://lite-ra.com/2020/09/post-5611.html)。

 《沖縄についてこれまで「県民に寄り添う」と繰り返した。しかし、基地問題を巡り歴代内閣の中で最も民意に寄り添わなかった。「この道しかない」と、数の力で押し切る政治を終わらせ、民意を尊ぶ政治の復権を望みたい》。
 《戦後生まれ初の首相となった政治家が掲げた「美しい国」とはいったい何だったのか。国中が新型コロナウイルスの猛威にさらされている中での安倍晋三首相の辞意表明に接し、湧いてきた疑問である》。
 《菅官房長官は新型コロナの感染拡大の局面で「GoToトラベル」を前倒しして決行させた張本人であるというのに、そうした検証もすっ飛ばして“ポスト安倍”として露骨なヨイショ報道をする……。…その正体は安倍首相とまったく同じだ》。

   『●【金子勝の「天下の逆襲」/野党は「消費減税で戦う」ではなく
      ニューディール議論を】…最悪な税制なんかを導入したが故に…
   『●さようならアベ総理、そして、こんにちはアベ様…数々のアベ様案件
       について真相を解明し、真の「責任」を果たしていただきましょう
    「2020年8月28日(金)午後、漸くこの日を迎えました
     アベ様が首相辞任を表明しました

   『●斎藤貴男さん【二極化・格差社会の真相】《法令を順守しなければ
     ならないのは、誰よりも貴君ら自身、警察権力なのだと自覚したまえ》
   『●前川喜平さん《数々の政策の失敗…行政の私物化について、納得できる
       説明をし、ちゃんと謝罪し、その責任をとってから、辞めてほしい》
   『●《官邸職員による“腕つかみ質問阻止”》事件…南彰さん《ついに
     質問妨害が、実力行使に発展…安倍晋三首相の記者会見での出来事だ》
   『●浜矩子さん《日本をこの狂った道から正しい道に戻さなくては
     ならない。安倍政権はそれほど激しい歪みを日本経済に遺したのです》
   『●アベ様や財務相は、赤木さんが《残したファイルとか、いま黒塗りに
     なっている夫がうつ病になった経緯であるとか、出すのは簡単なことだ》

 日刊ゲンダイのコラム【適菜収 それでもバカとは戦え/安倍政権が7年8カ月で「成し遂げた」のは国家と社会の破壊】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277950)によると、《安倍は「政治においては、何日間在職したかでなく、何を成し遂げたかが問われるんだろうと思うが…」とコメント。え? どこのパラレルワールドの住人か知らないが、成し遂げたのは社会の破壊くらいだし、国民との約束を守らなかったことが現在問題になっているのにね。…乱暴なことは言ってはいけない。…一連の「安倍晋三事件」の追及がうやむやになる可能性もある。安倍が7年8カ月で日本に与えたダメージは凄まじい》。
 「安倍のいない世界」で、今からやるべきことが山積。そんなアベ様政治を次期首相は《継承》するつもりらしい。正気とは思えない。

   『●麻生太郎財務相兼副首相の狙いはどうやら《首相臨時代理》? アベ様や
          麻生氏が<辞めていただくことが、日本の為、復興の為になる>

 サイゾーの記事【安倍晋三首相の“華麗なる生い立ち” テレビ朝日が大河ドラマ仕立てで総括する異常さ】(https://www.cyzo.com/2020/08/post_251364_entry.html)によると、《「華麗なる一族からひも解く 安倍晋三 政界の頂点目指した原点と夢」と題して、その生い立ちからドキュメンタリー仕立てにして見せた。コーナーは2015年に米・議会で安倍首相が行ったスピーチから華々しく始まり、祖父・岸信介、父・安倍晋太郎の紹介。「華麗なる一族で育った安倍晋三総理は何を学び、何を成し遂げたのでしょうか」と、ドラマチックな音楽に乗せて始める。音楽効果ってすごいね。何やらもう、大スターの大河ドラマ的な、もしくは追悼番組かのようだが、あのぉ、辞任発表しただけで、まだ在任してるんですが。》
 《メディアコントロール》下でのマスコミのはしゃぎようときたら。青木理さんの『安倍三代』をドラマ化すれば良かったのにね。 

   『●青木理さん《そこまで政治家に期待するほどウブではない。ただ、
     子どもでもわかる嘘をこれほど連発して恥じない首相がかつていたか》?
    《現首相のルーツや生い立ちを取材して「安倍三代」(朝日文庫)を
     書いた際、成蹊大で現首相を教えた碩学が発した言葉は強烈だった。
     かつての教え子を評して「二つのムチ」に蝕まれていると。それは
     「ignorant」の「無知」と「shameless」の「無恥」だと》

 日刊スポーツ【政界地獄耳/首相辞任会見で労わなかった記者は冷酷か】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202008310000117.html)によると、《でも彼らは自民党の同僚議員ではない。政権の最高責任者に対して、「権力の監視」をする記者が、会見という「公式の場」で、「お疲れさまでした」「ご苦労さまでした」とねぎらいの言葉を発するのは、立ち位置が損なわれるし違和感がある。次の内閣に手渡すまで、職責を全うするという首相には、最後の会見として渡り合う、互いに“公式”の場でなければならなかったはずだ。 ★感想を言うのも意見を言うのも結構だが、新聞記者の中にも、このマナーのないメディア批判に同調する者がいる。それはお門違いも甚だしい。そのなあなあ主義は、記者クラブ制度のあしき慣習から生まれるマナーのない、緊張関係を維持する覚悟のない御用記者の心情だろう》。
 記者クラブの皆さんはとってもお優しいですよ、アベ様に。

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/岸田「継承」で狙う麻生派総裁派閥】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202008290000103.html)によると、《国民のために立ち上がるのか、党内調整でかごに乗って担がれるのか、国民といばらの道を乗り越えたいと訴える候補者はいるのだろうか》。
 《国民といばらの道を…》そんな方が無《責任政党》に居る訳がないでしょ!!

 日刊ゲンダイの記事【総裁選“菅圧勝”ムード…安倍首相「3つの誤算」でさらに窮地】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/278034)によると、《キングメーカー君臨構想は破綻寸前…「官邸官僚に取り込まれた安倍さんは、次第に菅長官を遠ざけ、とりわけコロナ禍をめぐる対応では完全に外していた。屈辱的な扱いをされた菅長官は内心、恨み骨髄のはずです。安倍さんが頼みにする盟友の麻生副総裁も叩き上げの菅長官を見下し、反目し合っている。安倍さんにとって不気味なのは、“モリカケ桜”といったスキャンダルの真相を菅長官が熟知していることです。いつ暴露されるか、安倍さんは心が休まらないでしょう。…」…権力をほしいままにし、国家を私物化してきた安倍首相も官邸を出てしまえば“ただの人”。次期政権に“100倍返し”の恥辱を味わわされ、司直の手に落ちることになるのか。》
 裸の《キング》と、その後を継ぐ最低の官房長官。世も末だ。《その正体は安倍首相とまったく同じだ》。それどころか、より陰湿に、より悪質に、より強権に。独裁、《メディアコントロール》はより強固に。
 特に沖縄にとって。最低の官房長官をはじめ、《悪夢》どころか、沖縄にとって「地獄」のようなアベ様政権でした。そして、最低の官房長官がそれを《継承》するわけです。『報道特集』(2020年8月29日)で金平茂紀さん「…あとは、沖縄ですよね。歴代の政権の中で沖縄に対して最も冷淡な政権だった」と。

 《首相の説明責任は消え》るわけがありません。醜悪な国にしてしまったアベ様の罪はあまりに深い。
 琉球新報の【<社説>「1強」政治 疑惑の説明責任消えない】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1182542.html)によると、《その前に歴代最長政権の「1強政治」をきちんと検証することが不可欠である。首相は第1次政権に続き任期半ばに病気で辞任することになるが、7年8カ月に及んだ第2次政権で噴出した数々の疑惑を幕引きにすることは許されない首相の説明責任は消えない。…辺野古新基地建設問題で政権は、選挙で何度も示された民意を無視し、技術的にも財政的にも完成が見通せない工事を強行している。地方自治や法治主義にも反するものだ。地域分断を図るような恣意的な予算制度も創設した。1強政治の反省なくして、後継首相を選ぶべきではない。安倍首相が政権発足時に掲げた言葉になぞらえれば、この長期政権で傷ついた日本の民主主義や立憲主義、法の支配などを取り戻すための歩みが今後求められよう》。

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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1181527.html

<社説>首相辞任表明 民意尊ぶ政治の復権を
2020年8月29日 06:01

 安倍晋三首相が辞任を表明した。2012年12月の第2次内閣発足から約7年8カ月。体調が悪化し、職務を継続するのが困難と判断した。

 会見で「政治は結果を出すこと」と強調したが、長期政権にもかかわらず、主要な政策目標は未達成が目立つ。

 沖縄についてこれまで「県民に寄り添う」と繰り返した。しかし、基地問題を巡り歴代内閣の中で最も民意に寄り添わなかった。「この道しかない」と、数の力で押し切る政治を終わらせ、民意を尊ぶ政治の復権を望みたい。

 第2次内閣発足以降、デフレ脱却の経済政策「アベノミクス」を推進した。名目国内総生産(GDP)600兆円の目標を掲げたが、達成していない。財政健全化のための基礎的財政収支(プライマリーバランス)の20年黒字化は先送り。指導的役割を占める女性の割合が20年に「30%」という「女性活躍」目標も達成せず。北方領土問題や拉致問題は解決できなかった。

 国政選挙で連勝し「安倍1強」体制を築く。しかし、17年の衆院選小選挙区で自民党は得票率5割に満たないが7割超の議席を獲得した。現行の小選挙区制のひずみである。

 だが、安倍政権が信任されたと強弁して、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法特定秘密保護法、「共謀罪」法を国民の根強い反対を無視して成立させてきた。長期政権のおごりは森友・加計問題、首相主催の「桜を見る会」の私物化疑惑に表れた。

 沖縄には国内の米軍専用施設の約7割が集中し、米軍による事件や事故が相次ぐ。今年6月23日の「慰霊の日」に首相はビデオ映像を通じて「基地負担の軽減に向け、確実に結果を出す決意だ」と述べた。「唯一の解決策」として、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を強行する。対米交渉で辺野古以外の解決策を見いだそうとしなかった

 米軍基地問題に対する県政の姿勢によって沖縄関係予算を増減させ、県を通さず国が市町村に直接交付する「沖縄振興特定事業推進費」を創設、地域の分断を図ろうとした。「アメとムチ」の政策である。

 辺野古の問題で昨年12月、埋め立て海域の約70メートルより深い軟弱地盤への対処などのため、総工費が当初計画の約2・7倍の約9300億円とする計画見直し案を発表した。しかし、技術的にも財政的にも完成は見通せない

 安倍首相の大叔父に当たる佐藤栄作首相は、琉球政府の屋良朝苗主席に対し「本土の(基地)負担を沖縄に負わすようなことはしない」(1971年)と明言した。だが約束は今も果たされていない

 安倍政権は、国政選挙や知事選挙、県民投票などで辺野古新基地建設反対の民意が示されても無視してきた。民主主義を形骸化させ、少数の国民に基地の負担を押し付けてはばからない政権として、歴史に名が刻まれるだろう。
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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1181523.html

<金口木舌>この国は「美しい」のか
2020年8月29日 06:00
金口木舌 安倍晋三 戦後レジーム 慰霊の日

 戦後生まれ初の首相となった政治家が掲げた 「美しい国」とはいったい何だったのか。国中が新型コロナウイルスの猛威にさらされている中での安倍晋三首相の辞意表明に接し、湧いてきた疑問である

▼憲法改正を信条とし「戦後レジームからの脱却」を唱えた。「国のかたち」を変えたかったのであろう。それは集団的自衛権の行使容認で半ば達成したが、改憲は果たせなかった。安倍政権下の改憲を国民は嫌った

▼今月15日の全国戦没者追悼式で述べた式辞に安倍首相の基本姿勢が表れている。「積極的平和主義」が登場し、「歴史と向き合う」という趣旨の言葉が消えた。過去を顧みることを避ける政治家なのである

▼歴史に翻弄(ほんろう)され、今もなお歴史の重さを県民が感じている沖縄で首相の言葉が響かなかったのは当然のようにも感じる。「慰霊の日」の全戦没者追悼式のあいさつでは、やじが飛ぶこともあった

▼もう一つ、安倍首相が避けてきたことがある。民意を直視することだ。選挙や県民投票を通じて示された辺野古新基地ノーの意思に背を向けてきた。国政への不信感は沖縄で極まっている

▼コロナ禍で国民は疲弊している。沖縄では民意が押しつぶされ続けている。この国は今「美しい」と言えるのか。豊かさで満たされているだろうか。残り少ない任期の中で安倍首相には国民の姿を見つめてほしい。
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https://lite-ra.com/2020/09/post-5611.html

「密室談合」による菅官房長官の次期総理就任を許していいのか! GoTo、沖縄いじめ、公文書改ざん、メディア圧力の最大の戦犯
2020.09.01 01:33

     (首相官邸HPより)

 やっぱり菅義偉官房長官が表に出てきた。細田派・麻生派の支持を取り付けた菅官房長官は明日会見を開いて総裁選出馬を発表すると見られているが、もちろんこれらはすべて「密談」で決定済みの茶番劇だ。

 本サイトでは、菅官房長官が安倍首相の最大の後見人である“極右の女神”櫻井よしこのネット放送『言論テレビ』に出演したときから、“とにかく石破だけは避けたい”安倍首相が菅官房長官を選んだ結果、と分析していたが、そのとおりだったということだろう。

 しかも、安倍首相が菅押しの二階俊博幹事長に「総裁選は一任する」と明言したときから、石破茂氏をつぶすため党員・党友による投票が省略されることも既定路線。党員・党友投票見送り方針には地方組織や若手議員から反対の声があがっていたが、二階幹事長は「両院議員総会」案を主張し、自民党総務会もこれを決定。菅官房長官が次期総裁・首相となることは確実だ。

 そして、こうした動きと合わせてすでにワイドショーも「次期総理最有力」として菅官房長官の特集を組み、昨日放送の『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(CBCテレビ)では「集団就職で秋田から上京してきた苦労人」「段ボール工場で住み込みしていた苦学生」「叩き上げ」「甘いもの好き」「人情家」「意外とお茶目」などと喧伝。コメンテーターが「好きになりそう」などと無邪気なコメントを繰り広げていた。

 菅官房長官は新型コロナの感染拡大の局面で「GoToトラベル」を前倒しして決行させた張本人であるというのに、そうした検証もすっ飛ばして“ポスト安倍”として露骨なヨイショ報道をする……。だが、言うまでもなく、菅官房長官は「令和おじさん」「パンケーキおじさん」などで片付けられるようなものではない。その正体は安倍首相とまったく同じだ

 そもそも、菅官房長官といえば「安倍政権のゲッベルス」として安倍首相の強権的な政治運営を支え、質問に答えない「スガ話法」で記者会見をズタズタにしただけではなく、加計学園問題では「総理のご意向」文書を「怪文書」呼ばわりしたり、前川喜平・元文科事務次官のことを「前川氏は当初は責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位にレンメン(編集部注・おそらく「恋々」の間違い)としがみついていた」などと虚偽の情報で人格攻撃を展開。さらに、東京新聞の望月衣塑子記者の質問に対しては「あなたに答える必要はありません」「ここは質問に答える場所ではない」などと官房長官としてあるまじき暴言を放ってきた

 しかも、忘れてはならないことは、菅官房長官は安倍政権下で噴出したあらゆる疑惑の当事者”でもある、ということだ。


■森友公文書改ざんは菅官房長官が司令塔、近畿財務局職員・赤木俊夫さんを追い込んだ

 その最たる例が、森友公文書改ざん問題だろう。というのも公文書改ざんは、安倍首相の指示を受けた菅官房長官が、佐川宣寿・理財局長(当時)らに命じてはじまった可能性が高いからだ。

 公文書改ざんは2017年2月17日の「私や妻が関係していたということになれば、私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」という安倍首相の国会答弁がすべてのはじまりだったが、安倍首相は「総理を辞める」宣言のあと、菅官房長官に「私の家内の名前も出ましたから、しっかりと徹底的に調べるように」と指示を出していたことを国会でも認めている。

 実際、菅官房長官はこれを受けて、同月22日に財務省の佐川理財局長と中村稔・総務課長、太田充・大臣官房総括審議官(いずれも当時)を呼び出している。ここで佐川氏は、昭恵夫人付職員だった谷査恵子氏が森友学園の小学校に賃料引き下げの優遇措置を適用できないかなどと財務省に照会していたことを報告。そして、この面談から4日後の26日から改ざん作業ははじまり、財務省の指示により真っ先に昭恵夫人や安倍首相の名前が入った箇所がことごとく削除されていく。その作業を強要されたのが、自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんだったのである。

 赤木さんの妻・雅子さんは、安倍首相が辞任の意向を固めた際、「次に総理大臣になる方は、夫がなぜ自死に追い込まれたのかについて、有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施していただきたいと思います」とコメントを公表したが、“改ざんの当事者である疑いが濃厚な菅官房長官が総理大臣となればこの訴えが聞き入れられることはないだろう

 さらに、菅官房長官の強権性を物語るのが、沖縄の辺野古新基地建設問題だ。

 安倍政権は辺野古新基地建設に反対する民意を無視し、基地反対運動に参加する市民たちを暴力で排除したり、繰り返される在沖米軍による事故や事件にも政府として何ひとつ向き合わず沖縄をいじめ抜いてきたが、その先頭に立ってきたのが沖縄担当大臣でもある菅官房長官。しかも、そのやり方は陰湿そのもので、沖縄県知事選では潤沢な選挙資金と組織力にものを言わせたすさまじい物量作戦を展開しただけでなく、街頭演説で「携帯電話料金の4割削減」などというデタラメな公約を打ち出した上、玉城デニー氏を誹謗中傷する大量のデマ喧伝にも間接的にかかわっていたという疑惑もある(詳しくは既報参照 → https://lite-ra.com/2018/09/post-4241.html)。

 2018年に亡くなった翁長雄志・前沖縄県知事と菅官房長官は法政大学の同窓でもあるのだが、翁長氏が講演で明かしたところによると、2015年9月に沖縄県と政府の集中協議が決裂した際、翁長氏が「私の話は通じませんか」と問いかけると、菅官房長官はこう語ったのだという。

「私は戦後生まれなので沖縄の歴史はなかなか分からないが、19年前の日米合同会議の辺野古が唯一というのが私の全てです」


■『クローズアップ現代』『報道ステーション』に圧力、キャスター、コメンテーターの降板に追い込んだ

 また、この集中審議後の会見で菅官房長官は、翁長氏の「戦後の強制接収が普天間問題の原点」という主張に対し、こんなことを言い放っている。

「賛同できない。戦後は日本全国、悲惨ななかでみなさんが大変ご苦労されて今日の豊かで平和で自由な国を築き上げてきた」

 みんな苦労したのだから沖縄だけ文句を言うな──。少しでも沖縄の歴史を知っていれば、とてもじゃないが口にできるはずがない言葉だ。しかし、菅官房長官は「戦後生まれだから」という理由で沖縄を知ろうともしなかったくせに、翁長知事の訃報に際しては「2人になると沖縄の発展について話し合いをよくした」などと発言したのである。

 これでよく「人情家」などという評価が出てくるのか、さっぱり意味がわからないが、しかし菅官房長官を語る上でもっとも重要なのは、安倍政権によるメディア圧力を担ってきた、という点だ。

 というのも、菅官房長官はニュース番組やワイドショーなどの放送をいちいちチェックしており、気にくわない報道やコメントがあれば、すぐさま上層部にクレームを入れることで圧力を高めてきた張本人だからだ。

 たとえば、2014年7月にNHKの『クローズアップ現代』に出演した際には、閣議決定されたばかりだった集団的自衛権の行使容認についてキャスターの国谷裕子氏が厳しい質問を繰り出し、菅官房長官は激怒。その後、政権側は『クロ現』のやらせ問題を隠れ蓑にして圧力を強め、最終的に国谷氏のキャスター降板まで追い詰めた。

 さらに有名なのが、『報道ステーション』(テレビ朝日)で古賀茂明氏が「I am not ABE」と発言し、レギュラーコメンテーターを降板させられた事件だろう。このとき官邸は古賀発言に大激怒し、本サイトでも当時伝えたように「菅官房長官の秘書官」が放送中から番組編集長に電話をかけまくり、出なかったため、今度はショートメールで猛抗議。その内容は「古賀は万死に値する」というようなもので、恫喝以外の何物でもなかった

