気長

青い眼をした、かわいいかわいいカレシの日本からの帰国は
３週間後だ。

そんな彼から先日こんなメールが。

「帰国したらアキ男。の顔にbukkakeようと思って
　オナニー２週間くらい我慢してたのに、昨日夢精しちゃった・・・
　もったいないねー。」

どれだけオナニーしないという彼の意思が強いのか

はたまた

どれだけあたしの顔に発射するという性欲が強いのか

気長に楽しみに彼の帰国を待とうと思う。

部長

同窓の恋人にするならアレだけど結婚するならAP課長が、

三点を読んだあと

「オレも三点リーダーの代わりに『。。。』を使うんだけど」と、告白してきた課長が、

あたしの顔を見るなり
「セーラー服、セーラー服？」とだけ言い去って行った更新の課長が、

宇宙人と交信してみるとき
あたしをミステリツアー扱いした課長が、

教えて！ogooを使ってみたかっただけの課長が、

12月で部長に昇進したらしい。
おめでとう。

あたしが帰国した暁には部下にしてもらおう。
AP部長権限で。

部下としては
あたしもそれなりに安全牌だと思うのだけれど。

身長

心慰（マインド・マスターベーション）という概念を教えてくれたのは
これまた独伊のイタリア人Kだった。

Paihiaでさよならしたあと
彼は自分の車で南下して
うちまで遊びにきてくれたときだった。

イタリア語では
男性と女性の自慰行為それぞれを表す単語が存在していて

男性のマインド・マスターベーションは
sega mentaleと言うそうだ。

マインド・マスターベーションの例として
Seghementali (ovvero frittata di neuroni)というブログをちゃちゃっと探し出した。

彼はシャワーを浴びたあとで
全裸の下半身にバスタオルを巻きつけたままフラフラしていて

ソファの、あたしの横にその格好で腰を下ろし
そのブログの内容を説明してくれた。

なんでも試験直前の大学生が
現実逃避のためにマインド・マスターベーションするという内容。

そのマスターベーションの中身というのが
スマーフというアニメの中で

彼の身長はりんご２つ分という歌詞があって
では実際には正確にどのくらいの高さなのか、という考査らしい。

イタリア人KがPaihiaの夜、あたしの連絡先を聞いたくせに

「僕は旅先で出会ったひととの友情を持続させるのが不得意だ」
　メールや手紙をもらっても返事は滅多に出さない」

と偉そうに言うので

「だったら、あたしの連絡先を聞く意味なくない？」と

あたしの旅人との連絡先にまつわるネタの数々、

「might be」や「旅男」の話をしたら
まんまとマインド・マスターベーションだと指摘されたわけで。

今の仕事はほとんど頭を使わない単調作業なので
日中はオナニーしまくりだ。

イタリア人Kに「Stop mind masterbation！」と叫ばれた気がして
はっと現実に戻っては、頭の中でまた指をクリトリスにもってく毎日なわけで。

女優

独伊のイタリア人K。

若干21歳。
大学を中退してワーキングリデー中。

スーパーで６週間支店長をして荒稼ぎ。

40歳ぐらいの人生の楽しみ方をすでに知ってる、と感じた。

Kawakawaの世界一美しいトイレの存在を教えてくれたのも

ダイビングをしようと思ってたところ
Kauri Coast美しすぎてやばいよと教えてくれたのも

彼だった。

ひとが試行錯誤して辿り着くはずの、
行くべき場所を彼は本能的に知ってるというか。

もっともっとその魅力に深入りしたくて
さよならの朝、

「人生でベスト５の映画を教えて」と聞いたら

「それ、さよならするひとにする質問？」と文句を言いながらも

以下の映画を列挙してくれた。

「ブレードランナー」

「キャラバン」

「ミクロコスモス」

「ラスト　サムライ」

「ワタリドリ」

「今度会ったときには人生でベスト５の本を教えてもらうね」と言ったら

「それ不可能だわ」とのこと。

そういえば彼は「母は女優で、撮影で来日したこともある」と言ってたので

「なんて言う女優さん？」と聞いたら

「セレンて言う名だよ」と

Wikipediaのページを見せてくれた。

よくよく見てみると、ポルノ女優とある。

気にしてないか、克服したのか、
母親がポルノ女優であることを喜ぶ息子はいないと思うけれど

きっと彼の人生のどこかで
それを他人に話せるよになるまでの葛藤があったはずで。

そんな生い立ちから
そんな人生を楽しみつくせる性質が生まれたのかもしれない。

「以前友達になった日本人にイタリア式さよならをしたら
　どん引きされたから、君にはしないでおくね」

と言われたので

何を、と思い
躊躇しながら、遠慮がちにそっとハグした。

イタリア式してもらえばよかったと後悔。

心慰

インディ・ジョーンズ張りのくもの巣が蔓延る、
たまねぎ工場で

腐ったたまねぎにたかる何万匹ものショウジョウバエが飛び交う中

たまねぎを機械が袋詰めする間
そのくもの巣にショウジョウバエがひっかかって悶えていたので

助けてあげようと
たまねぎの皮で救い出そうとしたら

余計くもの巣が彼の羽に絡み付いて
身動きできなくなってしてしまった。

助けてあげたかっただけなのに。

ちょっとだけ心を痛めていると

たまねぎ収納ボックスに２センチほどの黒い蜘蛛が蠢いていて
収納ボックスにたかっていた蠅を追い払おうと移動していたので

ちょっと障害物を、と思い
収納ボックスのヘリにたまねぎの皮を小さく千切って置いていたら

近くにいたフィジー人のおっさんがそれに気づいて

「君を噛むかもしれないから」とうぎゅっ、とつぶしてしまった。

からかってみたかっただけなのに。

にんじん工場の中のにんじん洗いマシーンの下で
午後の紅茶ミルクティー色の小川が流れる中

這いつくばって腐ったにんじんを拾っていたら

にんじん工場の天井に作られた巣から転落したと思われる
ひよこの死体を発見。

そっと拾い上げて

「成仏しなね」と草の上に横たえてみたけれど

あ、英語じゃないと通じないか、
でも成仏ってなんて言うんだろう、とふと疑問。

今日はキャベツ畑の雑草刈りだった。

見渡す限りのキャベツ畑、と思ったら
その向こうにまたもうひとつの見渡す限りのキャベツ畑。

、と思ったら
その向こうにまたまたもうひとつの見渡す限りのキャベツ畑。

ナイフで雑草をじゃきじゃきしていくのだけれど
土から根っこが抜ける感覚に病み付きだ。

こんなときあたしは
芥川龍之介の「羅生門」の中の、

老婆が死体の髪の毛を抜くという一場面を必ず思い出す。

そんな中、
キャベツ畑にひょっこりとブロッコリーが間違って生え出ていて
見事に葉を広げていた。

ああ、見事。

こんな、なかなかできない経験を
観光客または修学旅行生にビジネスとして提供してみたらどうだろう。

野菜を育てる喜びを体感するというアクティビティ。

ひとつのキャベツを育てるのに
どれだけの労力がかかってるのか想像する学習。

スーパーで驚くほど安く野菜が売られていると悲しくなる感覚。

ところでその勘違いなブロッコリーを収穫して
今日の夕飯にいそいそと使おうとしたら

「おれ、昨日薬品撒いたから、それ食えないよ」と、ボス。

マインドマスターベーション。

こんな夜にはこんな映画「Quantum Of Solace」

Whangamataの映画館で
お正月に見ることになった「Quantum Of Solace」。

あまり興味ないけれど
これしかやってなかったのでカレシパパとママと、その友達夫婦と。

チケットはNZ$13だったのだけれど
発見されたチケットにはなんと「90￠」の表示。

何年前のチケットなんだか。

ダニエル・クレイグの英語が全く聞き取れず
何がなんだか最後までわからず仕舞い。

カレシパパとママが映画中におしゃべり。

他人だったら許せないところだけれど
見ても見なくてもいい映画だったので流す。

彼らの感想としては

最初からちゃかちゃかと画面が移動して
見難かったとのこと。

こんな夜にはこんな映画「The Squid and the Whale」

「The Darjeeling Limited」があまりにもよかったので
Wes Andersonつながりで見てみる、「The Squid and the Whale」。

発想はおもしろいのだけれど、尻切れ蜻蛉。
もうひと声ほしい感じ。

妊娠

同僚のトンガ人のおばさん、40歳が
７人目の御子を妊娠したとのこと。

同僚のインド人のおばさんが
２人目の御子を妊娠したとのこと。

それぞれ８月に出産予定。

「去年もここで働いてたひとがバカバカ妊娠してさ」と誰か。

そういえば今妊娠してれば
もっと人生は簡単になるのにな、と空想。

そういえばなんだかちょっと吐き気がして気持ち悪い、
もしかしてあたしも妊娠、と妄想。

そんなあたしを嘲るかのよに
元旦に目出度く生理があたしの子宮の扉を叩いた。

今妊娠すれば
選択肢が狭まる分、楽になる。

けれど今妊娠すれば
可能性が狭まる分、窮屈になる。

そんな大事なことを
そんな大事なことで決めてしまいたくなるほど

心が衰弱してた。

妊娠ファームへようこそ。

蛙氏

はるばる日本から
「正直目についた」本「をかたっぱしから」送ってくれた牛氏に

NZの携帯から、彼の日本の携帯にSMSを送ってみたら
なんと電話がかかってきた。

「+81」の表示にどぎまぎして
もんどり打って通話ボタンを押すと

おなじみの懐かしい、あのひとの、声。

もどかしい姿勢で
もどかしい日本語で

もどかしい日常を
もどかしく話す間

うんうんと牛氏。

うんとね、それでね、あれでね、でねでねでね、
うわーと涙。

日本に未練があるとすれば
牛氏と酌み交わす酒の肴。

こうやってあたしは牛氏に自分を垂れ流すことで
あたしを再構築してたんだっけ。

それにしても
あたしが一番誰かを必要としてたタイミングで
電話をくれるなんて

牛氏はどれだけタイミング王なんだろう。

鼻水はかんだ。

泣いても笑っても
あたしは行くと思う。

会計報告24

<12月31日>
Southpacific Accommodation NZ$200
酒NZ$20

<１月１日>
昼食（チキンバーガー）NZ$10

<１月２日>
TシャツNZ$40
アイスクリームNZ$3.7

<１月３日>
Tairuaマーケットの人形NZ$40
石NZ$3
飲料代NZ$2.9
ランチ（パイ６人分）NZ$23.8
SUBWAY２人分NZ$16.3
映画（Quantum of Solace）NZ$13

<１月４日>


計NZ$372.7
エンゲル係数20.5

カウントダウンで見たカレシパパとママのキスと、カレシの家族の中にカレシの笑顔を探した５日間　priceless