心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

第56回 現日春季書展レポート

2016-02-28 | 書展・展覧会情報
                           「無二」 越智 麗川氏

久々の書展。

私もご一緒させて頂いている10人による書TEN
そのメンバーのうち、7名が現日会。(私は今はフリーなのでして ) 
ということで、その方々の作品の中からご紹介。

まずは、書もお人柄も尊敬と憧れ、越智麗川氏の「無二」。

社会に目を向けた作品を多く書かれる越智氏。
今回の作品へのメッセージが添えられていたので記載します。

 戦火の下で逃げ惑う人々にも、貧困の中で飢えに堪える人々にも、
 病と戦い痛みに苦しむ人々にも、かけがえのない無二の命がある。

 「何のために生きるのか、何のために生かされているのか」
 生きる意味を問いながら、争わず、憎まず、妬まず、恨まず、怒らず、
 全ての人々が、積極的に生き抜くこと、生きることを全うすること、
 かけがえのない無二の命があることを喜びとなるよう祈ります。

このメッセージを拝読しながら作品に向かうと、私なりのイメージも浮かんでくるのでして。

生きるエネルギー、儘ならないねじれた現実、見え隠れする希望、
地に足をつけようと、そこに蠢く生の営み。

様々な状況の中で、生き抜く術を、それぞれが探して行こうぞよ~ってね 

この「無二」の小品も。



ひゃんひゃんひゃんと、走ってるような。
それぞれに世界があるけど、私はこちらがタイプです 


写真を撮り損なってしまったけど、同人の古屋藍水氏の作品にも
作者の思いを感じました。

 生きている 生きねばならぬ 生きられる

このことば、私も書いてみたくなりました。


書TENの代表、木原光威氏の「天地交響」。
墨の濃淡、躍動する線からは、生々しい呼吸、解放感を感じ
天地交響という言葉と、まさに響き合ってる~と、
そこに流れる音楽をしばし聴いていました。



作品アップ


そして小品。大胆にタクトを振っているような  




こちらは伊地知星夏氏。
全体が景色のような構図からは、言葉の余韻を感じます。
漢字の作品でも、こういう世界が好きです。



左:谷合双辰氏 素直に美しいなぁと思えるのでして。
        このたおやかさ、私にもっとも足りないもの

右:中谷翠泉氏 金文・甲骨文をテーマにされている中谷氏。
        強い線だからこその余白の美しさ。
        釈文は「十六夜清心」




こちらは、越智氏のお社中、山本洋三氏の作品。
今回、同人格奨励賞を受賞されたそうです。
洋三先生のブログも~ ⇒ Yoz Art Space




そして~時々書談義?を交わす、植草凌花氏の「一歩」
彼女も甲骨・金文をテーマにされています。




ここでご紹介させて頂いたのはごく一部、まだまだ素敵な作品たくさんありました。
私も刺激を頂いて、今日はまずは久々の書展レポートでございました。


現日会代表書作家展は4月5日~10日 銀座鳩居堂で開催
またその頃にご案内させて頂きます。

スマホ撮影、画像がボケ気味ですみませぬ
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観自在あそび

2016-02-25 | 禅語・般若心経
                         (半紙)

師のもとで勉強させて頂いていた頃、毎年4月に写経会がありました。

午前から午後3時頃まで、参加者はゆっくり時間をかけて仕上げますが
思い返すと私は1度しか写経はやっていないような。

社中の数名が参考作品と称して「写経」ではなく「作品」を制作し
会場別室に陳列、それを参加された方々にご覧頂いたりしていました。

私もまだまだ拙いながらも、そのメンバーとして毎回色々な形で「作品」をば。
そんなわけで当日は、陳列作業のお手伝いでゆっくり写経を書く時間もなく。

あの頃は、師や社中の諸先輩方に刺激を頂きながら、
「知らない」を武器に、仏像の絵を入れたり、木彫りをしたりと
般若心経をモチーフに作品を作ることが、楽しくて楽しくて。

初めての毎日展出品作も、2×8尺縦に般若心経をびっしり書いたりして。

あの写経会があったお蔭で、今も般若心経はとても身近で
色々なインスピレーションを運んでくれるのでして。

お若い世代は、お経というと辛気臭く感じることもあるようですが
般若心経は、亡くなった人に唱えるだけのものではなく。

「自分と違う」や「一般的じゃない」を理由に否定したりしないで
表現も、人も、なんでもござれ的にご覧頂けましたら幸いです。

観自在あそび

    

    

    

    



観自在とは、すべての事物を自由自在に見ることができること、の意。

あそび、なんて不謹慎?
般若心経は、私の中では「観自在」です  


さて、今日も1曲。ロッド・スチュワート版が好きだけど、歌詞付なのでこちらをば。
実はこの曲は反戦歌。 「rain」とはベトナムに投下された「ナパーム弾」

(現実の衝撃的な画像もあります)




