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●『官僚とメディア』読了(3/3)

2010年04月04日 07時03分58秒 | Weblog

魚住昭著、官僚とメディア

 思考停止。「特捜検察はいまブレーキの壊れた車のように暴走し始めている。誇張でも冗談でもない。ライブドア・村上ファンド事件の推移を見て、私は本気でそう思うようになった。/一見華やかでも、捜査の中身は疑問だらけ。これほど無理筋の経済事件は戦後検察史にもほとんど例がない。・・・検察の公正さに対する信頼は音を立てて崩れつつある・・・」(p.130)。郷原信郎さん(p.138)。
 ムネオ疑獄の鈴木宗男氏佐藤優氏(p.140)。「要は学会参加費のひねり出し方が悪かったというのだが、・・・。こんな犯罪のかけらもない容疑事実で逮捕されるのなら、公務員はみな逮捕の恐怖に脅えなくてはならなくなる」。「司法官僚のおごり」(p.141)と『特捜検察の闇』(p.143)。最高検の命令による大阪地検特捜部による三井環大阪高検公安部長の口封じ逮捕(p.146)。

 朝日新聞の誤報などでは決してない「番組改変が政治的圧力によって行われた」間違いのない事実(p.150、『国家とメディア』)。「NHK・・・らが中川昭一・経産相(当時)、安倍晋三自民党幹事長代理(当時)内閣総理大臣に呼ばれ、・・・などと放送中止を求める発言もした」。「中川NHKに事前に圧力をかけたことをはっきり認めている。これだけはっきりしゃべったことを後でひっくり返すのは、無責任極まりない態度だと言うほかない」(p.167)。辰濃哲郎記者の〝無断〟録音〝事件〟。「・・・辰濃の名誉はどうなるのだろう。ことの真相を伏せられ、必要以上の汚名を着せられたまま退社処分になった彼の人権はどうなるのか」(p.170)。

 「・・・産経新聞・・・が最高裁と共催した裁判員制度タウンミーティングでサクラを動員・・・」(p.180)。保坂展人元議員(p.182、203)。「次々と明らかになる最高裁のデタラメな契約実態に、委員席からは驚きと失望のため息が漏れた。国民が「法の番人」として信頼を寄せてきた最高裁のエリート裁判官たちの正体は、こんなにもお粗末なものだったのか」(p.203)。政治評論家の森田実さん(p.186)。パックニュース方式。「・・・産経大阪本社には五段広告三回分の料金として、八百万円近いカネが入る。サクラに日当を払っても十分儲かる仕組みなのである」(p.194)。
 「刑事裁判の迅速化と効率化だけが強調され、企業法務に携わる弁護士を大量に増やすという意図が明確だった。早い話が小泉政権時代に進められた規制緩和構造改革路線の司法である。そのためか、被告が無罪を主張すると一年でも二年でも身柄を拘束され続ける「人質司法」や、冤罪の温床とされる代用監獄をなくそうとする姿勢はまったく見られなかった」(p.204)。
 司法とメディアの深い闇。森喜朗元首相(p.207)。

 あとがき(p.209)、「メディアはだれのものか」。名作『不当逮捕』を著した、尊敬してやまない先輩記者である本田靖春さんから、「魚住君。いい仕事をするんだよ。そうしたら君のようになりたいと言う記者が陸続として出てくるから」。青木理さん。
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