カメレオンの独り言

当分は漫ろ言の漫ろ歩き、頭に浮かんだ事柄を挿絵と写真と下手な文で綴ります。色々と間違い多いですがご容赦を。

カメレオンの独り言-1222 『懐かしの映画、駅馬車 (後編)』

2014年09月02日 | 日記























































































大地をドラムのように激しく叩いて突っ走る馬蹄(ばてい)の響き、もんどりうってぶっ倒れて転び舞い飛ぶ馬と人。

砂塵をあげて車軸が折れんばかりに大地を転んで激走する駅馬車、アリゾナの荒野に馬力と人力と銃と矢の攻防戦を繰り広げて 『駅馬車』 の後編です。

撃っても撃っても、撃たれても撃たれても諦めを知らないインディアンの猛追は、これまた激しさ増しても衰えることを知らない。

























































































































































オレは、西部劇の追跡シーンを観るごとに、よく思ったことがある。なんで、図体のデカイ馬を撃たないんだって、いつも思うんだね。

この駅馬車止めるのだって6頭立ての一頭を撃てば重い死体を引きずっては走れないよ。西部劇映画を長くそんなことを思いつつ観てた頃があったね。

或る日、西部こぼれ話なんて記事を新聞で見て合点(がてん)が入(い)ったよ。「古い言葉やねえ、岡っ引きの八かよ?」 





当時の馬は、大変貴重だったらしいんだね。其れはインディアンも同じくなんだね。やたらと殺していいのは人間で馬は駄目なんだね。 「ウソつけ」

だから、インディアンは、滅多に馬を撃たないんだね。白人社会でも、馬泥棒は、私刑(リンチ)にかけられて木の枝にぶら下げられる。

「いつ解(ほど)いてもらえるの?」 アホか、おまえは、首吊りやないかえ。解いた時には首伸びて死んどるわ。そのぐらいのもんだったんだよ。





「当時の白人も野蛮だったんだね」 そうだよ、銃がもの云う時代だよ。オカマは住めないよ。「コワいとこだったんだねえ」 そうかあ? 

オレはオカマが、堂々とテレビに出て、タレントやってるほうがコワいよ。今は、此れが常識だよ、みんなが狂ってる時代だよ。

何でもかんでも、今と照らして判断できないよ、つまり、常識は時代とともに色変わるもんだからね、昔は昔の常識があったんだよ。





幌馬車隊なんか、襲われて不利な場合は、6頭立てを4頭立てにして、それぞれ2頭をくれてやれば、しつこく襲って来ないこともあったらしいんだね。

賭博師ハットフィールドを演じるジョン・キャラダインなんか、馬車から降りて走れば良かったんだよ。撃たれないはずだよ。「怒りよるぞ」 

「おまえ、駅馬車忘れてんのとちゃうか?」 ああ、そうそう、忘れていたよ。西部こぼれ話の解説が長引いたね。





左脇から追い越し寄り来たインディアンが、槍を放り投げて先導する駅馬車の馬の背に乗り移る。先導役の馬を抑えられたら万事休す。

御者のバック(アンディ・ディバイン)が後ろのリンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)に絶叫して知らせる。


































































































ジョン・ウェインという男は、この時代の男の格好のつけようってのを知ってるね。馬を乗る姿勢、銃の扱い方、彼独特の個性が光ってるよ。

銃を支える左手の添えようひとつにも、そんなのが出てるね。ウィンチェスターライフルも小ぶりなものを特注して愛用したらしい。

銃社会のアメリカに於いて銃の重さは誰もが知っている。其の銃を軽々しく扱う、つまり、強い男をイメージしたんだろうね。





2メートル近い巨漢にして繊細な部分にも目を行き届かせて不滅の西部の男を創り上げたね。



























賭博師ハットフィールドを演じる、このジョン・キャラダインって役者が、オレを「駅馬車」から遠のかせたんだよ。「どういうことや?」

少年の頃、映画雑誌で、この「駅馬車」は何度となく紹介されているのを見たよ。

観たいって思ってたけど、こいつの顔写真を見ると、やたらと「駅馬車」が古めかしく感じたんだね。無声映画時代の役者の面だよ。





やたらと長い顔して薄いんだねえ。こいつに影響されて他の出演者までが古~く感じられたよ。

娼婦のダラスを演じてるクレア・トレバーも、其れを後押ししてたね。古い女だねって。「エラそうに」 

感染だね。写真を見る限りでは、ジョン・ウェイン自体がのっぺりした顔つきに見えて、いまいち、見たいって欲求が湧かなかったんだね。





当時で20数年前、今からだったら75年前の映画だよ。オレが観たのは、30数年まえぐらいかなあ? オレの出来上がったイメージを完全に払拭したね。

西部劇黄金時代を築いた礎だね。オレは、興味が働かないと知ろうとしない男だから、洋画好きだけど監督やスタッフなど、ほとんど知らないと云うより覚えない。

でも、遡ってジョン・フォード監督は頭に印刷されたよ。それと「OK牧場の決闘」のジョン・スタージェス監督かね。





昔のオレは、出来上がったものの裏側は見たくないって思いが強かった。「なんでや?」 シラケるがな~、夢が潰れる思いだよ。覚えないのは、その影響だね。


























御者のバック(アンディ・ディバイン)が、銃弾を片腕に受けてたずなを落とす。


















































見てるぶんには然程のことはないようなもんだけど6頭だての馬の間を繋ぐ足場は無いに等しい。走る地面を馬の蹄(ひづめ)が蹴り飛ばしてる。

落ちたらタダで済むはずがない。リンゴ・キッドの積もりに成りきってんだろうね。自己催眠にかけてんだろうかね?