 のちに古賀氏は著書『日本中枢の狂謀』(講談社)で、恫喝した菅官房長官の秘書官が警察官僚の中村格氏であったことを明かしている。中村氏といえば、官邸に近いジャーナリスト・山口敬之氏による伊藤詩織さんへの性暴力疑惑をめぐって、直前で山口氏の逮捕取りやめを指示した人物として知られるが、このようにして菅官房長官はマスコミをコントロールしてきたのだ


■会食でメディア関係者、ジャーナリストを手なづけ、懐柔する作戦も

 しかも、菅官房長官は恫喝するだけではなく、マスコミ関係者と会食をしては手懐けるという安倍首相と同じ手法もとっている。そして、その会食相手には、菅官房長官へのヨイショ発言も目立つ『ひるおび!』(TBS)司会の恵俊彰の名が取り沙汰されたこともある。

 菅官房長官のこうした懐柔工作は、政権に批判的なキャスターにも向けられている。毎日新聞の主筆や『NEWS23』(TBS)アンカーなどを務めた故・岸井成格氏は、佐高信氏との対談本『偽りの保守・安倍晋三の正体』(講談社)で菅官房長官の手口を証言している。これによれば、岸井氏は企業の幹部に話をするという勉強会を長くつづけていたのだが、その場に菅官房長官が突然、やってきたというのだ。

「(菅官房長官は)黙って来た。誰かから聞いて知ったんだろう。最初から最後までいたよ。終わると『今日はいい話を聞かせていただいて、ありがとうございました』と言って帰っていった。怖いよな」
「『どこで何を話しているか、全部知っていますよ』ということを見せているわけだ。『人脈も把握しています。岸井さんが動いているところにはいつでも入っていけますよ』というメッセージかもしれない」(『偽りの保守・安倍晋三の正体』より)

 まさに、菅官房長官が陰に陽に繰り広げてきたメディア工作により忖度が広がり、スキャンダルや疑惑が持ち上がっても批判的な報道が徹底してなされず、安倍政権は約8年もの長期政権となったわけだが、当然、菅官房長官が次期総理となれば、メディア圧力はさらに激しさを増し、安倍政権以上に批判が封じ込められることは必至だ

 現に、菅官房長官は“ポスト安倍”を睨んで、安倍首相が辞意表明をおこなう前から積極的なメディア露出を展開。8月だけでも、1日『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)、2日『日曜討論』(NHK)、7日『櫻LIVE 君の一歩が朝を変える!』(言論テレビ)、18日『深層NEWS』(BS日テレ)、21日『報道ステーション』(テレビ朝日)と、テレビやネットの番組に次々と出演したが、どの番組も菅官房長官の言い分を言わせっぱなしで、たとえば『報ステ』では一応「GoToキャンペーン」や国会を開かない問題を質問したものの、菅話法で返されるとほとんど反論できず、そのインチキな主張を垂れ流した。前述したように『報ステ』はかつて菅官房長官から露骨に圧力をかけられたことがあるが、メディアへの圧力問題にはふれることすらできなかった

 圧力をかけられることを恐れ、総裁・総理になる前から及び腰となり、「安倍政権のゲッベルス」と呼ぶべき人物を「パンケーキおじさん」と実態を覆うための糖衣でくるんでヨイショ報道に終始する──。ようするに、菅総理が誕生するということは、安倍政権の悪夢がこれからもつづいてゆくということにすぎないのである。

(編集部)
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●《非核三原則や日本の憲法9条がハメネイ師から高い評価を受けたとの一部情報もある》…なぜ主張しないの?

2019年06月26日 00時00分59秒 | Weblog


日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/トランプの“パシリ”安倍が得たものは】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201906170000092.html)。
日刊ゲンダイのコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/政権べったりのNHKは恐ろしいことをしてるって気づいてよ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/256536)。

 《アヤトラ(アーヤトッラー)の称号を持つハメネイ師が首相の父、安倍晋太郎との信頼関係からだとツイッターにつづっている。「安倍晋三は元外務大臣・安倍晋太郎の息子である。あの古い友人の息子を侮辱するために? いいえ。もちろんイランは日本のタンカーを攻撃することはありません。そしてアヤの古い友人の息子が訪問しているときはもちろんです」。ハメネイ師は「核兵器を製造も保有も使用もしないとの発言があった」と首相は伝えたが、その際、非核三原則日本の憲法9条がハメネイ師から高い評価を受けたとの一部情報もある。日本外交にとっては得るものの大きかった“仲介”だったはずだ》。
 《「日本が今戦争になったら、NHKのニュースは、本当に大本営発表を流すだろう。ここまで来ると、さすがに恐くなってくる。」(作家・平野啓一郎)》。

 《非核三原則日本の憲法9条がハメネイ師から高い評価を受けたとの一部情報もある》…アベ様は、なぜそれを主張しないの? 主張や報道の仕方によっては、《日本外交にとっては得るものの大きかった仲介だったはず》なのではないか?
 まぁ、無理ですね。だって、アベ様は壊憲イノチ・9条破壊原理主義者ですし、小型核兵器保持OKですもの…。

   『●オバマ氏の広島訪問さえも単なる選挙対策…
       …自民党は「口だけ」、選挙で同じ過ちを繰り返してはいけない
   『●「台湾の原発ゼロ」…あ~ニッポンは、
     3.11東電原発人災に正しく学ばない中毒患者と『続・猿の惑星』
   ●石破茂氏「日本への核拡散」発言と山尾氏「私事」による 
            離党の事の軽重…マスコミはわきまえているか?
   『●「いや、ミサイル落ちたら、うちら民間人だって死ぬわな。
                 Jアラートでしゃがみ込んでも意味ないよ」
   ●トランプ氏「学校の先生たちを銃で武装させる」…
      アベ様は「戦争できる国」になり、「銃を持った善人」に
    《日本政府、つまり安倍首相の考えは、
     “核の保有や核兵器の使用は認められるべき”なのだ。
     …安倍首相は官房副長官時代の2002年に、早稲田大学で
     開かれた田原総一朗氏との対話のなかで
     「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。
     小型であればですね」と語っている」》

   ●斎藤美奈子さん、《え、ロシアと戦争するんですか? 
       勝てると思ってるんですか?》…日露戦争で歴史が?

 《非核三原則日本の憲法9条がハメネイ師から高い評価を受けたとの一部情報もある》…そんなことを報じるどころか、《日本が今戦争になったら、NHKのニュースは、本当に大本営発表を流すだろう。ここまで来ると、さすがに恐くなってくる》(平野啓一郎さん)ような惨憺たる状況。アベ様の政で唯一〝上手く行っている〟《メディアコントロール》な《テンチョンニュース》状態…。 

   『●《戦争が廊下の奥に立つてゐた》…
     《そんな時代にしてはならない》はずが、癒党お維や与党議員ときたら
    「琉球新報のコラム【<金口木舌>テンチョンニュース】(…)によると、
     《韓国に「テンチョンニュース」という言葉がある。1980年代の
     軍事独裁政権下、テレビで「テーン」という時報の音とともにニュースが
     始まると、アナウンサーは全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領は…
     と原稿を読み始めた ▼独裁者の成果を強調する偏向報道が
     まかり通っていた。軍部による報道機関の監視が強まったことが背景に
     あった。「テンチョン」という言葉は国民に事実を伝えない偏向報道を
     戒める文脈で使われる…▼日本では安倍政権が武器輸出
     「防衛装備移転」と言い換え、政府は米軍機の墜落を「不時着」「着水
     と発表した。報道機関の権力に向き合う姿勢も問われ続けている
     歴史の過ちを認め、将来を展望する国から学ぶべき点は多い》」

   『●《テンチョンニュース》で決して報じない
      《安倍さんが直接関わった疑惑。民主主義の根幹を壊す犯罪行為》
    「鈴木耕さん、《【本日の安倍総理】というコーナー…
     〈安倍の顔 見ない日はなし NHK〉》だそうです。
     《<金口木舌>…韓国に「テンチョンニュース」という言葉がある…
     国民に事実を伝えない偏向報道を戒める文脈で使われる》。さしずめ、
     「時報の音とともにニュースが始まると、アナウンサーはアベ様は…
     と原稿を読み始めた」といった感じか。「権力の監視」を出来ない、
     権力を批判できない報道に大きな問題。飼いならされる報道。
     あぁ、アベ様のNHKをはじめとした飼いならされた報道…。鈴木耕さんの
     コラムの〆の言葉、《だがいまや、この国のマスメディアは…
     「安倍支持率上昇マシンと化している気がして仕方ない……》」

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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201906170000092.html

コラム
政界地獄耳
2019年6月17日7時30分
トランプの“パシリ”安倍が得たものは

★13日、首相・安倍晋三はイランの最高指導者ハメネイ師と会談。内外の評価は割れている。国内メディアは米国とイランとの間の仲介役としての役割の大きさを語るが、欧米メディアは米トランプ大統領の、特使という名の使い走りとの評価もあるようだ。それを裏付けるのはハメネイ師との会談での発言。「トランプがメッセージを交換するに値する人物だとは思われない」「彼への返事はない。回答しない」「米国がイランと誠実な交渉に関心があるとは思えない。トランプのような人物からそれを望んで来ることはないからである。米国の官僚の間には誠実さというのは頻繁に見られるものではない」と厳しい。

★結果、14日の米ウォールストリートジャーナルは首相の訪問中のタンカー攻撃も含め「中東和平における初心者プレーヤーが痛みを伴う教訓を得た」との見出しを付け「日本の指導者による41年ぶりの訪問を終え、米国とイランの対立関係は以前より不安定になった」と皮肉った。だが、旧西側で会談できたのは首相だけでもある。

★会談することで解決を望むどころか米国の指示で仲介に来たと分かっていても会談に臨んだのはアヤトラ(アーヤトッラー)の称号を持つハメネイ師が首相の父、安倍晋太郎との信頼関係からだとツイッターにつづっている。「安倍晋三は元外務大臣・安倍晋太郎の息子である。あの古い友人の息子を侮辱するために? いいえ。もちろんイランは日本のタンカーを攻撃することはありません。そしてアヤの古い友人の息子が訪問しているときはもちろんです」。ハメネイ師は「核兵器を製造も保有も使用もしないとの発言があった」と首相は伝えたが、その際、非核三原則日本の憲法9条がハメネイ師から高い評価を受けたとの一部情報もある。日本外交にとっては得るものの大きかった仲介だったはずだ(K)※敬称略
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/256536

室井佑月 作家
1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。


室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」
政権べったりのNHKは恐ろしいことをしてるって気づいてよ
2019/06/21 06:00

     (平野啓一郎(C)日刊ゲンダイ)

   「日本が今戦争になったら、NHKのニュースは、本当に大本営発表
    流すだろう。ここまで来ると、さすがに恐くなってくる。」(作家・平野啓一郎

 これは作家の平野さんの6月15日のTwitterでの言葉。ちなみに、OKAMOTOさんという方のTwitter、

   「出たぞ!岩田明子のトンデモ解説『イランは、安倍総理の助言を重視してる』。」

というツイートにリツイートしての言葉だ。

 岩田明子さん、ニュース7に出ているNHK政治部記者兼解説委員。安倍さんのお気に入りだという。今回もイランまでいって、13日のニュースの中継で、

   「ハメネイ師が外国の首脳と会うことは多くなく、日本政府は伝統的な
    友好国のトップであり、なおかつトランプ大統領とも緊密な関係を維持する
    安倍総理大臣の助言を重視していることの表れだとみています」

   「安倍総理大臣は一連の会談でイラン側の真意を引き出すことができた
    と受け止めてます」

と語っておった。

 はぁ? 安倍さんがハメネイ師に会えたのは、これまでの日本とイランの関係が良かったからじゃ。でも、これからはそれも微妙。安倍さんはトランプさんの伝書鳩をやってしまった。

 会談後、ハメネイ師はご自分のツイッターに連続で米国批判をあげた。会談の中でも、米国は体制転覆を望んでないと伝える安倍さんに、それは嘘だと突っぱねておった

 どこをどう受け止めれば、ハメネイ師が安倍首相の助言を重視していることになるんだか。安倍さんのおかげでイラン側の真意を引き出したって、なにも変わっちゃいないがな。

 この人、米国と北朝鮮についても、安倍首相が梯子をかけてやった、なんて解説をしてた。

 NHKは「クローズアップ現代」などいい番組もある。けど、大本のニュースはこの路線でやってくの? 恐ろしいことをしてるって気づいてよ
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●政権広報「アベ様のNHK」への切っ掛け…アベ様や中川昭一氏に「勘ぐれ、お前」と忖度を強要されて…

2019年03月28日 00時00分30秒 | Weblog

[『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著、ちくまプリマ―新書257)↑]



マガジン9のインタビュー記事【この人に聞きたい 永田浩三さんに聞いた:NHK「番組改変」と「慰安婦」問題の今】(https://maga9.jp/190220-5/)。

 《…といった発言が、悪びれもなく飛び出してくるような現状があります。こうした状況はなぜ生まれてきたのか? と考えるとき、思い出さずにいられない出来事の一つが、従軍慰安婦をテーマにした番組が政治家の圧力によって改変された、2001年の「NHK番組改変」問題です。20年近くが経った今、番組プロデューサーとして「改変」の渦中にいた永田浩三さんに、当時の状況と今の思いをお聞きしました》。

 哀しくも、今やアベ様独裁政権広報アベ様のNHK」に成り下がった…その切っ掛けとなる「NHK番組改変問題」。前半の《NHK「番組改変」》とそれがその後の報道に与えた多大な影響だけでなく、後半の《「慰安婦」問題の今》についても、色々と考えさせられることが多かった。

  『●『創(2009年12月号)』読了(1/2)
    「綿井健陽さん・・・「報道やジャーナリズムに携わる者が、
     「言論・報道の自由」という言葉を抵抗手段として公に訴える場合は、
     それは対国家、対公権力に向けて使うべきだと私は考えている。
     たとえばNHKの「ETV番組改編問題」のときの
     安倍晋三や故・中川昭一ら国会議員(当時)の対応、古くは毎日新聞
     西山太吉記者(当時)の沖縄返還密約記事での逮捕・有罪、
     最近では映画『靖国』上映中止問題のときに国会議員らが試写要求と
     文化庁に口出しや取材対象者に接触する行為など、これらは
     「言論・報道の自由」の問題として、それこそ良い意味での
    〝メディア・スクラム〟でもって対応すべき出来事だった」

  『●『官僚とメディア』読了(3/3)
    「朝日新聞の誤報などでは決してない「番組改変が政治的圧力によって
     行われた」間違いのない事実(p.150、『国家とメディア』)。
     「NHK・・・らが中川昭一・経産相(当時)、
     安倍晋三・自民党幹事長代理(当時)内閣総理大臣に呼ばれ、
     ・・・などと放送中止を求める発言もした」。
     「中川はNHKに事前に圧力をかけたことをはっきり認めている
     これだけはっきりしゃべったことを後でひっくり返すのは、
     無責任極まりない態度だと言うほかない」(p.167)。
     辰濃哲郎記者の〝無断〟録音〝事件〟。「・・・辰濃の名誉は
     どうなるのだろう。ことの真相を伏せられ、必要以上の汚名を
     着せられたまま退社処分になった彼の人権はどうなるのか」(p.170)」

   『●『DAYS JAPAN』
      (2014,APR,Vol.11,No.4)の最新号についてのつぶやき
    「斎藤美奈子さん【OUTLOOK 首相の怨念を背負ったNHK会長の迷走】。
     「ETV2001 問われる戦時性暴力」番組改悪事件に対する執念が……
     「自分と思想信条や歴史認識を同じくする(であろう)人物をトップに
     据えておけば、よもや『問われる戦時性暴力』のような番組が
     製作されることはあるまい、とでも判断したのだろうか」。でも、
     「……せっかく独裁体制を敷いたのに、露骨すぎて逆に権威が失墜
     これじゃ現場への圧力もかけられまい。ご愁傷様である」」

   『●それでも自公政権が支持されるのはいったいなぜ? 信じ難い現実・・・
   『●アベ様は「報道がそれで抑圧される、そんな例があったら   
               私は辞める」と明言・・・ETV番組改編問題は?
   ●元祖?・有言実行されない大見得・啖呵
      《報道がそれで抑圧される、そんな例があったら私は辞める》
    「リテラの記事【財務省にも同じ手法を? 安倍首相が17年前、NHKに
     「忖度による改ざん」をやらせたときの狡猾な手口】…《安倍首相自身にも、
     公的な組織に直接、圧力をかけて改ざんをさせた“前科”…いかに真実を
     ねじ曲げる改ざんという行為に躊躇がないか。…NHK放送総局長に
     「勘ぐれ、お前」と忖度強制放送を改ざんさせた安倍
     「NHK番組改変問題」…「ETV2001」の全4回シリーズ『戦争をどう裁くか』の
     第2回『問われる戦時性暴力』》」
    「以下のリテラの記事の〆の言葉…「NHK番組改変問題」の当事者だった
     永田浩三さんは、《とても他人事とは思えない。だれが好き好んで、
     現場が自主的に改ざんに手を染めたりするものか》」
    《何の得もしない、汚い仕事を押し付けられた現場の人間だけに責任を負わせ、
     幕引きをはかる。──犠牲者が出ている以上、そんな決着のつけ方は
     絶対に許されない

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https://maga9.jp/190220-5/

この人に聞きたい
永田浩三さんに聞いた:NHK「番組改変」と「慰安婦」問題の今
By マガジン9編集部  2019年2月20日

今年1月、元日本軍「従軍慰安婦」の一人、韓国の金福童さんが亡くなりました。被害を受けた当事者が次々と世を去って行く一方で、日本ではネット上に「慰安婦問題はでっち上げ」などとする歴史修正主義の言説が広がり、政治家の口からさえ「どこの国にもあったこと」「強制連行はなかった」といった発言が、悪びれもなく飛び出してくるような現状があります。こうした状況はなぜ生まれてきたのか? と考えるとき、思い出さずにいられない出来事の一つが、従軍慰安婦をテーマにした番組が政治家の圧力によって改変された、2001年の「NHK番組改変」問題です。20年近くが経った今、番組プロデューサーとして「改変」の渦中にいた永田浩三さんに、当時の状況と今の思いをお聞きしました。

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NHK番組改変問題とは何だったのか

──2001年1月、NHK教育テレビ(Eテレ)で「問われる戦時性暴力」と題した、「従軍慰安婦」や「戦争責任」をテーマとしたドキュメンタリー番組が放送されました。その後、朝日新聞を中心とした取材によって、番組内容が放送直前に大きく改変され、しかもその背景に与党の政治家からの強い圧力があったと報じられることになります。
 永田さんは当時NHKにおられ、「問われる戦時性暴力」のプロデューサーを務めておられました。改めてこの問題について、振り返ってお話しいただけますでしょうか。

永田 番組が放映される前年、2000年の12月に、東京・九段会館で「女性国際戦犯法廷」が開かれました。「従軍慰安婦」をはじめとする旧日本軍による性暴力について、国際法上どのような罪に当たるのかを明らかにし、日本軍や日本政府、昭和天皇の責任を追及しようとする民間法廷です。ベトナム戦争中にアメリカの戦争犯罪責任を追及した「ラッセル法廷」(※)に倣って行われたもので、NGO「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(略称バウネットジャパン/現・「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター)などによって主催されました。
 この女性国際戦犯法廷を取材し、そこで問われたものは何だったのかを分析・検証しようと企画したのが「問われる戦時性暴力」でした。ところが、放送前日にNHKの幹部が永田町に呼びつけられ──と私は聞いていますが、幹部たちによれば「自分たちのほうから出向いて行った」ということになります──安倍晋三氏や中川昭一氏といった政治家たちに、番組内容の説明を行った。その結果、放送直前になって番組の内容を大きく変えろという指示が、現場に下りてくることになったのです。

※ラッセル法廷…ベトナム戦争中の1967年5月、スウェーデンのストックホルムで開催された、アメリカのベトナムにおける戦争犯罪を裁く民衆法廷。哲学者バートランド・ラッセルの呼びかけによって実現したことから「ラッセル法廷」と呼ばれる。


──具体的には、どのような変更が加えられたのでしょうか。

永田 後の朝日新聞の報道などでも明らかになっていますが、政治家たちはNHK幹部に向かって「こう変えろ」と指示したわけではなく、「公平・公正にやってくれ」「勘ぐれ」などという言葉をかけたようです。つまりは「忖度しろ」ということですよね。
 その結果、大きく分けて、番組から三つの要素が消されました。まず、女性法廷の中で語られた、当事者である元「慰安婦」の女性たちの被害証言。もう一つは、日本政府がそれまでまがりなりにも「慰安婦」の存在を認めて施策をとってきていたという、その事実。そして、実際に戦場で女性たちへ性暴力を行った日本軍兵士たちの加害証言。この三つです。つまり、慰安婦問題の根幹の部分、加害性を限りなく薄め、問題の本質から目をそらす番組に変えさせたといえると思います。
 私はその圧力に対して、プロデューサーとして最終的に抗うことができなかった。結果として「改変」に荷担することになってしまったわけです。


──その後、バウネットジャパンがNHKなどを相手取って訴訟を起こしたりもしましたが(※)、NHKは現在でも、「政治家からの圧力があった」ことは認めていないのですね。

※訴訟を起こした…「問われる戦時性暴力」の放送後、バウネットジャパンは、番組内容が当初聞いていた企画と異なり、「女性国際戦犯法廷」の内容が正確に伝えられていないとして、NHKや制作会社を相手取り提訴。一審・二審はNHKや制作会社の責任を一部認めたが、最高裁ではバウネットジャパンの要求が全面的に退けられた。

永田 そのとおりです。政治家は関係なく、NHKが自主的に──あるいは自律的に──変える判断をしたんだ、と主張しています。
 たしかにこの番組については、制作会社との行き違いなどもあり、ぎりぎりまで内容をめぐってNHK内部で論争がありました。それでも、いろいろとすりあわせをして、前日の夕方には「この内容で行きましょう」という合意ができていたわけです。それを突然、幹部が永田町に出向いた直後に、手のひらを返すようにして「あれを変えろ、これを変えろ」という指示が下りてきた。そこにはどう考えても嘘があるし、露骨な政治介入が発生したとしか考えられないと思います。本来なら憲法21条にある「検閲」にあたる、明確な憲法違反だと疑っています。


──「改変」前の番組内容は、それほど衝撃的なものだったのでしょうか?

