脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

眠れない夜

2014-11-03 00:19:08 | 私の思い 3
夫が発病してからだろうか、
もうずっと長いあいだ
「眠る」ということを忘れている。

夫が元気だったころ、
寝つきの悪い私は
翌朝のために
少しでも早く布団に入りたかった。
夫は布団に入ると
すぐに眠りにつくことができる人で
寝つきの悪い私は
夫の眠りを妨げないよう
暗闇の中で身動きひとつしないで
眠りが訪れるのを待った。

あのころ、
いのちのおわりを考えることはなかった。
なんと傲慢だったのか。
かぎりある時間だと気づいていたら
眠ることより
ふたりの時間をたいせつにすればよかったのに。
いまになって
こんなに眠れぬ夜を過ごすのなら
あのころ、
眠らずにふたりの時間をたいせつにすればよかったのに!

決して戻ることができない時間。


わたしには
過去しか見えない。
わたしには
夫のいない未来はない。