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●《本来、問題にすべきは…安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為》

2023年04月01日 00時00分07秒 | Weblog

[『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著、ちくまプリマ―新書257)↑]

[※以前のブログ『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》』の通り、12年ぶりに、今週は「再びの〝年男〟の今年3月末、再び入院」していました。デザリングのし過ぎか、携帯がインターネットに接続できず、一昨日は、〝つぶやく〟ことも出来ず、養生に専念せざるを得ませんでした。本日あたりから、通常運転に戻ります。]


// (2023年03月18日[土])
この問題、しつこく。適菜収さん《要するに政府にとって都合の悪いテレビ番組を潰すために悪党が動いたわけだ》。(リテラ)《もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう》。

 モリカケ桜事件以前、官僚らの〝忖度〟の始まり。テレビメディアの萎縮の始まり。斎藤美奈子さん《メディアの役目は「中立公正、不偏不党な報道」ではなく権力の監視なんです。それ、常識。》
 (リテラ)《安倍晋三という人物がそもそも報道の自由の重要性についてまったく理解しておらず、平然と放送に介入・圧力をかけてきた》、適菜収さん《安倍政権がやったことは、自由と法に対する挑戦だった》。アベ様直伝の息吐くようなウソ吐き…「礒崎さんという名前は今年3月になって初めて聞いた」!? 「202333日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」。「報道の自由」「知る権利」「権力の監視」を委縮させた問題についての高市早苗元総務相のタンカ…。(琉球新報)《しかも高市氏に対する質疑内容について官邸は「こちらの方で質問立てしたい」との意向を総務省に伝えていた。まさに自作自演》だった。青木理さん《礒崎氏が自身のコントロール可能な議員にヤラセ質問をさせ、官邸の意向に沿う答弁を総務大臣にさせることで、放送法の解釈を変えてしまおうという構図であり、論外です》。この問題、有耶無耶でいいのか?

   『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と
     「報道現場の声」: 「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」
   『●「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」…さて、高市早苗氏の
     「タンカ」も、アベ様同様、有耶無耶になってしまうのだろうか、それとも…
   『●「2023年3月3日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」…《「捏造文書
     でなければ大臣も議員も辞職するか」と問われて「結構ですよ」と答弁》
   『●《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は「中立
     公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。それ、常識。》
   『●青木理さん《関口宏さんが番組で言っていましたが、『われわれはこの
     番組の姿勢を淡々と貫いていかないといけない』ということに尽きる》
   『●《憤死》した西山太吉さん:《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、
        今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》
   『●「停波」恫喝…《大切なことは当時の官邸が放送法の解釈について介入して
     高市はそれを許容した側なのか、阻止に回ったのかという立場の問題だ》

 リテラの記事【総務省文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…】(https://lite-ra.com/2023/03/post-6266.html)によると、《もはやこれは国家の危機と呼ぶほかない。官僚が作成した行政文書を大臣が「捏造」だと言い張ることは、この国の行政文書の信用・信頼性を当の大臣が根底から毀損しているからだ。そもそも文書が「捏造」なのだというのであれば、文書捏造の責任を負うのは当時の総務大臣で責任者である高市大臣にほかならないだろう。しかし、いま大きな問題にしなければならないのは、高市大臣の悪あがきではない。もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう》。
 日刊ゲンダイのコラム【適菜収「それでもバカとは戦え」/一連の“高市騒動”の前提 安倍晋三による言論弾圧は疑惑ではなく客観的事実だ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/319888)によると、《要するに政府にとって都合の悪いテレビ番組を潰すために悪党が動いたわけだ。内部文書には「現在の放送番組には明らかにおかしいものもあり、こうした現状は正すべき」という安倍の発言や「けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要がある」という礒崎の発言も記載されている》。

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https://lite-ra.com/2023/03/post-6266.html

総務省文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…
2023.03.10 07:00

     (首相官邸HPより)

 ついに総務省が「行政文書」だと認めた、放送法の解釈変更をめぐる官邸側と総務省側のやりとりなどを記した内部文書問題。ところが、当時総務相だった高市早苗・経済安保担当相はこの期に及んでも「捏造だ」という主張を繰り返している。

 もはやこれは国家の危機と呼ぶほかない。官僚が作成した行政文書を大臣が「捏造」だと言い張ることは、この国の行政文書の信用・信頼性を当の大臣が根底から毀損しているからだ。そもそも文書が「捏造」なのだというのであれば、文書捏造の責任を負うのは当時の総務大臣で責任者である高市大臣にほかならないだろう。

 しかし、いま大きな問題にしなければならないのは、高市大臣の悪あがきではない。もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう。

 しかも重要なのは、この放送法の解釈変更へといたる過程と軌を一にして安倍政権による報道圧力は苛烈さを増し、さらに2015年の法解釈の変更と2016年の高市総務相による「停波」発言によって、安倍政権によるテレビメディア支配は行き着くところまで行ってしまったことだ。