永田 そうは思いません。もちろん、被害女性や兵士たちの生々しい証言はありましたが、同じような内容はそれまでにもNHKでさまざまな形で紹介していた。従軍慰安婦にされた女性たちの存在は、1993年の「河野談話」(※)でも認められていたわけですし、「本邦初公開」というようなセンセーショナルな内容は全く含まれていなかったのです。
 「慰安婦」の問題が表面化したのは、韓国人の金学順さんが「私は日本軍の『慰安婦』だった」と名乗り出た1991年以降ですが、その2年後に河野談話が発表され、教科書への慰安婦問題に関する記述もはじまる中で、97年には「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(※)が発足するなど、慰安婦の存在や日本の戦争責任を否定しようとする動きが生まれていました。今思えば、番組改変も現在にまで続くそうした大きなうねりの渦中にあったのだと思います。

※河野談話…1993年に河野洋平官房長官(当時)が発表した談話のこと。91年に金学順さんら韓国の元慰安婦女性たちが、日本政府に補償を求め提訴したことを受けて実施された、慰安婦問題に関する調査の結果を踏まえて作成されたもの。慰安所の設置・運営に日本軍が直接・間接的に関与したことを認めている。

※日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会…1997年、自由民主党内で結成された議員連盟(のちに「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」となる)。従軍慰安婦の存在や南京事件などについて否定的な立場を取り、その視点から歴史教科書の記述の「是正」を主張していた。安倍晋三氏が事務局長を務めていた


──「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」には、番組改変の当事者とされる安倍氏、中川氏も参加していました。

永田 その意味でも、今振り返れば「変えろ」という指示が下りてきたときに、その一つひとつに対して「それは違いますよ」と抗って、闘うべきだったと思います。しかし編集長の私も勉強が足りなかったし、はね返す力が弱かった。こちら側の取材の薄さや認識の甘さにつけ込まれたところはあったと思うし、それは反省し、深く後悔するところです。
 しかも、この「改変」問題を機に、メディアの間では、慰安婦問題はますます「地雷」のような存在になって、扱われることが減りました。それまで慰安婦問題についての良質な番組をたくさんつくっていたNHKでも、なかなかテーマとして取り上げることができなくなってしまった。そういう状況を生み出してしまったことにも、強く責任を感じています。


慰安所は、戦場の「必要悪」だったのか

──その「番組改変」から20年近くが経ちました。インターネット上では、「慰安婦問題はでっち上げ」「売春婦だ」といった言説が、まことしやかに語られているのをよく目にします。同様の内容が政治家の口から語られることさえあり、昨年には米サンフランシスコ市での「慰安婦像」建立に対して、大阪市長が「事実と異なる言説を流布している」などと抗議、60年以上にわたるサンフランシスコ市との姉妹都市関係解消を決定しました。

永田 本当に、まがりなりにもこれまで積み上げられてきたものを一気に壊すほうに時代が向かっている気がしますね。
 ただ、そこにきちんとした知識や論理の裏付けがあるかといえば、そんなことはなくて。証拠を積み重ね、それを分析すればすでに決着はついていてもおかしくない問題なのに、日本の戦争責任にきちんと向き合うことをしたくない人たちが、悪あがきをして「なかったこと」にしようともがいているだけのように思えます。
 たとえば、朝日新聞が「吉田証言」(※)の誤りを認めたことがよく指摘されます。たしかにあの証言には、ディテールを操作していたりと、歴史資料としていいかげんな部分があるのは事実です。でも、だからといって慰安婦問題自体が「なかった」ということにはなり得ません。私は、吉田証言を含む記事を全面的に取り消した朝日新聞の検証も、残念ながらずさんなものだったと考えています。
 また、元慰安婦の女性たちの証言が「ころころ変わって信用できない」という人がいるけれど、そもそもなぜ「ころころ変わる」のか。そこには戦後、差別などを受ける中で、彼女たち自身がその記憶を封印して「なかったこと」にすることでようやく生きてきたという事実があるわけです。それを無視して「嘘つきだ」などととがめるのはまったくの的外れだし、証言者たちをまた新たに傷つけることにもなると思います。

※吉田証言…吉田清治氏(故人)による、「韓国・済州島で戦時中、地元の女性を日本軍慰安婦にするため暴力を使って無理やり連れ出した」とする証言のこと。朝日新聞は1980年代、この証言を含む16本の記事を紙面に掲載したが、2014年に「証言に虚偽があった」として記事の取り消しを発表した。


──また、慰安所は「必要悪」だった、といった論調もよく耳にします。戦争には多かれ少なかれああした場所はつきものであって、それを野放しにしていたらもっとひどいことになるから、国がきちんと管理していたのだ、というロジックですね。

永田 もちろん、日本軍の兵士たちによるレイプの横行があって、それを防ぐために慰安所をつくったという面はあるでしょう。でも、そもそもどうしてレイプが横行したかといえば、性欲だけの問題だったとは思えません。特に中国戦線においては、一見日本軍が勝ち進んでいるように見えても、実は地元住民によるゲリラ戦が多発し、多くの兵士が犠牲になっていました。その中で、住民たちに復讐心を抱いた兵士たちが、それを晴らそうとしてレイプに走ったわけです。つまり、女性をそんなふうに貶めるということが一つの攻撃手段、武器となっていたのだとも思います。
 他の戦争犯罪と比べて「慰安婦」に過剰に反応して否定しようとする人が多いのも、それがあまりにも劣悪な、「天皇の軍隊」にふさわしくない見苦しい行為だったからではないでしょうか。だから言われたくない、指摘されたくない、恥ずかしいということだと思います。


──「性欲コントロールのためには仕方がない」なんていう、単純な話ではないんですね。2013年に、当時大阪市長だった橋下徹氏も「慰安制度は(兵士たちを休息させるために)必要な制度だった」などと発言していましたが……。

永田 その橋下氏の発言があったとき、私はちょうどニューヨークにいたのですが、周りの人たちは皆、慰安婦問題についての知識のあるなしにかかわらず、「とんでもない、ひどい発言だ」という反応でした。移動の自由もなく、兵士の相手をしなくてはならない状況に追い込まれている女性たちというのは、まさに「奴隷」のような存在です。奴隷制度という負の歴史に向き合ってきたアメリカ社会においては、そんな存在を許してはいけないという考え方が共有されているのだと思います。
 先ほど話に出たサンフランシスコの「慰安婦像」も同じように、戦争中、女性が性暴力という人権侵害を受けたという負の歴史を共有して、語り継いでいこうという価値観がベースにある。それを「日本バッシングだ」などとして、姉妹都市解消のような脅しをかけるというのは、野蛮で情けないと思います。
 ちなみに、サンフランシスコと同じカリフォルニア州のグレンデール市で、やはり「慰安婦像」が設置されたために、現地在住の日本人が嫌がらせされている、子どもがいじめられているなんていう主張もありますが、そんな事実はほぼないと言っていいと思います。私も気になっていろいろ調べたのですが、実際に「いじめられた」といった声は聞いたことがありません。


世界は、「被害者の声と向き合う」方向へと動いている

──そもそも「慰安婦像」の設置だけでなく、慰安婦問題への取り組みというのは、しばしば言われるように「日本だけを非難している」「日本に謝らせようとしている」ものなのでしょうか。

永田 私は違うと思います。慰安婦問題というのは、すぐに日韓の政府間の問題であるかのように矮小化されがちですが、本来はアジア全体の問題です。各地の戦場で同じような悲劇があって、しかも戦後数十年にわたって被害者の人たちが声をあげることができずに来たという事実がある。慰安婦問題を考えるということは、世界のどこであっても同じようなことをまた繰り返さないようにしよう、ということだと思うのです。
 たとえば最近の日韓交渉の中でも、韓国は「日本に懲罰を与えるべきだ」と言っているのではなく、何より大事なのは被害に遭った人たちの人権の回復なのだから、そのために日韓が手を携えて向き合いましょう、と一貫して訴えています。きわめてまっとうなことだと思います。
 そして、これは私も最近知ったのですが、1991年に金学順さんが元慰安婦として初めて名乗り出られたとき、その背景には、広島・長崎で被爆した人たちの存在があったようなのです。私は広島の被爆2世のひとりとしてそのことに関心を持っています。


──韓国人被爆者の方たちですか。

永田 そうです。徴用などで日本にやってきて、原爆に遭った人たち。彼らは戦後に故郷に帰るのですが、韓国でも原爆被害についての理解はまだ薄く、韓国政府も非常に冷たかった。その中で、広島での被爆者の一人である孫振斗さん(※)が日本政府に補償を求めて裁判を起こし、日韓の市民の支援を受けながら、それまで「外国人被爆者には交付できない」とされていた被爆者手帳の交付を1978年に勝ち取るのです。
 そうした流れを、金学順さんや支援者たちは確実に意識していたはずです。つまり、被害者であることには日本人でも韓国人でも違いがないのだから、そこに差別があってはならない、被爆者への補償の問題を、国対国の対立の形にするのではなく国境を越えて解決していくんだ、という動きが生まれてきていたことが、金学順さんの背中を押したのだと思うのです。

※孫振斗さん…広島で被爆した韓国人被爆者。1951年に韓国へ強制退去となるが、70年に原爆症の治療を受けたいと密航によって来日した。被爆者手帳の交付を申請するが却下され、処分の取り消しを求めて提訴し、78年に手帳交付を勝ち取る。


──被爆者の問題と同じように、慰安婦の問題も「国境を越えて」解決していくことができるのではないか、ということですね。

永田 よく、元「慰安婦」の女性に対して「金目当てだ」なんて言う人がいますが、彼女たちが名乗り出た後の叩かれ方を思えば、じっと黙って静かにしていたほうがいいのではないか、とさえ思えます。それでも彼女たちが立ち上がったのは、自分たちみたいな被害を二度と繰り返してほしくない、と考えたからだったはずです。それは被爆者の人たちも同じでしょう。未来の世代に対して、自分たちの被害を何らかの形で役に立ててほしいと思うからこそ、痛みに耐えて語ってくれているわけです。
 そうした、非常に崇高ともいえる声を無視することはあってはならないと思います。特に、終戦から70年以上経って、当事者の方たちが次々に亡くなられている今、それをそのまま見過ごしていていいのか。それはすごく無礼なことだし、命をかけて闘ってきた人たちに対して、もっとしっかりと向き合わなくてはならないのではないでしょうか。
 「慰安婦像」が最近になってアメリカやアジア各地で設置されていることもそうした危機感の強まり、そして当事者の方たちが亡くなっても語り継いでいくんだという意志の表れという面があると感じます。そこを無視して「日本ばかりが否定されている」「日本を侮辱するな」などというのは、あまりにも視野が狭いと思いますね。


──先ほど「戦争責任に向き合いたくない人たちが、悪あがきをしているだけ」とおっしゃいましたが、まさに政府の中枢にいる人たちがその「悪あがきをしている」のが現状だと思います。

永田 ただ、世界全体を見れば、声をあげてくれている戦争被害や性暴力の当事者ときちんと向き合おう、被害の実態を理解して、その被害をもたらす構造を変えていこうという動きは、決定的なものになっていると思います。昨年のノーベル平和賞などは、まさにその象徴といえるでしょう。
 受賞者の一人、イラク出身のナディア・ムラードさんは、少数派のヤジディ教徒で、IS(イスラム国)による性暴力の被害を受けた人です。彼女が生まれ育った社会の価値観では、レイプされたことは被害というよりも本人の恥のように考えられる部分があって、彼女もおそらく非常につらい視線にさらされてきた。それでも声をあげようとする彼女のほうに、国際社会は拍手を送ったわけです。
 これは、慰安婦問題とも非常に構造が似ています。世界が、被害者の声に耳を傾けようという方向に進んでいる中で、日本政府は今も元慰安婦の人たちときちんと向き合わず、背を向け続けている。世界100カ国以上が賛成している核兵器禁止条約への参加を、おそらくはアメリカとの関係から拒否し続けていることとも共通する姿勢だと思います。


──このままでは、日本だけが世界から取り残されていってしまいそうですね。

永田 元「慰安婦」の女性たちも被爆者も、被害当事者の人たちは、戦争や性暴力が人の人生をいかに破壊するかということ、そしてその破壊された人生を取り戻すことがいかに大変かということを身をもって示してくださっているわけです。そこから学ばなくてどうするのか、耳を塞いでありもしない「美しい国」の物語の中に閉じこもっていていいのかと思いますよね。せっかく生きているのだから、過去の人間よりも、わずかでも賢くなりたいじゃないですか。
 でも、私自身はそれほど悲観はしていないんです。今、大学で教えるようになって11年目で、毎年授業の中で慰安婦問題も取り上げているのですが、最初はネットの情報に踊らされて「韓国が悪い」と言ったり、時には私に対して「大学から出ていけ」とコメントペーパーに書いたりしていたような学生たちにも、きちんと話せば必ず伝わる。しっかりと伝える努力をしていけば、その努力は必ず実を結ぶと感じています。
 もちろん、油断はしてはいけないけれど、希望がないわけではない。ひどい時代ではあるかもしれないけれど、いつか「一時の気迷いの、そんなひどい時代もあったね」と話せる日が来るんじゃないか。やっぱり嘘やヘイトは必ず負けるし、真実や連帯のほうが強い。楽観的すぎるかもしれないけれど、私はそう考えているんです。

(構成/仲藤里美・写真/マガジン9)


永田浩三(ながた・こうぞう) 1954年大阪生まれ。東北大学教育学部卒業。1977年NHKに入局。主にドキュメンタリー、教養番組に携わり、「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」などのプロデューサーを務めた。2009年、NHKを退社。現在、武蔵大学社会学部メディア社会学科教授。著書に『奄美の奇跡 祖国復帰 若者たちの無血革命』(WAVE出版)、『ベン・シャーンを追いかけて』(大月書店)、『NHKと政治権力』(岩波現代文庫)、『NHK、鉄の沈黙はだれのために』(柏書房)など多数。
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●必然的に「私腹を肥やしてきた」学商・竹中平蔵氏…大学は、利益相反の調査はしなかったのかな?

2018年06月26日 00時00分51秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



1年ほど前のリテラの記事【加計だけじゃない、国家戦略特区は安倍首相のお友達優遇の巣窟だった! 竹中平蔵が役員の会社、成田の医学部新設も】(http://lite-ra.com/2017/06/post-3229.html)と、
日刊ゲンダイの記事【利権の巣窟 国家戦略特区の闇を暴く/「ミスター特区」竹中平蔵氏が諮問会議議員の利益相反】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/207453)。
リテラの記事【「高プロ法案」強行採決を許していいのか!/“高プロの旗振り役”竹中平蔵がグロテスクな本音全開!「残業代は補助金」「高プロ対象はもっと拡大しないと」】(http://lite-ra.com/2018/06/post-4082.html)。

 《安倍応援団たちや新自由主義者たちはこの犬も食わないような話のすり替えに丸乗りし、「結局、文科省は既得権益にしがみついているだけ」「足を引っ張るから規制改革は進まない」などと安倍首相に加勢…安倍首相が民間議員に選んだお友だちである竹中氏もやりたい放題…もうひとつ安倍首相には“アベ友特区”疑惑が浮上…国際医療福祉大学も…加計そっくりの医学部開設認可の経緯》。
 《それを、わずか4人の閣僚と、5人の民間議員がトップダウンで決めてしまうのだ。実に問題の多い制度なのだが、“ミスター特区”ともいえる存在が、東洋大教授の竹中平蔵氏である》。
 《実際、その高プロ創設の「本音」は、この男がすでに暴露している。経団連とともに高プロ創設の旗振り役となってきた、竹中平蔵だ。竹中は21日付の東京新聞の記事でインタビューに応じ、「時間に縛られない働き方を認めるのは自然なこと」などとデタラメな高プロの必要性を強調する一方で、平然と、こんなことを述べているのだ。「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい」》。

   『●「残業代ゼロ法案」: お零れが滴り落ちてくるどころか
                    対象が下へ下へと『トリクルダウン』
   『●「安く労働者を使うために裁量労働制を悪用…。
       裁量がない人に適用すれば、働く人を使いつぶす制度に…」
   『●高度プロフェッショナル制度導入の
     社会的事実「立法事実」を支えるのは…たった1人の調査対象者の声!?

 これも1年ほど前の記事ですが、アクセスジャーナルの山岡俊介さんの【<記事紹介>「官邸の後押しで医学部新設『第2の加計疑惑』が急浮上」(情報誌『ベルダ』6月号。本紙・山岡)】(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=8098)によると、《今年4月、「国際医療福祉大学」(高木邦格理事長)の医学部が千葉県成田市に開設されたが、これは首相官邸の意向を直接反映できる国家戦略特区として認可されたもの。いま安倍政権を揺さぶっている加計学園同様の構図で、国際医療福祉大学医学部にも、数々の疑惑が」。

   『●アベ様のオトモダチへの依怙贔屓…
      呆れるほどの「屁理屈」も辞さずの「異例の「滅公奉私」」(東京新聞)
    「最後に、第3か、第4の森友か、第2の加計か知らないが、まだ弾けていない
     「国際医療福祉大学」問題について、アクセスジャーナルの山岡俊介さんの
     記事【「ポスト加計」報道などで本紙と係争中ーー「国際医療福祉大学」の
     創立時から10年以上、代表権持つ理事に就いていた渡辺喜美参議院議員】」

 「特区ビジネス」でも、「私腹を肥やしてきた」学商の利益相反。
 学商=竹中平蔵氏…「自分が関わったところで自分が利益を得るという構図」…それは、偶然ではない。《コネや肩書を利用した非・自由競争》、ヤラセ。《竹中氏は一体、どういう立場で諮問会議に参加しているのか学者なのか、企業の代表者なのか》? つまり、『学商』。大学は利益相反のチェックしていないの?、あるいは、チェックしなかったの??

   『●竹中平蔵氏のパソナによる「自分が関わったところで
       自分が利益を得るという構図」に乗っかって大丈夫か?


 すいません、ツイッターからコピペさせていた画像:


[https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1009649260697038848]

 パソナの学商・竹中平蔵氏による一人PDCAサイクル。小泉純一郎氏の政権以来、こんな学商を有難がり、未だに露骨に「偶然に利益を得る」こんな学商を有難がる腐りきった自公政権。PASONA (P プランから A アクションまで御一人で 、SONA ソンナの関係ねぇ…な状態)がニッポンを侵食・浸蝕。

 《労働者を命のない使い捨ての道具として搾取しようとする理性のない人間》そんな方が唱える「高プロ万歳!!」…どうやって信じろと?

