百島百話 メルヘンと禅 百会倶楽部 百々物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

翼をください

2007年05月18日 | 千伝。
愛知県長久手の29時間に及ぶ立てこもり事件で容疑者の身柄が確保・逮捕されました。
元暴力団員の容疑者とは同年齢ですが、狂気の沙汰としか言いようがありません。

狂気の人間に対する安全確保という逮捕劇・・警察官の大動員・・護送される車へのマスコミの執拗な追跡と報道・・世の中・・ほんとうに何か変です。

長久手の近くに名古屋市千種区城山という地域があります。
そこに暮らしていた男が、後に経済小説を題材にして書き上げていたペンネーム城山三郎という作家です。

「ヒマラヤを仰ぐ山国の湖畔で悠々と草をはむ牛がうらやましく、生まれるのならばネパールの牛になりたかったとか・・それと同じ体験を戦争末期にした」とのことです。

17歳で海軍に志願入隊・・朝から晩まで毎日、意味もなく殴られつづけて芋の葉を食べる生活。士官達はトンカツや天麩羅を食べていた時、余程、河原の牛になりたかったと思ったそうです。

終戦日のあと、特攻に散った若者達・・その体験が「大義名分のこわさ、組織のみにくさ」という信念に変わったそうです。

翼をください♪を聴きながら・・。

人間の大空を飛ぶ鳥になりたい願望は、人間社会の殺風景を飛びこしたい気持ちなのでしょう。