心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

人間はね・・

2007-12-22 | 山頭火・放哉・良寛
                ** うれてはおちる実をひろふ  山頭火 **




12/15のブログで書いた社長ちゃんとの、思い出話の続き。

会社は池袋にあって、裏にあった南池袋公園にはお昼時になると、
近所のOLさんがランチに来てたり、公園や駅周辺で暮らすおじさん達が
たくさん集まって来て、昼間っからよく円陣を組んで宴会をしていた。

私は時々、社長ちゃんの代理でその公園を通ってサンシャインにある
某百貨店の商品開発部に出向いたのだけど、よくおじさん達に声をかけられた。

「お~。あんたもちょっと一杯やってけ。こんなきれいな桜を見ないでこの
公園を通り過ぎるなんて、人生損してるぞ。」

毎朝会社の前の青い大きなバケツから直接、朝食を摂りながら、
「おはよぉ~。今日は朝からパスタだよ」「今日も元気でがんばれよ」なんて
挨拶してくれる顔見知りのおじさんもいて、「じゃあ仕事の帰りにね」って。

社長ちゃんが、何度か公園に呼びに来た。
「まったく、遅いと思ったらまたここにいたのね」と言いながら、社長ちゃんも
一緒に一杯やったりした。

今は世知辛い世の中だから、信じられないかもしれないけど、あの頃はまだ
みんな気持ちがあったかかった。

当時池袋には、片道切符のお金だけで寝台列車に乗って上野に着いたけれど
行く当てもなく道端で座り込む母子も見かけたりした。

社長ちゃんは会社に戻ると「家に帰りなさいって言って渡して来て」と言って
封筒に入れた電車賃を私に渡した。

その時、社長ちゃんが言ったことばは、今も鮮烈に心に残っている。

人間はね、価値があるから生きるんじゃないの。
生きるから価値があるのよ。

社長ちゃん。思い出すとなんだか涙が出てきちゃいますよ。



コメント (4)
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