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http://lite-ra.com/2017/06/post-3229.html

加計だけじゃない、国家戦略特区は安倍首相のお友達優遇の巣窟だった! 竹中平蔵が役員の会社、成田の医学部新設も
2017.06.09

     (自由民主党HPより)

 「実際にこのメールを見た」──前川喜平・前文科事務次官の証言につづき、今度は「現役」たちが口を開いた。複数の文科省職員が、「官邸の最高レベルが言っている」と書かれた文書を文科省の職員たちがメールで共有していたことを示すメールの写しは実在したものだと証言したのだ。
 さすがにここまでくると「怪文書」と呼べるはずがないが、安倍政権の姿勢は相変わらず「再調査の必要なし」と責任を放棄したままで、松野博一文科相は“実名で顔出しすれば検討する”などと言い出す始末。そんなことをすれば前川氏に行ったような官邸による報復が待っているのは確実で、またも恫喝で真実を隠蔽しようとしているのだ。
 しかも、呆れかえるのは、疑惑の中心人物である安倍首相の放言だ。野党からの問題追及に対し、安倍首相は恥ずかしげもなくこんな主張を繰り返している。

   「岩盤規制改革をスピード感をもって進めるように、つねに指示してきた」
   「既得権益を握る勢力の抵抗は避けられない。安倍政権は絶対に屈しない」
   「加計学園の問題の本質は岩盤規制にどう穴を開けていくかだ」

 問題の本質が「岩盤規制に穴を開けること」……? そうならばさっさと文書の調査をして潔白を晴らせばいいだけで、それもやらずに「岩盤規制」を連呼するとは笑止千万。だが、この主張でどうやら安倍首相は押し切るつもりらしい
 実際、安倍応援団たちや新自由主義者たちはこの犬も食わないような話のすり替えに丸乗りし、「結局、文科省は既得権益にしがみついているだけ」「足を引っ張るから規制改革は進まない」などと安倍首相に加勢している。
 しかし、はっきり言って「獣医学部の新設」は、「岩盤規制にドリルで穴を開ける」ようなものではまったくない。いや、安倍首相が大義名分のように掲げる国家戦略特区という制度自体が、私物化の温床となっていると言うべきなのだ。しかもそれは、安倍首相のみならず、政権のお友だちグルになっている腐敗っぷりなのである。


パソナ、オリックス、特区事業に諮問会議議員の竹中平蔵が役員の企業が

 その「お友だち」のひとりが、国家戦略特区諮問会議の民間議員である竹中平蔵氏だ。昨年、国家戦略特区で神奈川県において家事支援外国人受入事業の実施を認めたが、この事業者に選ばれた企業にパソナがある。いわずもがな、竹中氏はパソナグループの取締役会長である。
 さらに、2014年に国家戦略特区に選ばれた兵庫県養父市では、企業による農地の所有を認めるなどの規制緩和が行われたが、そこにもオリックスが100%出資する子会社のオリックス農業が参入している。オリックスといえば、こちらも竹中氏が社外取締役を務める企業である。
 安倍首相が選んだ民間議員が国家戦略特区を利用して、自らの会社に利益をもたらしている──。しかも、竹中氏は、2016年2月5日の国家戦略特区諮問会議において、農業生産法法人の出資・事業要件の緩和を強く訴え、こう述べている。

   「(養父市が)ここまでやりたいと言っているものを万が一にも国ができない
    ということになれば、これは国家戦略特区の仕組みそのものの信任が
    揺らぎますし、地方創生を否定することにもなると思います」
   「この農業生産法人の問題こそが岩盤中の岩盤、ザ・岩盤だと思います。
    このザ・岩盤の背後にはザ・抵抗勢力とザ・既得権益者がいて、これをどう
    突破できるかというのが本当にいろいろな意味での象徴になろうかと思います」

 まったく何が「ザ・既得権益者」だ。結局、その「ザ・岩盤」に穴を開けた結果といえば、自身の関係する企業が参入して甘い汁を吸うというマッチポンプの利益供与ではないか。つまり、安倍首相が主張する「岩盤」とやらは「自分たちにとって目障りなもの」でしかなく、権力というドリルで強引に新たな権益をつくり出しているにすぎない
 安倍首相が民間議員に選んだお友だちである竹中氏もやりたい放題。別の意味でも国家戦略特区はまさに“アベ友特区”だらけだったわけだが、しかも、もうひとつ安倍首相には“アベ友特区”疑惑が浮上している。それは国家戦略特区によって前年の東北医科薬科大学に続きじつに約40年ぶりに医学部新設が認められ、事業者となった千葉県成田市の国際医療福祉大学の問題だ。


国際医療福祉大学も…加計そっくりの医学部開設認可の経緯

 この問題はなぜか、安倍応援団やネオリベ学者が報道される前から「関係ない」と喚いているが、その経緯は明らかに不透明だ。
 国際医療福祉大学の場合も、新設理由に医師不足などが挙げられていたが、厚労省の医療従事者の需給に関する検討会で〈中位推計からいきますと2024年に需給が均衡する〉と報告されており、日本医師会をはじめとして医学部を新設する必要はないという批判があがっていた。にもかかわらず、あっさりと認められてしまった
 さらに、事業者の公募は2015年11月12日からたったの1週間で締め切られ、国際医療福祉大学の1校のみが応募。また、キャンパスの土地は成田市が約23億円で買い上げ同大に無償貸与し、建設費用も半分にあたる約80億円を成田市と千葉県が負担。その上、隣接地に開学した看護学部と保健医療学部の用地取得や校舎建設にも50億円の補助が行われている。──何から何まで加計学園の問題とそっくりなのである
 なぜ、加計学園と同じように国際医療福祉大による医学部新設はゴリ押しされたのか。やはりここでも浮かび上がってくるのは、官邸の暗躍と、同大を運営する学校法人国際医療福祉大の高木邦格理事長と安倍首相の“接点”だ。
 高木理事長は、病院経営者としては〈02年に旧国立の熱海病院、05年に日本たばこ産業東京専売病院、08年にJA栃木塩谷総合病院、と病院を次々と買収した際は、その豪腕ぶりに批判が噴出した〉人物。一方、高木氏は自見庄三郎元議員の秘書を務めた経験をもっており、政界に強いパイプがある。また、同法人には谷修一・元厚生省健康政策局長や松谷有希雄・元厚生労働省医政局長が「天下り」しており、官庁とのつながりも深い(「FACTA」2016年8月号)。
 そんななかで、安倍首相と高木理事長を繋いだといわれているのが、黒岩祐治・神奈川県知事だ。黒岩氏といえば、安倍氏の下野時代にDHC『晋ちゃん&黒ちゃんのシンクロナイストーク』(DHCシアター)という番組で共演するほどの仲。他方、黒岩氏は2009年9月いっぱいでフジテレビを退社したが、同年10月1日には国際医療福祉大の大学院教授に就任。それだけでなく、同大学が株主であるコンテンツ制作会社・医療福祉総合研究所の副社長まで務めていたのだ。
 一方、ジャーナリストの山岡俊介氏は、「アクセスジャーナル」の記事のなかで渡辺喜美・日本維新の会副代表が繋いだ可能性も指摘している。


当時から、国家戦略特区の決定に官邸が動いていたとの報道が!

 どちらにせよ、医学部新設にいたるなかで何らかの力が働いたのではという疑惑は変わらないが、この国家戦略特区の強引な決定に、当時、「エコノミスト」(毎日新聞社)2016年9月20日号も「裏がある」ことを示唆し、このようにまとめている。

   〈形式上は特区の公募に応じた形だが、当初から高木理事長が
    特区のあり方を検討する区域会議の構成員に選ばれるなど
    あからさまな出来レースだった〉
   〈国家戦略特区を取り仕切る官邸から強い後押しがあった
    とされるのは公然の秘密だ〉

 「第3の森友」問題である国際医療福祉大医学部新設についてはさらなる追跡を行いたいが、ともかく、竹中氏のケースを含め、国家戦略特区というシステムはいくらでも私物化ができるかたちになっていることはたしかだ。安倍首相は国家戦略特区について、「私の意向は入りようがない」などと宣ったが、そんな見え透いた嘘は通用するはずがないだろう。

(編集部)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/207453

利権の巣窟 国家戦略特区の闇を暴く
「ミスター特区」竹中平蔵氏が諮問会議議員の利益相反
2017年6月16日

     (自民党ブレーンの竹中平蔵氏(央)/(C)日刊ゲンダイ)

 加計学園問題をきっかけに、国家戦略特区の実態が明らかになってきた。「岩盤規制の打破」を名目に、仲間内や特定企業に利益を分配してきた疑惑である。それを、わずか4人の閣僚と、5人の民間議員がトップダウンで決めてしまうのだ。

 実に問題の多い制度なのだが、“ミスター特区”ともいえる存在が、東洋大教授の竹中平蔵氏である。

   「小泉政権の構造改革特区の時代から、常に特区制度に寄り添い、
    レントシーカー利権屋)として暗躍してきた。安倍首相に特区制度を
    提言した張本人ともいわれ、もちろん国家戦略特区の諮問会議にも
    名を連ねています」(自民党関係者)

 昨年7月、神奈川県の特区で「家事支援外国人受入事業」が規制緩和された。その事業者に認定されたのが、大手人材派遣会社のパソナだ。竹中氏はパソナグループの会長を務めている。諮問会議のメンバーが、自分の会社に有利になるような規制改革をし、実際に受注しているわけだ。

 「国家戦略特区の正体」の著者で立教大教授の郭洋春氏が言う。

   「神奈川県の家事支援外国人受け入れは、これまでにダスキンや
    ポピンズ、ニチイ学館など6社が認定されていますが、パソナは
    最初から決まっていて、受け入れ予定人数も多い。
    李下に冠を正さずということからすると、お手盛り感は否めず、
    利益相反に見えます。竹中氏は強硬な新自由主義者で、
    『完全自由競争が最も経済を発展させる』が口癖ですが、
    実際にやっていることは、コネや肩書を利用した非・自由競争
    によるビジネスです」

 竹中氏は一体、どういう立場で諮問会議に参加しているのか学者なのか、企業の代表者なのか。内閣府に質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。 


■与党議員も問題視

 農業特区に指定された兵庫県養父市でも、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスの子会社「オリックス農業」が参入している。この企業による農地所有は加計学園と同様、内閣府が「官邸の意向」をチラつかせて、かなり強引に進めたようで、農水省は不満をため込んでいるという。

 今国会で成立の国家戦略特区改正案は、多分に竹中氏の“特区ビジネス”を意識したものだ。民進党議員が「竹中外しの声は与党からも上がった」と明かす。

 改正案の付則には「民間議員が私的な利益の実現を図って議論を誘導し、または利益相反行為に当たる発言を行うことを防止」「民間企業の役員等を務めまたは大量の株式を保有する議員が、会議に付議される事項について直接の利害関係を有するときは、議決に参加させない」と明記された。特区ビジネスで私腹を肥やしてきた政商への退場勧告といえる。
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http://lite-ra.com/2018/06/post-4082.html

「高プロ法案」強行採決を許していいのか!
“高プロの旗振り役”竹中平蔵がグロテスクな本音全開!「残業代は補助金」「高プロ対象はもっと拡大しないと」
2018.06.22

     (竹中平蔵公式ウェブサイト)

 「残業代ゼロで定額働かせ放題」にする高度プロフェッショナル制度の創設を含む「働き方改革」一括関連法案の参院での採決が近づいている。高プロをめぐっては、労働問題の専門家を中心に激しい批判が殺到しているうえ、次から次へとインチキやデタラメが明らかになっている。

 高プロの必要性について、安倍首相は「労働者のニーズに応えるもの」と主張し、加藤勝信厚労相も「私もいろいろお話を聞くなかで要望をいただいた」と答弁していた。ところが、実際はわずか12人に聞き取りしただけで、しかも法案要綱が示される前におこなわれた聞き取り件数はゼロだったことが判明。聞き取りのほとんどが、この加藤厚労相の答弁後に慌てておこなわれていたことまでわかった。ようするに、「立法事実なき法案」なのに、安倍政権はまたしても数の力でゴリ押ししようとしているのだ。

 高プロは、企業が残業や休日労働に対して割増賃金を一切払わず、労働者を上限なく働かせることができるようになるもので、過重労働や過労死を増加させることは火を見るより明らか。そしてこの法案が恐ろしいのは、対象者が拡大していくことが確実という点だ。実際、その高プロ創設の「本音」は、この男がすでに暴露している。経団連とともに高プロ創設の旗振り役となってきた、竹中平蔵だ。

 竹中は21日付の東京新聞の記事でインタビューに応じ、「時間に縛られない働き方を認めるのは自然なこと」などとデタラメな高プロの必要性を強調する一方で、平然と、こんなことを述べているのだ。

   「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という
    補助金を出すのも一般論としておかしい

 時間内に仕事を終えられない生産性の低い人……? そもそも、残業しなければ終わらないような仕事を課していることがおかしいのであって、問題は雇用者側にある。それを労働者に問題があると責任を押し付け、「生産性の低い人」と断罪した挙げ句、竹中は労働対価として当然の残業代さえ「補助金」と呼ぶ。つまり、竹中にとって残業代とは、「仕事のできない奴のために仕方なく会社が補助金を出してやっている」という認識なのだ。

 もうこの発言だけで高プロ推進派の本音が十二分に理解できるというものだが、当然、高プロが過労死を増加させてしまうのではないかという指摘に竹中は耳を貸さない。「過労死促進法案との批判がある」という質問に、竹中は「全く理解していない」と言ってのけた後、「過労死を防止するための法案だ。その精神がすごく織り込まれている」などと述べて、その理由を「年間百四日以上の休日をとれと。(適用には)本人の同意も要る」と答えている。

 何が「過労死を防止する精神がすごく織り込まれている」だ。じつは竹中は、5月30日に出演した『クローズアップ現代+』(NHK)でも「ほとんど完全週休2日制」などと喧伝していたが、それはまったくの嘘で、法案は「年104日以上、4週間で4日以上」の休日を与えるというだけ。ようするに、月に4日間休ませれば、そのあとの26日間はずっと連続で働かせることが可能であり、次の4週間の最後の4日間に休みを取らせれば、連続して48日間、1日24時間労働をさせても合法となる法案なのだ。


■竹中平蔵は高プロの適用対象拡大を明言「もっともっと増えていかないと」

 しかも、竹中は「本人の同意も要る」などと言うが、力関係を考えれば企業からの要求に労働者が突っぱねることは容易ではない。さらに、労働者が同意を撤回したり、同意しなかった場合に解雇されたり不利益な扱いを受けたとき、労働基準監督署は指導をおこなうことも罰則を科すこともできない仕組みであることも明らかになっている。労働者の保護など露ほども考えられていないのだ。

 これでよく「過労死を防止する精神」と言ったものだが、竹中はこうした制度の穴には触れず、「なぜこんなに反対が出るのか、不思議だ」とシラを切り、「適用されるのはごく一部のプロフェッショナル。労働者の1%くらいで、高い技能と交渉力のある人たちだ」と畳みかける。だが、これも大嘘で、「年収1075万円以上の一部専門職」を対象とすると言いながら、実質的には年収300万円台の労働者も対象にすることが可能だ(詳しくは既報)。

 労働者のうち1%の人たちの問題ではなく、多くの人が「残業代なし・定額働かせ放題」が適用される恐れがある高プロ制度。実際、竹中は前出の『クロ現+』でも、「(いまの対象範囲は)まだまだ極めて不十分」「これ(高プロ)を適用する人が1%ではなく、もっともっと増えてかないと日本経済は強くならない」と述べており、今回のインタビューでも、本音をこうオープンにしている。

   「個人的には、結果的に(対象が)拡大していくことを期待している」

 ようするに、実質的に年収300万円台の労働者に高プロ制度を適用できるだけでなく、法案が成立すれば、さらなる対象の拡大を狙っているのである。しかも、竹中は「(具体的には)将来の判断だが、世の中の理性を信じれば、そんな(二十四時間働かされるかのような)変な議論は出てこない」とまで言っている。

 本サイトのブラック企業被害対策弁護団の連載でも多数レポートされている通り、現状でも過労死や残業代不払いは多発している。それなのに、規制を取り払い対象を拡大しても、「世の中の理性を信じればって……よくもまあこんなことをヌケヌケと言ったものだが、竹中のように労働者を命のない使い捨ての道具として搾取しようとする理性のない人間が世の中にはいるからこそ、労働者は強く警戒しなければならないのだ。


■学者ヅラして高プロを語る竹中平蔵の正体は、高プロで利益を得る企業の役員

 だいたい、竹中はこの東京新聞のインタビューや前出の『クロ現』では「東洋大学教授」などといったアカデミズムの人間であることを示す肩書きで登場しているが、実態は人材派遣大手のパソナグループの取締役会長やオリックス社外取締役であり、雇用者側の立場だ。しかも、高プロ制度が提案されたのは「経済財政諮問会議産業競争力会議合同会議」だが、竹中はこの産業競争力会議の民間議員を務めている。

 つまり、竹中は大学教授という肩書きで「日本経済のために」などともっともらしく語っているもののようは“自分のため”だ。だいたい長時間労働がむしろ生産性を低下させることは多くの専門家が指摘していることで、長い目で見れば「日本経済のために」もならない。労働派遣法改悪のときもそうだったが、この人は、規制緩和を提案して“自分の目先の利益”を得ることしか頭にないのだ。

 そう考えれば、竹中が「個人的には、結果的に(対象が)拡大していくことを期待している」と言っている意味もよくわかる。法案成立後、派遣労働者にまで高プロの適用範囲が広がれば、竹中が「補助金」と憚らずケチっている残業代を気にせず、いくらでも派遣労働者を働かせることができるからだ。派遣労働にまで高プロが適用されれば、それこそ派遣労働者が同意を蹴ることなどできないだろう。

 このように、竹中の隠そうともしない欲望を見れば一目瞭然のように、高プロは働くすべての人にかかわる地獄の法案だ。竹中は、自身が推進した小泉構造改革によって非正規社員切りを横行させ、ワーキングプアを生み出し、現在の格差社会をつくり上げた張本人だが、今度は高プロによって労働者を搾取し尽くし、過労死しても「自己責任」だと押し付けられる社会にしようとしている。いま、そんな危険な法案が可決されそうになっている。それが現状なのだ。

(編集部)
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●岸井成格さんの〝遺言〟「真実を伝えて、権力を監視する」…「報道に携わる人間は重く受け止めなくては」

2018年05月20日 00時00分35秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



リテラの記事【岸井成格が安倍官邸から受け続けた圧力の数々! 安倍応援団による卑劣な「意見広告」攻撃の末、『NEWS23』降板に】(http://lite-ra.com/2018/05/post-4015.html)。

 《やはり岸井氏といえば、2013年4月からアンカーを務めた『NEWS23』(TBS)での、安倍政権を毅然と批判する忖度しない姿が記憶に残っている人も多いだろう。そして、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古舘伊知郎や『クローズアップ現代』(NHK)の国谷裕子がキャスターを降板したのと同じ2016年3月をもって、岸井氏は膳場貴子キャスターとともに降板した》。

   『●古舘伊知郎・岸井成格・国谷裕子・青木理さん…
       アベ様に「厳しい立場だった人」達は偶然の一致なのか?
    「ジャーナリズムの矜持の崩壊。古舘伊知郎さん、岸井成格さん、
     国谷裕子さん、青木理さん……アベ様に「厳しい立場だった人」達が
     去りゆくのは偶然なのか?、必然だったのか? 3A+Sによる
     「粛々」としたジャーナリズムの破壊。」

 大変に残念な訃報…ご冥福をお祈りする。

 日刊ゲンダイの記事【「NEWS23」アンカー岸井成格さん死去 安倍政権の暴走批判】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229160)によると、《岸井成格(きしい・しげただ=毎日新聞社特別編集委員)さんが、15日午前3時35分、肺腺がんのため東京都内の自宅で死去した。73歳だった。東京都出身で1967年、毎日新聞社入社。ワシントン支局、政治部長、論説委員長などを歴任。TBS系の情報番組「サンデーモーニング」などの番組にコメンテーターとして出演した。2016年3月、アンカーを務めていた「NEWS23」を降板した際、安倍政権への批判的な姿勢が影響したといわれた。同年7月、日刊ゲンダイのインタビューで「偏向報道かどうかを権力側が決めるなんてことはありえない。それなのに、突然、権力側にそうした権限があるかのように言い出したのが安倍政権なのです」と語っていた》。 
 東京新聞の御悔やみ欄【岸井成格さん死去 73歳 NEWS23アンカー】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/obituaries/CK2018051602000188.html)では、《TBSの報道番組「NEWS23」でアンカーを務めた毎日新聞社特別編集委員の岸井成格(きしいしげただ)さんが十五日、肺腺がんのため死去した。七十三歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行う。後日お別れの会を開く予定。一九六七年に入社し、政治部長や論説委員長、主筆を歴任。二〇一三年から一六年までNEWS23でアンカーを務めたほか、TBSの情報番組「サンデーモーニング」にも出演。安全保障関連法案を批判する論陣を張った》。

 いま振り返ってみても、アベ様に「厳しい立場だった人」達が「去りゆく」というのは、ただの偶然の一致だったのでしょうか? 『NEWS23』も、『報道ステーション』も、今では、かなり復活してきたとは思います。でも、相変わらずな「アベ様のNHK」。言うまでもなく、読売系や産経系はアベ様広報機関に。

   『●カラスはやっぱり「黒い」:  
     「アベ様のNHK」的「政府が白というものを黒とは言えない」で良いのか?