 内部文書がつくられた前後にあたる2014年から2016年にかけて、安倍政権がいかに放送への介入や報道圧力を強め、テレビによる報道を歪めさせていったのか。この重要な事実をあらためて振り返っていこう。

 まず、大前提として触れておかなくてはならないのは、報道圧力は第二次安倍政権からはじまったものではなく、安倍晋三という人物がそもそも報道の自由の重要性についてまったく理解しておらず、平然と放送に介入・圧力をかけてきたということだ。

 それを象徴するのが、2001年に起こったNHK番組改変問題だろう。これは日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷を取り上げたETV特集問われる戦時性暴力』に対し、内閣官房副長官だった安倍氏と自民党の中川昭一衆院議員(故人)のふたりが放送直前に政治的な圧力をかけ、その結果、番組が改変されたという事件だが、このとき安倍氏は「勘ぐれ、お前」という直接的ではない脅し文句で圧力をかけてきたことを、当時面会したNHK放送総局長が証言している。

 当然、自身が首相となった第一次政権では、虚偽報道などを理由とした放送法に基づく番組内容への「行政指導を乱発。メディア論が専門の砂川浩慶・立教大学教授の『安倍官邸とテレビ』(集英社新書)によると、1985年から2015年までの30年間で行政指導がおこなわれた件数は36件だったが、そのうち7件は第一次安倍政権(2006年9月〜2007年9月)のたった約1年のあいだにおこなわれたものだった(ちなみに民主党政権下では一件も行政指導はおこなわれていない)。7件の行政指導がおこなわれた際の総務相は、菅義偉だ

 日本テレビのディレクターとしてメディアの最前線に身を置いていた水島宏明・上智大学教授は、第一次安倍政権下の2007年ごろ、ある民放キー局の経営者から「やつらは本当にやばい」「一線を越えて手を突っ込んでくる」と聞かされたという(「Journalism」2015年10月号/朝日新聞出版)。この「やつら」とは無論、安倍氏と菅氏のことだ。「やばいやつら」が政権に返り咲き、首相と官房長官としてタッグを組んだのが、第二次安倍政権だったのである。


フジ・日枝、テレ朝・早河、日テレ・大久保らテレビ幹部と会食を繰り返した安倍首相

 しかし、ここで指摘しておきたいのは、第二次安倍政権においておこなわれたメディア対策は、報道に目を光らせて圧力を強めただけではなかった、ということだ。

 たとえば、安倍首相は総理就任後から、フジテレビの日枝久会長やテレビ朝日の早河洋社長、日本テレビの大久保好男社長(肩書はすべて当時)といったテレビ局幹部との会食に繰り出すようになったが、その一方で目立ちはじめたのが、情報バラエティ番組への露出だった。

 実際、2013年1月には「安倍晋三総理誕生SP」と題した『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)に出演。同年4月には『スッキリ!!』(日本テレビ)に約40分間も生出演し、このとき安倍首相は自分から同番組に出演したいと希望したことを明かしたり、海外ドラマの『24』を全部観たと明かすなど、番組は終始なごやかムード。同番組は翌日にも「安倍首相本当にスタジオに来てくれちゃいましたSP」と題し、VTRで安倍首相特集を組んだほどだった。また、同月には『情報7daysニュースキャスター』(TBS)の独占インタビューも放送されたが、そのコーナータイトルも「安倍政権100日 好調のウラに極秘手帳」というものだった。

 くだんの内部文書でも、当時安倍官邸で広報担当の首相秘書官を務めていた山田真貴子氏が、ひとつの番組でも政治的公平かどうかを判断することを可能にしようとする礒崎陽輔首相補佐官の動きに反発する際、「総理はよくテレビに取り上げてもらっており、せっかく上手くいっているものを民主党の岡田代表の時間が足りない等言い出したら困る」と発言していたことが記されている。この発言からもわかるように、安倍首相を好意的に扱う番組にどんどん露出するというのが安倍官邸のメディア対策でもあったのだ。

 逆に、安倍政権に批判をおこなう番組は邪魔なものであり、圧力をかける対象となった。安倍政権が最初に表立って報道圧力のターゲットにしたのは、『NEWS23』(TBS)だ。

 礒崎首相補佐官が『サンデーモーニング』を目の敵にして総務省に放送法の解釈変更を要求しはじめるのと同じ2014年11月、自民党は安倍首相が街頭インタビューVTRに逆ギレした『NEWS23』生出演後、自民党筆頭副幹事長だった萩生田光一・現政調会長らが差出人となって在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した“報道圧力文書”を送りつけている。だが、じつはこの前年の2013年にも、萩生田氏が中心となって『NEWS23』に圧力をかける事件が起こっている。


