女優

独伊のイタリア人K。

若干21歳。
大学を中退してワーキングリデー中。

スーパーで６週間支店長をして荒稼ぎ。

40歳ぐらいの人生の楽しみ方をすでに知ってる、と感じた。

Kawakawaの世界一美しいトイレの存在を教えてくれたのも

ダイビングをしようと思ってたところ
Kauri Coast美しすぎてやばいよと教えてくれたのも

彼だった。

ひとが試行錯誤して辿り着くはずの、
行くべき場所を彼は本能的に知ってるというか。

もっともっとその魅力に深入りしたくて
さよならの朝、

「人生でベスト５の映画を教えて」と聞いたら

「それ、さよならするひとにする質問？」と文句を言いながらも

以下の映画を列挙してくれた。

「ブレードランナー」

「キャラバン」

「ミクロコスモス」

「ラスト　サムライ」

「ワタリドリ」

「今度会ったときには人生でベスト５の本を教えてもらうね」と言ったら

「それ不可能だわ」とのこと。

そういえば彼は「母は女優で、撮影で来日したこともある」と言ってたので

「なんて言う女優さん？」と聞いたら

「セレンて言う名だよ」と

Wikipediaのページを見せてくれた。

よくよく見てみると、ポルノ女優とある。

気にしてないか、克服したのか、
母親がポルノ女優であることを喜ぶ息子はいないと思うけれど

きっと彼の人生のどこかで
それを他人に話せるよになるまでの葛藤があったはずで。

そんな生い立ちから
そんな人生を楽しみつくせる性質が生まれたのかもしれない。

「以前友達になった日本人にイタリア式さよならをしたら
　どん引きされたから、君にはしないでおくね」

と言われたので

何を、と思い
躊躇しながら、遠慮がちにそっとハグした。

イタリア式してもらえばよかったと後悔。