脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

初雪

2013-11-28 23:18:03 | 私の思い 3
勤務先では、本日が初雪だった。
私の居住地は、まだ。
同じ市内でも
北へ30キロほど北上すると
雪の量は倍以上になることもある。
今年は
そんな北へ向かっての初めての通勤。
心細いこと、この上もない。

もともと
雪道の運転は苦手、というより
恐怖だった。
夫が自宅療養中だった一昨々年の冬
ふらつきがだんだんとひどくなっていく中で
夫は
体力維持のためにと
毎日スポーツセンターに行くことを望んだ。
夫は運転を禁止されていたから
毎日
私が雪道を運転して送迎した。
夫は
もう
あまりことばを話せなくなっていたが
身振り手振りで
ブレーキを踏まないで
エンジンブレーキを使うことを教えてくれたのだった。
いつか
こんな日が来ることを
夫は予感していたのだろうか・・・
あの冬は
雪が多かった。
アイスバーンになった道を
それまでの私だったら決して運転しなかったような道を
夫を乗せて運転したのだった。

スポーツセンターから出てくる夫は
一日一日
ふらつきがひどくなっていき
その姿を見ると
私は
涙が出そうになった。
それでも
夫は
治りたいと望んでいたのだ。
治るための努力を惜しまなかったのだ。

あのころ
ずっと我慢していた涙が
今は
とめどなく
あふれる。

夫の姿を思い出すたび
いつだろうと
どこにいようと
おかまいなく
涙があふれてとまらない。

闇の中で

2013-11-21 22:49:36 | 私の思い 3
寒くなった。

夏の間、それぞれに好きな場所で寝ていた猫たちも
私の布団にもぐってくるようになった。

老猫は私の右側
若猫は私の左側

二匹の猫に挟まれて
眠れぬ夜を過ごす

私が動くと
猫たちが目を覚まして
鬼ごっこを始めてしまうから
じっと
直立不動の姿勢でいる


最後の入院直後
延髄への転移のせいで
麻痺は右半身から
あっという間に
全身へ広がった

お見舞いの人たちに
涙を流し
娘の呼びかけに
「はあい」と答えながら
動かなくなってしまった体で
夫は何を思っていたのだろうか・・・



私の
ただ一人の理解者だった
ただ一人
何があっても
私の味方でいてくれた人だった
何があっても
私の考えを支持してくれた人だった


そんな人に巡り合えたことの幸せと
そんな大切なひとを失くした悲しみと
もう
この世界に
そんなふうに
私を支えてくれる人はいないのだという心細さと


闇の中で
さまざまな思いに揺さぶられながら
ただ
じっとしている


なぜ?

2013-11-11 21:45:10 | 私の思い 3
10月からずっと忙しい週末が続いている。
娘の行事だったり
保護者会関連のバザーだったり
お付き合いだったり・・・

ほとんど休めない週末が続き
かなり疲れている


思えば
夫が元気だったころは
平日でも
ほとんど座ることがないほど忙しかった

朝起きればお弁当、洗濯、犬の散歩
娘を送りだし
NPOの仕事や保護者会関連の会議、ボランティアの会議や活動
夕方は家事に調理、娘の世話
夫の帰りを待って
一緒にお酒を飲むときだけが
座れる時間だった

それでも
毎日が楽しかった
充実していた


今は
ぼーっとしている時間が多い

家事は思うようにはかどらない


もう
あの頃のようには生きられない
あの頃のようには動けない
あの頃のようには暮らせない


なぜなのか
なぜ
ここに
夫がいないのか


いまだに
夫がいないことが
不思議でならない

季節を告げる使者 2

2013-11-04 22:22:13 | 私の思い 3
今日はてんとう虫がたくさん飛来していた。
毎年、カメムシに少し遅れて、てんとう虫が冬眠のために飛来する。
てんとう虫もカメムシと同じ仲間なのだろうか、
つぶしたりすると、かなり匂う。
なので、扱いには細心の注意を払う。
いつの年だったか、てんとう虫が
トイレットペーパーを置いてある吊り棚の
壁一面にびっしり並んでいて
辟易したことがある。
今年は、カメムシもてんとう虫も
例年よりはるかに多い。
今年は、雪が多いのだろうか。
そう思うだけで、心細くなる。
我が家の長い坂の雪かきをして
仕事に出かけることができるのだろうか・・・?


気づけば、もう11月。
夫がいなくなって2年と3か月。
三度目のお正月を迎えることになる。
一人ぼっちのお正月など
何の意味があるのだろう。
心躍ることもない。
毎日、
何を作っても
夫がもうこの料理を
「おいしい」と言って食べてくれることはないのだと思うと
それだけでせつなくなる。
何も作りたくないし、作れない。
以前はお料理は得意なほうで
大好きだったが
今はほとんどレパートリーが思い出せない。
毎日
以前は作ったこともない
料理とも呼べないほど簡単なもので済ませている。

いつまで
こんな生活を続けなければならないのだろう。
もし本当に
また夫に再会できるのならば
一日も早く会いたい。
もし本当に夫にもう二度と会えないのならば
生きている意味など何もない。
真実はどちらなのだろうか?