久しぶりに食事に感動しました。
場所は根津にある「モレイラ」というお店。そこだけ時代が止まってしまったかのような、アンティークなお店で、明らかに常連客のみを相手にしているであろう店構えのお店です。
常連(?)の直子さんの後ろから、恐る恐る入って行くと、そこには異次元空間が広がっていました。壁中に貼られたポスター、CDやレコードのコレクション、なぜかビーズアクセサリーまであって、不思議空間。こういうのって、感性がピタリと合う人には、たまらない空間なんだろうなと思って、どんな浮世離れした人なんだろうと思ってマスターの顔を見ると、拍子抜けするほど、常識的な普通の方なのです。
お店の怪しさと、マスターのキャラクターがミスマッチ。一体どういう常連さんがいるんだろうと思っていたら、岡本太郎がよく通っていたという話を直子さんから聞きました。
そういう芸術家目線で見てみると、無造作に壁に貼られている映画のポスターは、実は新しい映画のDVDジャケットを、わざわざレトロな色合いに印刷し直して、壁一面に貼ってあったりするのです。一見こだわっているようには見えないけど、実はかなりのこだわりがあるのです。だから岡本太郎なのか。。。
ところで食事の話。
人はもちろん美味しいものを食べると感動するのですが、このお店には客の心をギュッと鷲掴みにする特別のエッセンスがありました。
それは意外性!
あのカウンターの向こうにある、人が一人しか入れない古ぼけた湯沸かし器のついた小さなキッチンから、まさかこんな料理が出てくるとは、という意外性にまずやられてしまったのです。
最初に注文したアボガドのサラダは、ワサビ醤油で味付けしただけのものなのですが、盛り付け方一つで、アートなアボガドサラダとなって登場したのでした。
私達は3人とも、見た瞬間に、「えーーーーっ!?」という歓声。
作り手にとって、この客の歓声はこの上ない喜びでしょうね。(マスターは淡々としていましたが) 料理でこんな風に人に驚いてもらえたら、さぞかし嬉しいだろうな。
でも、よくよく聞いてみると、彼の作る料理は偶然の産物だったり、誰かに教えてもらったものではなく、いろいろ研究を重ねて、自分なりに納得のいくアレンジをしていることを知りました。まさに感性と徹底した拘り、そしてオリジナリティの産物だったのです。
だから人に感動を与えることができたのですね。
作り手の顔が見えて、カウンターの向こうから魔法のように出てきて、手早く簡単だけど、味、見た目にも拘りがあって、オリジナリティがあふれる料理。
目指す料理は、これだ!
ということで、ちゃっかり秘訣は教えてもらったけど、これを習得するのは難しそう。日頃料理をしない私にとっては、ハードルが高い!
とりあえず、まずはマスターに教えてもらった料理、パクちゃうところから始めたいと思います!
料理はアートとハートだ!