ジョン・ウェイン、あんたは偉いっ。なんでも初っ端に価値がある。2メートルの巨漢は伊達じゃないねえ。





































「保安官っ、弾丸をくれっ」って叫ぶんだけど保安官カーリーは、「こちらも、もう弾切れだ」とライフルのレバーをスライドさせて見せる。



















































弾丸が切れたら、もう、戦えない。女をアパッチ族には渡せない。ダラスを一瞥するんだけど、この際、こいつはいいだろう。「なんでやねん?」

弱い女は殺してやるのが情け、賭博師ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)は、最後の弾丸を装填した銃を大尉の妻ルーシーに向ける。

しかし、この大尉の妻ルーシーってのは、自分が産んだ赤ちゃん、ダラスに預けっ放しで、お祈りばかり上げておる。ドアから蹴り落とせっ、イチコロで死によるわ。





このハットフィールドって男も上辺だけに弱い奴だね。貴婦人好みやね。こいつ自体がキザな男だからね、同類、相憐れむだね。





関係ないけど、狭い車内の何処に傷ついた行商人ピーコック(ドナルド・ミーク)がおるのかね? 嵩の高い銀行家ヘンリー(バートン・チャーチル)の姿も無い? 

酔っ払いの医者ブーンは、射撃して居るんだけども、時折、消えるんだね。都合のいい車内だね。「ぎゅうぎゅうだったら、撮影に支障を来たすだろうが」 

すまんだに詰まって身をちじめるってのはどうだ? 「不自然だろうが?」 消えるほうが不自然だよ。















ハットフィールドの手から銃が落ちる。撃たれたんだね。「聞こえるわっ」 騎兵隊の突撃ラッパが聞こえる。

遠い騎兵隊のラッパの音は聞こえても、ハットフィールドの落とした銃の音や崩れ落ちる身の気配など意識にない。無声映画時代の役者らしい死だね。






































勇猛果敢、正義の味方、困った時には騎兵隊、何処の映画にでも参ります。「なんやねん」 そのぐらいに彼らは忙しいんだよ。引っ張りだこだよ。

時折、バカみたいに早く現れて興醒めさせよるときがあるのが玉にキズだね。この映画は、頃合を掴んで、いいところに駆けつけたよ。

執拗に襲撃してた糞インディアンどもめ、蜘蛛の子を散らせて逃げ失せたわ。愚か者の野蛮人どもがっ。「おまえがエラそうに云わんでもええ」





















駅馬車は、騎兵隊に守られて、無事、ニューメキシコのローズバーグに到着した。保安官カーリーは、リンゴの自由を拘束せずに目をつぶる。

リンゴ・キッドの復讐は、闇夜に銃声3発でことは済む。目的を果たしたリンゴは、馬車で待つカーリーとともに刑務所に戻ろうとする。

カーリーは、ダラスとリンゴを御者席に乗せると、自分は乗らずに酔っ払いの医者ブーンと一緒に馬に石をぶつけて走らせる。見逃してやるんだね。





人の情というのは、何処の国でも一緒だね。 「ドアから蹴り落とせっ、イチコロで死によるわって、云った口からよく出るね」 ああ、あれはジョークだよ。





























Bury Me Not on the Lone Prairie
寂しい草原に埋めないで 『駅馬車』 主題歌




bury me not on the lone prairie
おお 一人寂しく草原に埋めないで

These words came low an' mournfully
悲しげな声が響く

From th lips of a youth who lay on his dyin' bed
死の床に伏せる若者の唇から

At the close of day an' to 'em he said
日も暮れる頃に




bury me not on the lone prairie
おお 一人寂しく草原に埋めないで

Where the wild coyote will howl o'er me
野生のコヨーテが吠え掛かってくる所なんかで

In a narrow grave, six by three
縦6フィート横3フィートの狭い墓に

Bury me not on the lone prairie
一人寂しく草原に埋めないで











『駅馬車』 1939年度作品 白黒 アメリカ映画 監督 ジョン・フォード


リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)

保安官カーリー(ジョージ・バンクロフト)

バック(アンディ・ディバイン)

銀行家ヘンリー(バートン・チャーチル)

医者ブーン(トーマス・ミッチェル)、

行商人ピーコック(ドナルド・ミーク)

賭博師ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)

大尉の妻ルーシー(ルイーズ・プラット)

ダラス(クレア・トレバー)







考えなくてもええ代わりに、オレの映画紹介もどきはホンマに疲れるね。考えて書いたほうが楽だね。「どうする?」 考えよ。 今日のは、9月2日の分です。






























最新の画像もっと見る

コメントを投稿