 日刊ゲンダイの記事【森友問題スクープ記者を“左遷” NHK「官邸忖度人事」の衝撃】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229227)によると、《「皆様のNHK」どころか、これでは“安倍様のNHK”だ。森友学園問題に関するスクープを連発していたNHK大阪放送局の記者が突如“左遷”されるというのだ。安倍政権の急所である森友問題を報道させないための“忖度人事”ではと、NHK内部に衝撃が走っている…今年4月4日の『財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い』をスクープ…いったい誰のための公共放送なのか》?
 「カラスはやっぱり「黒い」」と言ってほしいのに…。

 日刊ゲンダイの記事【岸井成格さんが闘った安倍政権の言論弾圧とメディアの堕落】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229226)によると、《「情けない!」――。昨年暮れ、最後となった出社の際、絞り出すような声で訴えたという。毎日新聞特別編集委員の岸井成格さんが15日、亡くなった。73歳だった》。

 《「真実を伝えて、権力を監視する」──。岸井氏の“遺言”を報道に携わる人間は重く受け止めなくてはないらない》。

   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
     再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」 
       なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
   『●「そんな曲が交じっていないか。耳をそばだてる」…
         聞こえるのは、アベ様らの勇ましき進軍ラッパのみ
   『●最後っ屁に期待する: 古舘伊知郎さん、 
     この際ですから全部ぶちまけてから降板を! 矜持を示して!
   『●「NHKの看板番組「クローズアップ現代」の
            国谷裕子キャスターもとうとう降板」
   『●「平成の治安維持法」、その目的は明確…
      「国家ぐるみで個人を監視」(岸井成格さん)し、社会を委縮

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http://lite-ra.com/2018/05/post-4015.html

岸井成格が安倍官邸から受け続けた圧力の数々! 安倍応援団による卑劣な「意見広告」攻撃の末、『NEWS23』降板に
2018.05.17

     (出演当時の『NEWS23』HPより)

 毎日新聞元主筆でジャーナリストの岸井成格氏が、15日に肺腺がんで死去した。73歳だった。岸井氏は2017年10月に、コメンテーターとして出演していた『サンデーモーニング』(TBS)においてがんを患い入院治療をおこなっていたことを明かし、昨年12月3日放送分を最後に同番組を休んでいた。

 だが、やはり岸井氏といえば、2013年4月からアンカーを務めた『NEWS23』(TBS)での、安倍政権を毅然と批判する忖度しない姿が記憶に残っている人も多いだろう。そして、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古舘伊知郎や『クローズアップ現代』(NHK)の国谷裕子がキャスターを降板したのと同じ2016年3月をもって、岸井氏は膳場貴子キャスターとともに降板した。

 この一連の降板劇の背景にあったのは、言うまでもなく安倍政権からの圧力だった。メディアに睨みをきかせ、不都合な報道をおこなう番組には圧力をかける──これは安倍政権の常套だが、じつは官邸は、番組スタート時から、岸井氏に接近していた。

 2016年6 月に発売された、慶應義塾大学の法哲学ゼミで同期だったという高信との対談本『偽りの保守・安倍晋三の正体』(講談社)で、岸井氏はこう語っている。

NEWS23」を始めてすぐの頃だと思う。安倍首相から官邸に来てくれと言われて、その時、菅とも顔を合わせた。安倍から「その節はお世話になりました」と挨拶されたんだけど、後で首相番連中が言うには、「岸井さん、あれはまずかった。どっちが総理かわからないですよ」と。私の態度がでかすぎたらしい(笑)

 安倍首相が口にした「その節はお世話になりました」という言葉の意味は、岸井氏が晋三の父・安倍晋太郎の担当をしていたときのことを指しているらしい。岸井氏は「私は安倍のおやじさんの晋太郎には非常に可愛がってもらって、ある意味で逆指名的に私が彼を担当しているようなところがあった」と語っているが、外遊の同行では晋太郎の秘書を務めていた晋三と一緒だったという。

 だが、岸井氏は安倍首相の政策にはっきりと異を唱えた


■政権批判する岸井成格に、圧力をかけ続けた安倍政権

 なかでも2013年11月に特定秘密保護法案に反対する集会で呼びかけ人のひとりとなり、番組でも同法案を批判的に取り上げた。父・晋太郎との関係も深い「保守派」の人物だと認識していた安倍官邸は、この岸井氏の姿勢に激怒していたともいわれている。2014年12月には、安倍首相が『NEWS23』に生出演した際、街頭インタビューのVTRに厳しい意見を意図的に選んでいる難癖をつけ、その後、自民党が在京テレビキー局に報道圧力」文書を送りつけるという問題も起きた。

 こうしたなかで、岸井氏にはこんな出来事があった。岸井氏は企業の幹部に話をするという勉強会を長くつづけていたのだが、その場に菅義偉官房長官突然、やってきたというのだ。

(菅官房長官は)黙って来た。誰かから聞いて知ったんだろう。最初から最後までいたよ。終わると「今日はいい話を聞かせていただいて、ありがとうございました」と言って帰っていった。怖いよな

どこで何を話しているか、全部知っていますよ」ということを見せているわけだ。「人脈も把握しています。岸井さんが動いているところにはいつでも入っていけますよというメッセージかもしれない(前出『偽りの保守・安倍晋三の正体』より

 報道番組のアンカーに、陰に陽にプレッシャーをかける。しかし、だからといって岸井氏の舌鋒は鈍らなかった。それどころか、安保法制では問題点をあぶり出し、2015年9月にはアーミテージ国務副長官のインタビューに成功。アーミテージはこのとき、安保法制は“自衛隊が米軍のために命を賭けると初めて約束するものだとし、“アメリカ軍のために役立ってほしい”と述べた。つまり、安倍政権による「日本の安全のため」「歯止めがかかっている」という説明がであることを番組はあきらかにしたのだ。

 当然、この放送内容に官邸は過剰に反応した。岸井氏も「官邸の中の情報だと、彼らがいちばん怖じ気をふるった」のは、アーミテージのインタビューだったと語っている。

 その上、岸井氏は、安保法制が参院特別委員会で強行採決される前日の9月16日放送で、「安保法案は憲法違反であり、メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げつづけるべきだ」と力強く主張した。

 もちろん、官邸はこうした態度を変えない岸井氏に怒り心頭。政治部を通じて「岸井をなんとかしろ」という声をTBS幹部に再三届けてきたといわれている。

 そして、岸井氏の番組降板の引き金となった事件が2015年11月に起こる。


■安倍親衛隊「視聴者の会」が意見広告で、岸井成格を攻撃

 岸井氏を個人攻撃する「放送法遵守を求める視聴者の会」による意見広告が産経・読売新聞に掲載されたのだ。この意見広告では、岸井氏の「安保法案は憲法違反であり、メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げつづけるべきだ」という発言を取り上げ、〈岸井氏の発言は、この放送法第四条の規定に対する重大な違法行為〉と攻撃したのである

 本サイトでは何度も追及をおこなってきたが、この「放送法遵守を求める視聴者の会」は安倍親衛隊による団体で、あきらかに“安倍首相の別働隊”と言うべきもの。この意見広告にTBSは震え上がり、上層部が内々に岸井氏の降板を決めたのだ。

 岸井氏はこの放送圧力団体による攻撃について、佐高氏との対談でこう振り返っている。

あの広告の呼びかけ人はほとんどが安倍首相の応援団で、七人のうち四人は安倍に個人献金をしている。広告を見たとき、怖くて不気味だという思いと同時に、官邸および政府与党は本気で言論弾圧をする気なんだと改めて思ったね。報道をめぐる不自由はここまできたのか、というのがいちばん近い印象だな

 『NEWS23』のアンカーを降板したあとも、岸井氏は『サンデーモーニング』でも共謀罪法案など、安倍政権の強権政治に対して果敢に批判をつづけた。このように、政権からの言論弾圧に怯むことのなかった岸井氏だが、そうしたジャーナリズム精神を砕いたのは、政権の顔色を伺うテレビ局上層部だったのである。

 『NEWS23』アンカーとしての最後の出演となった放送で、岸井氏はこう述べていた。

報道は変化に敏感であると同時に、やっぱり極端な見方に偏らないで、そして世の中や人間としての良識・常識を信じて、それを基本にする。そして何よりも真実を伝えて、権力を監視する。そういうジャーナリズムの姿勢を貫くということがますます重要になってきているなと感じています

 「真実を伝えて、権力を監視する」──。岸井氏の“遺言”を報道に携わる人間は重く受け止めなくてはないらない

(編集部)
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●2016年7月参院選、「あとの祭」の要因の大きな一つは片棒担ぎのマスコミにあり

2016年07月13日 00時00分11秒 | Weblog


nikkan-gendaiの記事【元NEWS23 岸井成格氏 「このままだとメディアは窒息する」】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185187)。

   『●失われる「メディアの作法、矜持」…
     「権力を監視する機能が失われ」、しかも、アベ様の「思う壺」
   『●青木理さん: ジャーナリストの矜持
      「権力や権威の監視」「強者にこそ徹底した監視の目を」

 《選挙報道が減ったのはイチャモンが面倒くさいから 改憲派が3分の2を制するのか。天下分け目の参院選を前にこの国の報道の静かなことまともに争点を報じず、アベノミクスの検証すらやらない。この国のテレビはどうなっているのか?》。

 2016年7月参院選、「あとの祭り」ということを、「壊憲」派議員に投票した人たちや「眠り猫」の皆さんが感じることが、この先、あったとしたならば、その要因の大きな一つはマスコミにあると思います。「強者にこそ徹底した監視の目を」向けるべき報道機関から「権力を監視する機能が失われ」た結果です。3度目のアベノサギの片棒を担いだのは、マスコミだ。

   『●アベ様は「報道がそれで抑圧される、
     そんな例があったら私は辞める」と明言・・・ETV番組改編問題は?

   『●有言不実行: アベ様は「報道がそれで抑圧される、
              そんな例があったら私は辞める」と明言

   『●自民若手批判できないアベ様・・・
     「「報道がそれで抑圧される、そんな例があったら私は辞める」と明言」
   『●テレ朝問題: 「これは圧力です」なんて答える訳がない!  
                 「私は辞める」なんて考える訳がない!!
   『●ヒヨる「マスコミがもう一度軍靴の行進に旗を振」る世の中で、
                        「東京新聞の読者の数が平和の数」
   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
     再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」 
       なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
   『●「そんな曲が交じっていないか。耳をそばだてる」…
         聞こえるのは、アベ様らの勇ましき進軍ラッパのみ
   『●最後っ屁に期待する: 古舘伊知郎さん、 
     この際ですから全部ぶちまけてから降板を! 矜持を示して!
   『●「NHKの看板番組「クローズアップ現代」の
            国谷裕子キャスターもとうとう降板」
   『●古舘伊知郎・岸井成格・国谷裕子・青木理さん… 
      アベ様に「厳しい立場だった人」達は偶然の一致なのか?
   『●スガ殿が「粛々」とジャーナリズムを破壊していく
             ~「安倍政権の圧力、狡猾なやり口」~
   『●いま、「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが
        攻撃を開始: 吉永小百合さんを断固支持する
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
       政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と「報道現場の声」:
                「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」

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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185187

注目の人 直撃インタビュー
NEWS23 岸井成格 「このままだとメディアは窒息する」
2016年7月10日

      (毎日新聞特別編集委員の岸井成格氏(C)日刊ゲンダイ)

 改憲派が3分の2を制するのか。天下分け目の参院選を前にこの国の報道の静かなことまともに争点を報じず、アベノミクスの検証すらやらない。この国のテレビはどうなっているのか? さぁ、このテーマを聞くなら、この人。毎日新聞特別編集委員の岸井成格氏(71)しかいない。


――参院選の報道を見て、どう感じますか? 報道の量そのものが減ってしまったような気がします。

 その通りだと思いますね。集計していないのでハッキリわかりませんが、減っている印象です。2014年の衆院選の時も、テレビの選挙報道は減った。従来の衆院選の時に比べて半分くらいになった。そうした傾向が続いていますね。


――2014年の衆院選といえば、安倍首相が岸井さんの「ニュース23」に生出演して、文句を言った選挙ですね?

 アベノミクスについての街録で反対意見が多すぎる。局が恣意的に選んでいるんじゃないか。そういうことを言われたんですが、その2日後に自民党からテレビ各局に政治的に中立、公平な報道を求める文書が届いた。街録の人数とか時間とか具体的なことにまで踏み込んで要請文書が来たのは初めてでした。


――テレビ局がスクラムを組んで文句を言うかと思ったら、選挙報道そのものが減ってしまった。

 街録そのものもなくなっちゃった。


――なぜですか?

 イチャモンをつけられるのは嫌だからでしょう。それに現場は面倒くさい。街録でアベノミクスに5人が反対したら、賛成5人を集めなきゃいけない。面倒だから報道そのものが減ったんですが、今回は参院選の争点も番組で扱わなくなっている。だから、何が争点だか、ぼやけてしまっている。舛添問題や都知事選の報道ばかりで、参院選を真正面から取り上げている番組が少ない。今度の参院選が盛り上がらないのは、権力側が争点隠しをやっていて、メディア側も与野党の相違点をきちんと報じないからですよ。


――この調子だとまた投票率が下がるかもしれない。

 前回は52%ですか。それよりも下がるかもしれませんね。


――争点はズバリ、改憲と言論弾圧を許すのか否かじゃないですか?

 特定秘密保護法に始まり、安保法制の強行、高市総務相の電波停止発言、それに自民党の改憲草案。中でもいざという時には国民の権利を制限できる緊急事態条項の創設ですね。これらを一連の流れで見ていくと、国家統制、監視社会の強化の方向に向かっているのは間違いないと思います。そういう時にメディア側が萎縮していていいのか、権力側に忖度していていいのか強い危機感を覚えます


――高市発言の際には岸井さんや田原総一朗さんらが立ち上がって外国人記者クラブで会見を行った(2月29日)。それでも現場は変わりませんか?

 去年よりひどくなっています。「息苦しい」という表現が使われましたが、それを通り越して、このままだとメディアは窒息するんじゃないか。


――それほどですか? それは現場のディレクターなどの言動からですか? それとも上からの圧力?

 具体的にどうのこうのというより、肌で感じる部分がありますね。


意見広告が出たときは「気持ち悪いなあ」と

――改めて、「ニュース23」の降板騒動について伺います。騒動のキッカケは昨年9月、いきなり新聞に意見広告が出て、岸井さんの発言が放送法違反であると糾弾されたことでした。

 驚きましたよ、最初、何の広告だろう、気持ち悪いなあ、と思って読んでみたら、全編、僕と23への批判だった。


――文化人による意見広告の形を取っていましたが、裏には安倍官邸のにおいがしました。

 皆さん、安倍応援団ですからね。


――つまり、官邸と一体であると?

 彼らが官邸の空気を先取り、忖度して、広告を出したのかもしれません。でも、これが高市電波停止発言につながっていく。23では「変わりゆく国」というシリーズを組み、40回も安保法制の問題を取り上げました。アーミテージ元国務副長官のインタビューもやりました。アーミテージ氏はこう言ったんですよ。「日米共同で何かを行うために議論を始めようとすると、必ず憲法9条がバリケードのように塞いできた」と。解釈の変更による今度の法律でバリケードが取っ払われる、そんな言い方をしたんですね。


――本音をズバリ吐露ですね。

 自衛権という言葉に騙されてはいけません米国のために出ていくのですから。しかし、こういう議論を国会できちんとしていないでしょ? だから、番組で何回も取り上げたことを偏向報道だと批判された。


――背筋が寒くなるというか、恐怖心はなかったですか?

 僕も甘くて、タカをくくっていた部分はあるんです。僕も取材してますから、官邸や自民党サイドから、「岸井はやりすぎじゃないか」「こういう発言は問題だ」という声は聞こえてはいました。でも、それを圧力とは思わなかった。あの広告を見て、初めて、ここまで苛立っていたのかと思いましたね。


――それが「ニュース23」降板につながったのでしょうか?

 TBS側はメーンキャスターの膳場貴子さんが産休に入るので前から番組一新を考えていた。そうしたら、あの意見広告が出たものだから、困っちゃった。決して圧力に屈して決めたわけではありません、という説明でした。


――その説明を信じている?

 今年5月、国連の人権委員会からデイビット・ケイ米カリフォルニア大教授が日本の「表現の自由」について調べに来た。僕の問題も調べて、インタビューを受けましたが、彼は圧力のエビデンスが見つからなかったと言っていました。でも、「岸井を辞めさせた方がいい」という声もありましたからね、忖度もあったのかもしれない。


――そもそも素朴な疑問なんですが、テレビ局側は権力側に媚びたり、忖度すると、何かいいことがあるんですか?

 メディアにとってはいいことひとつもありませんよ。自殺行為なんだから


――それなのに忖度するのはなぜですか?

 面倒くさいのがひとつ。もうひとつはスポンサー


――権力に逆らうと、スポンサーがなんか言ってくるんですか?

 役所から「なぜ、あの番組のスポンサーをするのか」みたいなことを聞かれた社長はいたみたいです。


――もうひとつ、忖度すると総理が番組に出てくれるというのもあるんじゃないですか? というか、忖度してくれる番組を選別して協力している感じがします。

 選別、これはハッキリしていますね。昨今は安倍チルドレンといわれる国会議員を中心に、なんか偏向報道は取り締まるのが当たり前みたいな感覚がある。これは安倍首相自身がテレビ報道に対してトラウマがあるからでしょう。初当選が93年で、この年、自民党は下野した。その背景には細川政権を応援しようというテレビ朝日の椿発言などがあった。そうした首相のトラウマが自民党の若手国会議員にも伝播し、広がっている。メディア側はそれを忖度して、自粛する。場合によっては番組内容を変える。ときにはキャスターまで代えてしまう。


■都知事候補だった桜井俊前次官がやってきたこと

――総務相が電波停止命令ができる放送法がある限り、テレビはいつでもそうやって脅されてしまう。違いますか?

 放送法というのは戦前の反省から権力の介入を排除するために作られたんです。政治的に公平中立な放送を求めているのは、権力側の介入を許さないためで、偏向報道かどうかを権力側が決めるなんてことはありえない。それなのに、突然、権力側にそうした権限があるかのように言い出したのが安倍政権なのです。


――ここでも憲法の解釈変更のようなことが行われたということですか?

 役所において、その中心にいたのが都知事候補だった桜井俊前総務省事務次官ですよ。


――岸井さんは政治記者として、若いころから安倍首相を知っているわけですよね。首相として、どういう評価をしていますか?

