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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【獲る漁業から育てる漁業に思う事】!

2022年07月02日 | モバイル

歌津地区の浜に暮らす家庭の多くは今日の夕食は「ウニ丼」だろう…


7月2日・南三陸漁協歌津地区では今期初のウニ漁…











しかし、ウニ漁と云っても集荷水揚げが無しの自家消費
駆除目的が名目になっている不思議な漁である…
たぶん、南三陸地区のいくつかの浜の一部を除き
品質が認められなくなって集荷しなくなったのだと思うが…
私も久々に参加したのだが
ウニと云うのは殻を割って視なければ評価されない海産品で
むき身で出荷するにしても自家消費にしても、かかる手間はほぼ変わらない…
また、漁獲場所によって身の色や身入りの違いが大きく変わる生き物で、
近年各地の海で磯やけと呼ばれ、海藻が著しく減っている事の原因として
駆除対象になってきているようだ…
だけど、実際に海面から箱メガネで覗くと、
海中の海藻が生い茂る場所に多く生息しているとは限らない…
昔から海藻の付かない岩場ほど、生息個体数が多い…
ただし、海藻が生い茂る場所で獲った個体の身入りが良いので、
当然そのような場所が漁の対象域になる。
これを駆除としている事には違和感がある…!
あくまでも私個人の私的な考えを述べると、駆除と云うのならやり方が違うだろう…
時期的な事も含め、取り組み方を変えていかなければ駆除の効果は薄いだろう。
そこで、身入りの悪い個体数が生息している場所も豊富な資源量も、
その浜に携わる人達は知っているのだから、駆除ではなく活用する方法を本気で
模索する時代が待った無しで来ているのではないだろうか?
日本は、「獲る漁業から育てる漁業」にシフトしている例も多く、
陸上での蓄養も増えているのだから…
「獲る漁業から育てる漁業」について、私的な思いがある…!

私はサンマ漁船に携わってるが、数年前から感じている事があって、
これもあくまでも私個人の考え方であり、行動できる立場にもないのですが…
自身、船員生活のスタートは大型カツオ一本釣り漁船…
漁場に向かう前に、日本で生きたイワシを漁艙に積み、活かしながら航走、漁をしていた。
今でもカツオ一本釣り漁船は生きたイワシが漁の必需品だろう…
カツオ一本釣り漁船の後は、サケマス・サンマ漁の兼業漁船乗船期間が多く、今に至る…
そこで、携わるサンマ漁船
サンマ漁に特化し、約半年間は獲る漁業から離れ、船は休眠している…
この休眠している期間、サンマ漁船の漁艙を蓄養の生け簀に利用できないか…
冬期、気仙沼港に係留しているサンマ漁船は多く
(2021'12月末時点でサンマ大型船53隻中、気仙沼係留23隻)
尚、現代のサンマ漁船は設備が整っており、
やり方によっては蓄養の生け簀の代わりになる可能性を持っていると思う。
あくまでも可能性であるが、獲る漁業に特化している船で育てる漁業もできたら…
対象は限られるかもしれないが、もしかしたら適応力のある海産品があるかもしれない。
一考、リサーチする余地はあるのではないだろうか…
蓄養専門の知識はないが、例えば先の駆除対象のウニ…
12月初旬に駆除の時期を新たに設け、サンマ漁船の漁艙に移して給餌する蓄養とか…
専門知識がないので、個人の思う事として記しておく…。