『 大列車作戦 』 THE TREIN 1964年度作品 監督 ジョン・フランケンハイマー
出演 バート・ランカスター ポール・スコフィールド ジャンヌ・モロー 他
1944年 連合軍による解放寸前のパリから、ドイツ軍のワルドハイム大佐(ポール・スコフィールド)は、
ゴーギャン、ルノアール、ゴッホ、マチス、ピカソ、セザンヌなどの絵画を、ドイツ本国に移送しようとしていた。
その計画を阻止すべく操車管区長のラビシュ(バート・ランカスター)たち鉄道員とレジスタンス(抵抗運動)は、命を賭けて、
輸送手段である蒸気機関車に対してあらゆる妨害工作を試みるのだった。
当時のレジスタンスたちと共に奮闘した鉄道員たちの実際の話がもとになっているんだね。
第二次大戦末期、ナチス・ドイツはパリを占拠しながらも敗戦の様相を呈していた。連合軍はノルマンディに上陸後、破竹の勢いでパリに
向けて進撃、パリの解放まで、あと数日のところまで迫っていた。
そこで、ルーブル美術館長から美術品強奪の阻止を哀願されたフランス鉄道の面々は、秘かにレジスタンス活動へ転じていく。
「絵画は国の一部、何ものにも代え難いフランスの財産です、これ等の略奪をあなた方で阻止して欲しい」と、哀訴する美術館長に、
ラビシュは「今日も一人減った、沢山の仲間が命を落としている、絵のために協力はできない」と、一旦は断るが、
パリ解放の日の近いことを知り、輸送列車の出発引き延ばしを画策する。
絵画搬送に異常な執念を燃やすドイツ軍のワルドハイム大佐(ポール・スコフィールド)は、ラビシュにドイツまで機関車の運転を命じる。
さまざまな工作を施し出発を遅らせるが、発見されて射殺される仲間たちの犠牲も増える。
ラビシュは、機関車の三重衝突まで起こして出発を阻止する。しかし、ワルドハイム大佐は、線路を修復させて列車を出発させる。
白黒フィルムもいいね。不思議と当時の匂いを醸してリアルに感じるよ。バート・ランカスターがいいね。
俳優になる前にサーカスの曲芸を遣ってたことがあったらしくて身のこなしが軽い。昔の役者さんは、総体に遅咲きの人が多かったって聞く。
だから、レンガ職人とかトラック運転手とか肉体労働で飯喰ってた人なんか珍しくないんだね。
この人たちは、皆、サクセス・ストーリーだね。だから、エスカレーター方式で上がった人とは違う人間味があるね。
ラビシュが首謀者と知ったワルドハイム大佐は、機関車の周りに民間人を乗せて破壊活動を牽制する。線路に爆薬をセットして待ち受ける
ラビシュは、人質の姿を見て機関車の破壊を断念、遙か手前で線路を爆破する。
前輪だけが線路から外れた状態で機関車は停まる。「ラビシュを追えっ」とワルドハイム大佐が激昂して命令するのを、
副官が「追っても無駄です」 「追わなければ爆破しないと云うのかっ」 機関車を線路に戻す間に、兵を8キロ先まで配置して手出しを防げばいいと、
進言する。ワルドハイム大佐は、納得して副官の言う通りに兵を出発させる。
片足を負傷したラビシュは、脚を引きずりつつ山肌を移動しながら線路を見下ろすが、副官の予想通りドイツ軍の兵が線路上に
一定区間ごとに配置されて手出しができない。きつい勾配を這いながらラビシュは先へ進むしかない。
山肌を回って兵が配置されていないところまで来ると、ラビシュは急勾配を滑り降りる。
人質が機関車に乗せられている以上、爆薬は使えない。線路脇に設けられた工具小屋から工具を持ち出し、線路の固定具を外しにかかる。
離れた位置で爆破しても、爆破音で察知して機関車を停め修復されてしまう。固定具を外しておけば見落として脱線の可能性は大きい。