『NEWS23』に安倍首相が激怒 取材拒否、恫喝文書で手下の萩生田光一が圧力を

 問題となったのは、第二次安倍政権にとって最初の国会が最終日を迎えた2013年6月26日放送回。この日の『NEWS23』では、安倍首相に対する問責決議のために電気事業法改正案など重要法案が廃案になったことを伝えたのだが、このとき番組では、民間団体「自然エネルギー財団」ディレクターの大林ミカ氏による「政争の道具にされていますよね。(与党は)もしかしたら法案を通す気がなかった」という談話を放送。番組終盤では、岸井成格キャスターが「十分な議論がないまま、最後に問責(決議)で不信任でやっていいですかと一番言いたい」と批判した(毎日新聞2013年7月29日付)。

 ご覧のとおり、キャスターの岸井氏は与野党ともに批判していたわけだが、自民党は大林氏のコメントを標的にし、翌27日、「番組内容の構成は著しく公正を欠いている」としてTBSに抗議。毎日新聞の取材に応えた萩生田氏は「参院選を前に、(党内で)マイナスのイメージを受けることにはきちんと物を申そうと決めていた」と語り、〈番組の放送翌日からプロデューサーや報道部長らと連日会って「ハードなネゴ(交渉)」を続けた〉。しかし、6月末の番組内での訂正放送をおこなうことを要求するもTBSが拒否したため、参院選公示日だった7月4日、安倍首相や石破茂幹事長など党幹部の取材を拒否すると発表したのだ。

「自民党は法案を通す気がなかったのでは」というだけのコメントに対し、「番組で訂正しなければ選挙取材をさせないぞ」と恫喝する──。もはや常軌を逸しているとしか思えないが、このとき自民党が恫喝に動いた理由は、もちろん安倍首相にある。TBS幹部は「安倍さんはよほど怒っていたようだ」と語り、萩生田氏も「決着がつかないなら、TBSに出なくてもいい」と安倍首相が述べ、党の判断を支持したと明かしている。

 安倍首相が『NEWS23』を目の敵にしていたのは、キャスターの岸井氏が父・晋太郎の番記者を務めていた過去があり、父とも関係も深い「保守派」の人物だと認識していたにもかかわらず政権批判を厭わない岸井氏の姿勢に激怒していたとも言われているが、この恫喝の結果、7月5日にTBSの西野智彦報道局長が自民党を訪れ、「指摘を重く受け止める」とする文書を提出。その日の夜、安倍首相は生出演した『プライムニュース』(BSフジ)で「事実上の謝罪をしてもらったので問題は決着した」と発言し、取材拒否の解除となったのだ(TBSは「訂正・謝罪はしていない」とコメント)。

 この2013年に起こった一件を見ても、安倍首相が『NEWS23』を敵視していたこと、実働部隊として萩生田氏が現場への圧力に動いていたことがわかる。そして2014年11月20日、『NEWS23』での街頭インタビューVTRに生出演中の安倍首相が逆ギレし、萩生田氏が在京テレビキー局に恫喝文書を叩きつけた。かたや、安倍首相の片腕だった礒崎首相補佐官は11月26日、総務省に「ひとつの番組だけで政治的公平かどうかを判断できる」ように放送法の解釈変更を迫りはじめたのである

 しかも、礒崎氏が動きはじめたのと同じ11月26日、自民党は『報道ステーション』(テレビ朝日)のアベノミクスにかんする放送に対しても注意文書を送付している。つまり、安倍自民党および安倍政権が、とりわけTBSの『NEWS23』と『サンデーモーニング』、テレ朝の『報道ステーション』という個別の番組を狙い撃ちして、圧力を強めようとしていたことがわかるだろう。


『報道ステーション』『クローズアップ現代』幹部を呼び出し“停波”をちらつかせ恫喝

 そして、このあと安倍政権による個別番組を狙い撃ちした圧力は、どんどん強まっていく。

 翌2015年1月、『報道ステーション』の不定期コメンテーターだった古賀茂明氏が、「イスラム国」による邦人人質事件について、安倍首相の外交姿勢を毅然と批判。「I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要がある」と発言した。

 これに官邸が大激怒し、当時、菅官房長官の秘書官を務めていた中村格・前警察庁長官が番組放送中から番組編集長に電話をかけまくり、出なかったため、今度はショートメールで猛抗議。その内容は「古賀は万死に値する」というものだったという。この一件により古賀氏の3月末での番組降板、さらに安倍政権に限らず歴代与党からの圧力にも臆することなく『報ステ』のジャーナリズム路線を支えてきた番組統括の女性チーフプロデューサーの更迭、キャスターの古舘伊知郎と絶妙なコンビネーションワークで視聴者に人気のあったコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の降板が決まった。

