心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

時間を表現する文化

2008-01-30 | つれづれ
                          「賞花釣魚」
                     花を賞で(めで)魚を釣って楽しむ
 


日本の文化は、時間を表現する文化である。
~どこかで読んだ本の一節。

その本を読んだとき、西洋の文化との比較も書かれていたけれど、いまひとつ
理解まで到達しなっかったので、では西洋画には時間が流れていないのか?と
聞かれても、今はなんとも答えが見つからないけど・・。

でも確かに俳句にしても、日本画にしても、そこには四季折々の風景があり、
自然があり、日本人は自然と共に生きる民族とも言われている。

また、茶道や華道、香道、武道、書道・・と「道」のつく世界にも、「時間」は
重要な意味を持っている。

そこにある時間は、「結果」よりも「過程」が大事ということ・・かな。

茶道は、最後にお茶を頂くという目的があるけれど、お茶室の狭い空間で、
茶花を愛で、茶器を鑑賞し、所作の美しさに心を動かされ、
お茶をたててくださる方と、お茶を頂く側との間で共有する時間を楽しむもの
でもあり、きっとその時間を大事に思う気持ちが、日本の文化なのでしょう。

書道も同じです。書は本来、一次元のものであると。
油絵などは、1枚のキャンパスで何度も色を重ねては戻る、という二次元の世界。

書は、いつも一発勝負というか、一度紙に筆を置いたら、元には戻れない。
戻ったとしたら、それは「不自然」と表現される。

つまり書の魅力は、その瞬発力だったり、元には戻れないという時間の流れを
表現しているところ。
流れの中にいて、計算ではなく、偶然や必然のまま、前へ前へと進んでいるところ。

「賞花釣魚」の句は中国は宋史の句だけど、やはり日本の文化の元は中国。
同じように、自然の中で流れる時間を愛し、表現した文化だと思う。

こんな何でもない、たった四文字で、ゆったりとした時間を表現し、
またそれを受け取り、豊かな気持ちになれる文化の中に生まれたことに感謝 
コメント (4)
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