遠洋と違い近海の延縄漁で漁獲した魚は
尾を切らず、エラの内部と内臓だけを取り除き
エラと腹に氷を入れ、魚体をナイロンフィルムや
冷凍紙で包み、周りに氷をかぶせて魚を積んでいく
「氷蔵浸け」が当時の主流でした。
(今は冷水と氷に浸けてくる「水氷浸け」が人気)
急速冷凍した魚と違い、生魚は潰れたり、魚体温度で
氷が融けて魚の肌がやけたり、魚艙を冷やしすぎて
魚が凍ったりと、氷の使い方と魚艙の温度管理が難しく、
冷凍長と機関長は、かなり神経を使います!
この航海は八丈島沖~房総沖~金華山沖と
漁場を移動しながらの操業で、最終回の操業後
3日程で気仙沼港に入港しました。
氷蔵船の水揚げは翌朝の入札に間に合うように
夜間に行われますので、一旦帰宅して
水揚げ開始時間に合わせての集合ですが
機関長だけは船に残ります。
水揚げを終えて、自宅までの車の運転は
疲労と睡魔に襲われ途中で車を止め仮眠して帰りました。
翌日からは鮪漁の漁具をはずし、次の漁への
転換準備作業が始まりましたが
その作業の最中に、新たに乗り組む人を紹介されました!
自分より年の若い人と一緒に仕事するのは初めてです、
「ますます頑張れよ!」「ちゃんと面倒見てな!」と
漁労長から言われ、若干緊張した事を憶えています!
船を上架(ドック)し、転換準備作業を終えると
ペンキで白塗りされた船体のサイド喫水部に
赤の船団マークが映えて「北洋」のシーズンに
心が躍りました!