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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【指差呼称】!

2011年12月13日 | ブログ

危険物積載船の安全管理対策の一つに

「指差呼称」 というのがあります!

Sisakosyou

私が今乗船している船も例にもれず、徹底されています。

各作業の手順ごとに指を差し、○○ヨシ!   呼称します!

丸紅エネックス株式会社のサイトの安全対策と環境保全欄にある 

安全教育 はマニュアル化され、

多くの危険物積載船に掲示されているようです!

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1/指差呼称の勧め

なぜ「指差呼称」か?人間は間違いを犯す動物で、

人はウッカリ・ボンヤリといった不注意や、

錯覚や、ベテランに多いショートサーキット(省略行為)といった

心理的な欠陥を持っています。

「これらによる間違いを未然に防ぎ、事故防止に役立てようと、

意識レベルをギアチェンジして

クリアにしようとするのが指差呼称なのです。」

要は、指差呼称は作業者の錯覚、誤判断、

誤操作を防止するための、

作業にかかる前に意識のレベルを変え、

作業の正確度を高めようとするものです。

指差呼称とは?

「指差呼称」にはバックデータがきちんとあります。

もともと指差呼称は、

鉄道で信号などの確認時の

基本動作として実行されてきたものです。

昭和30年中頃、鉄道労働科学研究所(旧国鉄)で

実験が行われています。

5色のランプを無作為に点灯し、被験者はランプがついたら、

同じ色のキーを押しランプを消すというものです。

結果は、

(1)「何もしない」場合のエラーは3%

(2)「指差」、「呼称」それぞれ単独の場合には(1)の約半分に、

(3)「指差呼称」をした場合はさらに半分となり、

エラーは1%以下になるとともに、

ランプを押す時間遅れも最小になりました。

すなわち「指差呼称」を行えば、作業ミスは減るし、

しかも作業効率は上がることが証明されたのです。

国鉄で始まったこの「指差呼称」は、その後、

私鉄に、さらに工場に広がり、全国に展開され、

今や海外でも紹介されるまでになっています。

2/チェックリスト

現場を巡回して各種のデータを取り、異常の有無を確認したり、

非定常作業において作業の進行を確認したり、

指示する時のパートナーが、チェックリスト(記録用紙)です。

現場ではセンサーによりデータを取り記録して、

DCS(Differencial Control System)が

監視しているものもありますが、現場に入った最初は、

プラントの必要箇所の温度、圧力、レベル等絶対値を

頭に入れることが必要なのです。

チェックリストを良きパートナーとして、

プラントの運転状態が頭で描けるようになればしめたものです。

非定常作業においてもチェックリストを利用することが

安全でスムーズな作業をするための良い手段です。

3/なぜなぜ問答

現場の巡回をしながら、

(1)なぜこの圧力を確認するのだろう、

(2)なぜ圧力範囲をこのように定めているのだろう、と

なぜなぜ問答を自分で投げかけていると、段々おもしろくなり、

そのうちにはまってしまいます。

プロセスの理解を早めると同時に、

「P&I(Piping&Instrument Diagram)も読めるようになると、

一人前になった気分が味わえます。

要は「疑問を残すな」ということの実践です。

トラブルを起こしてしまった時も同じです。

この時の「なぜなぜ」は楽しむどころか苦しみの「なぜなぜ」です。

しかし逃げてはいけません。

「己の本性」を自分で見いだす大切なトレーニングになるからです。

4/疑問がもてるようになれば一人前

知識が乏しくあまり疑問もわかず、ただ教えられたことを

鵜呑みにしてきたことに気がつきませんか?(子供の頃学校で。)

しかし、高学年になるにしたがって

先生の話にも大いに疑問を持ち、質問が増えてきます。

誰しも経験していたことだと思います。

知識が増えれば増えるほどに、疑問も多くなり深みもでてきますし、

いろいろなことに興味が持てるようになります。

こうなれば一人前になったといえるでしょう。

安全の確保にまず必要なことは、知識の習得です。

例えば、今取り扱っている高圧ガス・危険物の

特性はどうであって、現在の設備の運転状況では

どんな挙動をしているか、分かっていないで

取り扱うのは極めて危険です。

現場での仕事は、正しい知識が豊富であり、

危険を危険と感じる力(危険を予知する力)がついて、

一人前というわけです。なかなか難しいことではありますが・・・。

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これは荷役作業に拘らず、多くの事に連鎖され、

当然、機関の始動や停止などの手順にも用いられます。

乗船した当時、一番最初に言われたのが

「漁船の時の事は一切頭から切り離す事!」

確かに乗船、経験してみると船上作業とはいえ

内容は全く異なる…!

作業一つとっても、その時その時にとる行動・動作は

「今やらなければならない事に集中する!」

これが基本であると教育されています。

漁船漁業から海運業、

仕事であっても 今尚、毎日が実技講習のようである!