おまつり

今日はこの地区のお祭りだった。
お祭りと言っても、昔ながらの風習どおり、
地区の神社にお参りをして
集会所に集まってお酒を飲むだけ。
地区の氏神様への豊作祈願の意味は言うまでもないが、
娯楽のなかった時代、
農作業が忙しくなる前のこの時期に
地区の家全員が集まって飲むのは
数少ない楽しみの一つだったのだろうと思う。

夫はそういう場面では
とても気を使い、
お酌をして回り、
返杯をいただいて
飲み過ぎるのが常だった。

みんなの話を聞き、
笑い声を聞きながら、
ここに夫がいないことが
たまらなく淋しかった。


誰も私の気持ちには気づかないように
にぎやかな中で
私は心の中で
夫を思い続けていた。