 晋太郎さんの担当だったし、岸信介さんのロングインタビューもやりました。当時、晋三さんは秘書だった。いつのまにか右のプリンスみたいになって登場しましたが、政治に対する考え方や進め方について、問題がある首相であると思います。


▽きしい・しげただ 1944年9月生まれ。慶大中高を経て、慶大法卒。毎日新聞入社。主筆を経て特別編集委員。
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●ギャラクシー賞受賞: 「報道への圧力が高まるテレビ界の危機的状況に対し、警鐘を鳴らす…」

2016年06月19日 00時00分51秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の都築光太郎氏による記事【報ステ、国谷のギャラクシー賞受賞でネトウヨ=安倍応援団が「偏向報道大賞」と攻撃! その権力の犬ぶりに絶句】(http://lite-ra.com/2016/06/post-2305.html)。

 《例の極右団体「…」が、…などと攻撃していた。このような団体が激怒するという点でその報道の正当性が浮き彫りになるかのようだ…。今回の『報ステ』受賞は、報道への圧力が高まるテレビ界の危機的状況に対し、警鐘を鳴らすという意味合いも込められていた》

 アベ様の取り巻きの例の「ト」な団体がまたしても、「ト」な動き。心ある報道機関、ジャーナリスト、その他、「ト」な団体の攻撃を受けている皆さん、どうか負けないでもらいたいです。攻撃されればされるほど、その報道や言論の《正当性》が示される訳で、本ブログ主は何の力にもなりはしませんけれども、陰ながら強く支持しています。

   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、再び、
       死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」
      なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
   『●スガ殿が「粛々」とジャーナリズムを破壊していく
             ~「安倍政権の圧力、狡猾なやり口」~
   『●いま、「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが
        攻撃を開始: 吉永小百合さんを断固支持する
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
       政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」

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http://lite-ra.com/2016/06/post-2305.html

報ステ、国谷のギャラクシー賞受賞でネトウヨ=安倍応援団が「偏向報道大賞」と攻撃! その権力の犬ぶりに絶句
【この記事のキーワード】ネトウヨ, 都築光太郎 2016.06.04

     (古舘プロジェクト公式サイトより)

 昨日もお伝えしたように、『報道ステーション』(テレビ朝日)のふたつの特集が、2日に発表された第53回ギャラクシー賞・テレビ部門大賞に輝いた。受賞した特集は、ジョセフ・スティグリッツ教授がインタビューに応じ、アベノミクスを批判した「ノーベル賞経済学者が見た日本」、安倍首相が憲法改正で新設を目論んでいる緊急事態条項ヒトラーが独裁のために悪用した国家緊急権の共通性を暴いた「独ワイマール憲法の“教訓”」だ。

 いずれも視聴者の知る権利を守る重要な内容で、この『報ステ』大賞受賞には「納得の受賞」「真摯な報道が認められることは良いこと」と評価する声が挙がったが、一方でネット右翼がまたしても猛反発。「“偏向報道”大賞だ」とバッシングを繰り広げている

 そもそも、この「独ワイマール憲法の“教訓”」は、例の極右団体「放送法遵守を求める視聴者の会」が、以前より「洗脳報道」「国際的なスキャンダル」「安倍総理がヒトラーなのではない、古舘伊知郎氏こそがゲッペルスではないか?!」などと攻撃していた。このような団体が激怒するという点その報道の正当性が浮き彫りになるかのようだが、今回、『報ステ』が受賞したことにくわえて、大賞に次ぐ優秀賞3本のひとつにNNNドキュメント'15 南京事件 兵士たちの遺言(日本テレビ)が選ばれたこと、さらに特別賞を『クローズアップ現代』元キャスターの国谷裕子氏が受賞したことから、ネトウヨが大挙して「左がかっている」「日本の国益を損ね貶める」「偏りは偏りを選ぶんだね」とギャラクシー賞を非難。「“ギャラクシー”ってことはサムスン=韓国が関わっている」などという事実無根の陰謀論までが飛び出す始末となっている。

 まさに「やれやれ」と言うほかないが、はたしてネトウヨは、今年の優秀賞に選ばれた人気バラエティ番組『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)や、第51回に大賞に輝いた『あまちゃん』(NHK)といった番組も「左がかっている」とでも言うのだろうか。さすがにそれは無理がありすぎる話だ。というより、ギャラクシー賞が一貫してこうしたバラエティやドラマも報道やドキュメンタリーと同じ土俵の上で評価してきたことを考えると、じつにフラットな賞であることがわかるはずだ。

 しかも、まるでギャラクシー賞が昨日今日できたような賞だと思っている輩も多いようだが、1963年に創設された歴史ある賞であり、その独立性の高さから、放送界ではもっとも権威ある賞として有名なものだ。

 “お手盛り”ではなく、放送批評家やメディア研究者などが自主独立して放送を論じる。このように長きにわたって日本の放送批評をリードし、信頼を高めてきたギャラクシー賞が、ニュース番組として初めて『報ステ』を大賞に選んだことには大きな理由があるはずだ

 実際、2日の贈賞式では、テレビ部門委員長の丹羽美之・東京大学大学院准教授は、古舘氏や国谷氏のキャスター降板について「このまま自由にものが言えなかった時代に逆戻りしてしまうのではないか、という不安も大きくなりました」とテレビに対する視聴者の実感を語り、「私たちはものがはっきり言える、言いたいこと、言うべきことをきちんと言える、そういうテレビ番組を応援したいと思っていますし、そういう番組がつくられていくことがこの国のテレビジャーナリズム、民主主義の成熟度を図るバロメーターになるという思いで選考に当たりました」と述べた。

 つまり、今回の『報ステ』受賞は、報道への圧力が高まるテレビ界の危機的状況に対し、警鐘を鳴らすという意味合いも込められていたのだろう。逆に言えば、今回受賞した『報ステ』の特集を「偏向報道だ!」と叫ぶ者たちの声が強まれば権力への忖度を促すことになっていく。だが、真っ当なジャーナリズムは本来、「言うべきことをきちんと言える」ものであり、そうした放送こそが評価に値するという姿勢をあらためて示した今回の選考は、左とか右といった思想性云々ではなく放送・報道のあるべきかたちを問うたのだ。

 現に、受賞した番組制作者たちは、テレビの現状を物語るスピーチを行っている。今回、「徹底した現場主義と映像媒体の長所を生かした王道の調査報道」と評価を受けた『南京事件』のディレクター・清水潔氏は、「忖度の“そ”の字もないような番組をつくってみたいと思いました」と語り、さらに、官邸からの圧力によって古賀茂明氏の降板とともに番組から更迭された『報ステ』の元プロデューサー・松原文枝氏は、制作者のひとりとして壇上にあがると、放送界は窮屈になりつつあると指摘。その上で「受賞はこういう番組づくりを続ける励みになる」と喜びを語った。

 権力に忖度しない番組づくりを評価することは、放送の自由が危ぶまれるいまこそ、重要な意味をもつ。それは国谷裕子氏の言葉からも感じられるものだ。国谷氏は『報ステ』の大賞受賞を受けて、「皆、臆せずに、伝え続けようという決意が伝わる授賞式だったなと思います」と言い、「問うべきことは問う、伝えるべきことは伝えるというこれまで自分がやってきたスタンスで良かったんだなとも思いました。それをやるのが報道なんだ、それだけの機運、情熱を感じました」と述べたという。

 国谷氏も古舘氏も番組を去ってしまったことを考えると、今回の受賞は皮肉な話でもあり、権力側の“不都合”を伝えてきたキャスターの不在がいかに大きな穴となっているかを際立たせるものとなった。しかし、あらためてジャーナリズムのあるべき姿をギャラクシー賞が示したことの意味は大きい

 だが、そうした放送を歪めようと躍起のネトウヨたちが、権力に代わって賞を貶めようとバッシングを行う、それもまた日本の現状だ。だからこそ、萎縮してはいけない番組をつくる側も、批評する側もこのような民主主義を破壊しようとする声に抗していくことが、今後、ますます重要になってくるだろう。

(都築光太郎)
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●「アベ様のNHK」脱却の一助になる? 大橋氏や花森氏が『暮しの手帖』創刊に込めた思いを描けるか?

2016年05月08日 00時00分02秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の記事【NHKは『とと姉ちゃん』のモデル・大橋鎭子の戦争反対の思いを描くことができるのか?】(http://lite-ra.com/2016/05/post-2222.html)。

 《「戦後、雑誌「暮しの手帖」を創刊した大橋鎭子氏。「暮しの手帖」といえば伝説の編集長・花森安治氏…この雑誌の誕生には、花森氏と大橋氏の確固たる思いがあった。それは、「戦争に反対しなくてはいけない」というものだ」》。

 「国営放送局」「国営宣伝局」として、ひたすらアベ様に従順なNHK。脱皮完全変態

   『●カラスはやっぱり「黒い」: 「アベ様のNHK」的
      「政府が白というものを黒とは言えない」で良いのか?

   『●トップからして腐敗したメディア:
       「きょうの安倍将軍」「安倍様のNHK」

   『●(非)特定秘密「隠蔽」法を大歓迎:  
     「たかり記者」だった?読売新聞ナベツネ氏は正気なのでしょうか?
   『●アベ様の政権の「暴走」許す、批判精神無き、「牙」無きメディア
   『●「戦没 新聞人の碑」と「対馬丸犠牲者の慰霊碑 小桜の塔」
   『●失われる「メディアの作法、矜持」…
     「権力を監視する機能が失われ」、しかも、アベ様の「思う壺」

    「本記事中に溢れる「アベ様のNHK」「アベ様の犬HK」に対する形容句の
     数々……「NHKの露骨な安倍政権へのすり寄り」「無批判なヨイショ」
     「政権の広報」「アベチャンネル」「安倍さんに、ただただ奉仕する」
     「NHKの“安倍サマ奉仕放送局化”」
      いまや、明確に、「カラスはやっぱり「黒い」」と言えなくなった
     「アベ様の犬HK」」

   『●青木理さん: ジャーナリストの矜持
      「権力や権威の監視」「強者にこそ徹底した監視の目を」
   『●国営化され、「アベ様の国営放送・犬HK」に脱皮:  
                 受信契約もヘッタクレも無し??
   『●「メディア側の“自発的隷属化”」のトップランナーNHKが、
                「アベ様の国営放送・犬HK」へと完全変態
   『●「NHKの看板番組「クローズアップ現代」の
             国谷裕子キャスターもとうとう降板」
   『●スガ殿が「粛々」とジャーナリズムを破壊していく
             ~「安倍政権の圧力、狡猾なやり口」~
   『●何度目かの「今日、死んだに等しいと思います」…
        《安倍政権の顔色ばかりうかがっている》テレ朝
   『●「川内原発を地図からトリミング」というのは穿ち過ぎか
              と思ってたら、「アベ様の犬HK」ときたら…

 「アベ様のNHK」と揶揄したくなる大惨状…そこからの脱却のための一助になり得るか? 大橋鎭子氏や花森安治氏が『暮しの手帖』創刊に込めた思いを描けるだろうか? 戦争中毒患者・アベ様のオトモダチ・籾井勝人会長の下、《戦争の体験から生まれた「暮しの手帖」という雑誌と、“しずこさん”の思いをどこまで描くことができるのか》《二度と戦争をしない世の中にしたい》…製作スタッフは「戦う」・「闘う」ことはできるだろうか?

   『●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督
     ・映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』

   『●「敗戦特集」『週刊金曜日』
       (2013年8月9日、955号)についてのつぶやき

    ■『週刊金曜日』(2013年8月9日、955号) / 
     【『金曜日』で逢いましょう三上智恵さん】、
     「無断で入ることをためらう若いスタッフには、映画
     『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』…を見せ、
     「問題自体が法を犯したものであれば、報道カメラマンは法を
     犯しても構わない
」」という福島さんの言葉で撮影を説得した」

   『●「戦没 新聞人の碑」と「対馬丸犠牲者の慰霊碑 小桜の塔」
   『●福島菊次郎91歳の写真集『証言と遺言』、届く
   『●反骨の報道写真家・福島菊次郎さん亡くなる:
      『証言と遺言』の最後に赤々と押印、「闘え」「菊」と

   『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と「報道現場の声」:
                   「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」

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http://lite-ra.com/2016/05/post-2222.html

NHKは『とと姉ちゃん』のモデル・大橋鎭子の戦争反対の思いを描くことができるのか?
【この記事のキーワード】NHK, 朝ドラ,  水井多賀子 2016.05.07

 4月からスタートしたNHK連続ドラマ小説『とと姉ちゃん』が絶好調だ。視聴率はスタートから20%台をキープし、最高24.6%をマーク(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。平均視聴率23.5%を記録した前作『あさが来た』超えも期待されている。

 このドラマの主人公・小橋常子のモデルとなっているのは、戦後、雑誌「暮しの手帖」を創刊した大橋鎭子氏。「暮しの手帖」といえば伝説の編集長・花森安治氏(ドラマでは唐沢寿明が演じる)が有名だが、女性に向けた生活雑誌をつくろうと最初に提案したのは、この大橋氏だった。

 『とと姉ちゃん』でも描かれているように、大橋氏は早くに父を亡くし、それからは母と2人の妹との生活を守るために奮闘。親交のあった作家・柴田錬三郎はそんな大橋氏のことを〈仕事はもちろん、日常茶飯事にこれほど重宝な人間は、またとあるまいと、おもわれるオール・マイテイの女だつた〉と評している。

 ファッションページでは自らモデルをつとめ、着物から直線裁ちでつくることができる普段着を提案。「誰にでも必ず出来る」料理記事や、「暮しの手帖」の代名詞ともいえる消費者目線の「商品テスト」企画、そして戦後、市井の人びとの生活に寄り添う雑誌をつくってきた大橋氏。じつは、この雑誌の誕生には、花森氏と大橋氏の確固たる思いがあった。

 それは、「戦争に反対しなくてはいけない」というものだ。

 まず、大橋氏が女性のための出版物を、というアイデアをもったのは、終戦直前のことだった。

 大橋氏は真珠湾攻撃が起こった1941年に日本読書新聞社に入社。そのときの編集長・田所太郎氏に、終戦後、女性のための出版がしたいと相談したところ、花森氏を紹介された。大橋氏の話を聞き、出版を手伝うとその場で決めた花森氏は、数日後、「君がどんな本を作りたいか、まだ、ぼくは知らないが、ひとつ約束してほしいことがある」と大橋氏に話したという。

   「それは、もう二度とこんな恐ろしい戦争をしない世の中に
    していくためのものを作るということだ。戦争は恐ろしい。
    何でもない人を巻き込んで、末は死にまで追い込んでしまう。
    戦争に反対しなくてはいけない。君はそのことがわかるか」

 またあらためて詳しく触れたいが、花森氏は戦中、大政翼賛会の宣伝部に属し、かの有名なぜいたくは敵だ!というスローガンも花森氏の作だったといわれる。花森氏は、自分には戦争への責任がある、と感じていたのだ。

   「君も知っての通り、国は軍国主義一色になり、誰もかれもが、
    なだれをうって戦争に突っ込んでいったのは、ひとりひとりが、
    自分の暮らしを大切にしなかったからだと思う。もしみんなに、
    あったかい家庭、守るに足る幸せな暮らしがあったなら、
    戦争にならなかったと思う」

 この花森氏の言葉に、大橋氏も頷いた。〈女の人のための雑誌を作って、温かな暮らしを大切にすることを提案し、二度と戦争をしない世の中にしたい〉という思いから、「暮しの手帖」は生まれたのだった。

 こうした思いは、当然、誌面にも反映された。暮らしの提案だけではなく、1968年8月1日に発行された号では、読者から手記を募って「戦争中の暮しの記録」を特集。それは、〈特別な人や大きな事件ではなく名もない市井の人々が、戦争の間、どんなふうに生きていたのか、どんな苦労をしてきたのかその小さな事実をひとつひとつ残しておかなければならないという思い〉から生まれた企画だ。一号まるまる使った大特集にしよう、と言ったのは、大橋氏だったという。

 「戦争は悲しい」。これは84年に発行された「暮しの手帖」2世紀91号(「暮しの手帖」は100号ごとに1世紀とカウントする)の記事タイトルだ。戦地に送られて命を落とした人、空襲によって被害を受けた人、そして他国で人びとを傷つけ、同じ思いをさせてしまったこと──何を切り取っても戦争は悲しい、その一言に尽きる。

 だが、そんな当たり前のことが、いまのこの国では当たり前ではなくなってきている「有事に備えて戦力を強化しよう」という声は大きくなり、自衛隊員は遺書を強要され、総理大臣はじめ時の政権は先の戦争を美化しようとさえしている

 そんな時代にあって、大橋氏や花森氏が「暮しの手帖」創刊に込めた思いを、いま一度振り返ることは重要だ。ひとりひとりの暮らしを大切にしたい。でも、武器を手にして威嚇したり攻撃することでは決してわたしたちの暮らしは守られない。だから戦争はいやだと反対しつづけるのだ。

 前述した特集「戦争中の暮しの記録」は、1969年の終戦の日に単行本化されたが、そのあとがきに、こんなメッセージが綴られている。

   〈たとえぼろぼろになっても、この一冊だけは、
    これからあとに生まれてくる人のために残しておきたい

 大橋さんは83歳まで社長を、92歳まで社主を務め、2013年に93歳でこの世を去った。前掲書『暮しの手帖別冊 しずこさん』では、〈わたしたち社員は、誰も彼女を「社長」や「大橋さん」とは呼ばず、「しずこさん」と呼びました〉と書いてある。──『とと姉ちゃん』は、戦争の体験から生まれた「暮しの手帖」という雑誌と、“しずこさん”の思いをどこまで描くことができるのか。期待して見守りたい。

( 水井多賀子
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●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」

2016年03月11日 00時00分17秒 | Weblog


東京新聞の記事【<東日本大震災5年>教訓を未来へ 風化させない…各局特番】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016022702000212.html)。
『吉永小百合さんも巻き込まれた? 高市「電波停止」発言と忖度するテレビ局』(http://dot.asahi.com/wa/2016022400189.html)。

 《あの日何が起きていたのか、災害から身を守るために何をすべきか。5年の歳月を振り返り、教訓を未来へつなげる取り組みが続く》
 《吉永さんへの批判について小川氏は、「丁寧な議論を展開していると自負している」》。

 東電核発電人災からちょうど5年。その「教訓」を発信できず、アベ様や「寄生」委員会の核発電「麻薬」中毒ぶりを批判せずしてジャーナリズムか? 好き勝手に核発電を推進させていて、それを報道が批判もせず、「教訓を未来へつなげる取り組み」なんて言えるのか?

   『●電力会社やアベ様、原子力「寄生」委員会は「原状回復」して見せよ
   『●2011年の『X年後』:星北斗座長  
      「現時点で放射線影響は考えにくい」…なんて気安く発言して大丈夫?
   『●原状回復できない現実: 「12万円で、
      あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」
   『●『放射線を浴びた『X年後』』: ビキニの海に居た
        元船員「行動しないと永遠に知る機会を失ってしまう」
   『●「老いた馬」ではなく「狂ったゴジラ」: 
      「麻薬」患者の関電がプルサーマルに続いて「寿命核発電所」…
   『●いま、核発電所を再稼働する「地元」へ:  
     立地する地域住民にも染み渡っていた「日本の原発は安全」…
   『●3.11東京電力核発電人災、
        菅直人(当時)首相談話草案の全文が公開された
   『●東電核発電人災避難者の《「怒り」と「慟哭」》、
      「理由も知らされず避難し、人格が否定された気がした」
   『●第五福竜丸元乗組員大石又七さん
     「ビキニと福島はつながっている」「被曝者がたどった道を、福島で…」
   『●今中哲二さん「被災した人々にもたらされた災難の大きさは、
               放射線測定器で測ることはできない」
   『●なぜ命を軽々しく賭して、「たかが電気」のために  
      核発電する必要があるのか? 次も神様・仏様は居るか?
   『●「故郷の川に身を投げたい衝動に駆られた」
       「早く浪江に帰りたい」…「原状回復」することも無く…


 アベ様らの暴走した政、何一つ止めることのできないジャーナリズム。「電波」な「凶器」は高市総務相だけじゃない。「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが攻撃を開始しているというのに、それを援護する新聞まで在る始末。《日本は今や世界の笑い者ですよ。…官邸の意向を忖度した上層部が、政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した》。
 「20XX年、再び戦争が始まった…。2016年、アベ様のあのトンデモ「壊憲」草案が現実のものになり、坂を転げるように、戦争できる国へ…。その時、ジャーナリズムは死に絶え、アベ様の広報機関となり、…。…核発電「麻薬」患者らは、『プルトニウムをつくる装置』=核発電所を次々に再稼働させ、それらは格好の周辺国の飛翔体の標的とされることに…。悪いことは重なるもので、九州では火山が大噴火し、ニッポンのあらゆる地域が核発電所の「地元」であることを思い知ることになった。2045年、小出裕章さんの予言通り、「国破れて、山河も無く」、真の意味でニッポンは終わり、終戦を迎えた」。 

   『●いま、「陰謀論丸出し」で
     アベ様の取り巻きが攻撃を開始: 吉永小百合さんを断固支持する
   『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と「報道現場の声」:
                  「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」

   『●20XX年、再び戦争が始まった…: 立憲主義を否定し、
             クーデターで壊憲しといて、そりゃぁないでしょ

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016022702000212.html

【放送芸能】
<東日本大震災5年>教訓を未来へ 風化させない…各局特番
2016年2月27日 朝刊

 東日本大震災から5年。各放送局は3月に震災関連の特集番組を集中的に放送する。あの日何が起きていたのか、災害から身を守るために何をすべきか。5年の歳月を振り返り、教訓を未来へつなげる取り組みが続く。