同じ日本語訳でも、印象が違いますね→ 日本語歌詞

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パートナー

2016-02-22 | 母・父
                       母の書 (半紙)

昨日は久々に、母が筆を持ってくれました。

書の雑誌「墨」を渡したら、眼鏡をかけて静かに読み始め、
意見や感想を聞かせてくれたり。

何かを感じてくれたかなと思ったから、
半紙と筆を持って来たんだけど何か書かない?と声をかけると、般若心経を。

文字は所々間違ってはいるけれど、懐かしい母の字。

昨夏、予防のための脳外科手術の後、脳梗塞をおこし
突然、高次脳機能障害となった母。

当初はできていたのに、少しづつできないことが増え
もっと一緒にいられる時間が持てたらと、
歯がゆい思いで、張り裂けそうになる日も。

それでも小さいことの繰り返し作業を、また一から始めようと思えたのは、
母との会話が楽しいって感じたから。

昨日は父とは電話で話をしていて。

父が珍しくこんな言葉を。
「一人になってよく考えたら、僕はいい亭主じゃなかったのかなって思ったんだ」

元気な頃の母だったら、きっとそんなことはないわよと言っただろうけど
その時、穏やかな口調ながらもしみじみと
「そうねぇ」な~んて、言うもんだから、父と爆笑。

「本当に、今まで気づかなかったんだよ」
「でも、どこかいいところはなかったのかな」

それに対しても、「そうねぇ」。

母は本当のところはよく意味がわかっていなかったのかもしれないけれど
いやいや、実は本音をようやく言えたのかもしれないけれど
案外、父を慰めていたのかもしれない、な~んて思ったり 

私が1枚、これを書いて母に見せると、「いいんじゃない」と頷いてくれて。


あなたが笑うと強くなれる

「この あなた はお母さんなの。お母さんが笑ってくれると、私元気になるの。」

そう言うと、
「いい大人になったのに、子供みたいで困るわねぇ」と、微笑みながら。

そのあと、いつもいる4人のテーブル席に戻ると
母は「先生」に戻っていて、言葉の大事さ、それを書で表現することの難しさ等々
ゆっくりと大事そうに語っていました。 

そんなわけで、書は、私にとって益々大事なパートナーとなりましたとさ 


さて。
今日の1曲は、忌野清志郎のロックロールな ♪上を向いて歩こう
イェ~イ! 



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「お習字」じゃなくて

2016-02-21 | 山頭火・放哉・良寛
                       

春一番も吹いて、朝晩は冷える日もあるけど、日差しや空気は春の気配。

だというのに、山頭火のこの句。(半紙)
昨年末頃に書いたものが出てきたので 

 雪へ 雪ふるしづけさにをる

教室で麻裕さんに参考に書いたもの。

「雪降るしづけさ」の景色を、表現できたら~と思いつつ。

しづけさが、遠くの景色に続いているようなイメージで書いてみたなり。

紙の決まった場所に、正しくお行儀よく羅列するのはお習字。
作品は「書」でありたいのでして。

そこには、五感=視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚を感じられるか。
私の場合、そんなことを想いながら、作品に向かうのでして。

作品から、景色、温度、音、色、味・・を感じて頂けたら嬉しいです。


というわけで、今日の1曲は Bobby McFerrin - Common Threads


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日々是好日

2016-02-19 | つれづれ
                        日々是好日 (色紙)


先週11日、蘭秀会のお仲間のお一人、荒井みどりさんの結婚式にお招き頂き 

1月の書初め会の時に、両家のご両親に書を贈りたいとのことで
そのご相談も兼ねてご参加下さり。

結婚式の会場と披露パーティの会場のウェルカムボードも、ご自身で制作 





蘭秀会展では、こんな力強い作品を書かれる荒井さん。

2013年


2014年


禅語に心動かされるようで、結婚の時に選んだことばも禅語。

ご両親に向けて、これから夫婦二人になっても、
日々を穏やかに過ごして欲しいとのメッセージを添えて、贈られました。



こんな贈り物も、素敵ですよね。

何に対してもまっすぐで、正直なところは、書にも見え隠れしているような 

荒井さん、普段は通信で勉強されていまして。
わたくしめが暫くお休みをお願いしてしまい、
書から離れてしまわれないかと心配していましたが
こんなにも書を大事に思って下さっていたなんて、感激でした。

私も、「書が好き」という思いをこれからも忘れずに
日々書に向かえたらと、改めて感じさせられました。

みどりちゃ~ん。
ご結婚、おめでとうございます 




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木簡と山頭火と

2016-02-15 | 山頭火・放哉・良寛
                        (半紙)