 だが、直接的な官邸の番組介入に古賀氏は黙らなかった。最後の出演回となった2015年3月27日の放送で、古賀氏は「菅官房長官をはじめとして官邸のみなさんからものすごいバッシングを受けてきた」と発言したのだ。

 この発言が火に油を注ぎ、菅官房長官は「事実無根」「放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない」と批判。さらに自民党を使って実力行使に出る。同年4月17日、自民党の「情報通信戦略調査会」がNHKとテレビ朝日の経営幹部を呼びつけて事情聴取を実施。NHKは『クローズアップ現代』が放送した「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」でやらせ疑惑が発覚した問題、テレ朝は『報ステ』における古賀発言を問題にしたかたちで事情聴取はおこなわれたのだが、聴取のあと、川崎二郎・同調査会会長は「政府は停波の権限まである」と発言したのだ。

 政権党が個別番組に介入し、幹部を呼びつけた挙げ句、停波までちらつかせる──。安保法制の国会提出を控え、安倍政権が放送局に対して睨みをきかせるべく、本格的に暴走をはじめた時期ともいえるだろう。

 しかも、その手口は個別番組に介入するだけではなかった。

 たとえば、前述した2014年11月に自民党の萩生田氏らが差出人となり在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに送りつけた“報道圧力文書”だが、このとき自民党はNHKと在京テレビキー局の官邸記者クラブのキャップを党本部に呼びつけたうえで恫喝文書を示したという。また、2013年の『NEWS23』への抗議の際も、他局の報道内容をチェックして〈TBS以外の局にも口頭で抗議〉していたという(前出・毎日新聞)。

 こうした直接、政治部記者を呼びつけたり、どやしつけることの効果は絶大なものだったと想像に難くない。目を付けられることでネタをもらえず、自社だけが“特オチ”するのではないかという不安に駆られた政治部の記者たちが、社内の報道に横やりを入れるという「忖度」の構造は、こうして蔓延していったのだ。


高市“放送法解釈変更”答弁から数カ月で『クロ現』国谷、『報ステ』古舘、『NEWS23』岸井が一斉に降板

 そして、安倍官邸によるメディア圧力の総仕上げとして飛び出したのが、今回問題となっている放送法の解釈変更だった。安倍首相によるお墨付きを得たかたちで2015年5月12日、高市総務相によって「一つの番組のみでも極端な場合は一般論として政治的に公平であることを確保していると認められない」という放送法の解釈を変更する答弁がおこなわれたのだ。

 このあとの報道の自由の崩壊、ジャーナリズムの弱体化は、まさにあっという間だった

 まず、安保法制の国会審議がスタートして以降、安倍首相のメディア対応は露骨さを極めた。集団的自衛権を火事にたとえ、煙が生肉にしか見えない模型で自ら解説した『みんなのニュース』(フジテレビ)や、国会開会中に大阪入りしてまで出演した『情報ライブ ミヤネ屋』『そこまで言って委員会NP』(ともに読売テレビ)など、安倍首相のテレビ出演はフジテレビ系や日本テレビ系、NHKに集中。TBSとテレ朝、テレビ東京の番組に出演することはなかった。つまり、厳しい指摘や批判が予想される番組には出ず自分の主張を垂れ流してくれる番組を選別し、出演したのだ。

 一方、『報ステ』や『NEWS23』は安保法制の報道で気概を見せたが、当然、安倍政権はそれを見逃さなかった。同年9月には自民党の「放送法の改正に関する小委員会」の佐藤勉委員長が、テレビの安保法制の報道をやり玉にあげて「公平・公正・中立は壊れた。放送法も改正したほうがいい」と恫喝発言。

 さらに、同年11月には、小川榮太郎氏やすぎやまこういち氏、ケント・ギルバート氏らといった「安倍応援団」によって設立された「放送法遵守を求める視聴者の会」が、産経新聞と読売新聞に全面の意見広告を掲載。その内容は、放送法を曲解し、『NEWS23』とキャスターの岸井氏を攻撃するものだった。

 「視聴者の会」は初代事務局長の小川氏をはじめ、下野時代から安倍氏と密接な関係を持って応援してきた、極めて安倍首相に近いメンバーで構成されていた。同時に日本会議系人脈の多さや接点も指摘されていた。そんな団体が、特定の番組とキャスターを攻撃するために、数千万円はかかると見られる全面意見広告を出す──。その動きは、もはや安倍政権の別働隊といえるものだった。

 このとき、「視聴者の会」はTBSと岸井氏、さらには総務省にまで公開質問状を送りつけたといわれ、この「視聴者の会」の動きにTBS幹部は真っ青。その結果、同月中に一気に岸井氏の番組降板は決まったといわれている。

