88歳の今も現役で米作りに励む熊谷さん。一級建築士として山形市で事務所を開いていた熊谷さんが、高血圧の影響で眼底出血を起こし「このままでは失明する」と医者に宣告されたのが28年前。なんとか治したい一心でたどり着いたのが玄米食でした。
それも発芽玄米が良さそうだと知り、「自分で無農薬米を作ろう」と決意。天童市に五反分の田んぼを借りて有機農業を始めました。
幸い米作りは、田植え、稲刈りと大まかに作業がまとまっています。建築士の仕事と並行してのスタートでした。最初の一年は半作程度に終わりましたが、研究熱心な熊谷さんは「米とつく本なら何でも買い、30冊は読んだ」そうです。有機農業の本も読み、肥料の作り方もマスターしました。
以来「こういうお米を食べたい」という得意客に販売し、全有連とも合わせて毎年完売させています。
今年も始まった有機米作り、熊谷さんの天童のハウスでは今まさに肥料づくりの真っ最中。「くず米50袋、米糠16袋、骨粉、スーパーソイル、昆布松」などを加えた堆肥の切り返し作業をしていました。堆肥の温度が30度まで下がらないとだめなのだそうです。3日に1回、根気のいる仕事です。
これまでを振り返って「60歳から始めた有機農業も納得いく形で完成させた。これからは三浦雄一郎さんの父敬三さんを見習い、100歳まで丈夫に生きて人生を全うしたい」と意気盛んでした。こうして手塩にかけた熊谷さんのお米、今年も順調に実りますように。