脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

ねえ、父さん

2017-07-26 19:31:25 | 日記 2
ねえ、父さん
あなたが最後まで心配していた子どもたちは
それぞれに
それなりに
がんばっていますよ

発達障がいという
生きにくい障がいを持ってしまった長男は
障がい者枠で就職し
職場の理解もあって
なんとかがんばっています
危なっかしいのは仕方ないですよね

重度の知的障がいをもった娘は
天性の明るさで
グループホームで
楽しく暮らしています
体調はイマイチで
病院通いの絶え間はありませんが
その笑顔に私も癒されています

2人の間に挟まれて
のびのびできなかった次男は
あなたが乗っていたのと同じ
大型トラックで
忙しく走り回っています
あなたの無事故を祈ったように
毎日
無事故を祈っています

ねえ、父さん
あなたは
あなたがこよなく愛した子どもたちを
ずっと
ずっと
見守っていてくれるのでしょう?

ねえ、父さん
私の役目はいつまでですか?

わたしもそろそろ
役目を終えて
あなたと一緒に
子どもたちを
高いところから見守りたいのですが・・・
お迎えはまだですか?

あなたの最後の大仕事は
わたしを迎えに来てくれることですよ
忘れないでくださいね


守っていく責務

2017-07-20 20:28:04 | 日記 2
夫が元気だったころ
我が家の改装はいつも唐突だった


屋根の葺き替えのときも
突然、瓦屋さんと一緒に帰宅した

「今、葺き替えておけば
 もう俺たちの世代でかまわなくてもいいから・・」と


台所をなおすときは
突然、近所の木材屋さんと一緒に
「500万の予算で・・」と言った。
事前の相談は全くない。
わたしは心の中で
「ちょっと待って。お金はどうするの?」と思った。

でも、ゴーサイン。
娘が保育園に入った年だったので
わたしがパートに出て
支払うことにした


水回りをなおすと
あちこち工事が膨らみ
結局800万を超えた


その後
息子たちのさまざまなことが重なり
借金を返すのに四苦八苦した

若くして
父親を亡くした夫にとっては
遺された家を守っていくことは
とても大きな責務だったのだろうと
今なら、わかる




夫は
玄関周りと
縁側をサッシにしたがったが
もうそんなお金は我が家にはなかった



夫が気にしていた
玄関周りと縁側をサッシにする工事を発注した

予算は限られているので
あきらめなければならないこともたくさんある

夫がいれば
きっと
あそこもここも・・と思ったのだろう
だから
発注できなかったのだろう、と思う

でも
今の私の経済力では
ここまでしかできない・・と思う


ねえ、
あなたが一番気にしていた
表をなおしてもらうんだよ
でも
きっとあなたなら
一緒にお願いするだろうところは
お金がないからできないよ


それでもいいかなあ?



これだけ
お金を使ってしまうと
もう
わたしには
まとまったお金はなくなるけど
それでも
いいかなあ?




夫がいなくなって
手入れをしてくれる人がいなくなって
家の痛みがいよいいよ激しく


今年の台風シーズンが心配で


わたしにしては
大きすぎる決心だった


残された家を
いつまで守っていけるのか・・・・・

あの頃とおんなじじゃない!?

2017-07-14 19:49:44 | 日記 3
今日は娘の大学病院の受診。
小児科の主治医からの紹介で
異常な症状がある他科を受診。

とはいえ
もうなんども受診し
娘がそのたび検査を嫌がって・・・

今日もドクターは
検査を指示されたけれど
娘が拒否

仕方がないので
とりあえず
MRIを
とることになった

夫の異常が出始めていたあの頃とおんなじ・・・
わたしは
娘の異常が気になって
何も手につかない

「ふつう」のひとには
なんでもない検査も
恐怖心の強い娘にはできない
そのために
発見が遅れる

なんでもない病気でも
娘がその治療を受け入れられるかどうかで
きっと予後は大きく変わるのだろう


そんな思いで心がいっぱいになって


あのころ
娘へのそんな思いでいっぱいで
夫の病気を見逃してしまったのだ


娘の心配と
夫の症状への不安

あのころと同じ思いに
押し潰されそうだ



あのころに

2017-07-01 20:01:06 | 日記 2
何年たっても
喪失の哀しみが薄れることなどない

たいせつない人がいないこの世界で
たったひとりで生きてゆかねばならない
心細さもさみしさも

なにより
日々の喜びや哀しみを分かち合うひとがいない孤独感




それでも
日々
「平気な」顔をして
たくさんの
日常の責務をこなしてゆかねばならないことが
いまの
わたしには
なにより苦痛だ



こんな
拷問のような日々に
いつまで耐えたら
あなたは
迎えに来てくれるの?



職場では
病気で
あなたとよく似た症状の方がおられる
まいにち
その方を見るたび
あなたの
あの頃の気持ちを思う


どんなにつらかったことか
どんなに悔しかったか
自分の気持ちを表現できないことが
どんなにもどかしく
せつなかったか


あのころの
あなかたの気持ちを思うと
「ごめんね」しか言えない


ごめんね
もういちど
そのころに戻れるなら
あなたの気持ちを
全部聞いて受け止めたいと思うのに


あの頃の私は
その余裕がなかった


あなたに
人生の終わりを悟られたくなくて
必死で
虚勢を張っていた

きっと
あなたには
全部わかっていたんだよね
あなたは
おわりの時間をわかっていて
わたしに
言いたいことがあったんだよね

それなのに
その言葉を聞こうとしなかった
わたしは
なんて
身勝手だったのかと



ごめんね
あなたの言葉を
聞けなくて
ごめんね


あなたはきっと
わたしより
ずうっと
ずっと
はるかに高い世界から
私たちのことを
思っていてくれたんだよね


どんなに
後悔しても
戻れないとわかっていても



もどって
謝りたい