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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【3航海目】!

2022年09月09日 | モバイル

9月2日・01時、花咲入港。

水揚げは3時からであり、ミッドナイトの時間帯にもかかわらず即給油が開始された…
現在の公海操業ポイント、往復約50kL超の燃料を消費。
たぶん各船、消費量にそう変わりはないと思う…
花咲港の給油業者さん達は
この時期サンマ漁船が集中水揚げとなった時の状況を知っているので
ミッドナイトだろうが、船の都合に合わせてくれているのだ、頭が下がる。

漁場の沖合化によって航海日数は
日本の太平洋岸が操業海区だった頃のほぼ倍、
当然、以前より多くの消費が伴う…
大震災による漁船の被災を境にサンマ漁船の復興は新鋭、大型化が進んだ…
それによって現在の沖合化に対処できているが、外国籍船は更に大型である。

給油、給水、食料の積み込み、水揚げを済ませて氷を積み込んで
4時45分に花咲出港、公海向け!

暦がSeptemberに変わり、船内の湿度は低下傾向
やっと多量の結露から解放されてきた…
航走コース上の海水温はまだまだ高いが、さすがに季節は正直である。

3日・16時S/B。

表層海水温の高い範囲が広い事から調査範囲を拡げるもサンマは見えず…
夜明けより東へ…

水面をトビウオが舞う…
南洋と勘違いしそうな高海水温になぜサンマがいるのか…?
相変わらずサンマの生態系は不思議が多い。

4日・16時S/B。

外国籍船団が操業中の海区まで来ないと操業できる群れはなかった…。

甲板上で感じる風はやっと不快から解放され、時折涼しさも…。
ただし機関室内温度はまだまだ高く、陸上なら熱中症警戒アラートのレベル…
船は海水温によっていろんな事が変わってくる、影響力は強い…。

漁模様は低調だが、若干魚体組成は良くなってきた。

夜明けより漂泊、機関部はじっとりと汗をかきながらのメンテナンス作業…。

5日、寝室で充電中のスマートフォンがおかしい…
変な振動と見慣れない画面表示、電源オンもオフも全く効かない…
どうやらバッテリーがやられたみたいである…。
電波の届かない範囲であっても、今や生活の一部化した神具であり不便だ…!
しかも、ほとんどの電話番号は中である、各業者さん達への用事が出来ても
時化休みにならないかぎり、しばらく電話は使えそうになくなった…

保冷作業を始めた昼過ぎから時化海となり、16時S/B も調査しながら凪待ち…
日没後はハイパー豪雨に高いうねり、今期初の海からの洗礼!

機関室内は揺れと暑さでなんとも云えない感覚だ…
豪雨から濃い霧雨に代わるも波が高く、日付けが変わった刻より漂泊。
朝から微速で北西に…。

6日・16時S/B 。

まだうねりの残る公海、夕刻より調査…
時化後に若干表面海水温が下がったポイント、周囲に他船の漁り火が1つ見える。
次第にうねりもおさまり、範囲を拡げて調査もサンマは見えない…

夜明けより西へ…。

7日・16時S/B 。

日没からの調査もサンマが見えず、範囲は拡がった…
海況悪化があったにせよ、さすがに3晩も漁獲がないとなると…
船内の空気が重くなりかけた22時頃、勢いよく跳ねながら
漁灯の明かりに集まるサンマ…
灯付きが良くなったタイミングでやや纏まった群れ。
普段漁模様が悪いぶん、少し群が纏まると甲板上は
早送り再生のように多くが動く!

時間にして小1時間程だが久しぶりに蜂の巣をつついたような船上だった!
あっという間に付近に船が集まり操業激戦区の様相…

その後は付近のサンマは灯付きが悪くなり、北よりにサンマを追うも
見えなくなった…

薄漁の近年、普通だった漁がなにか特別のようになっている…
大漁年を経験しており、近年の漁は
「サンマ漁であってサンマ漁でないようなそれでもやっぱりサンマ漁」
みたいに思える時がある、今年は特に…

夜明け前より帰途航走花咲向け
9日・朝8時頃の入港予定。