空港からに乗り市内に向かった。小野さんが慣れた手つきでSUICAみたいなプリペードカードでバス代をまとめて払ってくれた。空港の無機質な空間から開放され、窓の外を見ながら人が住んでいる町の暖かさにホッとした。
それにしても空港で過ごした数時間、ジェットコースターのような体験だった。お財布を失くし真っ青になっていたことなんて、遠い昔のことのように思えた。小野さんが、「一応オークランドの空港に電話した方がいいかもね」って隣で言っているのを聞きながら、「うーん」と気のない返事をした。お財布のことはもう忘れよう!
バスは20分ぐらいでホテル近くのバス停に着いた。ここがクライストチャーチのダウンタウンなのかなと思いながら、バスを降りた。小雨が降っていたので、町並みを見るのは後回しにして、とりあえずホテルに急いだ。
Copthorn Central Hotelはゴージャスな装飾というのとは程遠いが、シンプルなホテル。日本だったら地方のプリンス系って感じかな?フロントに行くと「こんにちは」と日本人に挨拶された。なんでいきなり日本人?小野さんもビックリしていた。
Expediaで予約した時のメールコピーを見せてチェックイン手続きをしていたら、「クレジットカードをお願いします」と言われた。あー、きたきたと思いながら、「えー、あの実は…」とお財布を失くしクレジットカードは解約されたことを説明した。フロントの日本人はお財布を失くした私に同情的な顔見せると同時に困ったなという顔の両方を見せた。クレジットカードがない場合はキャッシュで$200 のdeposit が必要になると言われ、お金持ちの私は即金ポンとキャッシュで払った。どうだ参ったかって感じ。
さっきの小野さんの言葉がふと思い出され、「一応オークランドの空港に電話でお財布の落し物があるかどうか聞いてみようと思うんですけど」と言ってみたら、「そうした方がいいと思います。電話番号お調べしましょうか?」という答えが返ってきた。10分以内に部屋に連絡してくれるというので、とりあえず部屋に行って待つことにした。
部屋は殺風景だが、一人で宿泊するのには十分なスペースがあった。必要なものも全て揃っていて何も問題ない。スーツケースを置いてベッドに座ったらようやく緊張感から開放された。小野さんと部屋の点検してあれこれケチつけたりしながら、フロントからの電話を待った。
つづく
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