人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

新政権誕生

2010-06-12 05:36:06 | Weblog
 政権投げ出しと揶揄されるほど簡単に鳩山政権は終焉してしまった。
民主党政権誕生以前から鳩山さんと小沢さんの政治資金問題が大きく
マスコミに取り上げられ、異常とも思えるほどの報道の中で、新政権
としての動きが封じられてしまった。

 普天間の問題も国民の後押しがなかったとは言え、鳩山さんの決断力の
なさもあって、あたら関係者を騒がせたまま自らの退任となってしまった。

 鳩山さんも小沢さんもいわば二世、三世議員である。その点に於いては
自民党議員の多くも同じである。圧倒的な数の二世、三世議員が当然の
ことのように議員という要職にあり、政権を握ってきたのが日本に於ける
戦前戦後の政治であった。それが民主党政権の誕生、そして菅さんへと
政権が手渡された。

 今回、菅総理誕生に当たって現場取材をしていた記者が、興奮気味に
いみじくも革命だと言ったのは、そのことだったかも知れない。日本は
明治維新という変則的な革命によって徳川幕府から天皇家に権力が移された。

 そして、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」にも描かれているように、欧米
列強による植民地支配をかろうじて逃れることが出来た。しかし、明治維新
がフランス革命のように市民革命だったかというと、そうではなかった。

 明治維新になっても政治権力は天皇に戻されただけで、依然支配階級は
温存されてきた。そして長い軍国主義の道を辿った後、敗戦によって
それまでの体制は崩壊した。

 しかし、それも革命ではなく他国の支配による体制崩壊に過ぎなかった。
農地は大地主から小作農に手渡されたが、あくまでGHQの命令による
棚ぼた式のものであった。

 また、戦後の政権もアメリカの支配しやすいような形に作り変えられた
ものに過ぎなかった。自衛隊にしても朝鮮戦争時に後方部隊としてアメリカ
の都合の良いように、にわか作りで編成されたものに過ぎなかった。

 私達は自らの手によって何かを為してきたという経験がない。その意味
合いに於いて民主党が政権の座に着いたこと、はからずも菅政権が出来た
ことは民主的な手段による革命だと言えば言えなくもない。

 菅さんが就任に当たって述べていたように、多くの閣僚や党の主要人事
は普通のサラリーマン世帯の子弟であり、若い世代が圧倒的に多い。温かく
見守って欲しいという菅さんの心情が良く分かる。

 自らの手で選んだ人達による政権である。私達は過剰な期待やあたら
大騒ぎして新政権を短命に終わらせ、あるいは以前のような二世、三世
議員の多い自民党に戻すようなことがあってはならない。

 「龍馬伝」に描かれた当時の土佐は、上士と下士に分けられ分断支配
されていた。上士は当然の如く要職に就き、下士はどんなに優秀であろう
とも要職には就けなかった。その鬱積した不満が尊皇攘夷と言う形となって
噴き出した。

 それもあえなく志半ばでつぶされてしまう。徳川幕府に恩顧を感じる
大殿様の変節によるものであった。武市半平太は牢に繋がれ多くの同士が
殺されていく。

 「龍馬伝」は何を描こうとしているのであろうか。執拗にこの間の経緯
を追っている。一方、龍馬は尊皇攘夷とは関わりなく勝海舟の元で海軍を
作るために奔走する。海軍力の強化こそ欧米列強と対等に互していく手段
だと感じていたからに他ならない。

 そして、帝国主義は明治維新から太平洋戦争へと欧米列強が目指して
いたものと同じ道を歩んでいくことになる。あの時、欧米列強に反発を
感じていたその思いをそのままにアジア各地の独立運動を支援していた
なら、どのようになっていただろう。

 中国を分断支配するような愚かな行為をしていなかったら今の日本は
もっと誇り高くアジア諸国から尊敬されるような国になっていたのでは
ないだろうか。歴史を戻すことは出来ない。しかし、反省を今後に生かす
ことは出来ると思うのだが。
コメント
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