 しかも、翌12月には『報ステ』の古舘キャスターの降板が、年が明けて2016年1月には、2014年に菅官房長官に厳しく質問を浴びせたことで官邸を激怒させた『クロ現』の国谷裕子キャスターの降板が発表。岸井、古舘、国谷という安倍政権に睨まれつづけてきたキャスターが、3月末をもって一斉にそれぞれの番組から消えることが決定したのである。


安倍政権で完成した政権による言論支配はいまも…総務省文書問題も他人事報道

 いま振り返ってみても異常事態としか言いようがなく、陰に陽に繰り広げられてきた安倍政権による報道圧力がいかに苛烈なものであったかは、2016年春に起こった各局を代表するキャスター一斉降板劇からも明らかだろう。そして、こうしたキャスターを降板に追いやることに成功し、図に乗っていた安倍政権から飛び出したのが、2016年2月の、高市総務相による「停波」発言だったのである。

 しかし、「停波」をちらつかせずとも、このときすでにテレビ局の“現場”はすっかり骨抜きになっていた。実際、同年2月29日に田原総一朗氏や岸井氏、金平茂紀氏、青木理氏などテレビ業界に身を置くジャーナリストらが「停波」発言に対する抗議声明を発表し記者会見をおこなったが、この会見で読み上げられたテレビ局関係者の声は、あまりに生々しいものだった。

「気付けば、街録で政権と同じ考えを話してくれる人を、何時間でもかけて探しまくって放送している。気付けば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている」
「私たちは今までどおり自由に企画を提案しても、通らないことが多くなったり、作ったものに対しても直しを求められることが増え、それがいつの間にか普通になり、気付けば自由な発想がなくなってきているような状況だ。以前のように政策をチェックし、批判すべき点を批判するということが明らかにできていない。おかしいことをおかしいとは言えない閉塞感が漂っている。若い新入社員などはそれをおかしいとは思わず、これを基準に育っている」

 第二次安倍政権発足時から繰り返されてきた、放送法を曲解・悪用した公権力による報道圧力は、こうして時を経るごとにますます具体化されていった。それはいまも変わらないどころか、さらにひどくなっている。政治にかんする報道はめっきり減り、報道・情報番組では政権の代弁者めいた評論家や御用ジャーナリストばかりが重宝され、批判的報道も必ず政権の言い分を同程度垂れ流すなど、完全に腰砕け。ワイドショーなどでは問題政策や政権不祥事がまともに報じられることなくスルーされることも多い。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという言論統制体制が完成してしまったのである。

 しかも、それは今回の内部文書問題でも露呈している。安倍首相の側近による要求によって、放送法の解釈が捻じ曲げられるというとんでもない過程が記された重大文書が出てきたというのに、当初、NHKの『ニュース7』『ニュースウオッチ9』がこの問題を無視。民放各局も、総務省が「行政文書」と認めるまで、詳しく触れようとしなかった。

 安倍政権下で失われてしまった「権力監視」という役割を、テレビは取り戻せるのか。いや、取り戻すためには、このように安倍政権下で繰り広げられた放送法の曲解・悪用や報道圧力を自ら検証し、政治介入を許さないという大原則を確認する必要がある。そのためにも、今回の内部文書問題を、テレビこそが徹底追及しなければならない

(編集部)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/319888

適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中

適菜収「それでもバカとは戦え」
一連の“高市騒動”の前提 安倍晋三による言論弾圧は疑惑ではなく客観的事実だ
公開日:2023/03/11 06:00 更新日:2023/03/11 06:00

     (啖呵を切ったのに、議員辞職を否定(高市早苗
      経済安保担当相)/(C)日刊ゲンダイ)

 今回の高市早苗を巡る一連の騒動。前提として確認しておきたいのは、安倍晋三という異常な人物が、言論統制・言論弾圧を行っていたのは疑惑ではなく、客観的事実であるということだ。アメリカ国務省が発表した人権状況に関する2016年版の年次報告書には、放送局が政治的な公平性に欠ける放送を繰り返した場合、高市が電波停止を命じる可能性に言及したことを挙げ、「安倍政権によるメディアへの圧力強化に懸念が強まった」と指摘した。

 16年、国境なき記者団は「国境なき記者団は日本のメディアの自由の低下を懸念する」という文書を発表。「安倍政権によるメディアの独立性への脅し」「主要な放送局内で自主規制が進んでいること」などを挙げた。

 3月2日、立憲民主党の小西洋之議員が安倍政権時代に作成された総務省の内部文書を公表。そこには礒崎陽輔首相補佐官(当時)が14年11月26日に、放送法の解釈や違反事例などの説明を総務省に問い合わせてから、翌15年5月に高市が従来の政府見解を事実上見直すまでのやりとりが時系列でまとめられている。