 NHKは、ラジオを含め七十六番組計九十七時間の震災関連番組を放送予定だ。板野裕爾(ゆうじ)放送総局長は「集中編成することが風化を防ぎたいという気持ちの表れ。復興がどれくらい進んでいるか、将来の課題は何かなどを一つの節目としてまとめる番組が多い」と話す。


■喪失と再生と

 NHKスペシャル(総合)は、五~十三日に計七本を放送。東京電力福島第一原発事故の検証を続けてきた「メルトダウン・シリーズ」の決定版(十三日)のほか、原発事故避難の全体像に迫る番組(五日)や、「私を襲った津波」(十一日)など、五年前に向き合う内容も。十日は、遺族と故人が対話する場として設置された「風の電話」に密着し、人々の喪失と再生の五年間をつづる。


■勇気と強さを

 フジテレビ「消防隊だけが撮った0311 彼らは『命の砦(とりで)』となった」(四日)は、全国から被災地に駆けつけた消防隊員が撮影した未公開映像と証言で構成。石田英史(ひでふみ)チーフプロデューサーは「凄惨(せいさん)な体験で心の傷を負った消防隊員たちが今だから明かす証言とともに、被災現場で何が起き、絶望的な状況をどう乗り越えていったのか、人間の勇気と強さを見てほしい」。

 日本テレビ「NNNドキュメント’16」(日曜深夜)が継続している「3・11大震災シリーズ」。七十作目はテレビ岩手、宮城テレビ、福島中央テレビが共同制作した「ふるさと」(六日深夜零時五十五分)だ。家族を失い、古里を奪われた三県の人たちの五年間と、これからの暮らしを見つめる。


■知識や備えも

 災害はいつ私たちを襲うか分からない。各局は啓発にも力を入れる。日テレ「教科書で学べない災害」(一日)は、池上彰と人気グループ「嵐」の櫻井翔が、スーパー台風が襲ったフィリピンや噴火が懸念される富士山などを現地取材。災害から命を守るために知っておくべき知識や備えを多角的に伝える。

 池上はTBS「緊急!池上彰と考える“巨大地震” その時命を守るためにIV」(九日)にも出演し、震災を教訓にした災害対策の最新情報を解説する。

 三月十一日には、NHK総合の「明日へ つなげよう」(十二、十三両日も随時)のほか、TBS「Nスタ」やテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」も特別番組を編成。被災地からの生中継などを交えながら現状を伝え、いま一度、被災地と全国の視聴者を結ぶ。
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http://dot.asahi.com/wa/2016022400189.html

吉永小百合さんも巻き込まれた? 高市「電波停止」発言と忖度するテレビ局
 (更新 2016/2/26 07:00)

      (「電波停止」発言に踏み込んだ
       安倍首相と高市総務相 (c)朝日新聞社)

 国会で高市総務相が「電波停止を命じる」と恫喝するなど、安倍政権の“テレビ局支配”が強まっている。民放でも政権を批判した看板キャスターらが3月、一斉に降板する。

 2月17日、英ガーディアン紙は「日本のテレビキャスターたちが政治的圧力で職を失う」と題した記事を掲載した。「クローズアップ現代」の国谷裕子氏、「報道ステーション」の古舘伊知郎氏、「NEWS23」の岸井成格(しげただ)氏の3人が、3月に同時に番組を降板することを紹介。さらに、2月8日の衆院予算委員会で高市早苗総務相が、政治的な公平性を欠く放送が繰り返された場合、電波停止を命じる可能性に言及したことも驚きをもって伝えられた。テレビ局幹部は、悔しさをにじませながら言う。

   「日本は今や世界の笑い者ですよ。表向きは番組改編期での
    交代や自主的な降板になっていますが、実態は違う。官邸の
    意向を忖度(そんたく)した上層部が、政権批判をいとわない
    キャスターの首を差し出した

 中でも岸井氏は2013年成立の特定秘密保護法で安倍政権を厳しく批判し、15年の安保関連法案の可決直前にも「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と番組で主張した。勇気ある発言と称賛された一方で、右派論客からは放送法第4条が定める「政治的に公平であること」に違反していると、批判された。

 昨年11月には、任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、視聴者の会)が、読売新聞と産経新聞に1ページ全面の意見広告を掲載。そこでは、岸井氏を名指しで「放送法第4条の規定に対する重大な違反行為」と批判した。

 TBS関係者が岸井氏の降板の内幕をこう話す。

   「安保法制で岸井さんの政権批判のボルテージが上がった
    昨夏ごろから、上層部は本人に何も相談せず、後任の
    キャスター選びを水面下で進めていました。それが秋ごろ、
    岸井さんの耳にも入り、本人はとてもショックを受けていた。
    降板の表向きの説明は『NEWS23』の視聴率低迷ですが、
    うちの朝の番組、『あさチャン!』『白熱ライブ ビビット』の
    低迷のほうがひどく、立て直しが急務だったはずなのに……」

 視聴者の会が安倍首相を応援する論客を中心に構成されていることも、臆測を呼んだ。

 呼びかけ人や賛同者には、12年の自民党総裁選前に設立された「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」発起人37人のうち11人が参加していた。高市総務相が「電波停止」発言をした直後の2月13日には、読売新聞に再度意見広告を掲載した。その関連性について視聴者の会は本誌に対し、広告は1月中旬から準備していたと否定。掲載の理由をこう説明する。

   「(特定秘密保護法と安保法制で)夜の主要テレビ番組の
    賛否バランスが8対2、9対1など極端すぎる状況なので、
    国民の知る権利の侵害だと訴えている」

 同会事務局長の小川榮太郎氏が雑誌「正論」3月号に寄稿した「吉永小百合さんへの手紙」も話題だ。この論考では、安保法制に反対した吉永さんが「しんぶん赤旗」に繰り返し登場していることから、「日本共産党の広告塔」だと指摘。キャスターだけでなく、今後は芸能人の政治的発言も問題視されるのではとの懸念の声もある。

 吉永さんへの批判について小川氏は、「丁寧な議論を展開していると自負している」としたうえで、こう回答した。

   「(論考は)会の活動とは全く関係ありません
    個々の発言者をターゲットにすることなどありえません」

 政権と民間の双方から強まるテレビ局への批判と圧力。元TBS報道局アナウンサーで、安倍政権初期まで2年余り内閣広報室に勤務した下村健一氏は、「メディアと権力の両側」を経験した立場から言う。

   「高市発言は、権力を持つ者の発言としては明らかに不適切だが、
    文言だけ見れば、当たり前のことしか言っていない。問題は、
    それを受けたテレビ局側が過剰な自主規制に走ること」

 では、テレビ局の自粛の進行を食い止めるにはどうすればいいのか。

   「放送内容が今後、もし政府寄りに偏ったら、まさに放送法第4条の
    求める政治的公平を、是正を求める根拠として視聴者側が使えます
    政権に批判的なことも言えるキャスターやコメンテーターの降板を
    憂うる視聴者は、『視聴者の会』と同じ論理で、テレビ局に意見表明の
    圧力をかけていけばいい」(下村氏)

 冒頭に紹介した記事では、もし、英国で厳しい質問をするキャスター3人が同時に職を失えば、「英国の多くの政治家は大喜びするだろう」と書いている。今、日本ではどこかで政治家がほくそ笑んでいるに違いない

(取材班 今西憲之、本誌・長倉克枝、西岡千史)

週刊朝日 2016年3月4日号
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●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と「報道現場の声」: 「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」

2016年03月02日 00時00分56秒 | Weblog


asahi.comの記事【「私たちは怒っている」 高市氏発言への抗議声明全文】(http://www.asahi.com/articles/ASJ2Y6JHGJ2YUCVL038.html?iref=comtop_list_pol_n03)。
ウェブ頁(http://appeal20160229.blogspot.jp/)からの「報道現場の声」の抜粋。
asahi.comの星賀亨弘記者による記事【「私たちは怒ってる」高市氏発言に抗議 岸井氏降板語る】(http://www.asahi.com/articles/ASJ2Y5HH6J2YUCVL01Z.html?iref=comtop_list_pol_n04)。

   『●『ヒトラー選挙戦略』へ推薦文を書ける 
     高市早苗氏は「公平」とか、「倫理」「法」とか口にできるのか?
   『●「クレショフ効果」と「電波停止」「メディアコントロール」:
                 「電波」な「凶器」高市総務相が暴走中

 「電波」な「凶器」高市総務相の暴走を止めないと…。ようやく、「テレビジャーナリズム」からの反撃。

 非常に重要な「報道現場の声」について、以下の綿井健陽さんのつぶやきで知りました

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WATAI Takeharu/綿井健陽 ‏@wataitakeharu
今日の会見で読み上げられた、以下のHP下部にある「報道現場の声」に注目。記者・ディレクターからの切実な声だと思います。
【高市総務大臣「電波停止」発言に抗議する放送人の緊急アピール】 http://appeal20160229.blogspot.jp/ 
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 本当に「切実な声」だと思う。是非、一読して頂きたい。
 「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と「報道現場の声」、そこには「自粛」「忖度」「自主規制」「委縮」「事なかれ主義」…が「内部から」生じている最悪の状況であることが分かる。


 反知性やそれを支える、読売や産経といった新聞社に負けるな! 岸井成格さんは、《広告への感想を問われた岸井氏は「低俗だし、品性どころか知性のかけらもない。恥ずかしくないのか」と答えた》そうだ。「テレビジャーナリズム」やその現場は、「低俗」「反知性」「恥」な嫌がらせに負けてはいけない。今反撃の「狼煙」を上げずして、いつ上げるのか?

   『●アベ様は「報道がそれで抑圧される、
     そんな例があったら私は辞める」と明言・・・ETV番組改編問題は?

   『●有言不実行: アベ様は「報道がそれで抑圧される、
              そんな例があったら私は辞める」と明言

   『●自民若手批判できないアベ様・・・
     「「報道がそれで抑圧される、そんな例があったら私は辞める」と明言」
   『●テレ朝問題: 「これは圧力です」なんて答える訳がない!  
                 「私は辞める」なんて考える訳がない!!
   『●ヒヨる「マスコミがもう一度軍靴の行進に旗を振」る世の中で、
                        「東京新聞の読者の数が平和の数」
   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
     再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」 
       なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
   『●「そんな曲が交じっていないか。耳をそばだてる」…
         聞こえるのは、アベ様らの勇ましき進軍ラッパのみ
   『●最後っ屁に期待する: 古舘伊知郎さん、 
     この際ですから全部ぶちまけてから降板を! 矜持を示して!
   『●「NHKの看板番組「クローズアップ現代」の
            国谷裕子キャスターもとうとう降板」
   『●古舘伊知郎・岸井成格・国谷裕子・青木理さん… 
      アベ様に「厳しい立場だった人」達は偶然の一致なのか?
   『●スガ殿が「粛々」とジャーナリズムを破壊していく
             ~「安倍政権の圧力、狡猾なやり口」~

   『●失われる「メディアの作法、矜持」…
     「権力を監視する機能が失われ」、しかも、アベ様の「思う壺」
   『●青木理さん: ジャーナリストの矜持
      「権力や権威の監視」「強者にこそ徹底した監視の目を」

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http://www.asahi.com/articles/ASJ2Y6JHGJ2YUCVL038.html?iref=comtop_list_pol_n03

「私たちは怒っている」 高市氏発言への抗議声明全文
2016年2月29日20時44分

 田原総一朗氏ら7人が呼びかけ人となって出した、高市総務相の「電波停止」発言に抗議する声明の全文は以下の通り。

     ◇

声明
私たちは怒っている
――高市総務大臣の「電波停止」発言は憲法及び放送法の精神に反している

 今年の2月8日と9日、高市早苗総務大臣が、国会の衆議院予算委員会において、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性について言及した。誰が判断するのかについては、同月23日の答弁で「総務大臣が最終的に判断をするということになると存じます」と明言している。

 私たちはこの一連の発言に驚き、そして怒っている。そもそも公共放送にあずかる放送局の電波は、国民のものであって、所管する省庁のものではない。所管大臣の「判断」で電波停止などという行政処分が可能であるなどいう認識は、「放送による表現の自由を確保すること」「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」をうたった放送法(第一条)の精神に著しく反するものである。さらには、放送法にうたわれている「放送による表現の自由」は、憲法21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」の条文によって支えられているものだ。 

 高市大臣が、処分のよりどころとする放送法第4条の規定は、多くのメディア法学者のあいだでは、放送事業者が自らを律する「倫理規定」とするのが通説である。また、放送法成立当時の経緯を少しでも研究すると、この法律が、戦争時の苦い経験を踏まえた放送番組への政府の干渉の排除、放送の自由独立の確保が強く企図されていたことがわかる。

 私たちは、テレビというメディアを通じて、日々のニュースや情報を市民に伝達し、その背景や意味について解説し、自由な議論を展開することによって、国民の「知る権利」に資することをめざしてきた。テレビ放送が開始されてから今年で64年になる。これまでも政治権力とメディアのあいだでは、さまざまな葛藤や介入・干渉があったことを肌身をもって経験してきた。

 現在のテレビ報道を取り巻く環境が著しく「息苦しさ」を増していないか。私たち自身もそれがなぜなのかを自らに問い続けている。「外から」の放送への介入・干渉によってもたらされた「息苦しさ」ならば跳ね返すこともできよう。だが、自主規制、忖度、萎縮が放送現場の「内部から」拡がることになっては、危機は一層深刻である。私たちが、今日ここに集い、意思表示をする理由の強い一端もそこにある。

〈呼びかけ人〉(五十音順 2月29日現在)

青木理大谷昭宏金平茂紀岸井成格田勢康弘田原総一朗鳥越俊太郎
=====================================================

=====================================================
http://appeal20160229.blogspot.jp/

【高市総務大臣「電波停止」発言に抗議する放送人の緊急アピール】


  呼びかけ人有志で会見を行いました。

■2月29日(月)14時半~日本記者クラブ
 千代田区内幸町プレスセンタービル9F

<呼びかけ人>(五十音順 2月26日現在)

青木理大谷昭宏金平茂紀岸井成格田勢康弘田原総一朗鳥越俊太郎

声明
私たちは怒っている
―――高市総務大臣の「電波停止」発言は放送法の精神に反している

………。


―報道現場の声―

○在京放送局 報道局若手社員
 報道現場の委縮」とは意識して始まるものではなく、現場の人間でさえわからない間に「浸食」されてしまうものだと感じている。気づけば、争点となる政策課題(たとえば原発、安保)を取り上げにくくなっている。気づけば、街録で政権と同じ考えを話してくれる人を何時間でもかけて探しまくって放送している。気づけば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている。私たちは今まで通り、自由に企画を提案しても、通らないことが多くなったり、作ったものに対しても直しを求められることが増え、それがいつのまにか普通になり、気づけば自由な発想がなくなってきているような状況だ。以前のように政策をチェックし批判すべき点を批判する、ということが、明らかにできていない。おかしいことをおかしいと言えない、閉塞感が漂っている。
 若い新入社員などはそれをおかしいとは思わずこれを基準に育っている。そうした中で飛び出した高市大臣の発言。これが出てその日を機に何か変わった、という わけではない。ただ、もやもやとある閉塞感の中に「あーやはりこれ以上政権批判はできないんだ」という絶望感みたいなものがさらに加わった気がする。「自由な政権批判ができない」空気は、もはや、自分一人では抗えないものとなっている。権力者を監視すべきは国民であり、その国民に対して必要な情報を届けられていない。今のマスコミは危機的だ。このままでは、気づけばテレビジャーナリズムは死んでいた、となりかねない。
--------------------

○在京放送局 報道ディレクター
 「原発」「沖縄」「領土と歴史認識」「安保」といった日本の針路に関わる国民の最も関心を寄せるイッシューに対して、自由闊達な議論を封じる有形無形の圧力を感じている。
 上記に関する特定の映像を放送の直前になって、削除、変更するよう言われたり、政権の要職にある人物の発言を補足するコメントを書き改めるよう求められることが、実際に起きている。安保関連法をめぐる番組の放送日時が変更されるケースも出てきている。
 問題なのは、それらの圧力が番組の企画、取材、編集の場に立ち会ったこともない部署や人物から、突然降りてくることである。今まで現場の自由闊達な議論を経て、納得するまで合議を重ね、番組を作ってきたが、その議論のプロセスを知らない方向から、現場の意向と相反する指示が降ろされてくることは、現場との信頼関係を崩すのみならず、それまで取材に協力してくれた方々や、視聴者からの信頼をないがしろにすることに他ならない。
 政権の意向を忖度し、自主判断という名の自粛が当たり前になるならば、それこそ権力による検閲の最終形であり、沈黙はその道に進むことに対する容認である。放送人として、今こそ自覚的であるべきだと痛感している。
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○在京放送局 中堅ディレクター
 「安全保障関連の提案が通りにくくなった」。これは昨年来、現場で問題となっていることです。しかしいったいなぜ通らないのか、どうすればいいのか、それを皆で議論しようとすると、人事を把握している人間から「そういうことをすると、どうなるか・・・」ということをほのめかされます。 
 ナレーションを書く時にも、「中立公正」でいようと心を砕きますが、さりげなく政権側の主張をプラスされて書き換えられます。「中立」の基準が、少しずつずれていっているように感じます。1日の最初のころには報道検討項目としてあがっていた事柄が、時間がたつにつれて消えていき、結局は報道されないという事は、しょっちゅうおこります。しかしなぜAというニュースが選ばれ、Bは選ばれないのか、その明確な基準は現場にはわかりません。日々積みあがっていく、無数の「忖度」。しかし誰もそれを「忖度」とは呼ばず、一見ちゃんとした理由があるように見えます。提案が通らないのは、内容が練れていないから。ナレーションが書き換えられるのは、視聴者にちゃんと伝わらないから。現場から外される人事異動も、より活躍する場を広げてほしいから・・・。本当にそうなのか、誰も検証できないまま、結果として自由に意見が言えない雰囲気が充満していきます。
 高市発言の時も、個々人で話せば多くの人が憂慮していますが、皆で声をあげようということにはなりませんでした。報道機関として情けない、外の方はそういうでしょうし、忸怩たる思いを抱えている仲間も大勢います。のちの時代になって「あの頃が転換期だった。メディアは何をしていたんだ」と言われるようになるのではと、日々恐れと焦りを感じています
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○在京放送局 報道局中堅
 報道現場に充満する自粛の空気と言うのは、皆さんが想像する以上の深刻な域に達しています。我々は、今、伝えるべきことを伝えられていないと言う自責の念に、日々かられています。012年12月の選挙の際に、自民党が選挙報道にあたっての「要請文」を放送各社の記者を一人一人呼びつけ、手渡しましたが、これまで政党がこんな事をしたことはありませんでした。共産党など少数政党が他の党と同等に扱うようにと言う文書を送ってくることはありましたが、放送内容について細かく要請してきたことはありません。文書で細かく注文をつけるのは、報道への政治介入と捉えられ、明らかに表現の自由に抵触するという節操がまだあったからです。自民党がNHKとテレビ朝日を呼びつけた事も、同じように、報道への政治的なプレッシャーです。実際に、こうした文書や動きが報道現場に自粛の効果をもたらしています。表向き各局の記者やコメンテーター、経営陣が、恥ずかしくて認めないため、多くの国民の知る所となっていませんが、現場には、明らかに大きな影響が出ています。例えば、この文書を受けて街録を削りましたし、デモの批判的な映像も自粛しています。デモは市民の意思を表す動きですが、デモを警戒している官邸に気を使ったのです。ニュースの選択の段階で気を使い、無くなったニュース項目は山ほどあり、数を挙げたらきりがないほど、気を使っています。
 高市大臣の発言は、これまでの動きからさらに踏み込み、「電波停止」と言う、明らかに憲法の「表現の自由」を侵す憲法違反の発言です。この発言は、参議院選挙前のこの時期に、報道現場にさらに自粛させる効果を持っています。すでに自粛の空気は充満していますが、それ以上に、放送局経緯陣が慎重になり、それが現場へのプレッシャーになるからです。高市大臣が、国会で「私自身に対するここ1週間ぐらいの報道を見てましても、決してメディアは萎縮されてないと思います。」と答弁していますが、そもそも放送局でこの問題をしっかり放送したのは、3つ4つの番組だけです。毎日いくつもの報道番組がニュースを流す中で、この重大な発言を扱う番組がこれだけしかないというのが現実を表しています