「このみちをたどるほかない草のふかくとも」 by 山頭火

そっか、って思えてくる。

山頭火の句の解釈というか、感じ方も人それぞれでいいわけで。
私の場合、山頭火の句をどうも前向きな意味に感じたいようでして。

忍耐とか、人生の悲哀をしみじみ共感するんじゃなくて
うんうん、そっか、だよねって感じに。

たどるほかないその道は、諦め的なそれではなくて
だったら、あっけらかんかんと歌でも歌いながら歩きたくなる。

私の生きる力は、木簡と山頭火から頂いているのであ~る。

今日の1曲はTom Waits - Innocent When You Dream
うう~やっぱいい~沁みる~

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瞬発と躍動

2016-02-12 | 木簡
                                (半紙)


久々に木簡臨書。

もうここ何年も、臨書するのは木簡ばかり。
たまに隷書、甲骨、金文、造像。

思えば整った文字になる前のものばかり。
自分の好みというのは、書風にまで及ぶのかと、おかしくなる。

木簡の中には行書風、草書風、楷書風、隷書風と色々な書風があって。



でもって、どこの誰が書いたのかなぞわからず
生活の中のメモだったり、文字の練習帳や商売や国からの伝達やらだったり
面白いのでは、亡くなった人があの世でも迷わず暮らせるようにと
好きな食べ物が書いてったりと、よろずの書というわけで。

そんな雑多な生々しいところが、好きなのかも。
そこには、なんでもござれ的なたくましさや、解放感や活力があるから。






木簡の中にある「瞬発と躍動」を浴びたいから、
また木簡を書いて書いて書きまくろ~っと。


今日の1曲は、久々に聴きたくなった ThePianoGuys






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逃げて逃さず

2016-02-10 | 禅語・般若心経
                           「無心」 半切



1月の書初め会で書いたもの。
(この「無心」も)

無心ってどういう意味ですか?と聞かれて。

以前読んだ本の中に、こんな一節が。
「悩む」とは闇から逃げているだけ。灯りをともして前に進もう。

いやはや、ごもっともなお言葉ではあるのだけど
どうにもならない現実に身を置く人には、ちと酷な気もするわけで 

人生、逃げられるものなら逃げたい時だってあるさね。

闇から逃げて逃げて、行き場が無くなった時に
灯りをともすきっかけを逃さずにいられたらって思うある 

そんな願いを持って、書いてみた「無心」です。


ところで、その時「無心の意味は、自分で探すべし~。」
とお返事しましたが、目が点になられておられました、とさ 

さて、今日の1曲は~。
ここでは何回目かの登場、K.D. Lang の  Leonard Cohen's Hallelujah

何度聴いてもいい~ 

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壁は自分自身だ~

2016-02-09 | 岡本太郎
                             「壁は自分自身だ」


いかにも岡本太郎はんらしいことば。
字手紙教室で、参考に書いたもの。サイズはハガキ。赤い□は雅印の代わり。

エネルギーがない時は、聴きたいと思う音楽はゆったりめの静かなものばかりで。
活字は気持ちの奥までなかなか届かず、パソコンに向かう気持ちもなくでしたわ。

久々に開いてみた岡本太郎はんの、 「壁を破る言葉」 byイースト・プレス。

むくむくっと。
うふふっと。
おお~っと。

ひと言ひと言が、ぐっとくる~。

「やっちゃえ○産」のCMも、なんだかぐっとくる。

春も近し。
爛々と行こうぞよ。

今日の1曲は、Yael Naim - New Soul




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無心の中に流れる時間

2016-02-04 | 禅語・般若心経
                      「無心」   (半紙)


仏教での「無心」は、妄想や邪心を離れた心そのものを意味するそうな。
イメージとしては、心静かに集中するというか、そんな感じもして。

一方、「無心に遊ぶ」という場合には,無邪気なことを意味するそうな。
あるいは、「お金を無心する」という場合には,遠慮せず物品,金銭をねだる、と。

書では仏教の「無心」を思って書くことが多いような。
はて、私の無心は如何に 


今日は、腰を骨折中の父も一緒に、母のいる施設を訪ね、
久々に近くのお寿司屋さんへ。

ここ数年、色々なことで全身全霊、本気の真剣勝負で喧嘩したり
お互い激しい感情をぶつけあってきた父と私。

何度も母に「美味しい?」と聞く父を見ていたら、
母は身を挺して、父と私にこんな穏やかな時間を与えてくれたのかなと思えてきて。

そんな中、書くことが楽しくて仕方なかった頃、
自分の周りの「気」を集め、集中に呼ばれた緊張感と高揚感を思い起こしていた。

そこにもここにも、「無心」があったような。


さて、今日の1曲は、Hindi Zahra の♪Stand Up




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