 要するに政府にとって都合の悪いテレビ番組を潰すために悪党が動いたわけだ。内部文書には「現在の放送番組には明らかにおかしいものもあり、こうした現状は正すべき」という安倍の発言や「けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要がある」という礒崎の発言も記載されている。

 当時、総務相だった高市は自身の言動に関する記述から「全くの捏造文書だ」と主張。捏造でなかった場合は閣僚や議員を辞職するかと問われると「結構だ」と答えた。その後、総務相の松本剛明が「すべて総務省の行政文書であることが確認できた」と述べ、礒崎が総務省に「問い合わせた」ことも認めた。内部文書によれば、礒崎は「この件は俺と総理が二人で決める話」「しかし、俺の顔をつぶすようなことになれば、ただじゃあ済まないぞ」と圧力をかけたという。

 結局、高市は議員辞職を否定、「私に関しての4枚については内容が不正確であると確信を持っている」とトーンダウン。アホくさ。ちなみに15年、礒崎は安保法案に関し「法的安定性は関係ない」と口を滑らせている。安倍政権がやったことは、自由と法に対する挑戦だった
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●ヒヨる「マスコミがもう一度軍靴の行進に旗を振」る世の中で、「東京新聞の読者の数が平和の数」

2015年05月02日 00時00分03秒 | Weblog


asahi.comの記事【自民の文書は「報道への介入」 民放労連が抗議】(http://www.asahi.com/articles/ASH4F4672H4FUCVL00W.html?iref=comtop_list_pol_n04)。
nikkan-gendaiの記事【安倍政権「海外メディア」にも圧力 ドイツ紙記者が怒りの暴露】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158938)。
東京新聞の記事【権力と放送法 統治の具と成す不見識】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015041602000174.html)。
nikkan-gendaiの記事【「報ステ」にまた圧力…自民党がテレ朝幹部を異例の呼び出し】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159019)。

   『●アベ様は「報道がそれで抑圧される、
      そんな例があったら私は辞める」と明言・・・ETV番組改編問題は?

   『●有言不実行: アベ様は「報道がそれで抑圧される、
              そんな例があったら私は辞める」と明言

   『●テレ朝問題: 「これは圧力です」なんて答える訳がない! 
                  「私は辞める」なんて考える訳がない!!

 「自民党がテレビ朝日系ニュース番組「報道ステーション」に対して、「公平中立」を求める文書を出していた問題で、「放送免許の許認可権限を背景にした政権政党が、個別の番組内容に注文をつけること自体『報道への介入』であり、政治的圧力以外の何物でもない」と抗議する委員長談話を発表」。
 当のテレ朝がにヒヨっていてはねぇ・・・・・・。

 「もはや、常軌を逸している。安倍政権による“圧力”が海外メディアにまで及んでいることがわかった。外国人ジャーナリストは安倍政権のやり方にカンカンになっている」。「権力者はなぜ、かくも安易に放送法を振りかざすのか。放送内容に誤りなきを期すのは当然だが、放送局側を萎縮させ、表現の自由を損ねてはならない。きっかけは三月二十七日夜、テレビ朝日系列で放送された「報道ステーション」だった」。「番組内容をめぐり、政権与党がテレビ局に直接説明を求めるのは異例中の異例だ」。
 アベ様は「報道がそれで抑圧される、そんな例があったら私は辞める」と明言・・・・・・アベ様、有言実行を。

 最後に、東京新聞の記事【愛川欽也さん死去 80歳 東京と平和愛し続け】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041790140126.html)によると、「東京新聞の読者の数が平和の数だって言っていいよ」。「戦争をしない、平和憲法を守るってテレビがどこもないから、おれがやってるんだ・・・・・・「憲法を守って戦争しない街と、そんな人間が残ったら。おれはそれにロマンを感じる」。憲法と平和の話になると止まらない。・・・・・・本紙を評してキンキンに言われた言葉は忘れない。「東京新聞の読者の数が平和の数だって言っていい」・・・・・・また、強い国の夢をみる人が増えてきたような気がする。マスコミがもう一度軍靴の行進に旗を振ったり、提灯(ちょうちん)を灯(とも)したりしたらこの半世紀は一体何だったのだろうと思う」。
 マスコミも堕落し、物言えぬ雰囲気に。そして、・・・・・・:

   『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)
     「権力に立ち向かうような俳優や芸人が日本には少ない。
      成田三樹夫は、「最近の役者・・・いやらしいのが多すぎる
      ・・・総理大臣主催のナントカ会・・・ニコニコして出かけて行って
      握手なんかして喜んでるだろ。・・・情けなくなっちまうね
      権力にへたへたする役者じゃ意味がない
      ・・・バカがどんどん図にのるんだよ、ハハハ」」

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http://www.asahi.com/articles/ASH4F4672H4FUCVL00W.html?iref=comtop_list_pol_n04

