ニュージーランド10日間の旅。
10年前に2ヶ月愛したインド人に会いにフライト10時間。
空港まで迎えにきてくれた彼にされた懐かしいハグ。
「あたしが28歳になったとき、お互い独身だったら結婚しようね」と約束したのに
彼はそれを待たずに今から5年前に結婚してしまった。
結婚すると聞いたとき
今からそっちまで行くからどうか考え直してと言ったら
「『あなたの愛し方を忘れてしまった』と君が言ったから」
彼はそう言った。
向かい合って、お気に入りの中国料理を食べながら
長いことインドに帰省してる嫁について彼は
僕と同じくらいにまで太ってしまったとか
怠け者で働こうとしないとか
口論ばかりしてるとか
セックスが退屈だとか、言った。
結婚生活なんてきっとどこもそんなものなんだろう。
「もしあのとき『あなたの愛し方を忘れてしまった』とあたしが言わなかったら
彼女と結婚してなかった?」
と聞こうと思っていたけれど
それはもう返らない盆の覆水なのでやめた。
なんだかんだ言って彼は彼女を愛してるのだ。
それが結婚するということなのだ、きっと。
彼の家にはベッドルームがふたつあって
小さいほうを使わせてくれることになった。
彼はこの5年間の結婚生活で一度も浮気したことがないと言っていたので
あたしともそんな関係は望んでないだろうと思った。
ひとつ屋根の下、寝食をともにしても健全な空間が続いた。
DVDを借りに行ったビデオ屋の店員の男のこがかわいいから
年齢を聞いてきてと強がってみたりもした。
10年ぶりに再会してあたしはそのうち
彼と心底通じ合えたのだろうかと疑問に思い始めた。
滞在7日目、あたしの誕生日にソファでごろごろしながら
「誕生日プレゼントは何がいい?」と聞かれたので
「セックスする代わりにキスをひとつちょうだい、と言ったら困る?」と
何度も躊躇したあとに途切れそな声であたしは聞いた。
「キスすることは秘密だよ」と言って彼は
あたしの唇の先からプッシーの中までたくさんキスしてくれた。
やわらかいキスだった。
あたしが世界で一番誠実だと思っていた男に
とうとう浮気させてしまった。
滞在8日目と最終日はあたしの部屋でセックスした。
最後の夜に彼はとても悲しい顔をしたのであたしは
「『もしあのときあなたの愛し方を忘れてしまった、とあたしが言わなかったら
彼女と結婚してなかった?』と聞こうと思っていたけれどやめたの。
答えはノーだったとわかったから。
覆水盆に返らず(It is no use crying over spilt milk.)てことだよね。
それが人生というものだよね」と言った。
堰を切るとはこういうことなのだと初めて思った。
今までわかってるふりをした分、
本当の感情を詰め込んだ心の箱が決壊して
堰を切ったよに涙が溢れてむせび泣いた。
「君の心がどこかへ行ってしまったからだよ」と何度も彼は言った。
「僕はこんなに太ってるし、禿げかかってきてるし、背も低いけれど
ラッキーなことにここ数年たくさんの女の子が僕に近づいてきた。
けれど結婚してから5年間一度も浮気しなかったんだよ。
けれど君だけは特別なんだよ。」と彼は付け加えた。
「この10日間ほんとうに楽しくて居心地がよかった。
君と僕の空白の10年間なんて存在しなかったみたいに感じた。」と。
あたしは今になって
彼があたしと同じB型であること、
彼があたしと同じく安定を切望してるくせに、どこかで安定を嫌っていること、を知った。
あたしにとっては10年前の感情を思い出したというよりは
また新しく恋したという感じ。
それにしても彼が言ってるのは不倫する男の典型的な常套文句じゃないか。
あたしだけが特別だなんて。
離婚する気もないくせに。
たった10日間だから楽しかったのだ。
おしゃべりもセックスも。
彼のあたしへの気持ちは真であり、偽でもあるのだろう。
帰国の日、彼はまた空港まで送ってくれた。
出国ゲートでさよならしたあと
搭乗案内の画面を見ようと上ばかり見て歩いていたら
急に視界が低くなった。
あたり一面に誰かがカフェラテを派手に溢した真ん中にへたりこんでいた。
ジーパンがカフェラテをずずいと吸い込んだ。
オーディエンスがたくさんいたので
まるで何事もなかった振りをして立ち上がり、すたすたとその場を遠ざかった。
It is no use crying over spilt cafe latte.
