壁についた茶色い染みを指して彼は、
「緑色の染み」と言った。
あたしは知っていたので
それが緑色に見える振りをしていた。
本当は茶色という考え方なのに
緑色のよに考えてる振りをするのはしんどかった。
それは彼のことが好きだったからだった。
本当のことは最後までわからなかったけれど
彼は心の目を通してもそれが緑色に見えてたのだろうか。
何よりも彼を傷つけることだと思っていたから聞かなかったけれど
赤色を見たことがない彼の中で生まれた、
赤という色の概念を聞いてみたかった。
それは赤色を見たことがあるあたしには表現できない域の、
すごい概念なのだとあたしは推測する。
人生の辛さは味わった本人にしかわからないけれど
それが世間で俗に言う何色と呼ばれてるかなんて
どうでもいいじゃないかと、実は思ってた。
山の中で迷わないよに木に括り付けてあるピンク色の目印が
緑に解けこんで見えなかったときは
あたしがいるから大丈夫と思っていたけれど
今となってはもう昔のことだ。
すごくきれいな赤いものを見ると
そんなふうに思ったりする。
「緑色の染み」と言った。
あたしは知っていたので
それが緑色に見える振りをしていた。
本当は茶色という考え方なのに
緑色のよに考えてる振りをするのはしんどかった。
それは彼のことが好きだったからだった。
本当のことは最後までわからなかったけれど
彼は心の目を通してもそれが緑色に見えてたのだろうか。
何よりも彼を傷つけることだと思っていたから聞かなかったけれど
赤色を見たことがない彼の中で生まれた、
赤という色の概念を聞いてみたかった。
それは赤色を見たことがあるあたしには表現できない域の、
すごい概念なのだとあたしは推測する。
人生の辛さは味わった本人にしかわからないけれど
それが世間で俗に言う何色と呼ばれてるかなんて
どうでもいいじゃないかと、実は思ってた。
山の中で迷わないよに木に括り付けてあるピンク色の目印が
緑に解けこんで見えなかったときは
あたしがいるから大丈夫と思っていたけれど
今となってはもう昔のことだ。
すごくきれいな赤いものを見ると
そんなふうに思ったりする。
>どうでもいいじゃないか
わたしもそうおもう