自民の文書は「報道への介入」 民放労連が抗議
2015年4月13日17時44分

 日本民間放送労働組合連合会(赤塚オホロ・中央執行委員長)は13日、自民党がテレビ朝日系ニュース番組「報道ステーション」に対して、「公平中立」を求める文書を出していた問題で、「放送免許の許認可権限を背景にした政権政党が、個別の番組内容に注文をつけること自体『報道への介入』であり、政治的圧力以外の何物でもない」と抗議する委員長談話を発表した。

 談話では、こうした文書が「言論・表現の自由、番組編集の自由への極めて重大な侵害に当たる」と指摘。「自民党による度重なる蛮行に対し、強い怒りをもって抗議する」としている。
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158938

安倍政権「海外メディア」にも圧力 ドイツ紙記者が怒りの暴露
2015年4月14日

      (国際問題に発展か(左は「ナンバー新聞」表紙)/(C)AP)

 もはや、常軌を逸している。安倍政権による“圧力”が海外メディアにまで及んでいることがわかった。外国人ジャーナリストは安倍政権のやり方にカンカンになっている。

 つい最近までドイツの高級紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」で東京特派員を務めていたカールステン・ガーミス氏が、圧力の実態を明らかにしている。

 ガーミス氏が暴露したのは、外国人特派員協会が発行する機関紙「ナンバー1新聞」4月号。日本での5年間の取材をふり返る形で、安倍政権の暴走を詳細に伝えている。内容は“国際問題”にも発展しかねないトンデモないものだ。

   「ナンバー1新聞」の記事によると、安倍政権になってから、
    海外メディアとの関係は悪化。エネルギー政策やアベノミクスの危険性に
    ついて取材しようとしても、政権サイドはまともに対応しようとせず、
    日々、対立は深刻化しているという。

 批判記事を書こうものなら、外務省を使って、本国の本社に直接“圧力”をかけるという行動にも出ている。

 ガーミス氏が安倍政権の歴史修正主義について、批判的な記事を書いた時のことだ。在フランクフルトの日本総領事が、ドイツにある編集部に乗り込んできて猛抗議したという。

 対応した編集者に向かって「(あの男は)金が絡んでいると疑わざるを得ない」と信じられない暴言を吐いた上、安倍批判の記事を書くのは中国へのビザ申請を承認してもらうためではないか、と妄想としか思われない見解を示したという。

 ガーミス氏は「私が?北京のために金で雇われたスパイ? 私は中国へ行ったこともないし、ビザ申請をしたこともない」と真っ向から否定。「私と、編集者と、本紙全体に対する侮辱だ」と激高している。

 外務省による“攻撃”は昨年からより一層激しくなり、ガーミス氏は記事を書くたびに呼び出しを受けたという。

 元外交官の天木直人氏はこう言う。

   「今まで聞いたことがない衝撃的な内容です。安倍政権のあまりの
    下劣なやり方に、ドイツ国民は腰を抜かすのではないでしょうか。
    圧力をかけた点と外交官の暴言、二重の意味で権威を損ねている
    圧力を受けたのはドイツ紙だけとは思えません。今後、世界各地で
    同じような話が出てくるのではないか。国際的に大問題になりますよ。
    これを報じない日本のメディアも終わっています

 英語で書かれた今回の記事は、インターネットを通じて世界に拡散していくだろう。安倍政権のやっていることは、日本の恥でしかない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015041602000174.html

【社説】
権力と放送法 統治の具と成す不見識
2015年4月16日

 権力者はなぜ、かくも安易に放送法を振りかざすのか。放送内容に誤りなきを期すのは当然だが、放送局側を萎縮させ、表現の自由を損ねてはならない

 きっかけは三月二十七日夜、テレビ朝日系列で放送された「報道ステーション」だった。

 この日が最後の出演とされたコメンテーター、元経済産業省官僚の古賀茂明氏が「菅義偉官房長官をはじめ、官邸の皆さんからバッシング(非難)を受けてきた」と述べると、菅氏は三十日の記者会見で「事実無根」と反論し、こう付け加えた。「放送法という法律があるので、テレビ局がどう対応するか、しばらく見守りたい」


◆表現の自由を目的に

 自民党はあす、テレビ朝日などの経営幹部を呼び、番組内容について説明を求めるという。

 放送事業を規定する放送法は不偏不党、真実、自律を保障することで表現の自由を確保し、健全な民主主義の発達に資することが目的だ。放送番組は法律に基づく以外は誰からも干渉されないことが明記され、同時に政治的な公平、真実を曲げないこと、意見が対立する問題は多くの角度から論点を明らかにすることも求めている。