汽笛が聞こえる。ラビシュは線路脇の草むらに身を隠す。機関車が、徐行しながら配置した兵を拾いつつ向ってくる。
機関車の最前列に立つ副官が線路を注視している。
固定具が外されているのを見咎め「停めろっ」と怒鳴るが、機関車は急には停まらない。線路を弾いて脱線する。
ワルドハイム大佐は「機関車を線路に戻せるか?」 「無理です、クレーンがなければ」 「人間で引けばいいっ」 「今の倍居ても無理です」
「君は、私の命令が聞けんのかっ?」 副官は「無理です」って引かない。ワルドハイム大佐自身、無理な状況であることは解っている。
そのとき、線路と併行して走る道路を味方の車両部隊が通過する。ワルドハイム大佐は「荷物をトラックに移せっ」と命令しつつ
通過するトラックを停止させる。士官が降りてきて「人員移動です」 「人など知ったことかっ、全員を降ろせっ」 上官命令に従い兵に
降りるよう指示していると、将校用ジープが走り来て「なにをしているっ」
「これら車両を使う、兵を降ろせっ」
「その命令には従えませんな」 「貴様っ、上官の命令を聞かんのかっ」 将校は、ワルドハイム大佐を無視して「トラックに戻れっ」って怒鳴る。
ワルドハイム大佐は、副官に「射殺しろっ」と怒鳴るが、副官も動かない。「貴様っ」大佐が銃を抜こうとするのを副官が止める。
「彼らを見ましたか?」 「・・・・」 「敗走しています」 「・・・終わりか?」 副官が頷く。
「50名居る、我々も乗れるか?」 「急げ」 「荷物は、もういい、トラックに乗れ」
機関車から絵画の荷物を降ろしていた兵が、荷物を放置してトラックに分乗を始めている。
機銃射手に下士官が合図すると、機銃の銃口が人質達に向けられ火を噴く。
殺す意味がないんとちゃうのん? 機銃撃つ奴も、そのぐらい自分で考えろよ。違うとこ撃って誤魔化せよ。
命令した奴は、もうトラックに乗って居らんがな。云われた通りしかでけんのか? 輸送隊の将校も逆らって居ったでしょうが。
命令に忠実な「兵隊魂でんがあ~」 「あかんわ~」 やっぱり、知能の問題なんかなあ~?
「大佐、行きましょう」 ワルドハイム大佐は、副官に「君は、立派な軍人だ」 「先に行ってくれ、あとの車で行く」
放心状態の大佐を残して輸送隊が走り去る。
ラビシュが現れた。機関室に入り停車の操作をして窓の外の光景に息を呑む。仲間たちの変わり果てた姿が散乱している。
「名作を前にして興奮しないか」 背中にワルドハイム大佐の声がして、ラビシュは振り返り機銃を構える。
「おまえにとっては豚と真珠だろうな」
「運がいい」
「絵の価値も知らんくせに」
「おまえなどクズだ」
「木偶の坊だ」
「絵は、わたしにこそふさわしい」
「美を理解できる者でなければ所有する資格はないのだ」
「今、この時でも、自分が、なぜ苦労したのか云えまい」
ラビシュの構えるシュマイザー(機銃)が火を噴く。
ラスト、バート・ランカスターに台詞はなかったね。寡黙な演技が光ってる。アメリカとフランスの合作なんだけどフランス流だね。
この映画が封切られた頃は、フランス映画がアメリカ映画としのぎを削る勢いで人気を競っていたね。
フランス映画は台詞が少ないの。雰囲気で決める手法なんだね。
フランス女優のジャンヌ・モローが懐かしいね。美人じゃないのに人気があったね。オレは「こんなん好きじゃないけどね」 「余計なこと言うな」
「ああ~遅くなっちゃった」 深夜の2時半回ってるよ。
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