人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

水不足

2007-12-16 06:26:31 | Weblog
 多くの人は水不足の問題に関しても地球温暖化問題と同じように
さして深刻には考えていないようだ。しかし、ここのところ西日本
地方は深刻な水不足状態が続いている。雨らしい雨が降らないからだ。
 
 今年は台風シーズンにも、ほとんど影響を受けるほどの台風は
来なかった。台風は進路次第で、三年前のように相次いで襲来する時
もあれば、今年のように、ほとんどの台風が大きく旋回することなく
北上を続けることもある。
 
 今年の台風は後者の方であった。秋雨シーズンにも、ほとんど雨は
降らなかった。従って、夏から秋、そして冬にかけてまとまった雨は
まったく降っていない。山間部には、にわか雨が何度か降ったようで
あったが、この雨も大きなダムを満たすほどの量ではなかったようだ。
 
 この季節になって高梁川上流のダムが貯水率50%を切ったという
報道がなされ、取水制限が発表された。このまま雨の降らない状態が
続くと、来年の田植え時期に決定的な水不足が懸念されるようだ。

 私達が住んでいる岡山県は他県に較べ水には恵まれている。三つの
一級河川があるからだ。東から吉井川、旭川、高梁川である。高梁川
下流域には広大な農地が広がっている。そして水島コンビナートが
ある。全ては高梁川が水を供給している。
 
 これだけ水を大量に必要とするものがありながら、さして水不足を
気にすることなく過ごせたのは、この高梁川のお陰である。岡山県は
他県に見られないほど中国山地までの距離がある。背景にある広大な
中国山地と奥深い地形によって水不足になることなく過ごすことが
出来たのである。
 
 しかし、私が在職中の何年か前にもよりによって二度も水不足が
懸念された。一度はダムの貯水を管理しているところが、梅雨の雨を
予測して早くから放流をしたらしい。ところが、その年は空梅雨に
近い状態で雨がダムを満たすほど降らなかった。
 
 そのため夏場の大量に水が必要な時にダムの貯水率は平年を大きく
下回っていた。そして、もう一度もやはり夏場のことであった。梅雨
の雨が少なかったことや冬場の雪が少なかった事によるものだった。

 水島コンビナートは深刻な水不足の対策として、廃水処理で処理した
水まで使う準備をした。実は、それくらい工業用水不足は深刻だった
のだ。この年、私も工場の責任者として何度か対策会議へ足を運び、
工場内での節水を呼びかけた事もあった。

 また、家に帰ると後ろめたい思いをしながら山の畑の散水を行った
ことを思い出す。そんな事にならなければ良いのだが。

 ダムを満たす水は冬の雪、菜種梅雨と呼ばれる春先の雨、そして
梅雨の雨、夏場のにわか雨、秋の台風、そして秋雨前線が降らす雨、
こうしたものが順調であれば、さして水不足を心配することはない。

 しかし、地球温暖化は、この変わらぬリズムを壊してしまった。
本来、降るべき季節に雪や雨が降らないのだ。地方によって極端な
偏りがあるのも温暖化の特徴の一つだ。地方によっては被害が出る
ほどの集中豪雨に繰り返し襲われた地方もあった。

 その偏りがあまりにもひどいのが地球温暖化の特徴だと言える。
お隣の中国では同じ国の中で一方は大洪水、一方では大干ばつが
同時進行していた。

 長く干魃の被害に悩まされてきたアフリカで洪水被害が出るほどの
大雨が降った。つい最近の事である。一方、オーストラリアでは数年
続きの深刻な水不足だ。世界中では枚挙にいとまがないほどの異常
気象の事例が発生している。

 このまま温暖化が続けば、この状態はますます加速し深刻さを増す
ことは間違いない。今は国内問題であるが国際問題ともなるともっと
深刻である。日本のように大量の食料を他国に依存している国では
食料の調達が難しくなるのではないだろうか。

 農作物の栽培には想像以上に水を必要とする。1トンの小麦を作る
のに何十倍もの水が必要だと考えた事があるだろうか。農作物の輸入
とは、そう言うものである。

 私は果樹や野菜を作っている。それも十年や二十年の単位ではない。
専業農家ではないまでも、たくさんの果樹を植えている。しかし、
この果樹作り、年を追う毎に難しくなっているような気がしてなら
ない。

 その原因の一つが数年おきに繰り返される夏場の水不足である。
特に今年は夏場の気温が過去の記録を次々に更新するような猛暑で
あった。果樹を管理している私も、そして、果樹自体も弱り果てて
しまった。

 こんな調子だと十年先まで続ける事が出来るかどうか不安である。
何処かで見切りを付けなければならない時が来るかも知れない。
そう考えながら一年、一年を過ごしている。

 COP13では、互いの国のエゴで具体策がなかなかまとまら
なかったようだ。さして大きくもない皿の中での駆け引きをして
いる間にも、温暖化ガスは増え続け取り返しのつかない状態になる
のではないだろうか。全ての国が、互いのエゴを捨て心を一つに
しなければこの深刻な状況を克服する事は出来ない。

 先日、私の地元、倉敷の小学校で地球温暖化の話をさせて貰った。
小学校はこれで二度目である。今回は、五年生90名近くだった。
熱心にメモを取りながら聞いてくれた。また、話し終わってからの
質問が多かった。質問を時間の関係で打ち切らなければならない
ほどだった。それだけ熱心に聞いてくれた。

 家庭でスイッチ付きのコンセントを使っているという子供達が
多かったのも意外であった。何よりも地球温暖化を知っているか
という私からの質問に、ほとんどの子が知っていると手を挙げた
のには驚いた。

 この子供達のように、日本中いや全世界の人が地球温暖化問題に
関心を寄せてくれることを切に願っている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする