妊娠

同僚のトンガ人のおばさん、40歳が
７人目の御子を妊娠したとのこと。

同僚のインド人のおばさんが
２人目の御子を妊娠したとのこと。

それぞれ８月に出産予定。

「去年もここで働いてたひとがバカバカ妊娠してさ」と誰か。

そういえば今妊娠してれば
もっと人生は簡単になるのにな、と空想。

そういえばなんだかちょっと吐き気がして気持ち悪い、
もしかしてあたしも妊娠、と妄想。

そんなあたしを嘲るかのよに
元旦に目出度く生理があたしの子宮の扉を叩いた。

今妊娠すれば
選択肢が狭まる分、楽になる。

けれど今妊娠すれば
可能性が狭まる分、窮屈になる。

そんな大事なことを
そんな大事なことで決めてしまいたくなるほど

心が衰弱してた。

妊娠ファームへようこそ。

蛙氏

はるばる日本から
「正直目についた」本「をかたっぱしから」送ってくれた牛氏に

NZの携帯から、彼の日本の携帯にSMSを送ってみたら
なんと電話がかかってきた。

「+81」の表示にどぎまぎして
もんどり打って通話ボタンを押すと

おなじみの懐かしい、あのひとの、声。

もどかしい姿勢で
もどかしい日本語で

もどかしい日常を
もどかしく話す間

うんうんと牛氏。

うんとね、それでね、あれでね、でねでねでね、
うわーと涙。

日本に未練があるとすれば
牛氏と酌み交わす酒の肴。

こうやってあたしは牛氏に自分を垂れ流すことで
あたしを再構築してたんだっけ。

それにしても
あたしが一番誰かを必要としてたタイミングで
電話をくれるなんて

牛氏はどれだけタイミング王なんだろう。

鼻水はかんだ。

泣いても笑っても
あたしは行くと思う。