10年前に2ヶ月愛したインド人に会いにフライト10時間。
空港まで迎えにきてくれた彼にされた懐かしいハグ。
「あたしが28歳になったとき、お互い独身だったら結婚しようね」と約束したのに
彼はそれを待たずに今から5年前に結婚してしまった。
結婚すると聞いたとき
今からそっちまで行くからどうか考え直してと言ったら
「『あなたの愛し方を忘れてしまった』と君が言ったから」
彼はそう言った。
向かい合って、お気に入りの中国料理を食べながら
長いことインドに帰省してる嫁について彼は
僕と同じくらいにまで太ってしまったとか
怠け者で働こうとしないとか
口論ばかりしてるとか
セックスが退屈だとか、言った。
結婚生活なんてきっとどこもそんなものなんだろう。
「もしあのとき『あなたの愛し方を忘れてしまった』とあたしが言わなかったら
彼女と結婚してなかった?」
と聞こうと思っていたけれど
それはもう返らない盆の覆水なのでやめた。
なんだかんだ言って彼は彼女を愛してるのだ。
それが結婚するということなのだ、きっと。
彼の家にはベッドルームがふたつあって
小さいほうを使わせてくれることになった。
彼はこの5年間の結婚生活で一度も浮気したことがないと言っていたので
あたしともそんな関係は望んでないだろうと思った。
ひとつ屋根の下、寝食をともにしても健全な空間が続いた。
DVDを借りに行ったビデオ屋の店員の男のこがかわいいから
年齢を聞いてきてと強がってみたりもした。
10年ぶりに再会してあたしはそのうち
彼と心底通じ合えたのだろうかと疑問に思い始めた。
滞在7日目、あたしの誕生日にソファでごろごろしながら
「誕生日プレゼントは何がいい?」と聞かれたので
「セックスする代わりにキスをひとつちょうだい、と言ったら困る?」と
何度も躊躇したあとに途切れそな声であたしは聞いた。
「キスすることは秘密だよ」と言って彼は
あたしの唇の先からプッシーの中までたくさんキスしてくれた。
やわらかいキスだった。
あたしが世界で一番誠実だと思っていた男に
とうとう浮気させてしまった。
滞在8日目と最終日はあたしの部屋でセックスした。
最後の夜に彼はとても悲しい顔をしたのであたしは
「『もしあのときあなたの愛し方を忘れてしまった、とあたしが言わなかったら
彼女と結婚してなかった?』と聞こうと思っていたけれどやめたの。
答えはノーだったとわかったから。
覆水盆に返らず(It is no use crying over spilt milk.)てことだよね。
それが人生というものだよね」と言った。
堰を切るとはこういうことなのだと初めて思った。
今までわかってるふりをした分、
本当の感情を詰め込んだ心の箱が決壊して
堰を切ったよに涙が溢れてむせび泣いた。
「君の心がどこかへ行ってしまったからだよ」と何度も彼は言った。
「僕はこんなに太ってるし、禿げかかってきてるし、背も低いけれど
ラッキーなことにここ数年たくさんの女の子が僕に近づいてきた。
けれど結婚してから5年間一度も浮気しなかったんだよ。
けれど君だけは特別なんだよ。」と彼は付け加えた。
「この10日間ほんとうに楽しくて居心地がよかった。
君と僕の空白の10年間なんて存在しなかったみたいに感じた。」と。
あたしは今になって
彼があたしと同じB型であること、
彼があたしと同じく安定を切望してるくせに、どこかで安定を嫌っていること、を知った。
あたしにとっては10年前の感情を思い出したというよりは
また新しく恋したという感じ。
それにしても彼が言ってるのは不倫する男の典型的な常套文句じゃないか。
あたしだけが特別だなんて。
離婚する気もないくせに。
たった10日間だから楽しかったのだ。
おしゃべりもセックスも。
彼のあたしへの気持ちは真であり、偽でもあるのだろう。
帰国の日、彼はまた空港まで送ってくれた。
出国ゲートでさよならしたあと
搭乗案内の画面を見ようと上ばかり見て歩いていたら
急に視界が低くなった。
あたり一面に誰かがカフェラテを派手に溢した真ん中にへたりこんでいた。
ジーパンがカフェラテをずずいと吸い込んだ。
オーディエンスがたくさんいたので
まるで何事もなかった振りをして立ち上がり、すたすたとその場を遠ざかった。
It is no use crying over spilt cafe latte.
まあインドならばれないかね・・・
ちょっと話おもしろいから、YOU小説にしちゃいなよ。
あまり前付き合っていた人には会わないほうがいいような・・・
向こうにも生活があるのだから^^;
彼と過ごした季節に輝いていた自分自身にだったでしょ?
なあんて、そんなことハナから気づいてたでしょ?
過去の自分と決別したくなったのかしらん?
つきとめなければ、も少し飴玉を舐めてられたのに。
おっと…キャンディはガリガリ食っちまうタイプだったわね。