バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

STONES『LIVE IN TEXAS'78』

2011-11-18 | 音楽

昨夜はウワサのストーンズ1978年のライヴ映像『LIVE IN TEXAS'78』を仕事しつつ鑑賞、最高でした!Stoneslivetexas78_2
常日頃から「カッコイイということではこの時期のストーンズ」と言い続けてきた私としては持論が認められたようで?なんとも嬉しい。多分みんなカッチョイイ!!と叫んで観ていることでしょう。
『Some Girls』発表後のこのツアーは音源的にはブートレッグ(ラセレイテッド等)で親しんでおりこの時期のスピード感とゴッタ煮感が入り交じった濃厚なロックンロール!にこれこそがストーンズの神髄?と思ってました。何より『サム・ガールズ』というアルバム、そして次作『エモーショナル・レスキュー』で展開される(大きな意味で)似たようなテイストを持つギター2本(キース&ロニー)がそれぞれのスピード感で勝手気ままに(聞こえる)小間切れのフレーズを繰り出し合いビートをバウンドさせ、リズムが痙攣しそれらすべてをミック・ジャガーの歌声が一種暴風的に刈り取りロックンロールに仕上げるというなんともオリジナルなサウンドにとにかくヤラれていたのです(「ヘタウマ」と暴言をはく人さえいます)。そしてこの時期はチャーリーのドラミングが鋭く尖っていて、ロニーの前任ミック・テイラー在籍時後期の、いわゆる絶頂期とされるストーンズサウンドを解体した混沌から生まれた奇跡の様な音様なのです。
ただこの時期の映像はあまり目にする機会がなく、非合法映像でスピード感溢れるステージを眺めつつ、フルではどんなライヴをやってたんだろと想像を巡らせておりました。そこに出て来たこの映像!この年のツアーのイメージにある野外のモノではなく小さいホールでの映像。ステージにはストーンズの5人とイアン・スチュアート&イアン・マクレガンの鍵盤二人がいるのみ。セットだってアンペグのアンプが並んでいるだけというシンプルなもの。とにかく剥き身のストーンズ、60年代のストーンズのワイルドさが78年テイストで再現されているかのようです。30代後半のストーンズ、なんとイキが良いこと!
ミック・テイラー期のストーンズの特徴である~キースのルースなギターカッテングにsus4を多用したオープンG5弦ギターのコードワーク、それにねっとりと絡みつくテイラーのブルースマナーのリードギター、スライド。そしてホーンセクションやパーカッション。今も絶頂期といわれるThe Stones Soundが頂点に達した後のギタリストの交代劇。
新任のロン・ウッド初ツアー時の音源は名盤『Love You Live』に残されているが一気にスピード感を増した演奏に驚く。テンポが早い、といいうわけでなくスピード感。まさにブランニューストーンズ!ではあるのだけれど、アレンジ的にはミックテイラー後期のリズムギターとリードギターという構成の延長線上にあり、次のスタジオアルバム『サムガールズ』で展開される新しい感覚のストーンズサウンドの気配は薄い。
しかし78年のこのツアーは大きく違う!御披露目ツアーをこなし、ライヴアルバムをリリース。そして濃密な時間をかけて新しいストーンズアルバムを制作したことでロニーがミック・テイラーの代役ではない存在感をギンギンに発揮しています。
実際この後のどの時期よりもロニーのプレイはキレている!フェイシズ時代のギターにストーンズマナーを加え、そしてこれまでの彼にはなかった新たなスピード感覚を身につけているようだ。もちろんパンクの時代に対抗したという背景もあるのだろうが、そんなものおかまいなしに新生ストーンズを生み出しているところが何とも凄い。真にイキの良いストーンズはここまでだったことが良くわかる映像です。いや単にこの時期のイキが良すぎるのか?
オープニングの『Let It Rock』から全編観もの聴きものなのですが、あえて挙げると『Respectable』、ダグ・カーショウがフィドルで参加する『Far Away Eyes』。『Houn Dog』収録かと思っていたら『Sweet Little Sixteen』!そして意外かもしれませんが大定番『Happy』『Brown Sugar』に『Jumpin Jack Flash』。そしてそして更に意外かもしれませんがイチオシは『Love In Vain』!!ロニーのねちっこいスライドに(これをヘタウマという人もいるのか!?)凶暴なミックのボーカル、そしてライヴ全編にわたって攻撃的なドラミングなのですが、この曲では更に超攻撃的に荒れ狂うチャーリーのドラムス!ロバート・ジョンソンのブルース、ミック・テイラー期のストーンズライヴを象徴するかのようなこの曲に真っ向勝負を挑んでいるスリリングな瞬間の連続です。歌のすべてのアクセントに呼応するビート、そしてバウンドするスライドリズム。つんのめっても前のめりでもオリジナルなブルースフィーリングをまき散らす凄み、これは堪りません。ブルース解釈が間違っている?俺たちゃ、ソウル解釈もファンク解釈も間違ってるんだそんなもの怖くも何ともねえ~なこのブルース感覚!つまんないブルースカヴァーに足りないモノがここにあります。このバッキングは超攻撃的守備とでもいうのでしょうか?うーん凄い。これを聴いて完成度が…という方とは、もちろん人それぞれですがロックンロール観が違うのかな?としか言いようがありません。
なんというか人間、圧倒的にカッコイイものの前には無力です。

