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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【30航海目・切り揚げ】!

2017年12月07日 | モバイル
12月5日の入港、水揚げ後
時化休みとなり、
私用で一時帰宅も、とんぼ返り…

おそらく今期最後の、Fo系統メンテナンス作業をして休んだ…。

市場接岸停泊中の船内、季節がら寝室も寒い…

6日・8時気仙沼出港、微速で東よりに航走、10時より漂泊。





15時30分S/B。
故郷南三陸沿岸沿い、寒さが強まった…

日没から操業開始!
群れは薄い…。

数回の薄群れ操業から南下、金華山の北沿岸沿いで操業再開。

ほぼジャミ(小サンマ)の群れや中サンマが混じる群れと
終漁間近の来遊である…

時間の経過と共に寒さはより厳しさを増した…!

凪は良いのだが肌を刺すような冷たい空気…
23時頃には雪が舞った…

日付けが変わる頃からは
薄群れですら、灯付きが悪くなり

金華山沿岸沿いから気仙沼沿岸沿いを南北に調査、
少しずつ東に出しながら…

夜明けが近づくにつれ、放射冷却で海上は「キーン冷え」状態…

夜明けより漂泊。

冷えた身体を風呂で温める…
船の狭い浴槽であっても温泉の名湯に感じる一時である…!

しかし、そこは団体生活の場であり、のんびりとはいかない…
狭く一つの名湯も、順番待ちの現実がある…

若い頃に先輩漁師が、漁を終えたら温泉でのんびりしたい
と云っていたのはこういう事からも伺い知れる…

漁師はみんな、漁が終わったら
ゆっくりのんびりぼんやりしたいのが本音だ…!

7日・15時30分S/B。
昨夜よりは冷えは緩んだが
それでも師走の海上、東北太平洋岸の冬海、寒い…!

南三陸沿岸沿いを調査、金華山南東沿岸まで南下調査も
風向が南風に変わり、雨も降り始めた…

次第にうねりを伴い、南風が強まった…。

南風が暖かい空気を運んで、寒さは和らいだ

体調管理要注意のパターンだ…!

サンマは見えず…

調査しながら北上、
22時、漁撈長は切り揚げを決断!

本船の今期の漁が終漁となった。

漁具揚げ作業の準備をしながら帰途航走、気仙沼向け…

00時過ぎ頃の入港予定。

【29航海目】!

2017年12月05日 | モバイル
冷却水系統を伝った結果、食糧庫冷凍機の不調は、
冷却水ポンプの出力低下が原因だった…

11月2日・10時40分気仙沼出港、凪良く南下。

16時S/B。

塩屋崎沖のサンマも日毎に魚体組成が悪くなっていて

各船、沖よりに調査…
漁模様も悪く、いつ切り揚げとなってもおかしくない状況となった…!

薄群れを操業しながら調査範囲を拡げ、厳しい寒さの中、調査航走の時間も長引く…

12月となり日暮れから夜明けまでが、ぐっと長くなった…

朝6時を過ぎても夜が明けない…

僅かな漁獲で夜明けより漂泊。
入港時の作業で汚れた下部機関室プレート下を清掃しながら、
残りの漁中の機関の安心安全を心の中で祈った…。

…今年の新語・流行語大賞は
「忖度」と「インスタ映え」が年間大賞との事…。

早速スマホとタブレットで「そんたく」を変換してみたが(忖度)とはならなかった。
当然、意味もよくわからないけど…

「インスタ映え」に関しては、趣味でいろんな写真を撮るけど
なかなか映える写真ってのは難しい…!

年末には「今年の漢字」も発表されるが
自身の今年の漢字はなんだろう…?
昨年の自身の漢字は「残」だった…。

春から頭痛と耳鳴りに悩まされ、
「自律神経失調症」と「更年期」と医師に言われた…

暑さにめっきり弱くなり、春からの流し網漁は苦しかった…
今夏、流し網漁を終えてからが、あまり暑くなかったのが救いだったけど…

「弱」「苦」「更」…

それでも娘の「縁」が今年の自身の漢字候補かな…?

3日・15時30分S/B。
寒さは幾分和らいだ…。

更に東側へ調査…

しかし、サンマは見えず反転西へ…

サンマが浮かない晩…?
各船北上…!

