脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

研修

2015-11-25 20:55:49 | 私の思い 3
5日間の研修を無事終えることができた。
高速を走っても1時間半の市街地まで
5日間通うことは
自分の気力と体力が持続するのか
とても不安だったけれど
なんとか
無事、終了することができた。

「同行援護従業者養成研修」
以前は「視覚障害者移動支援従業者養成研修」(ガイドヘルパー)と
言われていた研修。
平成30年で、その資格要件が無効になるとのことで
新たなカリキュラムでの研修を受けた。

視覚障害の方たちとのお付き合いはながい。
もう20年近くになる。
乳がんの術後
自宅療養中、体力の回復を目指していたころ
「音訳」の講習会があることを知り
受講したことがきっかけだった。
当時、体力がなく家に閉じこもりがちだった私が
その講習を受けたいと言ったとき
夫は大賛成してくれた。

ちょうど
手術やさまざまな事情でパートをやめていたので
音訳の活動にたくさんの時間を使うことができた。
その後、地元での音訳グループにも参加し
なんとか活動を続けることができている。
そうした利用者さんたちとお目にかかる機会もあり
ガイドヘルパーの講習を受けたのは
夫の発病の前年だった。

そして現在の職場では
仕事として、視覚障害の方たちの外出のお手伝いもさせていただいている。

夫がいてくれたら
きっと
今回の研修にも大賛成してくれたことだろう。
そう思うことで
5日間、慣れない道の運転も頑張れた。







確かなもの・・・車 4

2015-11-23 19:39:29 | 私の思い 3
車を手放して2週間がたった。

形あるもの
夫とのたくさんの出来事がしみ込んだ車

それを手放すことは
夫との思い出が消えてゆくようで
夫と過ごした日々のあかしがなくなるようで
とてもつらかった


でも
いま
わたしは
感じている

以前より
ずっと近く
夫の思いや
夫の言葉や
夫の願いが
わたしとともにあることを

それは
たしかに
夫の生きたあかしだと思う

形あるものは
すべて
いつかは壊れ、消え去る
いのちもしかり
ひとはだれでも
いつかは
いのちの終わりを迎える
でも

そのひとの想いや生きざまは
一緒に生きたひとたちのこころに
しっかりと残り
ずっと生き続けている
それこそが
ほんとうに
「確かなもの」なのだと感じている


たいせつなひとを喪ったかなしみは薄らぐことはない
懺悔も愛着も切なさも
胸が張り裂けそうな喪失感も
決して
薄くなることはないし
この世界の出来事に
なんの喜びも価値も見いだせないことは変わらない

それでも
夫が身を以て示してくれた生きざまを
確かな指針として
夫の想いとともに生きていることを感じている

車 3

2015-11-11 21:29:24 | 私の思い 3
先日、
とうとう
車を手放す日が来た。
天気予報では雨だったので
その前日に
ていねいに洗車をした。

車の中も掃除機をかけ
隅々まで拭き掃除をした。
夫が
毎年大晦日にしてくれたことだった。
夫がいなくなって
長い間
ただ「乗るだけ」だったが
長い間の感謝をこめて
ていねいに掃除をした。

掃除をしながら
たくさんの思い出がよみがえった。
シートのシミのひとつひとつにも
夫の闘病中のことがよみがえった。



新しい車には
まだ
なかなか慣れない。
でも
夫の教えをいつも思いながら
慎重に運転している。

ナンバーは夫の誕生日にした。

わたしの中で
いまも
夫はたしかに生きている、と思う。