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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

回顧記 15話 「近海Ⅱ、鮪漁」!

2006年03月02日 | 船上回顧記

遠洋と違い近海の延縄漁で漁獲した魚は

尾を切らず、エラの内部と内臓だけを取り除き

エラと腹に氷を入れ、魚体をナイロンフィルムや

冷凍紙で包み、周りに氷をかぶせて魚を積んでいく

「氷蔵浸け」が当時の主流でした。

(今は冷水と氷に浸けてくる「水氷浸け」が人気)

急速冷凍した魚と違い、生魚は潰れたり、魚体温度で

氷が融けて魚の肌がやけたり、魚艙を冷やしすぎて

魚が凍ったりと、氷の使い方と魚艙の温度管理が難しく、

冷凍長と機関長は、かなり神経を使います!

この航海は八丈島沖~房総沖~金華山沖と

漁場を移動しながらの操業で、最終回の操業後

3日程で気仙沼港に入港しました。

氷蔵船の水揚げは翌朝の入札に間に合うように

夜間に行われますので、一旦帰宅して

水揚げ開始時間に合わせての集合ですが

機関長だけは船に残ります。

水揚げを終えて、自宅までの車の運転は

疲労と睡魔に襲われ途中で車を止め仮眠して帰りました。

翌日からは鮪漁の漁具をはずし、次の漁への

転換準備作業が始まりましたが

その作業の最中に、新たに乗り組む人を紹介されました!

自分より年の若い人と一緒に仕事するのは初めてです、

「ますます頑張れよ!」「ちゃんと面倒見てな!」

漁労長から言われ、若干緊張した事を憶えています!

船を上架(ドック)し、転換準備作業を終えると

ペンキで白塗りされた船体のサイド喫水部に

赤の船団マークが映えて「北洋」のシーズンに

心が躍りました!