脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

後悔

2021-02-04 18:20:41 | 日記 2
今年も3月が近づいている。
あの日の記憶。
そして
多くの人の記憶。

再発して
入院して3日目。
まだ治療さえすれば
現状維持できると信じていた。
あの揺れを
免震装置のある
名古屋の病院で体験した。
夫は眼振が激しく
地震の揺れを感じることができなかった。

くりかえし流される津波の映像を
夫は理解できなくなっていた。
わたしは
あの中にも
夫と同じ病の方がおられるのではないかと思い、
その方々が
無事に避難できたことと
きちんとした治療を受けられることを
願い続けていた。

でも、
検査の結果
再発した腫瘍は
すごい勢いで夫の脳を侵し
現状維持どころか
いのちの終わりが迫っていることを
知らされた

わたしは
その現実を受け止めきれず
夫に真実を告げることができなかった

結局
夫がまだ意味のある言葉を話せるうちに
子どもたちへの想いや
わたしへの想いを伝える機会を奪ったのだ

人生の終わりに
伝えたいことがたくさんあっただろうに
夫がそのことに気づいたころ
夫はもう言葉を話せなくなっていた

わたしは
ただ
自分がそのことを認めたくないばかりに
夫から
その大切な機会を奪ったのだ

わたしの
後悔は
決して
ゆるされない
夫への
懺悔だ