 放送は、政権や特定勢力の政治宣伝に利用されるべきではない。大本営発表を垂れ流して国民に真実を伝えず、戦意高揚の片棒を担いだ先の大戦の反省でもある。

 政治的に偏ったり、虚偽を放送しないよう、放送局側が自ら律することは当然だが、何が政治的公平か、真実は何かを判断することは難しい。にもかかわらず政治権力を持つ側が自らに批判的な放送内容を「偏っている」と攻撃することは後を絶たない。

 さかのぼれば一九六八年、TBSテレビ「ニュースコープ」のキャスターだった田英夫氏(二〇〇九年死去)がベトナム戦争報道をめぐり「解任」された件がある。


自民党の圧力で解任

 田氏は前年、北ベトナムの首都ハノイを西側陣営のテレビ局として初めて取材し、戦時下の日常生活を伝えた。以前からTBSの報道に偏向との不満を募らせていた自民党側は放送後、TBS社長ら幹部を呼び「なぜあんな放送をさせたのか」と批判する。

 このとき社長は、ニュースのあるところに社員を派遣し、取材するのは当然、と突っぱねたが、翌六八年に状況は大きく変わる。

 成田空港反対運動を取材していた同社取材班が、反対同盟の女性らを取材バスに乗せていたことが発覚し、政府・自民党側がTBSへの圧力を一気に強めたのだ。

 田氏は自著「特攻隊だった僕がいま若者に伝えたいこと」(リヨン社)で当時の様子を振り返る。

 <当時の福田赳夫幹事長が、オフレコの記者懇談で、なんと「このようなことをするTBSは再免許を与えないこともあり得る」という発言をしたのです。

 これを聞いたTBSの社長は、翌日すぐに私を呼んで、「俺は言論の自由を守ろうとみなさんと一緒に言ってきたのだけれども、これ以上がんばるとTBSが危ない。残念だが、今日で辞めてくれ」と言われ、私はニュースキャスターをクビになりました>

 田氏解任の決定打は権力側が免許に言及したことだ。放送は電波法に基づく免許事業。五年に一度の再免許を受けられなければ事業は成り立たない。同法は放送法に違反した放送局に停波を命令できる旨も定める。権力が放送免許や放送法を統治の具としてきたのが現実だ。

 昨年の衆院選直前、安倍晋三首相はTBSテレビに出演した際、紹介された街頭インタビューに首相主導の経済政策に批判的な発言が多かったとして「おかしいじゃないですか」などと批判した。

 自民党はその後、在京テレビ局に選挙報道の公平、中立を求める文書を送り、報道ステーションには経済政策に関する報道内容が放送法抵触の恐れありと指摘する文書を出した。そして菅氏の放送法発言自民党による聴取である。

 報道の正確、公平、中立の確保が建前でも、権力が免許や放送法に言及し、放送内容に異を唱えれば放送局を萎縮させ、結果的に表現の自由を損ねかねない。歴代政権は、自らの言動がもたらす弊害にあまりにも無自覚で不見識だ。


◆「報道に意気込みを」

 キャスターを解任された田氏は七一年、参院議員となる。二〇〇七年に政界を引退する直前、本紙のインタビューに「メディアはもっと姿勢を正さなくちゃいけないね。報道に意気込みが感じられない。引きずられているんだよ」とメディアの現状を嘆いていた。

 政権による圧力に萎縮せず、それをはね返す気概もまた必要とされている。放送のみならず、私たち新聞を含めて報道に携わる者全体に、大先輩から突き付けられた重い課題である。
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159019

「報ステ」にまた圧力…自民党がテレ朝幹部を異例の呼び出し
2015年4月15日

     (揺れるテレ朝とNHK(C)日刊ゲンダイ)

 これはテレビ局に対する新たな圧力だ。

 自民党が17日に開く情報通信戦略調査会(会長・川崎二郎元厚労相)の会合にテレビ朝日とNHKの幹部を呼び、最近問題となったそれぞれの報道番組の内容や経緯などについて事情を聴くという。複数の同党関係者が14日、明らかにした。番組内容をめぐり、政権与党がテレビ局に直接説明を求めるのは異例中の異例だ。

 問題とされているのは、テレビ朝日は先月27日放送の「報道ステーション」で、番組に出演した元経産官僚の古賀茂明氏が菅義偉官房長官らに「バッシングを受けてきた」などと発言したこと。NHKは「クローズアップ現代」で制作側による「やらせ」の疑惑が指摘されていること。

 すでに自民党は、「アベノミクス」を取り上げた昨年11月の「報道ステーション」の内容が偏っているとして、文書で「中立」を求めたことが明らかになっている。これが報道への圧力だと批判を浴びているさなか、今度はテレビ局幹部を党に呼びつけるというのだから驚くしかない。

 今回は幹部に聴取というが、「言論の自由」を軽視する安倍自民のことだから、そのうち「キャスターの古舘伊知郎も呼べ」となっても、おかしくない
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