当初、この映像は劇場公開で観るつもりでした。いち早く観たRockin' Shoes、キノコズ、The Voutで活躍するドラマー遠田くんから熱い推薦を受けたのがその理由。ところが都内でやっている劇場は東部練馬と武蔵村山!どこが東京??という感じながら幸い武蔵村山は最近のおクルマ行動範囲なもので「行こう!」と盛り上がったのですが…あいにくレイトショーのみ。残念に思った翌日に!これまたドラマーの(武蔵野ミニーバンド等でご活躍)渡辺さんがリリースされたばかりのDVDを持ってバイユーに現れた、という訳なのでした。
居合わせた方々と盛り上がったのですが、初めてじっくりストーンズを観るという女性が「カッコイイ」「ミックってセクシーかも」そして「これ買ってじっくり観たい」と仰っておりました。素晴らしい!
そう。買い、なのです。

最近のストーンズアーカイブものには手を出してなかった僕も熱烈にお薦めします!


はあ~。踏ん張るしかないのだ。

2011-11-18 | ある日の出来事

政府・東電統合対策室発表。
「現在、格納容器から新たに放出されている放射性セシウムの量は毎時0.6億ベクレルと先月の同約1億ベクレルからさらに減少」ながやと!

8ヶ月も経って、8ヶ月もの間…。
東北をはじめとする被災地の復旧作業も遅々として進まんし。果たして復興はいつになるのか。
ため息しか出んけんど誰もが踏ん張るしかないがやろう。

あれ以来、いろんな人の心や気持ちがわかって貴重な時間でもありました。こんな人たちがいるんだから自分らも踏ん張れると思った夜もあれば、あまりにも想像力(思いやり)のない物言いに出会い絶望的な気分になった真っ昼間もあった。

自らどうあるべきかはなかなか自信が持てんけんど、試行錯誤しながら踏ん張っていくしかないよな~と思った今朝でした。

11月26日土曜日には被災地でのイヴェントで出会った『及川智明』くんを岩手より迎えて『バイユー震災復興祈願企画』のスペシャル版を開催します。
いいことなかなか見つからんけど状況にやられっぱなしじゃなんとも悔しいので、震災をきっかけに出会ったいい音楽を紹介し、そして新しい友達をつくっていろいろと企んでいる次第です。

今現在も極めて過酷な状況下にいる方々も、そうでないのになかなか晴れない各地の方々も
それぞれ踏ん張りましょう。ほんとやられっぱなしは悔しい。