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○在京放送局報道番組ディレクター
 高市大臣発言を含めて、一連の安倍政権下の動きで、実際の報道現場に影響が出ているのは、確かです。最も顕著に表れているのが、番組内の決定権者らの自粛です。「それはやりたいのは分るが、我慢してくれ。そこまで突っ込めない。」などと言われることは何度もあります。これまでなら当然指摘してきた問題点の掘り下げなどについてです。政権批判と取られるのではないかと恐れ、自粛しています。これは、報道側の情けなさではありますが、実際にある圧力によって影響を受けています。これまでの政権下でも公平性に注意して報道してきましたが、安倍政権になって特に自粛が強まっています
 2年前の衆院選で一党が議席の3分の2を得た後、右傾化が進むのではないかと感じ、「非国民」のような戦前戦中の言葉も出てくるのではないかと冗談を言っていました。しかし実際にそんな世の中になってきているようで大変残念です。 過半を取った党は、思ったより急激に放送に対して管理的な一部敵対的行動を始めた様に感じます。要請文書問題や、部会での問題発言など、聞こえてくる声は、放送法と電波法を組み合わせた脅しのようなものに感じます。
 放送に対してだけではありません。去年8月、「戦争に行きたくない」との青年の言葉に対して、「自分中心、極端な利己的な考え」と、まるで戦前の「非国民」扱いのようなことを平気で言う、当該の党の国会議員があらわれました。お国のために命をささげるのは当然だ。という意識なのでしょうか。そのお国のための戦争は、本当に正しいか?別の策はないか?そんな戦争には行きたくない。という考え方が、国会議員に非難される世の中になったのでしょうか。
 また一部の国々と安保協調せねばならないという主張だけがことさら強調されていると思います。そもそも、その各国の安保軍事行為は最善か?などの検討や国民的議論はなされず、数の論理で、憲法の解釈など重要問題が一方的に一方向に決められて行く。もしかすると戦前はこんな空気から始まったのではないでしょうか。
 そして今回、権限、権力を持つ大臣があの発言をしました。国論を二分する政治課題であれば、政府案の問題点を追及することはメディアの役割です。そのことと、「政治的な公平」とは別次元の話です。しかし、それをあえて曲解して、「ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す」とされるおそれが出てきました。
 報道の一員である以前に、一国民として、この報道への行き過ぎた行為に対して抗議します。
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○在京放送局 報道番組ディレクター
 今の番組の空気は、政権と上司を忖度する空気が蔓延している。事なかれ主義になっている。例えば、NHKのやらせ問題でBPOが政治介入と報告した件を、ニュースで大きく扱うよう提案したところ、結局ニュースに出来なかった。放送への政治介入を取り上げることは、放送局共通の大問題でもあるのに、逆に取り上げることで、政権から目を付けられるのが嫌だと。デスククラスで誰かが反対すると、皆反対する空気になって、危ない道は今はやる必要ないとなる。今やらなければ、いつやるのか。視聴者に伝えなくてはいけないことを伝えられていない。会社のトップが総理と会食して仲良くするから、番組幹部がそれを見て、出世を考えるから、忖度する。ぎりぎりを攻めてミスしないようする方が、視聴のためになるのに、出世するためには上司に嫌われないように、危ない橋を度らないようにする。何のためにこの仕事をやっているのかということになる。
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http://www.asahi.com/articles/ASJ2Y5HH6J2YUCVL01Z.html?iref=comtop_list_pol_n04

「私たちは怒ってる」高市氏発言に抗議 岸井氏降板語る
星賀亨弘 2016年2月29日19時58分

     (放送局に電波停止を命じる可能性についての
      高市早苗総務相の発言に抗議する(左から)
      青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、
      田原総一朗、鳥越俊太郎の各氏
      =29日午後、東京都千代田区、時津剛撮影)

 高市早苗総務相が放送法4条違反を理由にテレビ局に「停波」を命じる可能性に言及したことについて、「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)の司会者田原総一朗氏や「ニュース23」(TBS系)のアンカー岸井成格氏らジャーナリスト6人が29日、東京都内で会見を開き、「私たちはこの一連の発言に驚き、そして怒っている」とする声明を発表した。

 会見したのはジャーナリストの青木理氏、大谷昭宏氏、鳥越俊太郎氏、「報道特集」(TBS系)キャスターの金平茂紀氏に田原氏、岸井氏を加えた6人。出席はしなかったが、「週刊ニュース新書」(テレビ東京系)で司会を務めるジャーナリストの田勢康弘氏も声明の呼びかけ人に参加している。

 声明では、高市氏の発言を放送法や憲法の精神に反するものだと批判。さらに、「現在のテレビ報道を取り巻く環境が著しく『息苦しさ』をましていないか」として、「自主規制、忖度(そんたく)、萎縮が放送現場の『内部から』広がることになっては、危機は一層深刻である」と訴えた。

 青木氏は「政権と政権の応援団がメディアを非常に不当な形で攻撃してきているという事実を真剣に受け止め、黙っていられないという思いでここに来た」。大谷氏は「視聴者にすでに多大な影響が出ている」と指摘。東日本大震災の被災地で復興が進んでいるところを取材をしようとすると、「復興がなっていないのに、あんたがたは、そういう取材をさせられているんだろう」との批判を受けると語った。

 金平氏は「自主規制とか忖度とか、過剰な同調圧力やそれによって生じる萎縮が今ぐらい蔓延(まんえん)していることはないと、自分の記者経験から思う」。田原氏は「高市氏の発言は非常に恥ずかしい。全テレビ局の全番組が抗議すべきだが、残念なことに、多くのテレビ局の多くの番組が何も言わない」と語った。

 鳥越氏は「これは政治権力とメディアの戦争。政治権力側が一方的に攻勢を強め、メディアが後退している。ここまで露骨にメディアをチェックし、牽制(けんせい)してきた政権はなかった。下から変えていくしかない。声をあげましょう」と呼びかけた。

 また、3月で「ニュース23」のアンカーを降板することについて岸井氏は「私個人は圧力に屈したとは思っていない。具体的に私に言ってくる人はだれもいなかった。交代は局の意向」と説明した。

 岸井氏が昨年9月に番組で「(安全保障関連法案に)メディアとしても廃案に向けて声をずっとあげ続けるべきだ」と発言したことについて、保守系の学者らでつくる「放送法遵守(じゅんしゅ)を求める視聴者の会」が昨年11月、「放送法に対する違反行為だ」と批判する意見広告を産経新聞と読売新聞に出した。広告への感想を問われた岸井氏は「低俗だし、品性どころか知性のかけらもない。恥ずかしくないのか」と答えた。(星賀亨弘)


■高市氏、29日も考え示す

 高市早苗総務相は29日の衆院予算委員会で、放送法4条に基づく電波停止について、極めて慎重な配慮が必要だとしつつ、「一つひとつの番組の集合体が番組全体なので、一つひとつを見ることも重要だ」と述べた。放送局が政治的に公平性を欠く放送を繰り返したかの判断は、個々の番組の内容が要素になるとの考えを改めて示した。

 民主党の奥野総一郎氏は「なぜ高市答弁が大きく取り上げられるのか。従来は番組全体のバランスで判断するとしていたが、高市答弁では個別の番組でも停波をしうると変わったからだ」と指摘した。

 一方、自民党の谷垣禎一幹事長は、27日放送のBS朝日の番組で「政治的偏向をどうするか、という判断に行政が立ち入ると難しい局面になる。私はそういうことに自民党が踏み込んでいくのは非常に慎重で、それが自民党の放送政策だと思っている」と否定的な考えを示した。
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●スガ殿が「粛々」とジャーナリズムを破壊していく ~「安倍政権の圧力、狡猾なやり口」~

2016年01月25日 00時00分12秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の記事【菅官房長官がNEWS23岸井の勉強会にこっそり…古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力、狡猾なやり口】(http://lite-ra.com/2016/01/post-1886.html)。

 《政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板……誰の目にも明らかな異常事態……機能不全状態》。

 スガ殿による「粛々」としたジャーナリズム破壊。古舘伊知郎さん、岸井成格さん、国谷裕子さん、青木理さんらを守ろうともしないテレビ局はアベ様の宣伝機関に成り下がる。

   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
     再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」 
       なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
   『●「そんな曲が交じっていないか。耳をそばだてる」…
         聞こえるのは、アベ様らの勇ましき進軍ラッパのみ
   『●最後っ屁に期待する: 古舘伊知郎さん、 
     この際ですから全部ぶちまけてから降板を! 矜持を示して!
   『●「NHKの看板番組「クローズアップ現代」の
            国谷裕子キャスターもとうとう降板」
   『●古舘伊知郎・岸井成格・国谷裕子・青木理さん…
      アベ様に「厳しい立場だった人」達は偶然の一致なのか?

 「「報道がそれで抑圧される、そんな例があったら私は辞める」と明言」するアベ様を蹴落とせないジャーナリズム、矜持が無さすぎる。そして、何度も言うが、《そうして政権が報道を右にずらしていった先にめざすもの……それは改憲に肯定的な世論の生成であり、戦争状態を容認する戦前のような体制づくりだ》に加担する、自公政治家・おおさか維新議員に投票し続ける者たちの罪深さだ。『眠り猫』という無関心という罪だ。

   『●アベ様は「報道がそれで抑圧される、
     そんな例があったら私は辞める」と明言・・・ETV番組改編問題は?

   『●有言不実行: アベ様は「報道がそれで抑圧される、
              そんな例があったら私は辞める」と明言


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http://lite-ra.com/2016/01/post-1886.html

菅官房長官がNEWS23岸井の勉強会にこっそり古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力、狡猾なやり口
【この記事のキーワード】圧力, 水井多賀子, 菅義偉 2016.01.16

      (菅義偉ホームページより)

 政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板に追い込まれるという誰の目にも明らかな異常事態が起きた2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され、今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほとんど取り上げないという、機能不全状態に陥ってしまった。

 こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧力だが、その実行犯といえば、やはり、“安倍政権のゲッベルス”菅義偉官房長官をおいていないだろう。

 本サイトでは、菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには週刊誌への具体的な介入について再三、報じてきたが、ついにあの人が菅氏の“やり口”について語った。

 あの人とは、昨年のメディア圧力事件の象徴的人物であり、菅官房長官の圧力により『報道ステーション』(テレビ朝日)を降板に追い込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。

 古賀氏が菅官房長官について語ったのは、「週刊金曜日」(金曜日)2015年12月25日・1月1日合併号に掲載された鼎談でのこと。この鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高信氏、上智大学教授の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙がったのは「放送法遵守を求める視聴者の会」による『NEWS23』(TBS)のアンカー・岸井成格氏に対する意見広告についてだったが、まず、これに対し古賀氏は「いやー、ここまでやるかなという感じです」と驚嘆し、このように述べている。

   「賛同人の名前を見れば、安倍政権の応援団がしてることです。
    安倍政権が本気でこのまま突き進めば放送については完全に
    国家統制の時代に入りますね」

 そして、古賀氏のこの発言につづいて、佐高氏は菅官房長官について言及。佐高氏は、現在のBPO(放送倫理・番組向上機構)は元々、菅氏が総務大臣時代に「総務省の下に第三者委員会みたいな組織」を作ろうと画策したものの、当時の日本民間放送連盟会長で日本テレビ会長の氏家齊一郎氏らから反対にあい、現在の独立したかたちになったと設立経緯を説明。このことをいまも菅官房長官は「総務省の下につくるべきだった」と悔やんでいるらしく、そうした点を踏まえて佐高氏は安倍政権の報道圧力について「政権全体の動きと同時に菅個人の問題、ある種の陰湿さが背景にあると思うんです」と述べている。

 この佐高氏の言葉を受け、古賀氏も“直接の被害者”としてこう語っている。

   「もちろん菅さん個人の思いが強烈にあると思います。
    菅さん中心に官邸が、とにかくマスコミを抑えることを、
    ある意味、政策よりも最優先課題として、ずっと対応してきている
    印象ですね」

 政策よりメディアへの圧力に尽力。──それが官房長官の仕事か、とツッコみたくなるが、さらに驚きなのが、佐高氏が学生時代からの付き合いである岸井氏本人から聞いたという、菅官房長官の知られざる“裏活動”だ。

   「岸井が私的にやってる勉強会に、突如菅がやって来たことが
    あるそうです。出席するメンバーの誰かから聞いたんでしょう。
    一方で、菅は「忙しくて翁長(雄志)さんにも会えない」
    と言っている頃ですよ」

 なんと菅官房長官は私的勉強会にまで探りを入れ、岸井氏に直接会いに行っていた、と言うのだ。しかも、岸井氏は菅官房長官から、このようなアプローチも受けていたらしい。

   「勉強会の最初から最後までいて「いいお話を聞かせて
    いただきました」と言って帰っていったそうです。そして、
    菅から「あらためてお話を伺いたい」と連絡がきたと岸井が
    言うから、私が「岸井、応じろ。そのとき友だち一人連れていくと言え」と」

 どうやら佐高氏は菅官房長官との対面にまではもちこめなかった様子であるが、一体、菅官房長官が岸井氏に近づこうとした理由はなんだったのか。その手の内を、今度は古賀氏が語っている。

   「菅さんの攻勢はすごいですよ。昼も夜も時間さえあれば、
    とにかくテレビに出るようなキャスター、コメンテーター、
    有識者の人たちとご飯を食べるそうです。これは菅さんに
    極めて近い人の話を間接的に聞いたんですけど」

 メディア関係者と会食とは、まさしくやり口は安倍首相と一緒だ。それにしても、定例会見を見る限り、菅官房長官は無愛想極まりないが、会食中はどのような態度なのか。これもまた古賀氏が詳細に明かしている。

   「もちろんあからさまに圧力をかけるんじゃないですよ。
    「いやー、先生のお話は面白いな」とおだてながら、
    「今度役所の方でも勉強させたいんで、ぜひお話しを
    してください」と持ち上げるんだけど、それをやられた方は
    ほぼ全員寝返ったそうです。民主党のブレーンとか、
    政治評論家とかいっぱいいるじゃないですか」

 いつもは無表情なのに、一転、愛想笑いを浮かべゴマをする菅官房長官……。想像するだに夢に出てきそうなおっかなさだが、この菅式メディア骨抜き作戦によって寝返らなかった人こそ岸井氏だったのだ。古賀氏は「だから、官邸では「岸井っていうのは筋金入りだ」と怖れているそうですよ」と言う。

 無論、岸井氏はジャーナリストとして当然の態度を取っただけだ。しかし情けないことに、このような岸井氏の毅然とした姿勢も、テレビ局や新聞社では政権の御用記者と化している政治部経由でクレームが入り、跳ね上がり扱いされることだろう本来ならば権力側からの圧力には強い意志ではねつけるべきところを、「取材できなくなると困る」「怒らせたら呼び出されるかも」と恐れ、いまでは不都合な話題にはふれることさえしない。このような及び腰で、国民の知る権利を守り、権力を監視するというジャーナリズムの役目を果たすことなどできるはずがない。

 また、恐ろしさを感じずにはいられないのは、中野氏による今後の“予測”だ。本サイトではいち早く、岸井氏の後任として朝日新聞特別編集員で保守派寄りの政治部記者である星浩氏が打診を受けているとスクープしたが、中野氏は星氏後任人事が現実化したときの『NEWS23』をこのように分析する。

「やり方として非常に巧妙なのは、岸井さんから星さんに変わったとき、いろんなことを追ってない人から見れば、すーっと静かに右にずれていくのがわからないようになっています。同じ番組を見ていたら、『朝日新聞』の新しい人が来て、当たり障りのない範囲でちょっと批判っぽい感じのことを言っていって。実際はどんどん右にずれている

 どんどん右にずれていくのに、多くの視聴者がそのことに気付かない。──同じことは、古舘伊知郎の後任に自局の富川悠太アナウンサーを立てた『報ステ』や、国谷裕子キャスターを降板させ22時に枠移動する『クローズアップ現代』(NHK)でもきっと起こるだろう。

 そうして政権が報道を右にずらしていった先にめざすもの……それは改憲に肯定的な世論の生成であり、戦争状態を容認する戦前のような体制づくりだ。

 安倍政権の邪悪ぶりには言葉もないが、しかし、これは安倍首相や菅官房長官だけの問題ではない。メディア関係者はかれらの暴走を許している自分たちもまた同罪であるという認識を強くもってほしい

水井多賀子
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●古舘伊知郎・岸井成格・国谷裕子・青木理さん…アベ様に「厳しい立場だった人」達は偶然の一致なのか?

2016年01月24日 00時00分01秒 | Weblog


東京新聞の社説【キャスター降板 何が起きているのか】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016012102000138.html)。

 《NHKや民放のニュース番組で著名なキャスターらが相次いで降板すると報道されている。安全保障関連法案について厳しい立場だった人もいる。放送の世界でいったい何が起きているのだろうか》。


   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
     再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」 
       なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
   『●「そんな曲が交じっていないか。耳をそばだてる」…
         聞こえるのは、アベ様らの勇ましき進軍ラッパのみ
   『●最後っ屁に期待する: 古舘伊知郎さん、 
     この際ですから全部ぶちまけてから降板を! 矜持を示して!
   『●「NHKの看板番組「クローズアップ現代」の
            国谷裕子キャスターもとうとう降板」

 ジャーナリズムの矜持の崩壊。古舘伊知郎さん、岸井成格さん、国谷裕子さん、青木理さん……アベ様に「厳しい立場だった人」達が去りゆくのは偶然なのか?、必然だったのか? 3A+Sによる「粛々」としたジャーナリズムの破壊。

   『●見損ねた
   『●東京電力原発人災の「つけ」と東電の無責任体質
   『●ヒヨる「マスコミがもう一度軍靴の行進に旗を振」る
         世の中で、「東京新聞の読者の数が平和の数」
   『●”テレ朝は今日、死んだに等しいと思います”
   『●カラスはやっぱり「黒い」: 「アベ様のNHK」的
      「政府が白というものを黒とは言えない」で良いのか?

   『●アベ様の政権の「暴走」許す、批判精神無き、「牙」無きメディア
   『●「薄っぺらで反知性的なタカ派が増殖している」
                    ・・・・・・アベ様達からして?

   『●失われる「メディアの作法、矜持」…
     「権力を監視する機能が失われ」、しかも、アベ様の「思う壺」
   『●青木理さん: ジャーナリストの矜持
      「権力や権威の監視」「強者にこそ徹底した監視の目を」
   『●崩壊するジャーナリズム…仕込みとアベ様らによる世論操作: 
                  初夢が悪夢となり、正夢となりつつあり……

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016012102000138.html

【社説】
キャスター降板 何が起きているのか
2016年1月21日

 NHKや民放のニュース番組で著名なキャスターらが相次いで降板すると報道されている。安全保障関連法案について厳しい立場だった人もいる。放送の世界でいったい何が起きているのだろうか。

 テレビ朝日「報道ステーション」のメーンキャスターを務める古舘伊知郎さんが降板する。同じ三月末にはTBSの「NEWS23」のアンカー岸井成格(しげただ)さんも…。NHKの「クローズアップ現代」のキャスター国谷裕子さんの降板も検討されている。

 相次ぐ降板報道が、さまざまな臆測を呼んでいる。政権に批判的だったからではという風評もある。確かに古舘さんは記者会見の場でも「キャスターは反権力の側面がある」と語った。岸井さんは安全保障関連法案に対して「廃案に向けて声を上げ続けるべきだ」と発言したこともある。国谷さんは集団的自衛権の問題で、菅義偉官房長官に鋭い質問を浴びせたことがある。まさか三人の降板が権力からの圧力や自制の結果ではないことを祈る。

 しかし、著名なキャスターの降板は、放送界が政治報道に萎縮しているのではないかという印象を与えることは間違いなかろう。

 そもそもNHK会長人事が「首相のお友達を据えた」と言われた。一昨年末の衆院選のときは、自民党が在京各局に「公平中立、公正の確保」を求める文書を出したし、昨年にも任意にせよテレビ朝日とNHKの幹部から事情聴取している。権力の動きもまた目立っているからだ。

 政治報道の番組はストレートなニュースが中心で、「解説や評論が減った」という声もある。「政治そのものが扱われなくなった」という声も聞かれる。事実ならば、自由闊達(かったつ)であるべき放送ジャーナリズムの衰退である。

 もし政権の意向を忖度(そんたく)したり、報道内容を自粛したりしているならば、放送による表現の自由を定めた放送法の理念にもとる。

 同法一条の「不偏不党」の言葉の意味は、言い換えれば「自立」か「独立」である。それを保障するのは公権力の側である。

 「政治的に公平」という言葉も、自由であるからこそ、自律的に公平さを保ってほしいという倫理規定にほかならない権力から離れ、自らの掲げた理想を目指し、自らの理性に従って権力を監視するのである。

 テレビが政治的に元気でないと、この国の民主主義も元気に育たない。
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