日付けが変わって1時30分、金華山の南東沖で薄群れを1回操業。

更に調査航走を続けるも、僅かな漁獲で夜明けを迎え、漂泊…!

4日・15時30分S/B。
金華山の山景が見える…



空模様は冴えないが、良い凪…。

日没前から雨が降りだした…
冷たい雨…

僚船の切り揚げの一報が入った…。

気仙沼港は魚市場の復旧工事中で
切り揚げ作業時の接岸が制限される…
接岸場所の確保を考えたら早めの切り揚げが得策かもしれない…

17時過ぎから操業開始。
2回操業し、範囲を拡げ調査航走…!



冷たい雨は更に雨脚を強め、南東からの風がうねりを連れてきた!

降り続く雨の中調査は続くもサンマは見えず、北上…

日付けが変わって00時30分過ぎに薄群れを操業し、
01時、調査・操業止め。

切り揚げなのかと思ったが…

気仙沼向け、02時30分頃の入港予定…!

【28航海目】!

2017年12月02日 | モバイル
11月30日朝5時、気仙沼出港!

やや強い北風を船尾に、追い風で微速で南下。

昼過ぎから弱い雨が降り続く塩屋崎沖約50哩…
15時30分S/B。

17時30分頃から操業開始、「霧雨以上雨未満」な感じの
細雨が降り続いている…

次第に北風は弱まり、薄群れを回数操業となった…。

…日付けが変わり、いよいよ暦は後一枚、機関室内の暦を捲り、


各時計を合わせるルーテインを操業の合間に…。

後半戦となったサンマ漁、ここ数年よりはサンマが見えている…

しかし、魚体組成はやはり終盤戦の型である。

2時過ぎからは雨が強まり季節風が吹き荒れた…

朝5時・操業を止め、西よりに1時間程航走し、漂泊。

12月…
終漁が近くなり、各々の予定が目前となってくる…

漁が終わると各々が漁中に考えて予定していた事を、それぞれ始める機会となる!

自身の場合は娘の披露宴の準備だったり…

若人の中には、海技資格取得を目指す人もいる…

本船の若人も一人、その方向に向けて準備している!

サンマ漁を行う大型船は、最近状況が変わり、サンマ漁のみ
約4ヶ月の漁期間で漁期終了となる船が多くなった…

以前は、鮭鱒漁や鮪漁を兼業する船も多く、
我々の若い頃は、海技資格の条件である36ヶ月の乗船履歴は
意外と簡単にクリアできた。

しかし今、サンマ漁に乗船している若人は1シーズン4ヶ月、
9シーズン乗船しなければ乗船履歴がクリア出来ない計算だ…

その間が勉強と修行の時間と云うには
やる気のある若人にとってはある意味長い…

今、船は大型船に限らず後継者不足と云う問題がある…!

特に機関部の若人は、乗船履歴不足が多い!
昔から漁船では機関部が敬遠されがちだった事もあるが
そういう環境を変えていくのが今の我々の世代の役目だと思っている。

本船に限って云えば機関部は「TEAM機関部」として
良く機能していると思う!

それでも、その現状がいつまでも維持継続できるとは限らない…

漁船の乗組員は、その年の漁切り揚げ時に
来期に乗る船を移動する事が普通にあるからだ…

12月1日・16時S/B。
熱交換機の海水配管が腐蝕、今期2度目…
前回は出口側、今回は入口側…
応急処置で凌ぐ。

…一難去ってまた一難…
食糧庫冷凍機が自動停止・高圧上昇…

冷却水関係の配管を取り外し、通水を整えるもダメ…
悪戦苦闘が続く…

良い凪となって17時頃から操業開始。

日没後、時間の経過と共に気温が下がり、風が冷たい!

ライト当直者は完全真冬の防備、厳しい寒さとなった…。

北よりに調査、操業を繰り返しながらも漁獲は伸びない…

20時過ぎから季節風が強まり、雨も降りだした…

21時、操業・調査止め北上帰途航走、気仙沼向け!

2日朝5時30分気仙沼入港。雪が舞っている…
寒い朝…。